ストレスチェックで高ストレス者と判定されても、医師による面接指導を申し出る従業員は必ずしも多くありません。
「会社に結果を知られたくない」「人事評価に影響しそう」「面談後に休職を勧められるのではないか」といった不安が、申出を妨げるためです。
実施率を高めるには、面談を強く勧めるのではなく、面談の目的、相談内容、情報共有の範囲、面談後の流れを明確にする必要があります。
本記事では、高ストレス者面談の実施率が低い原因から、申出しやすい制度設計、運用プログラム、成功させるポイントまで解説します。
高ストレス者面談の「実施率」は3つの指標に分けて考える
高ストレス者面談の実施状況を改善するには、単に面談件数だけを見るのではなく、「対象者数」「申出者数」「面談完了者数」を分けて管理する必要があります。
申出率は「申出者数÷面接指導対象者数」、面談完了率は「面談完了者数÷申出者数」、全体の面談実施率は「面談完了者数÷面接指導対象者数」で確認します。
申出率が低ければ制度への不安や申出方法、完了率が低ければ日程や面談形式に問題があると判断できます。
個人を特定しない集計情報は、利用目的などを衛生委員会で審議したうえで制度改善に活用できます。
高ストレス者面談の実施率が低くなる6つの原因
高ストレス者面談の実施率が低い背景には、制度への理解不足だけでなく、相談内容の漏えい、人事評価への影響、複雑な申出手続き、面談日程の少なさなど、複数の要因があります。企業は面談を繰り返し勧める前に、対象者がどの段階で利用をためらっているかを確認することが重要です。対象者数、申出者数、面談完了者数を分けて集計し、案内内容、申出窓口、面談形式、面談後の対応を順番に見直しましょう。
面談の目的が正しく伝わっていない
従業員が高ストレス者面談を「精神疾患の有無を判定する面談」「休職者を選ぶための面談」と誤解していると、申出を避けやすくなります。高ストレス者という判定だけで、精神疾患があると決まるわけではありません。
面談の目的は、医師が心身の状態と勤務状況を確認し、健康障害を予防することです。必要に応じてセルフケアの助言、医療機関への受診勧奨、労働時間や業務負担への配慮につなげます。制度案内では、判定される内容よりも、従業員が受けられる支援を具体的に説明しましょう。
人事評価や配置への影響を心配している
「面談を申し出ると昇進できない」「重要な業務から外される」と考える従業員もいます。こうした不安が残っている状態では、申出フォームを整備しても実施率は高まりません。
企業は、面接指導を申し出たことや、申し出なかったことを理由として、不利益な取扱いを行わないことを明確に周知する必要があります。面談後の就業上の措置も、懲戒や評価ではなく健康確保を目的とするものです。制度説明には「人事評価には直接使用しない」「本人の意向を確認して措置を検討する」と明記しましょう。
相談内容が上司へ伝わると思われている
面談で話した家庭事情、人間関係、ハラスメント、病歴などが所属長へ伝わると考え、申出をためらうケースがあります。特に上司との関係がストレス要因の場合、所属長を経由する申出方法は大きな障壁になります。
医師が把握した相談内容のすべてを、会社へ共有するわけではありません。企業へ伝える情報は、残業制限や業務調整など、健康確保と就業上の措置に必要な範囲へ整理します。「医師へ話した内容」と「会社へ伝える就業意見」の違いを、申出前に説明することが重要です。
申出方法が分かりにくい
面接指導を希望しても、「誰に連絡すればよいか分からない」「紙の申出書を上司へ提出しなければならない」といった状態では、申出につながりません。申出の手間だけでなく、周囲に知られる可能性も心理的な負担になります。
結果通知には、申出先、申出期限、面談形式、所要時間、費用負担、面談までの流れを記載しましょう。専用フォームや個別メールから、所属長を経由せずに申し込める方法が適しています。入力項目も、氏名、連絡先、希望日時など、日程調整に必要な範囲へ絞ります。
産業医の面談枠が不足している
申出があっても、産業医の訪問日が月1回しかない、従業員の勤務地が遠い、面談室を確保できないといった理由で、日程が決まらない場合があります。候補日が少なければ、従業員が業務との調整を諦める可能性もあります。
面接指導の申出は結果通知後おおむね1か月以内、面接指導は申出後おおむね1か月以内に行うことが目安です。ストレスチェックの実施前から面談用の予備枠を設け、オンライン面談や臨時対応が可能な医師も確保しておきましょう。
面談後の対応が見えない
従業員が「面談を受けると、すぐに休職や配置転換になる」と考えている場合、申出率は上がりません。企業側が面談後の対応を説明していないことが、従業員の不安を大きくしているケースもあります。
