産業医クラウド

産業医クラウドTOP > 産業医ナビ >ラインケアとは?産業医によるヘルスケアについて

ラインケアとは?産業医によるヘルスケアについて

2019.08.31産業医

ラインケアという言葉を耳にしたことはありませんか?

近年はストレス社会といわれており、メンタルヘルスによる病も問題視されております。

ストレスを軽減させるためにも心のケアをすることが重要になりますが、ラインケアは心のケアに大切な役割を担っております。

ラインケアは産業医と連携することで、より高い効果が期待できますが、そもそもラインケアとはどういったケアになるのでしょうか。

産業医によるヘルスケアについて触れながら、ラインケアについて見ていきましょう。

社員のメンタルケア、休職予防なら産業医クラウド

厚生労働省が出す4つの指針

厚生労働省が出すメンタルヘルスケアがありますが、従業員の心の健康の保持増進のための指針があります。

厚生労働省が出す4つの指針について、まず初めに簡単に見ていきましょう。

ラインケア

ラインケアとは、職場のメンタルヘルス対策の1つとなり、管理監督者が主体となり、職場環境の把握や改善の実施や、従業員からの相談対応をしていきます。

簡単に説明しますと、職場の上司が部下の心の健康づくりのためにケアをしていくケアになります。

従業員の定着率アップや休職防止対策の一環として、ラインケアをすることは大切になってくるでしょう。

ラインケアを実施する上で、管理監督者が部下のいつもと違う状態に気付くことが大切なポイントとなってきます。

それは遅刻や早退、欠席が増えることや残業時間の増加、仕事の効率ダウンやミスや事故の発生率が上がること、不自然な言動や仕草など、様々な状態となり現れます。

これまでと異なる状況が確認されたら、上司として対応していくことが大切になってきます。

問題を放置するのではなく、労働時間の見直しや職場環境の改善、産業医との面談の機会を設けるなど、可能な範囲で対策を取ることが望ましいでしょう。

セルフケア

セルフケアとは、従業員本人が主体となり実施していくメンタルヘルスケアとなり、自らがメンタルヘルスに対する知識を得ることで、ストレスに気付いてその都度対応していきます。

実際にストレスが増えることで、独自で対応する方も多いでしょう。

趣味や好きな事、ストレス解消に有効なことを実施することで、ストレス解消に繋げている方も多いでしょうが、そういったこともセルフケアといえるでしょう。

人間、趣味が多ければそれだけストレス発散も上手にできるといわれておりますが、セルフケアを幅広い範囲で可能にするためにも、ストレス発散に繋がることを見つけておくことが大切です。

身近な範囲でスタートできることから、習い事やイベントへの参加、誰かと話をすることや日記をつけることなど、セルフケアと一言で表現しても様々になります。

セルフケアは自分自身のケアとなるため、日常的にセルフケアをすることで自分のコントロールをすることが可能になります。

趣味やストレス発散法など多ければその分セルフケアが期待できるため、独自のストレス発散法を1つでも多く見つけておき、定期的に実行することが自分をコントロールする意味でも重要になります。

事業場内産業医保健スタッフによるケア

人事担当者や産業医が主体となって実施するメンタルヘルスケアとなり、従業員や管理監督者へ支援をすることで、ラインケアやセルフケアが効率的に実施されるようにしていきます。

企業のメンタルヘルス増進を目的とした、「心の健康づくり」の中心的な実施主体となり、以下のことを実践していきます。

①具体的なメンタルヘルスケア実施への計画立案

②個人の健康情報管理

③事業所外資源とのネットワーク形成や、窓口役業務

④事業所内産業保健スタッフとして、休職者に対する職場復帰支援

こちらのケアは、事業所内に所属する専門家が、専門的立場から実施をしていくケアとなるため、専門的視点だからこそ可能なケアとなります。

事業所内に所属しているので、事業所内のこともある程度把握しているため、より具体的なケアも期待できるでしょう。

  • 事業所内産業医保健スタッフによるケア=事業所内の産業医を始めとした保健スタッフが実施するケア

事業場外資源によるケア

事業所外の専門機関や専門家が主体となり実施するメンタルヘルスケアとなり、事業所内産業保健スタッフに情報提供を行うことや、相談内容を知られたくない従業員の相談へ対応していきます。

