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新入社員に起こりやすい適応障害とは。症状や企業の対策も紹介

2021.04.12メンタル疾患

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新入社員が入社する時期は新人教育が忙しくなりますが、何より新入社員自身も新しい環境に身を置くことや覚える業務が多いことで、ストレス負荷を覚えるでしょう。
新入社員が入社したばかりの時期やまだ業務に慣れない時期、一番気をつける必要があるのが新入社員の適応障害かもしれません。
昨今、様々なメンタルヘルス不調が報告され、適応障害も珍しくない病気ともいえますが、適応障害とはどのような病気か気になる方も多いでしょう。
メンタルヘルス問題が多い今、適応障害への対策も必要ですが、これからメンタルヘルス対策としてできることに触れていきます。

適応障害は環境の変化で起こりやすい

ストレスに対する耐性には個人差があるため、具体的なストレス因子は個人によって異なります。新しく配属された部署の環境になじまないなど新入社員が環境の変化に順応できない場合に起こることもあります。また、適応障害はうつ病の前段階となるケースも多く、十分な注意が必要です。

適応障害の定義

「ストレス因により引き起こされる情緒面や行動面の症状で、社会的機能が著しく障害されている状態」ICD-10(世界保健機構の診断ガイドライン)とされています。

発症時期

「発症は通常生活の変化やストレス性の出来事が生じて1カ月以内であり、ストレスが終結してから6カ月以上症状が持続することはない」(ICD-10の診断ガイドライン)

状態

ある生活の変化や出来事がその人にとって重大で、普段の生活がおくれないほど抑うつ気分、不安や心配が強く、それが明らかに正常の範囲を逸脱している状態
 

適応障害で見られる症状とは

抑うつ気分、不安、怒り、焦りや緊張などの情緒面の症状が見られます。

  • 無断欠勤や遅刻が増える
  • 口数が少なくなる
  • 集団の中で違和感を感じる

普段と違う行動がみられたら要注意です。
また、腹痛、めまい、人によっては発熱といった症状が現れるケースもあります。
仕事中に極度に緊張した状態が見受けられるといったケースもあります。適応障害の症状はストレスから離れると改善されるケースが多く、仕事がストレス因子の場合は休みになると症状が落ち着き趣味なども楽しめるといった傾向があります。
 

新型うつは適応障害?

新型うつと呼ばれる症状を適応障害と表現する医師も多数います。休みの日は問題ないのに、出勤すると体調が悪くなるという状態を単なる怠けだと判断しないことが大切です。適応障害は前述した通り、ストレスから離れることで改善するケースが多いため、休みには特に体調に現れないケースもあります。
 

適応障害で必要な治療は?

適応障害の治療でまず必要なことは「ストレス因子」の除去です。何がストレス因子になっているのかに関しては本人と面談の上、判断していく必要があります。ただ、職場の環境がストレスの場合、すぐに環境を変えられないという場合も多々あります。その場合は、本人の適応力を上げていく必要があります。

ストレス因の除去

職場の環境や人間関係がストレスの場合、配属を転換するなどの方法がありますが、実際すぐにはできないのが現状だと考えられます。

本人の適応力を高める

ストレス因に対して本人はどのように受け止めているかを考えていくと、その人の受け止め方にパターンがあることが多くみられます。このパターンに対してアプローチしていくのが認知行動療法と呼ばれるカウンセリング方法です。また現在抱えている問題と症状自体に焦点を当てて協同的に解決方法を見出していく問題解決療法もあります。この認知行動療法も問題解決療法も、治療者と治療を受ける人が協同して行っていくものですが、基本的には治療を受ける人自身が主体的に取り組むことが大切です。
(厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」より抜粋)

情緒面や行動面への介入

不眠等に関しては改善させる為に薬物療法を行ったりしますが、症状に対して薬を使うといった療法になるため根本的な解決にはなりません。適応障害には環境調整やカウンセリングが大切になります。
 

企業が普段からやっておくべき新入社員のメンタルヘルス対策

適応障害を始めとしたメンタルヘルス問題は、一度かかると完治まで時間がかかってしまうため、早期発見や早期対応、適切な処置が重要になってきます。
メンタルヘルス対策自体をあらかじめ取り組むことで、適応障害やうつ病、パニック障害など様々なメンタルヘルス問題発生を予防しやすくなります。
これから、企業が普段からやっておくべき新入社員のメンタルヘルス対策を幾つか挙げていきたいと思いますので、適切な新人教育のためにも離職予防のためにも取り入れてみてはいかがでしょうか?

