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制度見直しや改正が続く産業医制度についてを詳しく解説

2019.08.31産業医

日頃産業医のお世話になっている企業様も多いことと思いますし、時代の変化に伴い産業医の必要性は増しているといえるでしょう。

日頃ニュースを見ていると時折、産業医制度の見直しや改正のニュースに触れることがあるかもしれませんが、産業医の必要性に平行して、制度見直しや改正もされていきます。

今回は、制度見直しや改正が続く産業医制度について解説していきたいと思います。

今後産業医を有効活用するためにも、参考にしてみてはいかがでしょうか。

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産業医制度について

企業や従業員にとって必要な存在の産業医ですが、産業医制度とはどのようになっているのでしょうか。

こちらの章では産業医制度について見ていきましょう。

産業医の選任が義務化

産業医は、従業員数50人以上の企業に選任することが義務化されております。

産業医選任の必要があるにも関わらず、産業医の選任を指定された期間内に行わなかった場合は、法律により罰せられます。

それだけ産業医の選任は必要ですが、その背景には過労による病気や事故、労働環境によるストレスや疲労、過労死や過労自殺といった現実があるといっても良いでしょう。

従業員に起こり得る様々な健康被害を防止するためにも、産業医の存在は必要不可欠になってきます。

産業医選任の要件

産業医選任の要件が気になる方もいらっしゃるかもしれません。

産業医には専属産業医と嘱託産業医がいますが、まずはそれぞれの選任要件について見ていきましょう。

専属産業医の選任要件

専属産業医とは

専属産業医とは、企業に専属して勤務をする産業医のことを指します。

週に3日以上、1日3時間以上の勤務をする形式となるため、企業の従業員と似た勤務形態となります。

専属産業医の設置要件

・従業員数1,000人以上の企業

従業員数1,000人以上の企業は、1名以上の専属産業医の選任が義務付けられており、従業員数3,001人以上の企業は、2名以上の専属産業医の選任が義務付けられております。

・常時500人以上が有害業務に携わる企業

500人以上が有害業務に携わる企業の場合も、1名以上の専属産業医の選任が義務付けられております。

嘱託産業医の選任要件

嘱託産業医とは

嘱託産業医とは専属産業医とは異なり、月に1~数回のペースで企業に訪問しながら産業医業務に携わる産業医のことを指します。

嘱託産業医の設置要件

・従業員数50人以上999人以下の企業

従業員数が50人以上999人以下の企業の場合は、嘱託産業医の設置が義務付けられております。

従業員数50人以下の企業はどうなるのか?

従業員数が50人以下の企業の場合は産業医設置が義務付けられておりませんが、助成金制度を活用しながら産業医の設置が可能です。

従業員数が50人に達した時点で産業医を選任する必要が発生しますので、使える制度を活用しながら早めの産業医選任をご検討してみてはいかがでしょうか。

産業医の役割

企業で働く従業員の健康管理や職場の安全管理をする意味で、産業医の役割は様々ですが、産業医の役割には、どういったものがあるのでしょうか。

こちららでは、産業医の役割について簡潔に触れてみましょう。

職場巡視

産業医は定期的に職場巡視を実施する必要があります。

特に有害業務や危険作業などに携わる職場は、より産業医の職場巡視が重要になってきます。

従業員との面談

実際に企業で働く従業員と面談をすることが、産業医の大切な役割の1つになります。

産業医と面談をする必要がある従業員は、産業医との面談を通じて助言や指導を受けることが大切です。

ではどのような従業員が、産業医と面談をすることができるのでしょうか。

  • 長時間労働者や過重従業員
    月に80時間以上の時間外労働に携わる従業員や、過重労働に携わる従業員は、産業医と面談をすることが義務付けられております。
  • 高ストレス従業員
    ストレスチェックで高ストレスという結果が出た従業員も、産業医と面談をする必要があります。
  • 休職者・復職希望者
    休職者も産業医と面談をする必要があり、復職希望者は産業医と面談を通じて適切な指導を受けていきます。
  • 面談希望者
    その他、産業医と面談を希望する従業員も、産業医と面談をすることが可能です。
  • その他健康指導・健康相談
    健康診断結果で所見有りと判断された従業員や、その他産業医による指導が必要と判断した従業員は、面談という形で産業医による健康指導を受ける場合があります。
    従業員の健康相談に対しても、産業医が専門的立場から適切に対応していきます。