面談後は、必ず休職になるわけではありません。セルフケアの助言や経過観察で終了する場合もあれば、残業制限、業務量の調整、深夜勤務の制限などを検討する場合もあります。企業は医師の意見を聴き、本人の意向や職場の状況を踏まえて必要な措置を決定します。
高ストレス者面談の実施率を高める7つの方法
高ストレス者面談の実施率を高めるには、結果通知後の勧奨だけでなく、ストレスチェック実施前から制度への理解と信頼を形成することが重要です。面談の目的、申出方法、情報共有の範囲、面談形式、実施後の対応をあらかじめ周知し、利用への不安を減らしましょう。対象者数、申出者数、面談完了者数を分けて確認し、説明不足、手続き、日程調整など、申出を妨げている要因を毎年見直す必要があります。
面談の目的と内容をストレスチェック実施前に説明する
結果通知後に初めて面談制度を説明すると、従業員は短期間で申出の判断をしなければなりません。ストレスチェックの実施前に、対象者の選定方法、面談の目的、医師が確認する内容、面談後の対応まで周知しておきましょう。
面談では、ストレスチェックの点数だけでなく、労働時間、業務負荷、睡眠、疲労、心身の自覚症状、職場の支援状況などを確認します。「面談を受けたら休職になるわけではない」「困りごとを医師へ相談できる」と伝えることで、制度への抵抗感を軽減できます。
産業医から守秘義務と情報共有の範囲を説明する
人事担当者だけが制度を説明すると、従業員から「会社側の都合で勧めているのではないか」と受け取られる可能性があります。産業医本人が説明会、動画、社内資料などで制度の目的を伝えると、面談への信頼を得やすくなります。
説明内容には、医師には守秘義務があること、相談内容のすべてを人事や上司へ伝えるわけではないこと、会社には就業上必要な意見を伝えることを含めます。産業医の顔や話し方を事前に知ってもらうことも、初回面談の心理的なハードルを下げる方法です。
申出窓口を上司から切り離す
申出に所属長の承認を必要とする制度では、上司との関係や業務負荷を相談したい従業員ほど利用しにくくなります。申出は、人事部門の健康管理担当者、産業保健スタッフ、ストレスチェックの外部委託先などへ直接行えるようにしましょう。
専用フォームを使用する場合は、閲覧者を健康情報の取扱担当者に限定します。申出受付後の自動返信には、今後の連絡方法、面談候補日の案内、情報共有の範囲を記載します。上司には、具体的な業務調整が必要になった段階で、必要最小限の情報のみを伝えます。
実施者から対象者へ個別に再案内する
結果通知を一度送付しただけでは、従業員が内容を見落としたり、申出を後回しにしたりする場合があります。申出期限の前に、医師や保健師などの実施者、または適切な実施事務従事者から、対象者へ個別に再案内する仕組みを設けましょう。
再案内では、申出を強制するのではなく、期限、申出方法、利用できる面談形式を改めて伝えます。企業が本人の同意なく個人結果を把握して直接連絡することは避けなければなりません。結果は原則として実施者から本人へ通知され、企業への提供には本人の同意が必要です。
オンラインと対面を選べるようにする
面談形式を対面だけに限定すると、地方拠点やテレワーク勤務者は利用しにくくなります。一方、自宅に個室がない、通信機器の操作に不安があるなど、オンライン面談が適さない従業員もいます。
オンラインと対面を選択できるようにし、勤務場所や本人の希望に合わせて面談を設定しましょう。面談時間についても、午前、午後、始業前後など複数の候補を用意します。選択肢を増やすことで、「受けたくない」のではなく「受けられない」従業員を減らせます。
保健師などによる事前相談を用意する
初めから医師と話すことに抵抗がある従業員には、保健師や看護師による事前相談を用意する方法があります。事前相談では、制度の流れを説明し、本人が困っていることや医師へ伝えたい内容を整理します。
医師面談の前に不安を解消できれば、面談の申出や完了につながりやすくなります。ただし、法定の高ストレス者面接指導は医師が実施する必要があります。保健師による相談だけで法定面接を完了したことにはできないため、制度説明、事前整理、面談後のフォローとして役割を明確にしましょう。
面談後の措置とフォローを確実に実行する
実施率を高めても、面談後に何も変わらなければ、従業員は制度を信頼しなくなります。医師から意見を受け取った後は、残業時間、夜勤、出張、業務量、担当範囲など、具体的な措置へ落とし込みましょう。
措置には、実施期間、責任者、再評価日を設定します。例えば「1か月間は時間外労働を禁止し、4週間後に産業医が再面談する」と定めれば、本人と所属長が取るべき行動を理解できます。面談後の対応品質は、翌年度の申出率にも影響する重要な要素です。