新入社員向けの研修

メンタルヘルス対策と一言で表現しても、具体的なイメージが沸きにくいかもしれません。
メンタルヘルス対策は何より新入社員本人が、自らストレスに気が付くことや定期的なストレス発散をしていくことが大切ですが、その方法を知らなければ自分で抱え込んでしまう危険性もあるでしょう。
そのために、新入社員向けの研修をすることが望ましいですが、研修の中身は仕事のことのみならず、自らできるメンタルヘルス対策や、ストレスや悩みがあれば早期的に相談・改善していくことの大切さを伝えることも重要です。
特に社内に、産業医や産業保健師といったメンタルヘルス対策の指導ができる専門家が設置されている場合、講師を依頼して研修をすることが望ましいといえるでしょう。
メンタルヘルス対策の中には独自で実施できるセルフケアというものがありますが、そういったものを改めて指導することが大切です。
適応障害を予防するためのメンタルヘルス対策、実は我々の生活の中の様々な場面にありますので、普段の趣味や息抜きをすることや体を動かすことなどが対策に繫がること、専門家や信頼できる人に悩み相談をすることの大切さなどについて、改めて伝えていきましょう。

管理職・先輩社員向けの研修

新入社員に向けたメンタルヘルス対策研修も大切ですが、同時に管理職や先輩社員向けの研修を実施することも大切です。
メンタルヘルス対策は新入社員のみならず、管理職・先輩社員も理解をした上で取り組むことが大切ですが、メンタルヘルスの専門知識を有していない管理職・先輩社員が対策をすることも無理が生じるでしょう。
メンタルヘルス対策の中には、企業内で実施できるラインケアというものがありますが、ラインケアは新入社員と接することの多い先輩社員が対応していきますし、より徹底した対策に向けて、管理職の理解も必要不可欠になってきます。
メンタルヘルス問題や適応障害などに対する適切な理解のためにも、新入社員の適切な指導について周知させるためにも、管理職や先輩社員に向けた研修が重要になってきます。

新入社員が入ると同時に管理職や先輩社員の負担も増加し、場合によっては彼らがメンタルヘルス問題や適応障害が発生するリスクもありますので、先輩社員向けのメンタルヘルス対策も大切です。
メンタルヘルス対策は新入社員のみならず、既にいる社員に対しても定期的に実施していきましょう。

メンター制度の導入

メンタルヘルス対策や適応障害予防の一環として、企業にメンター制度の導入をする方法もあります。
メンターとは、仕事上の指導や助言をする者のことを指し、メンター制度とは、年齢や経験年数の近い先輩社員がメンターとなり、新入社員のサポートをする制度となります。
メンターは、サポートする新入社員とは異なる部署に所属する、入社5~10年目未満の若手先輩社員から選ばれることが多いとされています。
直属の上司ではなく、同時に年齢も近いので、だからこそ新入社員にとっても悩み相談をしやすい対象になってくるかもしれません。
新入社員がストレスを溜めこまないためにも、メンタルヘルス予防対策として、メンター制度の導入を検討されてみてはいかがでしょうか?
社内に相談できる対象があるだけで新入社員も気持ちが楽になるかもしれませんよ。

