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医師とは違う、産業医における医療行為とは?業務内容を解説

2021.01.25産業医

「産業医」は労働者の健康管理をする上で大切な存在で、同時に産業医は医師免許も所有しています。

そのイメージから、「労働者が体調を崩したら産業医が対応する」という印象を持つ方もいるかもしれません。

しかし、産業医の業務内容は、医師が行う一般的な医療行為「診療」とは異なります。

産業医は医療行為を行えないのでしょうか、また産業医が行う業務はどういったことになるのでしょうか。

これから産業医の必要性と併せて、一般的な医師との違い、産業医の業務内容、2021年1月現在、求められている産業医像について触れていきたいと思います。

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【前提】産業医は医療行為を行えない

産業医は企業で働く労働者達の健康管理を始めとし、様々な業務に携わる役割を担います。

産業医という専門的な立場から、投薬や点滴、予防接種の対応が可能という印象をお持ちの方も多いかもしれません。

けれどもこういった医療行為は、産業医が行うことはできません。

よく、「インフルエンザワクチンも打てますか?」という企業人事のニーズも耳にしますが、「ワクチンを打つ」というのは医療行為にあたりますので、「産業医」としてではなく、「医師として」診療行為をするというという理解が正しいです。

 

保険診療 自由診療 産業保健
医師法に基づく医療行為 労働安全衛生法に基づく、健康管理

産業医は医師が要件を満たすことで認定されるため、医療行為に携わることができるとお思いの方もいらっしゃるでしょう。

しかしながら、産業医は、労働者の健康障害予防や心身の健康保持、健康増進、事業所の環境改善などを目的とした勤務をしているため、医療行為に携わることはできません。

 

  • 産業医の職務内容におきまして、労働安全衛生法第14条第1項において、以下の通りに定められています。
  • 健康診断および面接指導などの実施や結果に基づく労働者の健康保持に関すること
  • 事業所の作業環境の維持管理に関すること
  • 作業管理に関すること
  • 上記3点以外で、労働者の健康管理に関すること
  • 健康教育や健康相談、その他労働者の健康保持のための措置に関すること
  • 衛生教育に関すること
  • 労働者の健康障害の原因の調査、再発防止のための措置に関すること

 

こうして見ても分かる通り、産業医の職務内容において一般的な医療行為は含まれておりません。

産業医の役割は、労働者の健康管理や職場の安全管理となります。

病気を事前に防ぐことや病気を抱えた労働者に対し適切な助言や指導をすること、企業側に必要な報告をすることが、産業医の役割でした。

これらに加え、2021年1月現在ですと、産業医に期待されている役割は、労働者の心理的安全性と身体的安全性の確保をベースとした、「組織パフォーマンスがマイナス回転しない」ことを念頭にある助言が求められています。

医療技術も世の中のニーズにより進化していくと同じように、産業保健も世の中のニーズにより進化しています。

医療行為は医師のみが行える

医療行為は医療法において、病院や診療所、老人保健施設やその他の医療提供施設、医療を受ける者の住宅等で、効率的に提供されなければなりません。

医師に歯科医師、看護師等の免許を有さない者による医業は、医師法第17条、歯科医師法第17条、保健師助産師看護師法第31条その他の関係法規により、禁じられています。

先に述べた通り、産業医は労働者の健康管理や衛生管理が業務内容となり、産業医は直接事業所に赴き、職場巡視や面談などを実施します。

ここでいう医療行為とは、保険診療と自由診療の両方が該当します。

医療行為は産業医の役割に含まれていないため、医師の資格を有する産業医であれ、産業医としての勤務中に医療行為に携わることはできません。

そのため健康診断や予防接種等は、実施に対応している機関に依頼をしましょう。

産業医の多くは、普段は医師として勤務する嘱託産業医になります。

産業医は職場巡視時に医療行為に携わることはしませんが、産業医が普段医師として勤務する病院や医院などに赴き、患者として受診することは可能です。

働く主婦は、職場勤務中は授業員として、家庭では主婦としての役割を持っていますよね。

似たように産業医も、事業所訪問時は産業医として、医師として勤務中の時間は医師としての役割を持っています。

医師として勤務している時は医師として、産業医として勤務している時は産業医として勤務していることが、産業医の特徴です。

産業医 一般的な勤務医
法令 労働安全衛生法 医師法
対象 事業主、労働者 患者
職務 労働者の健康管理(フィジカル&メンタル)
労働者の職場管理(職場環境の安全)
労働者の作業管理(仕事量の適量度合い)
患者の治療
活動場所 事業法人(*医療法人含む) 医療法人
立場 事業主と労働者の中立 患者の命を守る、患者を治癒する
事業主への勧告権 あり なし

