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新入社員に起こりやすい適応障害とは。症状や企業の対策も紹介

2022.04.11メンタル疾患

新入社員に起こりやすい適応障害とは。症状や企業の対策も紹介
新入社員は、新しい環境や業務に関するストレスを感じやすい傾向にあります。特に気をつける必要があるのが、新入社員の適応障害です。

昨今、様々なメンタルヘルス不調が報告され、適応障害も珍しくない病気になってきました。そのため、適応障害とはどのような病気か気になるという方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、適応障害についてご紹介します。

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従業員の悩みを打ち明けられやすい職場環境とは

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産業医業務において大切にしていることについて、 3 人の子育て中の母親であるというお立場の木村医師から、お言葉を頂きました。

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新入社員が入社してくる4月に向けて、この時期一番気をつける必要があるのが、新入社員の適応障害。 適応障害とはいったいどういった病気なのでしょうか。 こちらの資料では、新入社員に起こりやすい適応障害について、記事よりもさらに詳しく説明しています。

適応障害は環境の変化で起こりやすい

ストレスに対する耐性には個人差があるため、具体的なストレス因子は個人によって異なります。新しく配属された部署の環境になじまないなど、新入社員が環境の変化に順応できない場合に起こることもあります。また、適応障害はうつ病の前段階となるケースも多く、十分な注意が必要です。

適応障害の定義

「ストレス因により引き起こされる情緒面や行動面の症状で、社会的機能が著しく障害されている状態」引用:ICD-10(世界保健機構の診断ガイドライン)

発症時期

「発症は通常生活の変化やストレス性の出来事が生じて1カ月以内であり、ストレスが終結してから6カ月以上症状が持続することはない」引用:(ICD-10の診断ガイドライン)

適応障害で見られる症状とは

適応障害では、抑うつ気分・不安・怒り・焦りや緊張などの情緒面の症状が見られます。

  • 無断欠勤や遅刻が増える
  • 口数が少なくなる
  • 集団の中で一人だけ違う行動をしている

また、腹痛やめまい、人によっては発熱といった症状が現れるケースのほか、極度に緊張した状態が見受けられるといったケースもあります。適応障害の症状はストレスから離れると改善されるケースが多く、仕事がストレス因子の場合は休みになると症状が落ち着くため、趣味なども楽しめるといった傾向があります。

新型うつは適応障害?

新型うつと呼ばれる症状を、適応障害と表現する医師も多くいます。休みの日は問題ないにも拘らず、出勤すると体調が悪くなるという状態を、単なる怠けだと判断しないことが大切です。適応障害は前述した通り、ストレスから離れることで改善するケースが多いため、休みには特に体調に現れないケースもあります。

適応障害で必要な治療は?

適応障害で必要な治療は?
適応障害の治療でまず必要なことは「ストレス因子」の除去です。何がストレス因子になっているのかに関しては、本人と面談をして判断する必要があります。ただ、職場の環境がストレスの場合、すぐに環境を変えるのは難しい場合も。その場合は、本人の適応力を上げていく必要があります。

ストレス因の除去

職場の環境や人間関係がストレスの場合、配属を転換するなどの方法があります。

本人の適応力を高める

ストレス因に対して本人はどのように受け止めているかを考えていくと、その人の受け止め方にパターンがあることが多くみられます。このパターンに対してアプローチしていくのが認知行動療法と呼ばれるカウンセリング方法です。また現在抱えている問題と症状自体に焦点を当てて協同的に解決方法を見出していく問題解決療法もあります。この認知行動療法も問題解決療法も、治療者と治療を受ける人が協同して行っていくものですが、基本的には治療を受ける人自身が主体的に取り組むことが大切です。
(引用:厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」)

情緒面や行動面への介入

不眠等に関しては、改善の為に薬物療法を行う場合もありますが、症状に対して薬を使うといった療法になるため、根本的な解決にはなりません。適応障害には環境調整やカウンセリングが大切です。