実施率を高める高ストレス者面談プログラムの進め方
高ストレス者面談の実施率を高めるには、案内を増やすだけでなく、対象者の申出から面談完了、医師意見への対応までを一つのプログラムとして管理する必要があります。まず現状を数値化し、申出前、日程調整、面談後のどこで対応が止まっているかを確認しましょう。そのうえで、案内文、申出窓口、面談枠、フォロー体制を順番に見直し、改善結果を翌年度の実施計画へ反映します。
手順1.現状の申出率と面談完了率を確認する
最初に、面接指導対象者数、申出者数、面談完了者数、申出から面談までの日数を確認します。対象者数に対して申出者が少なければ、制度説明や申出窓口に課題があります。申出後のキャンセルが多ければ、日程や面談形式を見直す必要があります。
小規模な部署では、人数を細かく開示すると個人を推測できる可能性があります。集計情報の取得目的、共有範囲、活用方法を衛生委員会などで審議し、全社単位や十分な人数の集団単位で確認しましょう。
手順2.対象者向けの案内文を見直す
案内文には、面談対象になったことだけでなく、面談の目的、相談できる内容、所要時間、申出期限、費用、面談形式、情報の取扱いを記載します。「受けてください」とだけ伝える文面では、従業員の不安を解消できません。
「面談を受けても自動的に休職になるわけではない」「医師への相談内容がすべて上司へ伝わるわけではない」「申出を理由に不利益な取扱いを行わない」など、従業員が懸念しやすい点へ先回りして回答する内容にしましょう。
手順3.面談枠と申出経路を確保する
ストレスチェックの結果が出てから面談担当医を探すと、日程調整が遅れる可能性があります。年間計画を作成する段階で、対面とオンラインの予備枠を確保し、申出が想定より多い場合の追加対応も決めておきます。
申出経路は、専用フォーム、実施者へのメール、外部窓口など、従業員が利用しやすい方法を選びます。複数の窓口を用意する場合も、申出状況は一つの管理台帳に集約し、日程調整や実施漏れが生じない仕組みにしましょう。
手順4.対象者へ再案内して日程を確定する
結果通知後は、申出期限前に再案内を行い、利用可能な面談枠を具体的に示します。「希望する場合は連絡してください」だけでなく、オンライン、対面、午前、午後などから選択できるようにすると、従業員が行動しやすくなります。
申出を受けた後は、できるだけ早く候補日を提示します。連絡から日程確定までに時間がかかると、本人の状態や勤務状況が変化し、面談を辞退する可能性があります。申出受付後何営業日以内に連絡するかを社内ルールとして定めましょう。
手順5.医師意見を就業上の措置へ反映する
面談後は、医師から就業上の措置が必要かどうかについて意見を聴きます。「業務負荷に配慮する」といった抽象的な表現だけでは、所属長が何をすべきか判断できません。対象業務、制限内容、期間、再評価日を具体化することが重要です。
企業は医師意見を踏まえ、本人の希望も確認したうえで措置を決定します。面接指導後の医師への意見聴取は、おおむね1か月以内に行う必要があります。対応の期限を管理台帳へ記録し、意見書が放置されないようにしましょう。
手順6.衛生委員会で結果を検証する
年度終了後は、申出率、面談完了率、面談までの日数、就業上の措置の実施状況を衛生委員会などで確認します。申出率だけを評価するのではなく、どの段階で手続きが止まっているかを分析することが重要です。
申出が少ない場合は案内文や守秘性の説明を見直し、面談までの日数が長い場合は医師の枠を増やします。個人名や相談内容は共有せず、匿名化した集計情報で検討します。改善内容は翌年度の実施計画や社内規程へ反映しましょう。
高ストレス者面談の実施率向上を成功させるポイント
高ストレス者面談の実施率を高める際は、面談件数だけで成果を判断せず、必要な従業員が安心して申し出られ、適切な支援へつながったかを確認することが重要です。申出率、面談完了率、申出から実施までの日数に加え、医師意見に基づく就業措置やフォロー面談の実施状況も確認しましょう。制度への理解、守秘性、申出方法、面談枠を毎年見直すことで、実効性のある運用につながります。
実施率100%だけを目標にしない
高ストレス者への法定面接指導は、本人からの申出を前提としています。そのため、対象者全員へ面談を強制し、実施率100%を達成することを目標にするのは適切ではありません。企業が目指すべきなのは、必要とする従業員が安心して申し出られる状態です。
申出をしない従業員に対して理由の提出を求めたり、所属長から繰り返し受診を迫ったりしてはいけません。制度説明と選択肢を十分に提供したうえで、本人の意思を尊重します。法定面接を希望しない場合には、通常の産業医相談や外部相談窓口も案内しましょう。
面談件数ではなく早期支援につながったかを評価する