産業医としての仕事には、ストレスチェックの実施、社員への面接指導、就業判定、職場巡視、衛生委員会を通じた健康意識向上等の「法令上定められた仕事」のほか、社員の組織的なメンタルヘルスケア対策、テレワーク実施における労働環境の整備、感染症予防対策等の企業における安全配慮義務への助言及び実行、健康経営等、法令で実行すべきこと以外にも幅広く対応する必然性が増してきています。

 

労働安全衛生法条の仕事
(コンプライアンス)
産業医に期待される仕事
ストレスチェックの実施責任者と高ストレス者との面 メンタルヘルス休職社員の復職判断
就業判定 休職復職体制構築のアドバイス
職場巡視 組織的なメンタルヘルスケア体制のアドバイス
談衛生委員会の出席と衛生講話 テレワーク環境における社員の作業管理、健康管理、職場管理(所謂、労働衛生の三管)
労働者の健康相談 感染症予防対策、ガイドラインの策定と更新
長時間労働者との面談 健康経営の運用アドバイス

産業医になるためには

それでは、医師は、どうやって「産業医」となれるのでしょうか。

多くの産業医は、日本医師会が主導する「日本医師会認定産業医」制度に基づいて認定を取得していますが、具体的には、労働安全衛生法第13条2項に規定されております。

  • 労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識についての研修であって厚生労働大臣の指定する者(法人に限る。)が行うものを修了した者
  • 産業医の養成等を行うことを目的とする医学の正規の課程を設置している産業医科大学その他の大学であって厚生労働大臣が指定するものにおいて当該課程を修めて卒業した者であって、その大学が行う実習を履修したもの
  • 労働衛生コンサルタント試験に合格した者で、その試験の区分が保健衛生であるもの
  • 学校教育法による大学において労働衛生に関する科目を担当する教授、准教授又は講師(常勤勤務する者に限る。)の職にあり、又はあった者
  • 前各号に掲げる者のほか、厚生労働大臣が定める者

このように「産業医」となる道は複数ありますが、その役割やゴールは変わりません。労働安全衛生法第14条2項に規定されています。

「産業医は、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識について厚生労働省令で定める要件を備えた者」

このことから、日本医師会認定の産業医は、「産業医学基礎研修50単位以上の取得」を義務付けており、単位取得により産業医として認定されます。

産業医の研修内容はどのようなものなのでしょうか。日本医師会によると、研修内容は下記の通りです。

 

前期研修>
*14単位以上
総論 2単位
健康管理 2単位
メンタルヘルス対策 1単位
健康保持促進 1単位
作業環境管理 2単位
作業管理 2単位
有害業務管理 2単位
産業医活動の実際 2単位
実施研修 主に職場巡視などの実地研修、作業環境測定実習などの実務的研修 10単位以上
後期研修 地域の特性を考慮した実務的・やや専門的・総括的な研修 26単位以上

有効期限5年間です。定期的に20単位の更新を行わないと失効します。これは時代時代において、労働安全衛生の考え方が変わっていくことを念頭に入れた制度だと思料されます。特に最近5年間は、ストレスチェック、健康経営、働き方改革、感染症対策等、今まではなかった大きな流れで、求められる産業医像も変化しているためです。

ちなみに、労働衛生コンサルタントの資格を取得すると、この有効期限が免除されます。

産業医の業務(労働安全衛生法の義務範囲)

産業医としての業務範囲は、どういったものになるのでしょうか。

産業医の業務範囲は、労働安全衛生法規則第14条1項に下記の通りに定められています。

  • 健康診断の実施及びその結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること。
  • 医師による面接指導(66条8第1項)、労働者の労働時間の把握(66条8の2第1項)及び長時間労働(66条の8の4第1項)に規定する面接指導並びに法第66条の9に規定する必要な措置の実施並びにこれらの結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること。
  • 心理的な負担の程度を把握するための検査の実施(ストレスチェック)並びに高ストレス者への面接指導の実施及びその結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること。
  • 作業環境の維持管理に関すること。
  • 作業の管理に関すること。
  • 労働者の健康管理に関すること。
  • 健康教育、健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るための措置に関すること。
  • 衛生教育に関すること。
  • 労働者の健康障害の原因の調査及び再発防止のための措置に関すること。

