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メンタルヘルス対策のセルフケアとは?

2022.11.14産業医

メンタルヘルス・マネジメントに取り組む企業も多いでしょう。そこで大事になるのは、問題が生じてから対策をするよりも未然に防ぐことです。そのなかでセルフケアがメンタルヘルス対策では第一段階といえます。

本記事では、セルフケアの概要や重要性、メリット、セルフケアの方法などをご紹介します。企業内でセルフケアを促す方法もご紹介しますので、ぜひご覧ください。

セルフケアとは?重要性やメリット

セルフケアとは、心の健康を自分自身で管理することです。具体的には自らストレスや心の問題を抱えていることに気づき、対処法をもとに改善に取り組みます。

しかし、セルフケアに関する知識が乏しいと、精神的な不調に気づかなかったり適切な対処ができなかったりします。

その結果、うつ病などを患い休職や退職に至る可能性があります。従業員の休職や退職は企業にとっても痛手となることがあり、従業員と企業の双方のデメリットです。

そこで、従業員自らセルフケアに関する知識を身につけて早期に対処することで、心の不調を防ぎます。セルフケアによって精神疾患や休退職に至らないことがあり、従業員や企業にとってメリットとなります。

ひいては心身が健康な従業員が増えて、業務の生産性や利益が向上するでしょう。
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セルフケアの方法

従業員が自ら行えるセルフケアの方法は多岐にわたります。下記で5つの内容をご紹介します。

適度に身体を動かす

  • 腹式呼吸を繰り返す
  • 音楽を聴く、歌う
  • 失敗した時こそ笑ってみる
  • ポモドーロ・テクニック
  • 十分な睡眠をとる
  • 適度に身体を動かす

    運動にはネガティブな気分を解消したり心と身体をリラックスさせたりする効果があります。睡眠のリズムを整える効果も期待できるため、適度な運動はセルフケアとして適しています。

    特に、身体のなかに多くの空気を取り入れながら行う有酸素運動は効果があります。軽いランニング、ウォーキング、サイクリング、ダンスなどが有酸素運動です。

    有酸素運動は1日20分、少し汗ばむくらいを目途にしてください。張り切りすぎて過度に運動をすると逆に疲労が溜まりやすいです。1日に何時間もするのではなく、短い時間でも良いので毎日継続することがポイントとなります。

    腹式呼吸を繰り返す

    過度な緊張状態になると呼吸が苦しくなる場合があります。呼吸が浅くて速くなると心臓がドキドキして辛いでしょう。そんな時は腹式呼吸を繰り返してください。

    腹式呼吸は難しい呼吸方法ではありません。座っている時は背筋を伸ばし、目を閉じます。そして、お腹に手を当てて行います。立っている時もできるだけリラックスしてお腹に手を当ててください。

    呼吸をする時は、しっかりと吐くところからスタートします。ゆっくりと数を数えて3秒程度口から息を吐いてください。その後は同じくゆっくりと3秒数えながら鼻から息を吸い込みます。

    この腹式呼吸を5~10分程度繰り返すと少しずつ緊張状態が和らいでいくでしょう。

    音楽を聴く、歌う

    音楽は人の心を癒す効果が期待できます。例えば、アップテンポな曲はエネルギーを与えてくれ、スローな曲は不安や緊張を和らげてくれます。言葉にすることが難しい感情を表現するきっかけとして音楽は有効です。

    その時々の気分に合わせて、音楽を選び聞くことで気持ちが落ち着きます。音楽を聴いてセルフケアをする時は、パソコンやゲーム、スマートフォンなどを操作しながらではなく、ただひたすら音楽を聴いてみましょう。

    また、歌うほうが得意であればカラオケボックスなどで存分に好きな歌を歌ってください。歌う時は自然と呼吸が深くなるため、不安やイライラを抑えることができます。気分がすっきりするまで歌うのも良いでしょう。

    失敗した時こそ笑ってみる

    笑いは心を軽やかにする活力になります。どのようなシリアスな場面であっても視点を変えることで笑える場面があるものです。それに気づき、笑いを取り入れることで物事が楽になります。

    特に失敗をした時は恥じらいを感じたり、自分を責めたりします。そんな時こそ笑うことで心のモヤモヤがすっきりするでしょう。もちろん、笑えないミスもあるかもしれませんので、時と場所を考える必要はありますが、どこかで自分を許容して笑える要素は必要です。