面談件数が増えても、医師意見が就業上の措置へ反映されず、従業員の状態が悪化しているのであれば、制度が成功しているとはいえません。面談完了後の対応まで含めて成果を確認する必要があります。
評価指標には、申出から面談までの日数、医師意見の受領日、措置の実施率、フォロー面談の完了率を含めます。欠勤、長時間労働、休職などの傾向も、個人を特定しない形で確認しましょう。実施率は最終目的ではなく、早期支援につなげるための過程を測る指標です。
産業医が会社の業務内容を理解できる体制をつくる
従業員が面談を受けても、産業医が職場の実態を理解していなければ、具体的な意見を示しにくくなります。企業は、労働時間、担当業務、出張、夜勤、異動、役割変更などの勤務情報を事前に整理して医師へ提供しましょう。
面談後の意見書には、単に「配慮が必要」と記載するのではなく、残業時間の上限、夜勤の可否、業務範囲、措置期間などを具体化してもらいます。実行可能な意見が得られることで、従業員も「相談すれば職場の対応につながる」と感じやすくなります。
実施率を高める際に企業が注意すべきこと
高ストレス者面談の実施率を高める場合でも、従業員の意思や個人情報を軽視してはいけません。面談の申出を強制したり、個人結果を人事評価や配置判断へ利用したりすると、制度への不信感を招き、かえって申出率が低下します。企業は、結果を扱う担当者、閲覧権限、集計情報の利用目的を明確にし、面談勧奨と個人情報保護を両立できる運用を整えましょう。
個人結果を本人の同意なく取得しない
ストレスチェックの個人結果は、実施者から本人へ直接通知されます。企業は本人の同意なく結果を取得し、高ストレス者を特定して直接面談を勧めることはできません。
企業が制度の運用状況を確認したい場合は、実施者から高ストレス者数や面接指導対象者数などの集計情報を受け取ります。ただし、少人数の部署では個人を推測できる可能性があるため、十分な人数の集団で集計し、取得目的や共有範囲を事前に定める必要があります。
申出や辞退を人事評価へ利用しない
面接指導を申し出た従業員を「ストレス耐性が低い」と評価したり、申し出なかった従業員を「自己管理ができていない」と評価したりしてはいけません。申出の有無を昇進、契約更新、配置などの判断材料にすると、制度への信頼が失われます。
面談後に就業上の措置が必要な場合も、本人の健康を守る目的から必要な範囲で行います。診断名や詳細な相談内容を所属長へ伝えるのではなく、勤務時間や業務内容など、所属長が実施すべき配慮事項に限定して共有しましょう。
面談を辞退した従業員を放置しない
本人が法定面接を希望しない場合でも、企業の健康管理対応がすべて終了するとは限りません。長時間労働、欠勤の増加、体調不良の申告など、ストレスチェックとは別の情報から健康リスクを把握している場合は、通常の健康管理ルートで対応します。
通常の産業医相談、保健師面談、外部相談窓口、医療機関などを案内し、本人が利用できる選択肢を残しておきましょう。ただし、高ストレス者であることを所属長へ伝えて継続的な声掛けを求めるなど、個人結果を推測させる運用は避ける必要があります。
高ストレス者面談の実施率を改善する想定事例
複数の営業所を持つ企業では、結果通知に「希望者は人事部へ申出書を提出してください」とだけ記載していました。申出には所属長の確認が必要で、面談も本社での対面形式に限られていたため、地方拠点からの申出が少ない状態でした。
そこで、産業医による説明動画を配信し、上司を経由しない専用フォームを設置。オンラインと対面を選択できるようにし、申出期限前には実施者から再案内を行いました。さらに、申出率、面談完了率、面談までの日数を分けて管理することで、毎年度の改善点を特定できる運用へ変更しました。
高ストレス者面談の実施体制は産業医クラウドへご相談ください
高ストレス者面談の実施率を高めるには、案内文の見直しだけでなく、従業員が相談しやすい産業医、申出窓口、面談枠、オンライン環境、医師意見書、就業上の措置、フォロー体制まで整える必要があります。人事担当者だけで制度設計から運用改善まで行うのは容易ではありません。
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高ストレス者面談の実施率に関するよくある質問
高ストレス者面談の実施率を確認する際は、対象者全員への面談を目標にするのではなく、本人の申出を尊重しながら、必要な従業員が支援へつながれる環境を整えることが重要です。企業は、面談の対象条件、申出方法、情報共有の範囲、辞退時に利用できる相談先を明確にしましょう。実施率だけでなく、申出から面談までの日数や、面談後の就業上の措置まで確認する必要があります。
高ストレス者は全員面談を受ける必要がありますか?