就労判定、ストレスチェック実施責任と高ストレス者との面談(希望者のみ)、職場巡視、長時間労働者、衛生委員会の参加と講話は、事業主が産業医に依頼する義務範囲となります(法令遵守の観点)。加えて、幅広くなってきているのが「労働者の健康障害の原因の調査及び再発防止のための措置に関すること」、「衛生教育に関すること」になります。

これら後者の内容は、産業医が対応する業務は次章でも記載しますが、産業医に期待される業務内容は拡大しています。企業からは、的確な助言と実行へのアドバイスができる産業医が求められています。特に、受動的な産業医よりも、より企業の働く環境をよくしようというマインドを持った産業医を求める傾向が強くなってきています。

まずは、法令遵守の観点から、最近のトレンドを確認してきたいと思います。

①就労判定

就労判定の目的は「労働者が今年も来年も正常に稼働するか?」という観点が原点です。
事業主の義務範囲としては、健康診断を受け、産業医の就労判定(労働者に特段の働く上での制約がないかの確認)のうえ、「定期健康診断結果報告書」を労働基準監督署に提出までが、ミニマムゴールになります。

よく勘違いする労働者も少なくないのですが、健康診断は雇用主である事業者に課せられた義務であり、健康診断の情報は事業者が適切に管理する必要があります。その管理期間は5年間と定められています。もちろんプライバシーに関する情報であることには間違いないので、事業主において、閲覧できる人は産業医のほか、限定的な形で運用にすることが求められています。

なお、労働基準監督署に提出義務のある「定期健康診断結果報告書」は、産業医の押印が義務でしたが、昨今のクラウド化の流れから、2020年8月より、押印の必要はなくなりました。

産業医の選任義務のない企業でも求められる?

ちなみに、健康診断の就労判定は、産業医設置義務のない50人未満の事業所でも労働者数が一定水準(100人以上)いると、労働基準監督署が産業医の就労判定を実施するよう指導するケースも最近すくなくなく、より重視される傾向があります。

新型コロナウイルス対策

新型コロナウイルスは、下記の通り、重症化のリスクや評価中の基礎疾患等があります(2021年1月現在)。

 

重症化のリスク因子 評価中の要注意な基礎疾患など
  • 65歳以上の高齢者
  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
  • 慢性腎臓病
  • 糖尿病
  • 高血圧
  • 心血管疾患
  • 肥満(BMI30以上)
  • 生物学的製剤の使用
  • 臓器移植後やその他の免疫不全
  • HIV感染症(特にCD4 < 200/μL)
  • 喫煙歴
  • 妊婦
  • 悪性腫瘍

 

(引用)日本産業衛生学会及び日本渡航学会発行の「職域のための 新型コロナウイルス感染症対策ガイド」

したがって、昨今、安全配慮の観点から、健康診断の結果を丁寧に就労判定し、保健指導まで行い、労働者を守っていこうという機運が生じています。新型コロナウイルスは、基礎疾患のある労働者にとって、命に関わる問題になりますので、事業主はより高度な安全配慮を行っていく必要があります。

②ストレスチェック対応

2015年12月に導入された通称「ストレスチェック制度」は、「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書という形式で、毎年1回以上行うことが、事業主の義務となっています。

義務範囲は、50人以上の常時雇用者のいる事業主であり、常時雇用者とは正社員のほか、非正規雇用も含めた範囲となっています。非正規雇用の範囲は週20時間以上の労働者、つまり雇用保険の被保険者までが対象となりますので、うちの会社は正社員が50人ではないから、ストレスチェック はやる必要がない、この事業所は正社員が50人いないからストレスチェック の必要がないという考えは違いますので、気をつけましょう。

人事担当者や産業医は、どの程度の労働者がストレスチェック を受けてくれているのか?ということが、よく気になっているようです。厚生労働省(平成29年7月発表)によると、ストレスチェックの受験状況は、約7〜8割のようです。自社の状況がどうなのかという視点として、ひとつの目安とするとよいでしょう。

 

事業場規模 ストレスチェックを受けた労働者の割合
50~99人 77.0%
100~299人 78.3%
300~999人 79.1%
1000人以上 77.1%
78.0%

