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メンタルヘルス相談窓口の設置の流れと相談できる内容

2022.11.14産業医

企業で働く従業員は、日々の生活からストレスを感じてメンタルヘルスの不調に陥る可能性があります。

そのときに一人で悩まず、相談できる環境が必要です。

メンタルヘルス相談窓口は、その1つです。
本記事では、企業が検討すべきメンタルヘルス相談窓口の設置の流れや相談できる内容をご紹介します。

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メンタルヘルス相談窓口が必要な理由

メンタルヘルス相談窓口はさまざまな理由から必要とされています。厚生労働省が発表した「令和3年 労働安全衛生調査(実態調査)結果の概況」によると、労働者の約半数が仕事や職業生活に関して強い不安やストレスを感じていることが分かりました。

メンタルヘルス相談窓口が必要な理由

  • 離職や休職を防ぐため
  • 業務の生産性低下を減らすため
  • 業務の生産性低下を減らすため

参考:厚生労働省「令和3年 労働安全衛生調査(実態調査)結果の概況」

多くの従業員がストレスなどを抱えたままでは、さまざまなリスクがあります。そのリスクに備えるためにメンタルヘルス相談窓口が必要です。では、具体的なリスクを踏まえて、メンタルヘルス相談窓口が必要な理由を見ていきましょう。

離職や休職を防ぐため

メンタルヘルスの不調によって、従業員が離職もしくは休職に至る可能性があります。理由は従業員がストレスを感じると、企業で働く意義を見出しにくくなるからです。

そして、人材が定着しない企業は経営者にも従業員にも不利益になります。経営者の立場では利益を上げにくくなるなどの課題が生じ、従業員の立場では業務量が増えるなど、なにかと悪循環になります。

そこでメンタルヘルス相談窓口を設置して、従業員の心身の不調を改善することで休職や離職を防ぐことにつなげます。

業務の生産性低下を減らすため

人間はメンタル面などの影響でモチベーションが下がると、パフォーマンスに影響が出やすいです。業務への集中力が維持できなければ注意力が散漫となり、ミスやトラブルになりかねません。
従業員が本来のパフォーマンスを発揮できない職場は、従業員同士の連携が取りにくく、仕事の成果が出にくい悪循環につながります。

メンタルヘルス相談窓口を設置して、従業員それぞれの不調を改善していき、最終的には良いパフォーマンスが発揮できる職場が理想となります。

健康経営を行うため

健康経営とは従業員の心身を良好に保つことが経営戦略につながるという考え方です。従業員のメンタル面への不調につながる要因を放置していると、働きにくい職場環境になり事業が上手く運営できないことが考えられます。

企業が事業活動をするうえで従業員の存在が欠かせませんので、従業員が心身に不調を抱えないためにもメンタルヘルス相談窓口が必要です。

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メンタルヘルス相談窓口の設置までの流れ

メンタルヘルス相談窓口を設置するには、いくつかの流れを踏む必要があります。段階的に進めることで、スムーズに運用をスタートできるからです。下記の内容で5つのステップをご紹介します。

メンタルヘルス相談窓口の設置までの流れ

1. 衛生委員会などで方針を決定する
2. 相談方法を具体的にする
3. 相談マニュアルを作成する
4. 相談窓口設置を周知する
5. 相談窓口の運用開始

STEP1:衛生委員会などで方針を決定する

まずは衛生委員会などでメンタルヘルス相談窓口の設置や方針などを決定します。メンタルヘルス相談窓口ではデリケートな相談を受けることが考えられるため、特に相談対応を誰が行うのかが重要です。

安心して相談できなければ、従業員はストレスなどのメンタルヘルスの不調が解消できないからです。相談を受ける人物は、衛生管理者、産業医などのメンタルヘルスのスタッフ、人事労務管理スタッフなどが挙げられます。

相談を受ける人物の選定や方針に関しては衛生委員会で決定して、担当者となった人物は場合により知識習得のための研修や勉強会に参加する必要があるでしょう。

STEP2:相談方法を具体的にする

次は従業員が相談をしやすい、相談方法を決定します。もちろん、相談を受ける担当者が相談に乗りやすいかどうかも加味する必要があります。

相談方法には、対面の他にも電話やメール、Webフォームなどが挙げられます。対面だけでは相談しにくい従業員がいることが想定されますので、匿名でも相談ができる方法も用意しておきましょう。

STEP3:相談マニュアルを作成する

それから、相談マニュアルを作成することで相談内容に対して的確なアドバイスが行えます。相談を受けたときの流れ、関わる人物などを細かに決めることで、スムーズな相談になります。

相談者を誰にするか、現場の管理者・産業医など産業保健スタッフとの連携方法など、誰が見ても分かりやすいマニュアルにすることが理想です。マニュアルの完成形ができたら、相談の受付からの予行練習を行うことで、対応の質が向上するでしょう。

STEP4:相談窓口設置を周知する

相談マニュアルを作成して、方針や運用方法が決定したら、従業員やその家族に周知をします。周知内容は衛生委員会などで検討して、リーフレットやWebサイトなどで公開してください。

周知内容は下記を参考にしてください。

  • 相談窓口で対応できる主な相談内容
  • 相談対応を行う担当者
  • 相談方法
  • 相談後の流れや解決プロセス
  • 個人情報の取り扱いについて
  • 相談者に不利益がない旨

STEP5:相談窓口の運用開始

相談窓口について周知が終わったらいよいよ運用の開始です。相談マニュアルをもとに相談者に対応していきます。相談マニュアル通りに進まないことや不測の事態が起こった場合は、衛生委員会などで適宜、改善策を考えてください。

