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大人の発達障害。症状の種類や仕事で気をつけるポイントを紹介

2022.04.11職場環境

大人の発達障害。症状の種類や仕事で気をつけるポイントを紹介

突然ですが、「大人の発達障害」というキーワードを耳にしたことはないでしょうか。今回は、大人の発達障害についてご説明していきます。

大人の発達障害ってなに?

発達障害は、
●自閉症スペクトラム(ASD)
●注意欠如多動性障害(ADHD)
●学習障害(LD)
の3つに大きく分けられます。

・自閉症スペクトラム(ASD)

ASDは、ASDは”Autism Spectrum Disorder (Disability)” の略です。社会的コミュニケーションの障害を生じる発達障害の総称で、いわゆる昔ながらの「自閉症」と、「アスペルガー症候群」などが含まれます。特徴として、空気が読めない、独特のこだわりや振る舞いが見られます。

仕事の中では、以下のような特徴がみられます。
<グループワークが苦手>
ASDの特徴として集団行動が苦手という特徴があります。理由としては、
●人との距離感のつかみ方がわからない
●足並みのそろえ方がわからない
●個人の行動が独特で周りに理解がされない
●個人の感情を優先するため周りを混乱させる
などが挙げられます

<他社とのコミュニケーションが苦手>」
人の気持ちや感情を読み取る能力が低いケースが多く、相手が何を思っているのかや、会話の中で何を求められているのかがわからず、会話のキャッチボールがうまくいかない場合があります。また、思考がまとまらず会話の中で何を伝えたいのかがわからず、報告ができないこともあります。

<自己流で物事を進めてしまう>
ASDの特徴として、こだわりが強いことが挙げられます。自分が思った手順ややり方を逸脱したやり方に不安を覚えるためです。今までと違ったやり方に対する経験がなく、困惑を覚えます。

やったことのない作業の場合、マニュアルを渡しても不安を覚え、なかなか作業が進まないケースが多く、作業指示からはずれたことをやってしまうこともあります。

・注意欠如多動性障害(ADHD)

ADHDは”Attention Deficit Hyperactivity Disorder”の略で、日本語では注意欠如多動性障害と訳します。
ADHDには以下の3つの特徴があります。

●不注意
集中力が持続しない。忘れっぽい。
●多動/衝動性優勢型
落ち着いて何かをすることが苦手
●衝動性
計画性が乏しく、衝動的に行動してしまう

仕事の中では、以下のような特徴がみられます。

<さまざまなことを同時に考えてしまう>
一つのことに集中して考えることが苦手なため、つい他のことを考えて気が散ってしまうという傾向があります。また、さまざまなタスクを同時に効率よく片付けていくことも苦手としているため、どこから手をつければいいかわからず作業が進まないという場合もあります。それと反対に集中しすぎて周りが見みえなくなるというケースもあります。

<気分変調が激しい、突発的に行動してしまう>
周りの空気に合わせず自分が思ったことを発言してしまう、相手の発言を遮って話す、順番が待てない、感情のコントロールが苦手で怒りが抑えられないなどの特徴があります。

<ミスや忘れ物が多い>
仕事でのミスや抜け漏れが多いという特徴もあります。一つのことに注意関心を向けることを苦手としているため、ケアレレスミスを繰り返したり、忘れ物をしたりといった行動が目立ちます。本人も気にしているケースも多いのですが、周りがそれを理解してあげられないことが多く「仕事ができない人間」というレッテルが貼られやすいのです。

・学習障害(LD)

LDは”Learning Disorder”または”Learning Disability”の略です。文章を正確に読んだり、書いたり、理解したりといったことを苦手とします。また、数を使った概念が苦手な人もいます。

仕事の中では、以下のような特徴がみられます。

<文章を読むのが苦手>
マニュアルを読んで作業をすることを苦手としています。何を書いているのか理解できない場合があり、作業ミスに繋がりやすくなります。

<メモがとれない>
作業指示にメモをとることが多いですが、LDの人はメモをとることが苦手なためその場で聞きながらメモをとることができない場合があります。
ただし、ノートに書くということが苦手なだけな場合が多く、pcやタブレットなどキーボードで打つことは苦手でないケースもあり、紙に固執しないコミュニケーションを行うことで円滑に仕事が進む場合があります。

大人の発達障害、どう対応すればいい?