企業が普段からやっておくべき新入社員のメンタルヘルス対策

企業が普段からやっておくべき新入社員のメンタルヘルス対策
適応障害を始めとしたメンタルヘルス問題は、一度かかると完治まで時間がかかってしまうため、早期発見や早期対応、適切な処置が重要です。メンタルヘルス対策についてあらかじめ取り組むことで、適応障害やうつ病、パニック障害など様々なメンタルヘルス問題発生を予防しやすくなります。

以下では、具体的な対策についてご紹介します。

新入社員向けの研修

メンタルヘルス対策と一言で表現しても、具体的なイメージが沸きにくいかもしれません。メンタルヘルス対策は新入社員本人が、自らストレスに気が付くことや定期的なストレス発散をしていくことが大切です。しかし、その方法を知らなければ自分で抱え込んでしまう危険性もあるでしょう。

そのために、新入社員向けの研修をすることが望ましいです。研修の中身は仕事のことのみならず、自らできるメンタルヘルス対策や、ストレスや悩みがあれば早期的に相談・改善していくことの大切さを伝えることも重要になります。

特に、社内に産業医や産業保健師といったメンタルヘルス対策の指導ができる専門家が設置されている場合、講師を依頼して研修をすることが望ましいといえるでしょう。独自で実施できるセルフケアなどについても、改めて指導してください。

管理職・先輩社員向けの研修

新入社員に向けたメンタルヘルス対策研修も大切ですが、同時に管理職や先輩社員向けの研修を実施することも大切です。

メンタルヘルス対策の中には、企業内で実施できるラインケアというものがありますが、ラインケアは新入社員と接することの多い先輩社員が対応するほか、より徹底した対策に向けて管理職の理解も必要不可欠になってきます。メンタルヘルス問題や適応障害への適切な理解のためにも、管理職や先輩社員に向けた研修が重要です。

新入社員が入ると同時に管理職や先輩社員の負担も増加し、場合によってはメンタルヘルス問題や適応障害が発生するリスクもあります。そのため、先輩社員向けのメンタルヘルス対策も大切です。メンタルヘルス対策は新入社員のみならず、既存社員に対しても定期的に実施していきましょう。

メンター制度の導入

メンタルヘルス対策や適応障害予防の一環として、メンター制度の導入があります。

メンター制度とは、年齢や経験年数の近い先輩社員がメンター(仕事上の指導や助言をする人)となり、新入社員のサポートをする制度です。メンターは、サポートする新入社員とは異なる部署に所属する、入社5~10年目未満の若手先輩社員から選ばれることが多いとされています。直属の上司ではなく、年齢も近いため、新入社員にとっても悩みを相談しやすいかもしれません。

定期的なストレスチェック

ストレスチェックは、メンタルヘルス不調の防止と職場環境改善を目的として実施されます。常時50人以上の労働者を使用する事業場について、事業者は、常時使用する労働者に対し、1年以内ごとに1回、定期に、ストレスチェックを行うことが義務づけられており、定期的に実施することで、高ストレス者の早期発見・対応が実現します。(常時50人以上の労働者を使用する事業場以外の事業場でのストレスチェックは、当分の間、努力義務とされています。)

ストレスは目に見えないため発見が遅くなり、自分でも気が付かないうちにため込んでしまうものです。そのため、周囲が気付いてあげることが大切になってきます。高ストレス者が発生した場合は、専門家による適切な助言や指導を受けさせるようにしましょう。

ストレスチェックの中身も、自社に合わせた独自のチェックリストを作成して実施することで、より高ストレス者の早期発見に繫がる可能性が高くなります。

産業医や産業保健師といつでも面談できる環境の構築

企業が実施可能なケアとして、「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」というものが挙げられますが、そのためには産業医や産業保健師の存在が欠かせません。

