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メンタルヘルスとは。職場のメンタルヘルスケアの方法を紹介

2022.06.21産業医

近年、日本や海外でメンタルヘルスやメンタルヘルスケアが注目されています。ストレスを抱えやすい現代人にとって、メンタルヘルスを理解してケアをすることが必要です。

本記事では職場のメンタルヘルスケアの方法を中心に、メンタルヘルスに関して網羅的にご説明します。健康的に働きたい場合や従業員に元気で働いてほしいときは、ぜひ参考にしてください。

職場のメンタルヘルス対策における「3つの予防」

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職場のメンタルヘルス対策は、一次予防、二次予防、三次予防に分けられます。「3つの予防」の観点から対策を詳しくお伝えいたします。

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メンタルヘルスとは

メンタルヘルスとは、心の健康を意味します。近年、日本のみならず世界の国々でメンタルヘルスの不調を訴える人が増えています。メンタルヘルスを損なえば、物事に集中できなくなったり、決断力が鈍ったりします。

不調状態を放置しておけば、うつ病など精神的な疾患を患う可能性もあるのです。最悪のケースを考えると、自傷行為や自殺なども起こりえます。よって、メンタルヘルスを軽視することなく、不調の現れ方やその要因、ケア方法を理解しておくことが大事です。

メンタルヘルスの不調の現れ方

メンタルヘルスケアが不調になると、行動や体調に変化が現れます。以下でメンタルヘルスの不調の現れ方をご紹介します。また、メンタルヘルスケアの不調による疾患も取り上げました。

ご自身の状況、企業の担当者であれば従業員の状況と重ね合わせてみてください。

メンタルヘルス不調の兆候① パフォーマンスが悪くなる

前述のとおり、メンタルヘルスに不調が起こると物事への集中力が低下するなど、パフォーマンスが低下します。さらに細かく業務レベルで見ていくと、仕事の進捗が遅れる、メールの返信が遅い、提出書類が期日までに完成しないなどがあげられます。

会議やミーティングで発言しなくなるなども不調の兆候かもしれません。以前よりもパフォーマンスに変化を感じたらメンタルヘルスの不調を疑ってみましょう。

メンタルヘルス不調の兆候② 行動が変化する

パフォーマンスの悪化と類似していますが、行動の変化もメンタルヘルスの不調といえるケースがあります。これまでは元気に出社していた従業員が、挨拶もせずに暗い雰囲気を出していたら要注意です。

服装や髪型、化粧などへ身だしなみへの配慮がなくなることもメンタルヘルス不調の兆候です。メンタルがやられていると、身だしなみどころではなくなるからです。また、対人関係においてもトラブルを起こしやすくなることも考えられます。

メンタルヘルスの不調時はなにかとイライラしやすくなり、些細なことでも怒りっぽくなるのです。これまでの行動とは違う面が増えてきたら、メンタルヘルスの不調を疑ってみましょう。

メンタルヘルス不調の兆候③ 体調や食生活が変化する

メンタルヘルスが不調になると、肩こり、背中や腰の痛み、だるさ、食欲不振など体調の変化が起こりやすいです。また、頭がボーっとして本調子ではなかったり、吐き気、頭痛、発熱、耳鳴り、動悸、不眠などを引き起こしたりします。

ただし、それらの症状が全般的に起こっているからといって、必ずしもメンタルヘルスの不調とはいい切れません。何日も不調が続くようであればメンタルヘルスの不調の可能性があります。

また、食欲の増減が激しい、お酒の量が増えるなど食生活の変化もメンタルヘルスの不調の兆候として考えてみてください。

メンタルヘルスの不調が原因の疾患

メンタルヘルスの不調が原因による疾患があります。代表的な疾患を5つご紹介します。

病気① うつ病

うつ病は気分の浮き沈みが激しくなり、それまで好きだったことが楽しめなかったり怒りっぽくなったりします。めまいや頭痛、食欲減退など身体的な症状からうつ病に発展することも考えられます。

病気② パニック障害

パニック障害は、突然、不安な気持ちをおさえられなくなります。その精神状態がめまいや動悸、発汗、呼吸困難、興奮、倦怠感などを引き起こします。どのタイミングで症状が出るか本人もわからないため、精神的に参ってしまい引きこもりになるケースもあるのです。

