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産業医の立ち位置は各国で違う?~アメリカと日本の違いとは~

2019.09.30産業医

国際社会の現在、日本国内におきましても海外の方と接する機会は多く、外国人の方と接することで文化の違いを感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

日本と海外では文化や法律も異なりますが、海外の文化に触れることで視野が広くなり良い経験になる方も多いでしょう。

日本人は真面目でストレスを多く抱えているといった印象が強いといわれており、それに伴い産業医の需要が高まっていますが、産業医の選任義務は各国共通なのでしょうか。

今回はアメリカの産業医事情について触れながら、日本の産業医事情と併せて見ていきたいと思います。

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アメリカは産業医の選任は義務?


日本では特定要件を満たした企業で産業医を選任することが義務付けられておりますが、産業医選任義務はアメリカでも共通なのでしょうか。

アメリカでは産業医の選任義務はない

産業医の選任義務は国により異なり、産業医の選任義務がない国も存在します。

先進国のイメージが強く、自由な文化やオープンな印象のアメリカですが、1970年に制定された労働安全衛生法におき、産業医の選任義務はありません。

日本では産業医の選任義務があるため、最先端医療のイメージが強いアメリカに産業医の選任義務がないことに、少し驚いた方もいらっしゃるかもしれません。

アメリカには産業医選任義務こそありませんが、多くの企業が産業医または産業保健専門家を雇用していることも特徴といえます。

国により、産業医もしくは産業保健サービス事情は異なりますので、海外の産業医事情に興味を持たれましたら、以下のサイト様も併せて参考にしてみてはいかがでしょうか。

諸外国の産業医及び産業保健サービス機関に関する制度

https://www.mhlw.go.jp/stf2/shingi2/2r9852000000qmvh-att/2r9852000000ryv7.pdf

アメリカの産業医の現状

アメリカの産業医は、医師もしくは接骨医の資格を有し、産業医学の教育を受け経験を積んだ医師のみ受験資格が発生し、試験に合格することで初めて産業医資格を得ることができます。

アメリカでも産業医になるためには必要な要件があり、更に試験に合格する必要がありますが、アメリカの産業医は雇用が減少していることが現状です。

アメリカの産業医には、専門的研修プログラムを習得した医師と、一般臨床医から転身か参入した医師が存在しますが、企業で雇用されている産業医は2,000人程度といわれております。

アメリカの医師数は50万人を超えるため、医師の中でも企業に雇用されている産業医は全体の0.4%となるため、産業医の雇用が減少していることが一目瞭然といえるでしょう。

同時に企業内で医師によるサービスを受けている労働者は15%未満、産業保健サービスを受けている労働者は30%に過ぎないといわれております。

産業医以外にも産業看護師や産業衛生の専門家が存在し、嘱託医に課せられたプログラムを産業看護師が実行するケースも多いことが現状となっております。

そのため近年のアメリカの企業は、産業医と契約するよりも、複数の医師や病院契約をすることで産業保健サービスを受ける傾向にあることが現状です。

アメリカでは「労働者援助プログラム(EAP)」が重要視されている

アメリカでは、複数の医師または病院とコンサルタント契約をする、労働者援助プログラムが義務付けられております。

労働者援助プログラムは、EAP(=イープ:Employee Assistance Programの略称)とも呼ばれ、日本では「従業員支援プログラム」と訳されます。

アメリカでは産業医の選任義務がない代わりに、労働者援助プログラムを設けながら労働者のメンタルヘルス維持を実施していき、問題改善に向けて専門的なサポートに携わっていきます。