 

ストレスチェック の受信者のうち「高ストレス」と判断される労働者は、約10%前後です。高ストレス者が15%以上いる企業は、労働者に負荷がかかっている可能性があるため、対策を練り、改善を計らないと悪化していく可能性があります。

人事担当者は、高ストレスと判断された労働者のうち、何人が産業医面談となるかというもの、よく気にされています。こちらも厚生労働省の発表によると、産業医面談を希望する労働者は、高ストレスの労働者のうち0.6%と、100人に1人もいない割合となっています。労働者にとって、「産業医との面談」は、ハードルが高い傾向が続いています。

組織の心理的安全性のひとつの指標となりますので、相談件数は短期的には人的コストがかかりますが、中長期的には、相談件数が相当数あるということは、労働者が事業主を信頼しているとも言えるので、そのバランスを常に探すことが重要です。

 

事業場規模 医師による面接指導を受けた労働者の割合
50~99人 0.8%
100~299人 0.7%
300~999人 0.6%
1000人以上 0.5%
0.6%

 

※ 事業者は、ストレスチェックの結果、高ストレス者として確定された者であって、医師による面接指導を受ける必要があるとストレスチェック実施者が認めた者のうち、労働者から申出があった者について、医師による面接指導を実施しなければならない。

義務ではないですが、ストレスチェックの「集団分析」の実施状況は下記の通りで、約8割の企業が実施しているようです。よくあるご質問に、「集団分析の活かし方」があり、各事業者の悩みどころの一つのようです。

 

事業場規模 集団分析を実施した事業場の割合
50~99人 76.2%
100~299人 79.7%
300~999人 83.6%
1000人以上 84.8%
78.3%

 

※ 集団分析とは、ストレスチェックの結果を職場や部署単位で集計・分析し、職場ごとのストレスの状況を把握すること。

集団分析の結果を、業務内容や労働時間など他の情報と併せて評価し、職場環境改善に取り組むことが事業者の努力義務となっている。

③職場巡視

職場巡視は、最低限2ヶ月に1度実施することが求められています。

これは2018年に労働安全衛法の改正からです。オンラインで行うことは許されていません。産業医は、作業場等を巡視し、「作業方法」又は「衛生状態」に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じる必要があります。産業医が、職場の安全配慮の観点から、作業環境管理、作業管理、健康管理の観点から、適切な指導を行う必要があります。

巡視のチェックリストサンプルをダウンロードする
※サンプルが入手できるのは事業主のみです。

もともと、工場の安全管理の観点から始まった職場巡視ですが、新型コロナ前まで、オフィスでの職場巡視は比較的、指摘事項の少ないケースが少なくありませんでした。しかしながら、新型コロナ以降、安全配慮の観点から、濃厚接触者がでない職場づくりが、企業のリスク管理の観点から最重要項目となりました。仮に100人いる職場で濃厚接触者が100人と判断されると、100人の仕事がストップすることになり、経済的損失がダイレクトにでてくるためです。新型コロナ対策の企業用のガイドラインの策定やアドバイスも産業医の仕事です。

新型コロナ対策の企業用のガイドラインサンプルをダウンロードする
※サンプルが入手できるのは事業主のみです。

④長時間労働者との面談

時間外・休日労働時間が1ヶ月あたり80時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められる労働者に対して、申し出があった場合、産業医は「長時間労働者面接指導」を行います。

また、1ヶ月あたり100時間を超える時間外労働を行った労働者に対しては、申し出関係なく面接指導を行います。80時間超が2ヶ月から6ヶ月続く場合も、申し出関係なく面接指導となります。概ね3ヶ月連続で、長時間労働者として認定し、産業医との面談を促す企業が一般的です。

産業医は、心身の状態、勤務状況について、面接指導を通じて確認し、場合によっては事業主に勧告したり、就業制限をかけられます。面談時には健康診断の結果、ストレスチェックの結果、勤怠データ等を活用し、産業医が労働者の健康に関するリスクを勘案します。
80時間と設定されているのは、80時間が過労死ラインだからです。過労死は、事業主、労働者ともに最も避けたい事象ですから、近年、特に重要視される項目です。

⑤衛生委員会の参加と講話

産業医の主な仕事は、衛生委員会の月1回の参加です。近年、ただ参加するだけではなく、企業の労働者にとって有効な情報提供をわかりやすくしてほしいというニーズも高まっています。