外部の医師や各種カウンセリングサービスを利用することが、事業所外資源によるケアに該当します。

事業所内の人間に悩みを相談しにくい場合や、相談にあまり対応していない場合は、こちらの事業所外資源によるケアが有効的といえるでしょう。

  • 事業所外資源によるケア=事業所外の専門機関や専門家(医師やカウンセラーなど)が実施するケア

ラインケアですべきこと

ラインケアでするべきこととして、どういったものが挙げられるのか見ていきましょう。

職場復帰サポート支援

休職者は出勤して働くことが困難なため、休職期間を設けて復帰するために必要な休息をしております。

十分な休息を取りながら、復職に向けたリハビリをそれぞれ実施しながら、職場復帰が可能となった時点で復帰をすることが望ましいでしょう。

休職者がいずれ職場復帰をするためにも、十分なサポート支援が重要なポイントになってきます。

【職場復帰サポート支援の流れ】

①休職

従業員が医師により、要休職といった診断書を書かれれば、その従業員は、診断書に記載された要休業期間の期間内に休むことが必要となります。

休職という診断結果が出た従業員は、病気休暇届や診断書を事業所に提出します。

従業員が十分に休むためにも、事業所側は配慮することが大切になります。

休職中の従業員に対し、業務関係の連絡を取ることは、従業員に精神的な負担を与えてしまうことが考えらえるでしょう。

従業員が業務の心配をすることなく、休むことに専念するためにも配慮をした上で、傷病手当金制度や復職手順について情報提供を実施します。

休職中の従業員に連絡を入れる頻度は、1~2ヶ月に1回程度が望ましいとされています。

②復職可能の診断

主治医による職場復帰可能の診断をしますが、そのためには事業所の産業医との面談やリワークプログラム受講、主治医との情報交換など連携を取ることが大切です。

③職場復帰の可否

上司や人事、産業医を始めとした産業保健スタッフと面談をしながら、職場復帰の可否判断や、職場復帰支援プランを作成します。

主治医により復職可能と診断された場合、産業医を始めとした産業保健スタッフに対し、職務遂行が可能か、勤務時間の配慮や環境調整を要するかなど必要情報の確認をしていきます。

復職を決定する前に十分な情報収集をしながら、従業員と管理監督者、人事労務管理スタッフも含めて話し合うことが望ましいでしょう。

④決定

この時点で、職場復帰の最終的な決定をします。

状況が安定しているか、出勤が可能かどうか可否を判断し、復職可能であれば復職が決定します。

焦って復職をしてしまうことで、再度休職が発生してしまうリスクもあるので、職場復帰の決定は焦らずに判断をした上で決定することが重要なポイントです。

⑤復帰後のフォロー

職場復帰を果たしたら、その後のフォローアップも実践していきます。

再度不調になることを避けるためにも、復職者に対する適切なフォローは重要なポイントとなってきます。

復職者が、休職していたことに対して罪悪感を持ってしまえばメンタルヘルスに悪影響を与えてしまうリスクもありますし、過労によるストレスを引き起こすケースも考えられます。