労働者援助プログラム(EAP)とは

次に、労働者援助プログラム(EAP)について見ていきましょう。

【労働者援助プログラムの中身】

労働者援助プログラム(EAP)はアメリカで誕生したメンタルヘルスサービスとなり、業務パフォーマンスの向上や休職者の復職支援を目的としたプログラム内容となります。

面談を基本としたプログラム内容となり、面談を通じカウンセリングを実施し、労働者を援助していきます。

面談を通じたカウンセリングという内容を見てみると、産業医との面談に似ているかもしれません。

EAPが広まった背景】

EAPが広まった背景の中には、第二次世界大戦により心に傷を負った労働者のケアが必要になったことがあります。

それと同時に、経営悪化やリストラのストレスによるアルコールや薬物依存症、うつ病発生者が増加したことが挙げられます。

企業の効率を上げるためには労働者のメンタルヘルスケアが重要とされ、実際心に傷を負っている状況であればそれだけ、作業効率もダウンし、休職や退職リスクも高まります。

より確実で生き届いたメンタルヘルスケアを実現化するため、1970年以降よりEAP導入が大きく広がり、今に至るといわれております。

労働者援助プログラム(EAP)の具体的な取り組み

アメリカは先端医療や労働者のケアに力を入れているイメージが強いですが、EAP実施に重きを置きながら、より確実なケアを実施していきます。

実際に、複数の医師または病院とコンサルタント契約をした上でのプログラム内容となりますから、より行き届いたケアが実現できるのではないでしょうか。

EAPはパフォーマンスの向上を目的としたプログラムとなり、労働者1人1人の抱えている問題をケアしたうえで全体の業務効率をアップさせることを目的としております。

アメリカで広がったプログラム内容となりますが、日本国内でもEAPの認知度は上がっており、実際にEAPを取り入れている企業も存在します。

健康診断と同時に実施している企業やインターネットを活用しながら実施した企業も存在し、EAPを取り入れたことで残業時間の削減やストレスの多い部門の発見に繋がった事例もあります。

産業医との面談も大切ですが、限界があると判断してEAPを取り入れる企業もあれば、より充実したケアを目的として取り入れる企業もあるでしょう。

EAPは日本ではメンタルヘルス維持や回復を目的としたイメージが強いですが、アメリカではアルコールや薬物依存対策や改善を主な目的としていることが特徴的といえるでしょう。

日本の産業医

次に、日本の産業医事情について見ていきましょう。

産業医の選任が義務になる企業は?

日本では、1つの事業所の従業員数が50人を超えた時点で産業医選任義務が発生します。

産業医設置要件を満たした日から14日以内に産業医を選任し設置することが、労働安全衛生規則第13条で定められており、違反した場合は罰則が発生します。

日本では産業医の選任が義務付けられており、労働者援助プログラム(EAP)に重きを置いたアメリカとはまた異なった文化といえるでしょう。

国により基準は異なり、日本はストレス社会で自殺大国と揶揄されており、特に自殺者は増加傾向にあるため、産業医の存在も重要視されております。

アメリカではEAPによるメンタルヘルスケアが重要視されておりますが、日本の産業医も過労やストレス問題に対応するためにメンタル問題を学びながら労働者に寄り添った対応をしていく方向にあります。

労働者のメンタルケアや寄り添った対応は、どちらにも共通するポイントかもしれません。

産業医の2種類の形態

産業医といっても2種類の形態が存在し、職場の規模や業務内容によって選任する産業医の種類が異なってきます。

産業医の2種類の形態について、これから簡単に見ていきましょう。

嘱託産業医

嘱託産業医は、普段医師として勤務する傍ら、月に1~数回企業訪問をし、産業医業務に携わる産業医のことを指します。

50人以上999人以下の労働者が勤務する企業に設置することが義務付けられておりますが、有害業務に500人以上が携わる企業の場合は専属産業医を選任する必要があります。

専属産業医

専属産業医は、企業に専属した勤務をする産業医のことを指し、週に3日以上、1日3時間以上の勤務をしているため、一般従業員とそれほど変わらない勤務形態が特徴です。

1,000人以上3,000人以下の事業所は1名以上の、3,001人以上の事業所は2名以上の専属産業医の選任が必要です。

1,000人未満の事業所でも500人以上が有害業務に携わる場合もまた、専属産業医の選任が義務付けられております。

産業医を選任しなかった場合

日本はアメリカと異なり、産業医設置要件を満たした企業は産業医を設置する必要があります。

それにも関わらず所定日程内に産業医を選任せず、必要な書類を提出しなかった場合は、労働安全衛生法により、50万円以下の罰金が発生するという罰則義務が発生します。

産業医を選任していた場合も、産業医業務をしない「名前だけの産業医」の場合は罰則に該当するケースがありますので、注意しましょう。

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産業医の選任はアメリカでは不要、日本では必要?

日本とアメリカの法律は異なり、それが各国の特徴を作り上げているといっても良いでしょう。

アメリカでは産業医の選任を不要とする一方でEAPを必要としておりますが、日本では産業医設置要件を満たした企業に産業医を設置する義務があります。

産業医とEAPのどちらが良いのか人により捉え方は様々で、どちらが良いとは一概にはいえないかもしれません。

【日本は産業医選任義務がある】

アメリカとは異なり、日本では労働者数50人を超えた事業所は産業医を選任する必要があり、所定日数内に産業医を設置しなかった場合は法律により罰せられます。

産業医を選任する時間がなかったといっても、それを理由に見過ごされることはなく罰金が発生しますので、注意が必要です。

いざという時に慌てないためにも、「そろそろ産業医の選任が必要かもしれない」という時点で産業医選任の検討をすることが重要かもしれません。

50人未満の企業も助成金制度を活用して産業医を設置することは可能ですので、産業保健総合支援センターの地域窓口にお問い合わせしてみてはいかがでしょうか。

産業医を選任するには

産業医を選任するための方法は幾つかありますが、ざっくりと見ていきましょう。

産業医の選任方法

こちらでは、産業医の選任方法について見ていきたいと思いますので、産業医選任の参考にしてみてはいかがでしょうか。

【医師会からの紹介】

事業所のある地域の医師会へ産業医紹介を依頼する方法になり、地域の産業医を紹介されるため、産業医が探しにくい地方に事業所を構えている場合も探しやすいでしょう。

地域の産業医をスムーズに探す場合は良いかもしれませんが、産業医を紹介された後は直接契約となるケースが多く、産業医の交代をすることが困難になるケースも珍しくありません。