    ミスの内容から「やってしまった自分」を笑い飛ばしてみてください。はじめは悪ふざけに思えるかもしれませんが、取り組むうちに視点のバランスの良さが身につきます。

    ポモドーロ・テクニック

    ポモドーロ・テクニックとは、25分の作業と5分前後の休憩を繰り返して仕事を進める方法です。作業時間を短めにして適度に休憩を入れることで、疲れを溜めずに集中して業務に取り組めます。

    また、休憩の際に腹式呼吸を取り入れることでセルフケアの有効性を高めることが可能です。長時間の作業が続く時は取り入れたいセルフケアの方法となります。

    十分な睡眠をとる

    睡眠不足が続くと疲労を感じやすく情緒不安定などのストレスが増す原因になります。睡眠不足がメンタルの不調の近道といっても良いでしょう。

    布団に入ったら呼吸を深くして心身ともにリラックスした状態になることが理想です。リラックスした状態になると眠りやすくなります。

    また、寝る前にはスマートフォンやパソコンの操作、カフェインが入った飲み物やアルコールの摂取、激しい運動などを控えましょう。それらは睡眠の質を低下させる要因です。
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    従業員にセルフケアを促すためには?

    セルフケアの方法があっても従業員が自ら行わなければ意味がありません。そこで従業員にセルフケアを促す施策が必要です。下記で主な内容として3点を取り上げました。

    • 勉強会やセミナーなどの開催
    • セルフチェックの機会を促進
    • 相談窓口の整備

    勉強会やセミナーなどの開催

    セルフケアに関する勉強会やセミナーなどの開催によって、情報を提供することが大切です。セルフケアの重要性や方法、効果などを理解することが実践につながるからです。

    産業医などによるセミナー、外部講師を招いてのセミナーなど専門家から情報を提供してもらうことでセルフケアの実行に役立つでしょう。

    具体的な内容に関しては下記をご覧ください。

    • ストレスやメンタルヘルスにケアに関する基本的な情報
    • セルフケアの重要性や心の健康の基本知識
    • ストレスや心の健康に関する正しい知識
    • ストレスへの気づき方
    • ストレス予防、軽減、対処方法
    • 自ら相談する重要性
    • 企業内、外部の相談先

    セルフチェックの機会を促進

    ストレスに自ら気づければ良いものの、場合によっては気づかないことがあります。ストレスへの気づきを促進するためには、ストレスチェックが有効です。

    ストレスチェックは用意された質問に回答することで、どれだけのストレスがあるかを把握できます。ストレスに気づくきっかけとなるため、企業としても導入したいところです。

    なお、ストレスチェックは従業員(労働者)が常時50名以上いる場合に実施義務があります。

    参考:厚生労働省「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度 実施マニュアル」(P4)

    ストレスチェックを実施した後は、従業員のストレスの程度により面談実施、専門機関の受診を促すといった対応が必要です。

    相談窓口の整備

    従業員が心身の不調や悩みを相談できるような窓口の整備をする必要があります。産業医の配置、外部機関との提携・連携などを含めて、従業員が相談しやすい環境を構築しましょう。

    相談窓口の設置に関しては社内の衛生委員会で検討して、体制づくりや相談マニュアルの策定など細かなところまで決定してください。相談窓口の設置後は、従業員やその家族に周知して利用できることを周知しましょう。
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    まとめ

    従業員自らがストレスに気づきセルフケアを行うことで、心身の不調の悪化を防ぎます。企業としては従業員がセルフケアに取り組めるような環境づくりを行う必要があります。

    経営陣や人事労務管理の部署を中心に動くと考えられますが、専門的な見地から取り組める産業医の存在も不可欠です。

    従業員のセルフケアへの取り組みをご検討の際は、産業医の配置も併せてご検討ください。
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    参考

    https://www.armg.jp/journal/013-2/
    https://sangyoui-navi.jp/blog/249
    https://stresschecker.jp/%E3%82%BB%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%B1%E3%82%A2%EF%BD%9C%E3%81%AF%E3%81%98%E3%82%81%E3%81%AE%E4%B8%80%E6%AD%A9%E3%81%AF%E3%80%8C%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%81%B8%E3%81%AE%E6%B0%97%E3%81%A5/#%E3%82%BB%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%B1%E3%82%A2%E3%81%A8%E3%81%AF
    https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/self/index.html

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    監修

    栗原 雅直医師
    くりはら まさなお

    東京生まれ。東京大学医学部医学科卒業、東大病院精神神経科に入局。1960年東大大学院生物系研究科博士課程修了。医学博士。2年間のパリ大学留学後、東大病院医局長、1966年虎の門病院勤務。初代精神科部長。川端康成の主治医を務めた。1990年大蔵省診療所長。財務省診療所カウンセラー