病気③ 適応障害

適応障害は、不安感、怒り、めまい、神経過敏などの他にも無断欠勤や暴言、暴力といった行動面でも症状が現れます。うつ病と似ている症状ですが、適応障害は何かしらの原因から遠ざかると症状が落ち着くことがほとんどです。

病気④ 睡眠障害

睡眠障害は、不眠やそれによる日中の眠気、睡眠中の病的な行動などの睡眠にかかわる症状です。寝つきが悪くなったり、睡眠時間を確保しても疲れが取れなかったりします。夜中に何度も起きてしまうことやよくいびきをかくなどの症状が数週間以上続くと、睡眠障害が疑われます。

病気⑤ 依存症

依存症は、アルコールやタバコ、食品など何かしらに依存してしまう行為が続きます。場合により、薬物や万引きなどの犯罪に依存するケースもあります。依存しているときの行為に快楽を感じますが、繰り返すと快感の程度が低くなるため、より多くの快楽を求める悪循環にはまります。

職場におけるメンタルヘルス不調の要因

メンタルヘルスの症状や疾患をご紹介しましたが、職場において不調に陥る要因があります。大きくわけると心理的なものと物理的なものがあります。

要因① 心理的な要因

心理的な要因としては、メンタル面での負担が考えられます。「営業ノルマがきつい」「業務量が多くて精神的に余裕がない」などのケースが続くとメンタルヘルスの不調につながってしまいます。

また、人間関係がストレスになってメンタルヘルスの不調を引き起こすことがあります。なかには耐性がある従業員もいますが、そうではない従業員は心理的な要因から心身の不調を感じることが多いでしょう。

要因② 物理的な要因

物理的な要因では、ストレートにこなす業務量の多さがあげられます。業務量が多ければ、休暇や休息の時間をしっかりと確保できず、心身のリフレッシュができません。そればかりか、心身の疲労が蓄積して負荷をかけてしまいます。

また、「通勤時間が長い」「毎日満員電車に乗る」などの要因によっても心身に負担がかかり、メンタルヘルスの不調を引き起こします。

メンタルヘルスの不調を診断/チェックする方法

メンタルヘルスの不調は兆候があっても「これが不調なのかな?」と思う場合もあれば、自分で認識できないケースも多いです。

そこで、客観的に診断/チェックすることが求められます。以下でメンタルヘルスの不調を診断/チェックする方法をご紹介します。

方法① ストレスチェック

ストレスチェックは、従業員が50人以上の事業所で毎年1回義務付けられている検査です。労働安全衛生法が改正され、2015年12月から義務化されています。

ストレスチェックでは、さまざまな質問に従業員が回答していき、点数化することでストレスの具合を判断します。高ストレス者に選定されると、産業医などの医師と面談をして現状を改善していきます。

さらに企業の担当者と産業医が連携して職場環境の改善も目指します。一連の流れによりメンタルヘルスの不調を未然に防止していく制度です。

ストレスチェックについてはこちら

方法② 産業医面談

産業医面談は、産業医と従業員が面談します。時間外労働が多い従業員やストレスチェックで高ストレス者に選定された従業員などを中心に面談を行って、具体的な改善策を検討します。

産業医は各従業員の健康診断やストレスチェックの結果、日頃の様子を把握しているため、的確なアドバイスができます。定期的な面談を実施することで、従業員のメンタルヘルスの不調を診断することが可能です。

産業医面談についてはこちら

メンタルヘルスのケアを企業が怠った際のリスク

メンタルヘルスのケアを企業が怠ると、企業自身に悪影響が及びます。その際のリスクを2点、ご説明します。

リスク① 休職や退職のリスクが高まる

まずあげられるのは、休職や退職のリスクが高まることです。メンタルヘルスのケアを怠れば、従業員は心身に不調を抱え続けることになり、勤務の継続ができない状況になるでしょう。

そして、休職や退職を希望する従業員が増えるのです。休職者や退職者が増えることで、他の従業員の負担が増えてしまいます。結果として他の従業員は疲弊してしまって休職や退職に至る悪循環に陥るのです。

休職者や退職者が増えることで企業のイメージも悪化してしまい、求人を出しても優秀な人材が集まらないでしょう。従業員が確保できなければ、企業存続のための売上げや利益が確保できなくなり、経営も危ぶまれるのです。