同時に、報酬が割高になりやすい傾向もあります。

【健康診断実施機関へ依頼】

健康診断を実施している医療機関に依頼をし、産業医を紹介してもらう方法もあります。

健康診断で所見が出た場合、医師の意見を同時に聞くことができ、健康診断と産業医業務とセットになっているため、トータルコストが割安になる傾向にあることが特徴的かもしれません。

ただし健康診断で多忙なシーズンは、産業医業務に柔軟に対応できない可能性もあり、そのことを頭に入れておくことも大切かもしれません。

【人脈やツテを探す】

社内に産業医の知り合いがいる、もしくは知り合いの医師が産業医認定証を有していて産業医業務に応じてくれる場合は、直接依頼をしても良いかもしれません。

優秀な産業医であれば良いですが、企業にマッチングしていない産業医の場合は後々問題が発生するかもしれません。

仮に「名前だけの産業医」を設置してしまった場合、産業医業務を果たしていないという理由で場合によっては罰則が発生するケースもありますので注意しましょう。

【地域産業保健センターを利用】

労働者数50人未満の事業所は、地域産業保健センターを活用して産業医を設置することが可能です。

長時間労働者や高ストレス者が発生し、産業医と面談をする義務が発生した場合や産業医設置を検討される場合は、産業保健センターの窓口にお問い合わせしてみてはいかがでしょうか。

産業医紹介サービスに依頼】

産業医を探す際により確実でスムーズな探し方が、産業医紹介サービスに依頼をすることで産業医を選任してもらう方法になります。

産業医選任を代行してくれることに加え、選任に必要な書類作成や提出を代行してくれるサービス会社も存在します。

産業医選任や書類作成の手間を省くことが可能なため、忙しく勤務する方にとって大幅な時間削減ができるでしょう。

サービス会社によりましては質の高い産業医が揃っているケースもあるため、腕の良い産業医を効率的に見つけたい場合に、より良い探し方といえるかもしれません。

産業医紹介サービス『Aveneir産業医

Aveneir 産業医腕の良い産業医を効率よく探したい想いは、多くの企業様に共通しているポイントになるでしょう。

腕の良い産業医を探すためには、質の高い産業医紹介サービスを見つけることも重要になってきますが、産業医クラウドという名前を聞いたことはありませんか?

【未来型産業医の紹介】

産業医クラウドは企業と産業医をマッチングする会社ですが、第1の特徴は「未来型産業医」を紹介している部分にあるといえるでしょう。

「未来型産業医」といわれてもピンと来ない方も多いでしょうが、「未来型産業医」とは休職を予防することに重きを置いた産業医業務をする産業医になります。

企業の未来のためには労働者の定職率を上げることも重要とされ、労働者が働きやすい環境であれば全体的な企業の向上に繋がるでしょう。

労働者の定着率をアップさせるためにも、未来型産業医による寄り添った面談や適切な指導が重要になります。

産業医クラウドでは未来型産業医を紹介するために、代表自らが厳しい面接を実施しながら、未来型産業医としてふさわしい産業医を選び抜いております。

【スタッフによるフォロー】

Avenirの第2の特徴としまして、スタッフによる産業医との関係性のフォローや各種制度立ち上げのサポートも挙げられます。

産業医の訪問日程や相談について間に入り、仮に産業医交代のご希望がありましたら無償で対応致します。

まとめ

国により産業医の立ち位置は異なりますが、「良い企業づくりをしたい」といった想いは万国共通なのではないでしょうか。

より良い企業づくりをするために、日本では産業医設置要件を義務付けており、より良い産業医を選任することが、企業の将来性に大きな意味を与えるのではないでしょうか。

より良い産業医の選任をご検討中でしたら、1度Avenirにお問い合わせいただけましたら光栄です。

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監修

栗原 雅直医師
くりはら まさなお

東京生まれ。東京大学医学部医学科卒業、東大病院精神神経科に入局。1960年東大大学院生物系研究科博士課程修了。医学博士。2年間のパリ大学留学後、東大病院医局長、1966年虎の門病院勤務。初代精神科部長。川端康成の主治医を務めた。1990年大蔵省診療所長。財務省診療所カウンセラー