まずは対象となる人の状況をきちんと把握する必要があります。単なる性格や能力で済ませず、その裏にある原因をきちんと探るようにしましょう。その中で発達障害の疑いが見られる場合は、仕事に対する指示の方法を対象者にあったものに変更し、極力寄り添うように努めることが大切です。特にADHDの場合は、下記のような対応を意識するとよいでしょう。

1.できたことをほめる

ADHDの特徴の一つとして、「他者の気持ちが理解できない」ことが挙げられますが、放置してしまうとその場ごとにどのような言動が望ましいのかわからないままになってしまいます。何がよかったことなのか、何がダメだったのかきちんと言葉で説明してあげるようにしましょう。

会議に参加する場合は、会議の前に他の出席者や議題などを共有し、専用資料を渡して予習の時間を作ることがポイントです。会議中の発言は話題になったタイミングで発言を促し、話題にならなかったことは会議の終了時間前に発言させるといった工夫をすることで会議を円滑に進められます。

また、何らかの発言を会議中にする場合は、一呼吸考える時間を設けるように心がけることを指導しましょう。会議終了後はできたことをきちんとほめ、本人のモチベーションを保てるようにアフターフォローをすることも大切です。

2.あいまいな指示をしない

適当にやる、周りと協調性を持って作業をするということを苦手とする方も多く、あいまいな指示は混乱を招きます。何をいつまでに行い、どういう手順で進めるのかまで明確に指示をすることで、本人も迷わずに作業ができるようになるでしょう。

適時指示が難しい場合は、専用の業務マニュアルを用意することも一つの手段です。一度教えたことであっても完璧に覚えているとは思わず、随時確認ができるようにしておきましょう。文章だけでなく図や写真、イラストを使って視覚から多くの情報を得られるように工夫するとより効果的です。

また、すべてのマニュアルを企業側で用意するのではなく、従業員本人がメモをとり、自分自身でわかりやすいマニュアルを作ることで、理解度がさらに高まります。もし何度も同じことを繰り返し質問されても、大声を出したり威圧するような態度を出したりしないように気を付けましょう。自己肯定感の低下を招き、二次障害を起こしかねません。作業の手が止まっている場合は、どうすればいいのかわからずに困っている可能性があります。できるだけ様子をこまめにうかがい、困っていることに合わせて具体的な解決方法を提示することが大切です。

3.集中できる環境をつくる

騒がしい環境や周りに違う作業者がいる環境の場合、不要な視覚情報が多くなるせいで気が散るケースがあります。発達障害の中には感覚過敏の人も多く、照明や窓からの光を非常に眩しく感じてしまうこともあるでしょう。

その場合はパーテーションで区切るなどの対応が必要です。どのような環境であれば集中して業務に従事できるかを本人と話し合い、環境を整えていきましょう。

4.できないことを責めない

本人もできないことに悩んでいる場合があるため、責めることでますます萎縮し、仕事ができなくなる恐れがあります。できないことを責めず、なぜできなかったのか、どうすればできるようになるのかを具体的に示し、仕事の効率を上げていきましょう。

ミスが多い場合はサポートやフォローを他の従業員と協力して行う、またはより適した業務がないかを検討するようにしましょう。個人によって適性やスキルが大きく異なるので、それぞれの特性を活かせるようにすることで業務が捗ることもあります。

たとえば、単純作業を苦手とする場合は身体を動かすような作業をさせる、コミュニケーションが苦手な場合はもくもくと集中できる作業をさせる、などの工夫が必要です。できることと、できないことはそれぞれ論理的に改善点や工夫を話し、注意だけでなくできたことをほめるようにするとよいでしょう。

まとめ

大人の発達障害は周囲の理解が必要ですが、なかなか難しいのも事実でしょう。そこで産業医の活用を検討してみてください。的確なアドバイスをしてくれるでしょう。産業医に職場環境について相談し、皆が働きやすい職場作りを目指してください。

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監修

栗原 雅直医師
くりはら まさなお

東京生まれ。東京大学医学部医学科卒業、東大病院精神神経科に入局。1960年東大大学院生物系研究科博士課程修了。医学博士。2年間のパリ大学留学後、東大病院医局長、1966年虎の門病院勤務。初代精神科部長。川端康成の主治医を務めた。1990年大蔵省診療所長。財務省診療所カウンセラー