ストレスチェック

2015年より年に1度のストレスチェックの実施が義務付けられましたが、産業医はストレスチェックの計画や実施、事後措置まで携わる必要があります。

ストレスチェックで高ストレスと判定された従業員は、後日産業医と面談を通じた助言や指導を受ける必要があります。

健康診断結果のチェック

健康診断結果が出れば産業医はチェックをし、所見有りの従業員に対し、今後の就業制限や就業の可否の判断をしていきます。

健康診断結果報告書を提出する際も、産業医は署名と捺印をする必要があります。

衛生委員会への出席

企業で実施される衛生委員会へ参加することも、産業医の役割になります。

産業医は専門的立場から意見をすることが求められており、参加できなかった場合は作成された議事録に目を通す必要があります。

参加は必須ではありませんが、参加した方が印象も良いため、産業医の出席率も年々高くなっている傾向にあるといわれております。

衛生講和

衛生講和は衛生委員会や社員研修の場で実施されますが、企業から衛生講和の希望があれば、産業医はテーマに合わせた衛生講和を実施します。

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産業医制度の見直しが実施される

時代の変化に伴い様々な制度の見直しが実施されておりますが、産業医制度も例外ではありません。

特に産業医の必要性が高まってくればそれだけ、産業医制度の見直しがされ実施されているといえるでしょう。

これから産業医制度の見直しについて、少し見ていきましょう。

労働安全衛生規則とは

労働安全衛生規則という言葉について、聞きなれない方も多いかもしれませんが、労働安全衛生規則とはどういった規則なのでしょうか。

働安全衛生規則とは、労働安全衛生法に基づいて厚生労働省が制定した規則となり、労働の安全・衛生管理を目的として定められました。

労働安全衛生法という単語を耳にしたことのある方は多いかもしれませんが、労働安全衛生規則は、労働安全衛生法や労働安全衛生法施行令の内容をより掘り下げた内容となります。

労働する上で安全管理は大切になりますが、労働災害が発生するケースも珍しくありません。

職場環境が引き起こす事故や怪我、病気も労働災害に当てはまり、労働災害が発生する環境を放置することでより悪循環となるでしょう。

そのような状況を防止する意味でも、労働安全衛生規則が制定されました。

制度の見直しポイント

労働安全衛生規則が改正され、平成29年6月1日より施工されております。

健康障害やメンタルヘルス対策が重要化するに伴い、産業医が対応する課題も増えているといっても良いでしょう。

そのため産業医がより効率的かつ効果的に職務を実践できるよう、制度の見直しがされました。

  • 健康診断事後措置に、必要な情報提供をする
    健康診断結果において、異常所見があった従業員に対し医師による意見聴取の必要がある場合、必要となる従業員の業務状況を求められた場合は、提供しなければなりません。
    (労働安全衛生規則第51条の2、ほか有機溶剤中毒予防規則等8省令)
  • 長時間労働者に対する情報提供をする
    1月の時間外・残業時間が100時間を超えた従業員がいれば、その従業員の労働時間に関する情報を速やかに産業医に提出する必要があります。
    (労働安全衛生規則第52条の2)
  • 定期巡視産業医の情報収集の見直しをする
    産業医へ対して所定の情報が毎月提出されている場合において、産業医の巡視頻度を毎月1回から、2か月に1度以上にすることが可能になりました。
    ただし企業の同意が必要です。
    (労働安全衛生規則第15条)
    https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11300000-Roudoukijunkyokuanzeneiseibu/0000190999.pdf