衛生委員会は、労働安全衛生法18条により、労働者が50名超の事業場で開催義務があります。衛生委員会の構成メンバーに産業医が必須なのです。

衛生委員会のメンバーは会社側と労働者側で構成されています。

衛生委員会では、以下の内容が多いです。

  • 労働者の勤怠の把握
  • メンタルヘルス関連の情報共有と対策
  • 就労判定で問題のある労働者の情報共有と対策
  • 感染症予防対策の情報共有と対策
  • 健康経営に関すること
  • 衛生講話

衛生講話のサンプルをダウンロードする(形式)
※サンプルが入手できるのは事業主のみです。

産業医の業務(応用編)

産業医の業務範囲は、2016年のストレスチェック制度施行後、拡大しております。2021年1月までに、ストレスチェック制度、働き方改革の施行、経済産業省が推進する健康経営取得の機運、加えて2020年の新型コロナウイルス対策。

全てが「労働者のメンタルヘルス」と複雑に絡み合っています。産業医労働安全衛生の義務範囲のほか、下記の内容について積極的な関与とアドバイスを企業が求める傾向が増しており、産業医への期待が高まっています。

①4つのケアによるメンタルヘルス予防の対策

いわゆる「4つのケア」と呼ばれるセルフケア、ラインケア、産業保健スタッフによるケア、事業場外資源によるケアを、組織に対し、どう適用していくかという対策になります。

4つのケアは厚労省が推奨している考え方であり、この4つのケアを実施している企業は、メンタルヘルス問題をマイナスの方向に走らせないという効果から実行しています。

4つのケアの有効性

「4つのケアはやればよさそうだけど、本当に効果あるの?」という声も一定数あります。

これには手順や、効果的な手法があり、これを知らない、認識していない産業医が現実的には少なくない状況です。バランスが崩れ、数%の発生率であった休職者の数も、4つのケアを2〜3年、運用することで、業界平均より、よくする事例も多くあり、組織の心理的安全性の観点からも、運用することをお勧めします。

4つのケアは、どれが有効なのか?という点については下記の図が参考になります。職場環境改善に相当するものから実行するのが、もっともコストパフォーマンス的にもよいでしょう。

セルフケア

セルフケアとは自分自身をケアするスキルです。

セルフケアの前段階で、自分自身の「心の不調」に気づく「セルフチェック」があります。一般的に、「食う・寝る・遊ぶ」の変調に気づき、早めに自己解決できるようにするスキルです。

ラインによるケア

マネージャーがスタッフの心身の変化に、気づき、ケアするにはどうすればよいのかというスキルです。勤怠の乱れから察知したり、斜めの組織横断的な交流を促したり、ハラスメント対策等、多岐にわたっています。

事業場内 産業保健スタッフによるケア

産業医、産業保健師、心理士等の専門家による心身のケアのことです。カウンセリング力の高い産業医や産業保健師の対応が求められており、ここも近年、ニーズが高まっています。

事業場外資源によるケア

企業の産業医や保健師に相談しづらい労働者は一定数います。それを前提、プライバシー確保した外部相談窓口等を設置し、定期的に社内通知する運用が求められます。

②労働者と事業主の利害関係が一致しない場合

これは、労災等のケースです。産業医、社労士、弁護士の間にあるような範囲であり、産業医の見解は、裁判でも最重要視されることから、企業により過ぎても、労働者に寄り過ぎても、駄目で、独立性の高い合理的な判断が求められます。

これは、労災等のケースです。産業医、社労士、弁護士の間にあるような範囲であり、産業医の見解は、裁判でも最重要視されることから、企業により過ぎても、労働者に寄り過ぎても、駄目で、独立性の高い合理的な判断が求められます。

③休職復職の仕組み

労働者のメンタルヘルスによる休職、そして復職は、人事担当者が気を使うものの1つです。「休職復職の仕組み」がないと対処療法的にもなり、これが組織の不安定化をもたらす要因の1つです。

こちらも労災のケースと同様、産業医は、企業に寄り過ぎても、労働者に寄り過ぎても、問題となるため、合理的な判断が極めて重要です。

厚生労働省が発行している「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」を参考に、労働者の復職に対し、合理的な判断ができる仕組みと、その運用を産業医が中心となって実現することが重要であり、ここを指導、構築、運用が、現在の産業医に求められています。