そのような状況を回避するためにも、周囲の気遣いが大切なポイントになってくるでしょう。

休職中のことについてあれこれ聞くよりも、自然に挨拶をすることや、自然に話題をふることが復職者にとって良い影響を与えるかもしれません。

相談環境づくりと社員観察

ラインケアをするために、相談環境づくりと社員観察は大切です。

【相談環境づくり】

相談できる環境であればそれだけ、従業員も相談がしやすいでしょう。

悩みは誰かに話すことでストレスが軽減され、自分の中での整理もつきやすく、第三者からのアドバイスで問題改善の糸口に繋がるかもしれません。

部下が相談しやすくなるためにも、相談環境づくりは大切なポイントになってくるでしょう。

【社員観察】

上司は部下の不調に気が付くためにも、普段から社員観察をしておくことが大切です。

社員観察をすることで、「最近、様子がおかしい」ことに気が付くきっかけも増え、その分社員の不調に気が付きやすくなるでしょう。

企業全体の健康状況把握

従業員の数だけ、健康状況は異なります。

企業全体の健康状態をある程度把握しておくことは、ラインケアをするために大切なポイントになってくるでしょう。

健康状態につきましては従業員のプライバシーに関わることになるため、必要最小限の健康状況を把握した上で、第三者に情報を漏らさないことが前提になってきます。

健康状態は場合によってはデリケートな内容を含むため、個人情報の保護に努めることが大切です。

産業医と連動したラインケアを行うべき

ラインケアを実施するためには、産業医と連動をしたケアをすることで、より効果が期待できます。

正しいラインケアが実施されているか確認

一言でラインケアといっても具体的な線引きがないため、もしかしたら誤ったラインケアをしている危険性もあります。

誤ったラインケアを実施することで、社員のストレスや心配事が増す可能性も出てくるでしょう。

勝手な判断による誤った解釈をすることは危険であり、「メンタル問題は甘えだ」「病は気からだ、甘えず体を鍛えろ」などという根性論を押し付けてしまえば、逆効果に繋がる危険性もあるでしょう。

一方的な考えや価値観で決めつけてしまい、独自の判断に基づいて行動することも危険性です。

一部が独自の考えでラインケアを実施するのではなく、産業医という専門知識を有する専門家も含めて話し合い、正しいラインケアの実施に結び付けることが大切です。

特に産業医がメンタル問題に強い人材であれば、より正しいラインケアの実践が期待できるでしょう。

管理職へのラインケア研修実施

社員のラインケアを実施する上で、管理職に就いている従業員は大切な役割を担います。

管理職の人間がラインケアについて知っていくことが、正しいラインケアをする上で大切なポイントになってくるため、管理職へのラインケア研修を実施することも課題となるでしょう。

ラインケア研修を受けることで、管理職の人間は部下の不調により気付きやすくなるかもしれません。

【ラインケア研修の講師】

ラインケア研修は、研修を実施している外部実施機関に依頼をするイメージが多いかもしれませんが、産業医や産業保健スタッフ、人事担当者が実施するケースもあります。

効果的なラインケアを行うために

優秀な産業医の選任

効果的なラインケアを実施するためには、産業医の存在が重要になってきます。

ラインケアをするためには、管理監督者が産業医と連携を取ることが大切ですが、産業医が優秀であればそれだけ、効果的なラインケアも必要になるでしょう。

【優秀な産業医とは】

従業員の健康管理をする上で産業医は、適切な判断をしながら、従業員1人1人にふさわしい助言や指導をすることが求められ、会社側にも適切な指導をすることが大切です。

「優秀な産業医」とは、産業医の知識を最低限有した産業医のことではなく、知識を備えていることは大前提の上で、従業員の立場に立って物事を考えることのできる産業医のことを意味します。

従業員にとって相談しやすい産業医であれば、管理監督者と産業医が従業員のラインケアのために十分な連携を取り、適切な措置を取ることが可能になるでしょう。

効果的なラインケアを行うためにも、優秀な産業医の選任をしてみてはいかがでしょうか。

相談イメージ

悩む前に一度相談してみませんか?

「今の産業医に不満があるけど、これってどこも同じ?」
「ほかの会社の産業医って何やってるの?」
「こんな悩み有るけど、これって産業医を頼っていいの?」
など、小さなお悩みから他社の事例など、お気軽に相談ください。

産業医の新規契約をまだ検討していない方も、お気軽に悩みを 聞かせてください。産業医の紹介以外でも、お役に立てるかもしれません。

無料相談はこちら
 
 

監修

栗原 雅直医師
くりはら まさなお

東京生まれ。東京大学医学部医学科卒業、東大病院精神神経科に入局。1960年東大大学院生物系研究科博士課程修了。医学博士。2年間のパリ大学留学後、東大病院医局長、1966年虎の門病院勤務。初代精神科部長。川端康成の主治医を務めた。1990年大蔵省診療所長。財務省診療所カウンセラー