相談内容やアドバイスの内容によっては、外部の医療機関への相談や受診を進めることをご検討ください。

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メンタルヘルス相談窓口の設置にあたる注意点

メンタルヘルス相談窓口を設置する際は、下記の注意点をご理解のうえご検討ください。

メンタルヘルス相談窓口の設置にあたる注意点

  • 相談しやすい環境を構築
  • 情報管理を徹底する
  • 産業医や産業保健師を配置する

相談しやすい環境を構築

何よりも重要と言えるのが相談しやすい環境の構築です。いくら相談窓口を設置しても従業員が相談しにくいと感じてしまえば、設置した意味がなくなるからです。
メンタルヘルスの不調は職場上だけではなく、プライベートなことから起こる可能性があります。特に借金や介護など私生活の悩みは他人に相談しにくいものです。

ですから、「どんな話でも相談に乗ってくれる」「なんでも聞いてくれる」という環境が大事です。そのためには女性の相談員を配置したり、匿名で相談できる方法を用意したりする必要があります。

情報管理を徹底する

従業員は自らの相談内容を他に知られたくないため、情報管理を徹底することが重要です。よって、相談マニュアルでは情報管理の方法を定める必要があります。データで保存する場合はパスワード管理、書面で保管する際は書庫の鍵の管理などを考えましょう。

また、相談内容がハラスメントならば事実確認のために相談者以外にも話を聞く必要があります。ここでも情報が洩れないような仕組みや体制づくりが求められます。

産業医や産業保健師を配置する

企業の状況や予算なども関係してきますが、可能であれば産業医や産業保健師の配置をご検討ください。

前述のとおり、ハラスメントがあった際は企業内の担当者よりも産業医などの産業保健スタッフが改善に取り組むことで、適切な対応ができる場合があるからです。また、専門家という立場からさまざまな不調に対してアドバイスもできます。

なかには「社内の従業員が対応しても真剣に考えてもらえない」と感じる場合があります。相談窓口に専門家を配置することで従業員に伝わる印象が異なります。

窓口での相談できるメンタルヘルスの内容

相談窓口で相談できる内容として下記の4点をご紹介します。

窓口での相談できるメンタルヘルスの内容

  • 職場やプライベートの人間関係
  • 体調や精神の不調
  • 業務パフォーマンスの低下

職場やプライベートの人間関係

企業にはさまざまな人が勤務しており、上司や同僚との人間関係で悩む場合が考えられます。また、家族や友人との人間関係で悩みや不安を持つこともあります。自分以外の問題からメンタルヘルスの不調を起こすことが考えられ、相談窓口で相談を受けることがあるでしょう。

従業員は日常生活の人間関係を気兼ねなく相談して、相談担当者はその内容を傾聴してアドバイスをする必要があります。

体調や精神の不調

従業員本人には原因が分からず体調や精神の不調を感じる場合があります。気持ちがふさぐ、モチベーションが減退する、物事が楽しめないなどの精神的な不調だけではなく、睡眠が上手く取れていない、体重が増える(減る)など体調面での不調なども考えられます。

心身に些細な変化があった場合でも相談して構いません。相談担当者は相談内容からその原因を検討して、必要があれば従業員の上司と連携して勤務時間の調整などの対応が必要です。

業務パフォーマンスの低下

体調や精神の不調も関係しますが、業務パフォーマンスの低下を感じたときは相談窓口の利用が考えられます。納期に間に合わない、失敗やミスが増えた、レスポンスが遅くなったなどの悩みを抱える従業員が相談窓口を利用する可能性があります。

そのような変化は本人が自覚できない場合がありますので、上司や同僚が気を配ったり産業医などが巡回で異変を感じたりすることが必要です。

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職場や仕事でストレスや不安を感じる従業員が多い昨今において、企業内にメンタルヘルスの相談窓口を設置する必要性が高まっています。

従業員本人がセルフケアで改善できれば問題ありませんが、実際はそう上手くいかないでしょう。そこでメンタルヘルス相談窓口を設置して、適切な対応が必要となります。

また、相談担当者は専門的な知識がある産業医などの産業保健スタッフが適します。これからメンタルヘルス相談窓口を設置する場合は、産業医の配置を含めてご検討ください。

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参考

https://www.medical-tt.co.jp/column/544/
https://www.armg.jp/journal/vol-28/
https://sanpomichi-dt.jp/mental-sodan/#%E4%B8%8A%E5%8F%B8%E3%82%84%E5%90%8C%E5%83%9A%E3%80%81%E5%AE%B6%E6%97%8F%E3%82%84%E5%8F%8B%E4%BA%BA%E3%81%AA%E3%81%A9%E3%81%A8%E3%81%AE%E9%96%A2%E3%82%8F%E3%82%8A%E3%81%8C%E6%80%9D%E3%81%86%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%89%E3%81%9A%E3%80%81%E6%B0%97%E8%8B%A6%E5%8A%B4%E3%81%8C%E7%B5%B6%E3%81%88%E3%81%AA%E3%81%84
https://go.chatwork.com/ja/column/work_evolution/work-evolution-156.html
https://it-trend.jp/mental_health/article/722-557#chapter-2
https://go.chatwork.com/ja/column/work_evolution/work-evolution-012.html
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0809/rodo/rodosodan/912-2009-1204-134.html

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監修

栗原 雅直医師
くりはら まさなお

東京生まれ。東京大学医学部医学科卒業、東大病院精神神経科に入局。1960年東大大学院生物系研究科博士課程修了。医学博士。2年間のパリ大学留学後、東大病院医局長、1966年虎の門病院勤務。初代精神科部長。川端康成の主治医を務めた。1990年大蔵省診療所長。財務省診療所カウンセラー