休職から復職までの一般的なフローは下記図の通りです。

なぜ、このような手順を踏む必要があるかというと、主治医の見解と産業医の見解は必ずしも一致しないためです。

主治医は、通常、「社会復帰できるか?」という観点から治療を行います。そして、これは極めて正しいです。しかし、産業医は、「労働者が所属している企業で、営業社員なら、営業ができるのか?」という具体的な仕事内容を理解したうえで、復職判断を行います。

図にすると下記のような形であり、「社会で生活できるレベル」と「仕事ができるレベル」には相当な差があり、ここを判断するのが、産業医の仕事です。

よく、主治医の復職可能という判断を全て受け入れる産業医が少なくなく、復職し、しっかり働いてもらえればよいのですが、再発して、再休職という不幸な事例が散見されています。産業医が合理性をもって判断できるよう休職/復職の仕組みをしっかり運用し、メンタル問題の再発が最小になるような運用が、産業医に期待されています。

 

レベル3 仕事ができる
レベル2 社会で生活できる
レベル1 病気で動けない

 

④テレワーク対策

新型コロナウイルスで一気に広まったテレワーク。しかしながら、テレワークを単純に移行しても、労働者がワークしなくなっていることを感じている人事も少なくないと思います。この分野も産業医が解決すべき領域です。

テレワークは、セルフケアとラインケアをうまくワークさせないと、必ず、心身の不調をもたらします。2021年1月現在、テレワークにより体重増加による健康診断の結果の悪化、孤独によるメンタル不調等、事例としても多くなってきており、早急な対応が求められています。

⑤感染症予防対策

職場巡視の応用編です。新型コロナウイルスの影響を勘案し、濃厚接触者として認定されないための職場作りが、働く環境の最重要項目となってきています。

仮に100人が同じフロアで何も対策せずに、濃厚接触者として認定されると、企業の経済的損失は多大になります。また、家族が罹患した場合や家族が濃厚接触者となった場合等、多岐にわたるケースを想定し、準備していく必要があり、その場合のPCR検査をどこで受けておくか?も含め、企業の運用ガイドラインの設計のアドバイスは、産業医の仕事の範囲です。

感染症予防のガイドラインサンプルをダウンロードする(形式)

※サンプルが入手できるのは事業主のみです。

⑥健康経営の取得と運用

経済産業省が認定する健康経営の取得の機運は高まっています。健康経営は1度取得したら終了というものではなく、運用し、毎年、改善していかないと維持できません。

直近のニーズは「健康経営を取得する」ではなく、「健康経営をブラッシュアップした運用」を提案できる産業医が求められています。つまり、実効性の高く、労働者の心身の健康が生産性に寄与することを説明し、実行までサポートできる産業医が求められています。

産業医が企業に必要な4つの理由

労働者数50名を超える事業所におき、産業医の選任が義務付けられていますが、なぜ産業医は必要なのでしょうか。

①メンタルヘルス改善

近年深刻な問題になっているメンタルヘルス問題ですが、目に見えにくく判断が困難なため、発見が遅れるケースも珍しくありません。

産業医は労働者のメンタルヘルス問題に早めに気付き、対策をすることが求められています。メンタルヘルス問題の発見は早ければその分治療もしやすいといわれているので、早期発見が大切です。

メンタルヘルス問題に気が付き、適切な対応をすることでメンタルヘルス改善に努めることができるでしょう。

メンタルヘルスの課題解決について詳しく知りたい方はこちらから資料をダウンロードしてください。

②労働環境の改善

労働環境に問題がある場合、産業医は労働環境の改善のため、事業所側に適切な指導や助言をします。

労働環境を改善することで労働者が働きやすい環境が整い、全体的な作業効率アップが期待できるでしょう。

③健康指導・衛生指導

労働者の健康状態が思わしくない場合、産業医による健康指導や衛生指導をしていきます。

労働者1人1人の健康状態や嗜好を把握の上で、適切な指導や助言をして健康状態の改善に努めます。

専門的な立場からの健康指導があることで健康回復や健康維持に努めることが可能になります。

食事や運動、生活習慣の見直し等、専門的な観点から1人1人の特徴に合わせ、助言指導していくことも産業医の大切な役割となるでしょう。

④産業医の助言は労働者/会社を救う

産業医の助言は、労働者を救うことが期待できますが、それはどういったものなのか、見ていきましょう。

労働者の心の支えになる

人間は1人では生きていくことはできず、特に心の支えになる人物がいることは、生きていく上で大切になるでしょう。労働者にとって会社や仕事はストレスを抱えやすい場面で、同時に相談もしにくいかもしれません。