定期的なストレスチェック

ストレスチェックは、メンタルヘルス不調の防止と、職場環境改善を目的として実施され、従業員数50名以上の企業で年に1回以上実施をすることが義務付けられておりますが、定期的に実施することで高ストレス者の早期発見・対応が実現します。
特に新入社員は知らず知らずのうちにストレスを溜めこんでしまうことも多く、忙しければそれだけ適度な息抜きができなくなり、いつしかストレス発散に繫がる行動を起こすことも億劫になってしまうかもしれません。
ストレスは目に見えないから発見が遅くなり、自分でも気が付かないうちにため込んでしまうため、周囲が気付くことが大切になってきます。
先に述べたように、メンタルヘルス問題や適応障害は早期発見・対応が重要になってきますので、高ストレス者が発生した場合は、専門家による適切な助言や指導を受けさせるようにしましょう。
ストレスチェックの中身も、自社に合わせた独自のチェック理リストを作成して実施することで、より高ストレス者の早期発見に繫がるかもしれませんよ。

産業医や産業保健師といつでも面談できる環境の構築

産業医は多くの企業で設置が義務付けられており、企業によっては産業保健師も設置されている場合もあるでしょう。
企業が実施可能なケアとして、「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」というものが挙げられますが、そのためには産業医や産業保健師の存在が欠かせません。
特に健康管理や保健指導の専門家である産業医や産業保健師が企業に設置されていれば、活用しない方法はありません。

産業医や産業保健師とは、希望をすれば面談をすることはできますが、一方で情報周知されていないことで、面談ができると気が付いていない新入社員がいるかもしれません。
面談可能なことが分かっていても、ハードルが高く、また社内の先輩社員や上司に遠慮をしてしまい、なかなか面談希望を出せないケースもあるかもしれません。
産業医や産業保健師は、メンタルヘルス対策の専門化として適切な指導・助言をしていくため、「いつでも面談できる」という安心感を与えるためにも、適切な環境構築が重要になってきます。
産業医や産業保健師の役割やメンタルヘルス対策について、研修の場や朝礼、社内会報やメールなどで様々な周知をし、相談窓口を設けることで、相談しやすい環境になるのではないでしょうか?
何より優秀な産業医や産業保健師を設置することで、より適切な面談指導が期待できますので、メンタルヘルス対策の一環として優秀な産業医や産業保健師の設置をご検討されてみてはいかがでしょうか?

メンタルヘルス対策として絶対に新入社員にしてはいけないこと

企業のメンタルヘルス対策は重要ですが、一方でメンタルヘルス対策としてしてはならないことをしてしまい、悪化することも珍しくありません。
そうなってしまうことは本末転倒ですし、特にメンタルヘルス問題はデリケートな課題となりますので、これから絶対に新入社員にしてはいけないメンタルヘルス対策を挙げていきたいと思います。

抑圧

抑圧は目に見えない圧力をかけられることで過大なストレスがかかりますが、新入社員にとって先輩社員・上司からの抑圧は、余計に委縮してしまい、過大な影響を与えてしまいます。
抑圧的な言動や言葉の暴力が日常的にあれば、新入社員は知らず知らずのうちにストレスを抱え込んでしまい、メンタルヘルス問題を引き起こす引き金となってしまうことも珍しくありません。
質問に対して「そんなこと聞くな」「黙ってやれ」などと答える対応をすることで、新入社員は分からないことも聞けなくなり、それによってミスも多くなり、大きなミスや失敗をするリスクも高まるでしょう。
こういったことが繰り返されれば、新入社員は誰かに悩み相談することができなくなり、一人で抱え込んでしまい、ある日出社できなくなる、衝動的に命を絶つ行動に出てしまう、という危険性も伴います。
抑圧行為は見方を変えればハラスメント行為ともいえますし、新入社員に適切な指導をしないことは問題点として挙げられます。
「心を鬼にして接する」「相手を思ってこそ敢えて厳しくする」ことは、底辺に相手を思いやる気持ちがあってこそ成立するもので、「抑圧する」ことには直結しませんし、何より抑圧行為はパワーハラスメントやモラルハラスメントに該当します。
新入社員が仕事を早く覚えられるようにするためにも業務効率をアップするためにも、質問しやすい環境を整えるためにも適切な新人教育をしていきましょう。