産業医制度による企業の変化

社員の健康管理や職場の安全・衛生管理をする上で産業医の存在は大切で、産業医制度が掘り下げられることで、良い企業づくりが実現するといえるかもしれません。

では産業医制度による企業の変化のポイントとして、どういったものがあるのでしょうか。

健康経営に取り組める

企業は社員なくては成り立ちませんが、社員が健康であるからこそ、より良い仕事が期待できより良い企業づくりの実現に繋がるといえるでしょう。

健康経営とは、企業が社員の健康配慮をすることで経営面へも期待ができるという視点から、社員の健康管理を考慮し実践する意味合いを含みます。

ただし企業によって、健康経営への取り組みは様々であり、健康経営の取り組みに対して真剣に考慮をしない企業もあるかもしれません。

健康経営に取り組むためにはきっかけが大切かもしれませんが、そのきっかけが、産業医の存在となるケースもあるでしょう。

産業医による健康経営の呼びかけや考慮、実践により、社員にとっても働きやすい環境が実現するかもしれません。

社員の健康管理において産業医は重要な役割を担っておりますが、産業医が社員の健康状態を把握した上で適切な面談・指導をすることで、健康経営の実現に繋がる可能性もあるでしょう。

悩みや問題はそれぞれで、職場の悩みからプライベートの悩みまで様々です。

悩みや問題が仕事に影響を及ぼす場合もありますが、産業医に悩み相談をすることで問題軽減や解決のきっかけになるかもしれません。

プライベートを充実させることでより良い仕事が期待でき、より良い仕事ができることでプライベートも充実するのではないでしょうか。

職場とプライベートがそれぞれ良い相乗効果をもたらすことで、結果として良い仕事ができることが、健康経営が目的としているポイントの1つでもあります。

社員のうつ病・ストレスを軽減

うつ病は誰もがなり得る病ですが、その原因は過大なストレスにあります。

ストレスは溜めこめばそれだけ深刻になりますが、誰かに話すことで気持ちが楽になり、第三者の意見を聞くことで意外な解決策が見えるかもしれません。

産業医にストレスの原因や悩み相談をすることでストレス軽減に繋がり、結果としてうつ病防止対策が可能になるのではないでしょうか。

うつ病やストレス問題に強い産業医であればそれだけ、うつ病防止対策が期待できるでしょう。

退職・休職率を軽減

労働環境に対する不満やストレスやうつ病は、社員の退職・休職率を上げてしまう可能性もありますが、社員の悩みやストレスが軽減することで、退職・休職率を軽減することが可能です。

社員の悩みやストレスを軽減させるためにも産業医の存在は大切で、悩みやストレスに対して理解のある産業医であればそれだけ、退職・休職率の軽減が期待できるでしょう。

産業医制度の適用が始まったら…

産業医制度の適用が始まったら、速やかに産業医の選任をすることが大切です。

この時大切なポイントが、「いかに優れた産業医を選任するか」にあるといえますが、優れた産業医を選任するためには、どうすれば良いのでしょうか。

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相談イメージ

悩む前に一度相談してみませんか?

「今の産業医に不満があるけど、これってどこも同じ?」
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「こんな悩み有るけど、これって産業医を頼っていいの?」
など、小さなお悩みから他社の事例など、お気軽に相談ください。

産業医の新規契約をまだ検討していない方も、お気軽に悩みを 聞かせてください。産業医の紹介以外でも、お役に立てるかもしれません。

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監修

栗原 雅直医師
くりはら まさなお

東京生まれ。東京大学医学部医学科卒業、東大病院精神神経科に入局。1960年東大大学院生物系研究科博士課程修了。医学博士。2年間のパリ大学留学後、東大病院医局長、1966年虎の門病院勤務。初代精神科部長。川端康成の主治医を務めた。1990年大蔵省診療所長。財務省診療所カウンセラー