会社の悩みは会社の人物に相談すればより的確なアドバイスをもらえるかもしれませんが、社内の人物に相談することは、なかなか困難を極めるかもしれません。

産業医であれば社内の状況をある程度把握していることに加え、専門的視点から助言やアドバイスをもらえることが期待できるでしょう。

悩みを溜めこんでおくと思わぬ健康被害が発生することがあるため、産業医としての医療行為は労働者を救うことが期待できます。

特に、労働者に寄り添った対応ができる産業医であればそれだけ、労働者の心の支えになるでしょう。

産業医に相談できることは仕事に限ったことでなく、家庭の悩みやその他、相談しづらい話があれば面談の時間を設けて相談することも可能です。相談することで思わぬ助言やアドバイスをいただくことができ、問題解決に向けて動き始めるかもしれません。

企業が健康経営に取り組める

企業は労働者なくして成り立つことはできません。

労働者の健康管理は大切で、労働者の健康に配慮することにより、企業の経営面においても成果が期待できるでしょう。企業側が健康管理を経営的視点から考え実践することが大切で、こういった考えや実践が健康経営を意味します。

激務な企業であればそれだけ1人1人の負担が増加し、気付かぬ内に労働者たちの健康が蝕まれているケースもあるでしょう。

また、1人の労働者の不調は他の労働者にも思わぬ影響を及ぼし、不調者が増えるという負の連鎖を引き起こす可能性もあります。

企業内部で労働者の健康状態を把握した上で、状況改善をすることができれば理想的ですが、実際それを実現することは困難を極めるでしょう。

そこで、健康経営の実現に貢献を期待できるのが、産業医です。産業医は健康経営に貢献するため、労働者たちの健康管理や面談をする役割があります。

産業医が専門的立場から、面談や健康指導などの産業医業務をすることで、健康経営の実現を図ることができるでしょう。

産業医との面談が必要な労働者は面談を通じ、助言やアドバイスをいただくことが大切です。

同時に事業所側も、労働者の負担やストレスを軽減させるため、業務に関する工夫や改善をすることが大切になるでしょう。

そのためにも産業医の意見を聞き、問題改善に向けて働きかけることが大切です。

企業が求める産業医の役割は、企業への助言と企業文化への理解

①法律と実務の側面からの助言

産業保健は法務面も抑えながら、実行可能な形を実現していくことが求められます。

企業サイズによって、合理性が違うというのが現実です。その現実を踏まえ、合理的な解決方法を見出すことが産業医の仕事であり、エビデンスベースの臨床の医師との大きな違いです。もちろんエビデンスがあるものもありますが、産業保健の世界は必ずしも、A社で有効だったものが、B社でも有効とはならないというケースも少なくありません。

②経営判断に資する情報の提供や助言

新型コロナウイルスの対策、メンタルヘルス対策、テレワーク、健康経営等、産業医の判断が経営判断に直結するケースが増えています。経営判断を見据えて、助言できる産業医が求められています。

多くの企業が気付き始めているのは、労働者の心身の健康が、働くパフォーマンスに影響を受けるというものです。加えて、労働者の関心も「健康」に対し、上昇していますので、より実感を感じることのできる助言や、中長期的な経営判断、業績への影響を見据えた助言が求められています。

③病院と一般事業法人の慣習の違いへの理解

医療業界と一般社会では常識も違いますし、医師への対応も院内と一般事業法人では違います。ここのアジャストができる医師が求められています。

特に直近は、「質問があれば回答する」というスタンスではなく、「課題を発見して、助言する」という積極的な姿勢が欲しいという人事の声が多いです。

産業医を選任する際のチェックポイント

①企業ニーズを理解し、解決できるのか

そもそも産業医を選任する目的は何か?法令遵守がメインテーマなのか?価格の見直しなおか?それともメンタルヘルス関連なのか?健康経営の運用なのか?