否定

新入社員にとって周りは先輩社員や上司ばかりで、特に入社したての頃は大きな緊張を伴う環境ともいえます。
慣れない業務も多く、当然最初のころは失敗もしますし分からないことだらけですが、質問やミスに対して否定をすることは、してはならないことです。
当然、注意するべき部分に対して注意することは大切ですが、注意することと一方的に罵ることは違いますし、何よりも注意では済まされない、言葉の暴力や一方的な否定をすることはやってはならないことです。
「そんなこともできないのか」「使えないやつだ」「1度教えたことは二度と教えないから教えないよ?」などと言うことは当然発してはならないことですし、更には人格を否定するようなことや自殺を示唆するようなことは先輩として以前に、人としてやってはならない行為です。
一方的に否定する行為はハラスメント行為となり、場合によっては大きな社会問題となることも、今の時代珍しくありません。
中には「自分たちが若い頃はもっと厳しくされた」「自分は厳しく育てられたのだから、同じことをしているだけ」と述べるケースもありますが、時代と共に抱えるストレスの種類は異なってきますし、人の数だけ指導の方法も異なります。
そのような言い訳をする先輩社員は、「自分が厳しくされたから、同じように指導している」のではなく、ただ単純にそれを言い訳として、自分の日常的なストレスを反抗できない新入社員にぶつけているだけの可能性もあります。
新入社員を潰してしまわないためにも、今一度、正しい新人指導を確認してから、私情を挟まない指導をしていくようにして、それでも問題行為を繰り返す社員は担当から外す、移動するなどといった対策を取っていきましょう。

無視

抑圧や否定されることも辛いですが、無視されることも新入社員にとって辛い状態になります。
質問をしても聞こえないふりをして無反応であれば質問できなくなりますし、アクションに対して無視することはもちろんですが、新入社員の様子がおかしいことや元気がないということを無視することもなりません。
特にメンタルヘルス問題は早期発見や対応が重要となりますので、様子がおかしいことや元気がないことはメンタルヘルス問題が発生している可能性が高く、無視できない内容といえるでしょう。
メンタルヘルス問題は人間関係により引き起こされるケースも多いですが、メンタルヘルス対策のためにも適応障害予防をするためにも、新入社員を無視する環境を作ることはやってはなりません。
無視する行為自体がハラスメント行為になりますし、複数で示し合わせて無視しているとなれば、企業内の大きな問題となってきます。
社会人としての責任を全うするためにも、新入社員を無視することのないよう、適切な指導をすることが企業として大切です。

無理解

メンタルヘルス問題は近年では珍しくありませんが、それを「甘え病だ」「心が弱いからだ」「気持ちの持ちようだ」と否定する社員が未だ存在する現実があります。
メンタルヘルス問題という心の病気は、周囲の理解が大切で、理解あってこそ適切な対応ができますが、一方で無理解は当事者を追い詰める結果になりかねません。
「今の若い者は」といった、年代の違いによる考え方を押し付けることや行動の違いを否定することはやってはならない対応であり、時代により状況や抱える問題は異なります。
メンタルヘルス問題や適応障害は誰もが発生する可能性があり、もはや珍しくない病気であるにも関わらず、無理解な先輩社員や上司が周囲にいては、改善するものも思い通りに改善していきません。
メンタルヘルス対策として大切なことは、上司や先輩社員の理解にありますので、改めて正しいメンタルヘルス対策や病気への理解について周知していくことが大切です。
そのためにも産業医や産業保健師による、社員向けのメンタルヘルス対策や適応障害についてなどをテーマにした講和の実施が、理解へと近づけるポイントになってくるかもしれません。

適応障害にはまずは理解が大切

新しい環境で慣れない場面で必要以上な負荷をかけたりすることは適応障害を引き起こすきっかけになります。また、症状から単なる怠けだと判断せずに適応障害かもしれないといった目線で接する姿勢も大切です。対象者が適応障害の症状であるかどうか判断がつかない場合は、産業医にご相談ください。

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監修

栗原 雅直医師
くりはら まさなお

東京生まれ。東京大学医学部医学科卒業、東大病院精神神経科に入局。1960年東大大学院生物系研究科博士課程修了。医学博士。2年間のパリ大学留学後、東大病院医局長、1966年虎の門病院勤務。初代精神科部長。川端康成の主治医を務めた。1990年大蔵省診療所長。財務省診療所カウンセラー