リスク② 生産性の低下

メンタルヘルスの不調を抱えた従業員が増えると、職場の生産性が低下します。というのも、気分が乗らない従業員が多ければ集中力や記憶力が低下して、仕事を効率的にこなせなくなるからです。

良質なアウトプットができなければ、良い仕事につながらず業務も滞ってしまうでしょう。業務が滞れば、企業の対外的な信頼を失う可能性があり、悪循環になるわけです。

職場におけるメンタルヘルスケアの方法

前章でご説明したように、職場のメンタルヘルスケアを怠ると企業経営にも影響があります。そこで、職場でもメンタルヘルスケアを実施して、従業員の健康を維持することが必要です。

基本となる4つのメンタルヘルスケア

基本となるメンタルヘルスケアは4つあります。これは厚生労働省の指針で示されています。

参考:職場に置ける心の健康づくり(P7)

メンタルヘルスケア① セルフケア

セルフケアは自分で実施するケアです。スポーツや読書、映画鑑賞、瞑想など自分自身にあったストレス発散の方法が該当します。

メンタルヘルスケア② ラインケア

ラインケアは管理職や上司などが実施するケアです。職場環境の改善や従業員の相談に対してケアしていく内容となります。管理職や上司は日頃から従業員の様子をチェックしておくことが求められます。

メンタルヘルスケア③ 産業医などによるケア

事業所内産業保健スタッフ(産業医など)によるケアでは、セルフケアとラインケアがより効果的に実施されるように両者を支援していきます。従業員や管理職との連携を取ることで、より効果的なメンタルヘルスケアが期待できます。

メンタルヘルスケア④ 事業場外資源によるケア

事業所外の専門機関や専門家が主体となるケアです。事業所内の人間に相談内容などを知られたくないときは、この方法でケアを受ける従業員が存在します。対応するのは外部の医師やカウンセラーなどです。

メンタルヘルスケアの進め方

メンタルヘルスケアの進め方としては以下の4つのステップを参考にしてください。

ステップ① 教育・研修・情報提供

従業員、管理職・上司、産業医などがそれぞれの職務に応じてメンタルヘルスケアを推進するために教育や研修、情報提供を実施します。企業内に教育担当者を配置して計画的に進めることが有効です。

ステップ② 職場環境などの把握と改善

従業員の日々の職場管理や意見聴取、ストレスチェックによって、職場環境を評価して課題を把握します。さらに、課題に対する改善策を考えて、実行することも求められます。

ステップ③ メンタルヘルス不調への気づきと対応

未然にストレスヘルスの不調に気づくことが大事ですが、メンタルヘルス不調に陥った従業員への対応を行います。セルフチェック、ラインケアなど前章でご紹介した方法で対応していきましょう。

ステップ④ 復職への支援

万が一、メンタルヘルス不調で休職者がでた場合には、従業員が職場復帰できるように企業側と産業医などが協力して支援します。

職場で良好なメンタルヘルスを保つために

従業員が職場で良好なメンタルヘルスを保つためには、優秀な産業医が必要です。産業医が従業員に対して日常的にケアをして、休職や退職を防ぐことで健康的な経営にもつながります。

優秀な産業医は従業員目線の面談が可能であったり知識が豊富であったり、衛生委員会に積極的に参加したりする特徴があります。自社の健康経営のためにも優秀な産業医を選んでください。

産業医クラウドの紹介

産業医を選定するにあたって紹介会社も取り組みがさまざまであり、対応可能な地域も幅広いです。そのため、自社に適切であるかの見極めが必要です。迷った場合は産業医クラウドをご利用ください。

ネットで簡単に産業医が探せて、健康診断やストレスチェックなど一連のサービスをご利用できます。この機会にぜひご相談ください。

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など、小さなお悩みから他社の事例など、お気軽に相談ください。

産業医の新規契約をまだ検討していない方も、お気軽に悩みを 聞かせてください。産業医の紹介以外でも、お役に立てるかもしれません。

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監修

栗原 雅直医師
くりはら まさなお

東京生まれ。東京大学医学部医学科卒業、東大病院精神神経科に入局。1960年東大大学院生物系研究科博士課程修了。医学博士。2年間のパリ大学留学後、東大病院医局長、1966年虎の門病院勤務。初代精神科部長。川端康成の主治医を務めた。1990年大蔵省診療所長。財務省診療所カウンセラー