最近ですと、衛生委員会のマンネリを避けたい、衛生委員会をもっと有効にしたい、感染症予防に対して適切な助言が欲しい、経営陣に対し、有効な助言をしてほしいと課題をもった企業も少なくありません。まずは、「課題は何か?」を明確化することから始めるのがよいでしょう。

②人事と協調して労働者の健康管理を行っていく姿勢があるか

ここも重要なポイントです。よくある人事の話では、メール返信です。産業医の大半は臨床も兼ねているので、メールの返信もかなり大変だとは思いますが、返信漏れに対して、敏感なケースもあります。

③変化していく労働者の働き方や健康管理に前向きに取り組めるのか

働き方改革以降、働き方は複雑になり、勤怠管理や時間管理も厳しくなりました。労働安全衛生法だけではなく、労働法の一般的な内容、就業規則の理解、会社の業務内容及び現場の実際の仕事内容を理解したうえでの、労働者の心身の健康管理への助言が、現在、求められています。

失敗しない、優秀な産業医を選任する方法

産業医を選任する方法は様々ですが、産業医紹介サービスに依頼をすることがよりスムーズで確実といえるでしょう。

産業医紹介会社6社の料金比較表をダウンロードする

産業医クラウドでは、「ネットで簡単に産業医を探せる」というコンセプトのもと、2016年よりサービスを開始しています。2021年1月現在、日本全国で4000事業所以上の産業医を案内している日本トップの産業医紹介会社です。

大手企業に向けては、健康管理室のアウトソーシングを丸ごと受けており、産業医に加え、育成された産業保健師や事務スタッフ、ストレスチェックや4つのケアを実現する各種クラウドサービスも展開しています。

サービス紹介資料をダウンロードする

産業医をスコアリングする

産業医を選ぶにあたり、産業医の実力を見抜くことが重要ですが、実は多くの人が見抜くポイントを見極めていないことが現状といえるでしょう。

産業医クラウドの1人1人面接を実施し、企業に産業医をご案内するだけではなく、半年に1度、企業、産業医双方からのヒアリングを受け、定期的にスコアリングしております。

このスコアリングは、どの紹介会社も行なっておらず、これが登録全体の20%程度の産業医を案内するに至っています。また、上記記載してきたような応用業務を1人でできるコンサルタントのような産業医は登録の1%程度しかいません。1人の産業医ではできなくても当社と連動することで、企業の課題解決をひとつひとつ積み重ねてきました。

特に、新型コロナウイルス以降、顕著な傾向として、「健康管理室の立ち上げと運用」、「テレワークを見据えたメンタルヘルス予防」、「健康経営の有効活用」についてのニーズが増えており、結果的に「既存の産業医からの変更についての検討」という声が増えております。

企業により方針や雰囲気、労働者たちの特徴は様々でしょう。そのため産業医の選任にあたり、スタッフが企業側のお話を詳しくお伺いし、その上でよりふさわしい産業医の選任をしていきます。

産業医選任後のフォローも徹底的に行い、仮に産業医の交代の希望が発生した場合も、無償で対応しております。

産業医の質にこだわり抜く

産業医クラウドは、産業医の質にこだわっています。

今までも記載してきた通り、変化の激しい日本の働き方や産業保健に対し、しっかりアジャストする産業医をご案内しております。加えて、産業医を教育しており、以下のような特徴があります。

「産業医クラウド」の場合

なぜ、「産業医クラウド」の産業医は質が高いのか。

全ての産業医と面談し、スキル/人格をチェックしています。弊社独自の評価基準を元に下記の3点を見極める面接を行っています。

さらに、弊社が産業医の能力として必須としている下記の6つのSTEPについて定期的に研修を開催しています。

 
 

監修

栗原 雅直医師
くりはら まさなお

東京生まれ。東京大学医学部医学科卒業、東大病院精神神経科に入局。1960年東大大学院生物系研究科博士課程修了。医学博士。2年間のパリ大学留学後、東大病院医局長、1966年虎の門病院勤務。初代精神科部長。川端康成の主治医を務めた。1990年大蔵省診療所長。財務省診療所カウンセラー

相談イメージ

悩む前に一度相談してみませんか?

「今の産業医に不満があるけど、これってどこも同じ?」
「ほかの会社の産業医って何やってるの?」
「こんな悩み有るけど、これって産業医を頼っていいの?」
など、小さなお悩みから他社の事例など、お気軽に相談ください。

産業医の新規契約をまだ検討していない方も、お気軽に悩みを 聞かせてください。産業医の紹介以外でも、お役に立てるかもしれません。

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