産業医や産業保健師とは、希望をすれば面談をすることはできますが、一方で情報が周知されていないことで、面談ができると気が付いていない新入社員がいるかもしれません。

また、面談へのハードルが高く、社内の先輩社員や上司に遠慮をしてしまい、なかなか面談希望を出せないケースも考えられます。産業医や産業保健師は、メンタルヘルス対策の専門化として適切な指導・助言をする立場です。「いつでも面談できる」という安心感を与えるためにも、適切な環境構築が重要になるため、産業医や産業保健師によるメンタルヘルス対策について、研修の場や朝礼、社内会報、メールなど様々な方法で周知をし、相談窓口を設けることで相談しやすい環境に近づけましょう。

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メンタルヘルス対策として絶対に新入社員にしてはいけないこと

メンタルヘルス対策として絶対に新入社員にしてはいけないこと
メンタルヘルス対策には「してはならないこと」もあります。新入社員に接する際は下記の4点を注意しましょう。

抑圧

抑圧は過大なストレスがかかります。特に入社したての不慣れな環境で、目上の人から圧力が加わると影響は大きいでしょう。抑圧的な言動や暴力などが日常的にあれば、メンタルヘルス問題を引き起こしかねません。

たとえば、質問に対して威圧的な対応をすることで、新入社員は質問できなくなり、それが原因で、重大なミスのリスクも高まるでしょう。抑圧行為はハラスメント行為ともいえますし、新入社員に適切な指導をしないことは問題点として挙げられます。新入社員が早く業務に慣れるためにも、適切な新人教育をしていきましょう。

否定

新入社員は慣れない業務も多いため、最初は失敗もありますが、決して頭ごなしに否定してはいけません。注意することは大切ですが、注意することと一方的に罵ることは違います。特に人格を否定するようなことや自殺を示唆するようなことは論外です。一方的に否定する行為はハラスメント行為であり、大きな社会問題になっています。

新入社員を潰さないためにも、私情を挟まない指導を心がけることが大切です。それでも問題行為を繰り返す社員は担当から外す、異動するなどの対策を取りましょう。

無視

抑圧や否定と同じく、無視されることもつらい状態です。質問をしても無反応であれば質問できなくなります。また、アクションに対しての無視だけでなく、新入社員の様子がおかしいことや元気がないことを無視することにもなりかねません。

特にメンタルヘルス問題は早期発見や対応が重要です。様子がおかしいことや元気がないことはメンタルヘルス問題が発生している可能性が高いでしょう。メンタルヘルス問題は、人間関係により引き起こされるケースがほとんどです。新入社員を無視する行為自体がハラスメント行為にあたりますし、複数で示し合わせて無視しているとなれば、企業内の大きな問題となります。社会人としての責任を全うするためにも、新入社員を無視する環境を作ることなく、適切な指導を行うことが大切です。

無理解

メンタルヘルス問題は近年では珍しくありませんが、それを甘えと認識する社員は未だに存在します。メンタルヘルス問題は、周囲の理解があってこそ適切な対応ができます。無理解は当事者を追い詰める結果になりかねません。メンタルヘルス問題や適応障害は誰もが発生する可能性がありますが、無理解な人が周囲にいては、改善も難航します。

メンタルヘルス対策として大切なことは、上司や先輩社員の理解ですので、正しいメンタルヘルス対策や病気への理解について、周知しましょう。産業医や産業保健師による、メンタルヘルス対策や適応障害についてなどをテーマにした講和が、理解への近道になるかもしれません。

適応障害にはまずは理解が大切

新しい環境や慣れない場面で必要以上な負荷をかけたりすることは、適応障害を引き起こすきっかけになります。また症状から、単なる怠けだと判断せずに適応障害かもしれないといった目線で接する姿勢も大切です。対象者が適応障害の症状であるかどうか判断がつかない場合は、産業医に相談しましょう。

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監修

栗原 雅直医師
くりはら まさなお

東京生まれ。東京大学医学部医学科卒業、東大病院精神神経科に入局。1960年東大大学院生物系研究科博士課程修了。医学博士。2年間のパリ大学留学後、東大病院医局長、1966年虎の門病院勤務。初代精神科部長。川端康成の主治医を務めた。1990年大蔵省診療所長。財務省診療所カウンセラー