高ストレス者と判定された全員が、必ず医師による面接指導を受けなければならないわけではありません。ストレスチェックの実施者が面接指導を必要と判断し、本人から申出があった場合に、企業が医師による面接指導を実施します。
企業は面談の目的や申出方法を説明し、利用を勧めることはできますが、本人の意思に反して強制することはできません。法定面接を希望しない場合には、通常の産業医相談、保健師面談、外部相談窓口など、別の支援方法を案内しましょう。
企業は高ストレス者の人数を確認できますか?
個人を特定できない集計情報であれば、企業が高ストレス者数や面接指導対象者数を実施者から取得することは可能です。ただし、人数の少ない部署では、集計値から対象者を推測できる場合があります。
集計情報を取得する際は、取得目的、共有範囲、活用方法を衛生委員会などで審議し、従業員へ周知します。個人名簿を人事担当者が取得するのではなく、全社や十分な人数の集団における申出率・面談完了率の確認に利用しましょう。
高ストレス者面談の適切な実施率は何%ですか?
すべての企業に共通する面談実施率の目標値は定められていません。従業員数、業種、勤務形態、面談方法、相談窓口への信頼度などによって、申出状況は異なります。
他社の数値と単純に比較するより、自社の推移を確認することが重要です。申出率が低下していれば制度説明や守秘性への不安、面談完了率が低ければ日程や面談方法を確認します。実施率の高さだけでなく、申出から面談までの日数や面談後の措置まで評価しましょう。
面談を申し出ない従業員へ再案内してもよいですか?
申出期限や利用方法を再案内することは可能です。ただし、企業が本人の同意なく高ストレス者を特定し、申出をしない理由を直接尋ねる運用は避ける必要があります。
再案内は、医師や保健師などの実施者、または適切な実施事務従事者から行います。申出を迫るのではなく、面談の目的、期限、申出方法、情報の取扱いを改めて伝えましょう。通常の産業医相談など、法定面接以外の相談方法も併記すると利用しやすくなります。
面談を拒否した従業員の記録は残すべきですか?
面談を強制することはできませんが、対象者へ制度を案内したことや、利用可能な相談窓口を説明したことは、適切な範囲で記録しておくことが望まれます。ただし、本人の辞退理由を詳細に聞き出したり、所属長へ共有したりする必要はありません。
記録には、案内日、案内方法、申出期限、再案内の有無などを残します。健康情報を含む場合は閲覧権限を限定し、人事評価資料や一般の従業員情報とは分けて管理しましょう。
保健師面談を法定の高ストレス者面談として扱えますか?
保健師による事前相談やフォロー面談は、従業員の不安を軽減し、医師面談へつなぐ方法として有効です。しかし、労働安全衛生法に基づく高ストレス者への面接指導は、医師が実施する必要があります。
保健師には、面談制度の説明、事前問診、相談内容の整理、医師面談後のフォローなどを担当してもらいます。医師と保健師の役割をあらかじめ定め、保健師面談だけで法定面接を完了したものとして扱わないよう注意しましょう。
まとめ|実施率を高める目的は必要な従業員を早期支援につなげること
高ストレス者面談の実施率が低い背景には、面談目的の理解不足、評価への不安、相談内容の漏えいへの懸念、複雑な申出方法、面談枠の不足などがあります。実施率を高めるには、従業員へ申出を強く迫るのではなく、不安や利用上の障壁を一つずつ取り除くことが重要です。
面談の目的と情報共有の範囲を事前に説明し、上司を経由しない窓口を設け、オンラインと対面を選べるようにしましょう。さらに、申出率、面談完了率、面談までの日数、就業上の措置の実施状況を確認し、毎年度改善します。
産業医クラウドでは、高ストレス者面談に対応できる産業医の紹介から、面談後の就業措置、休職・復職支援、衛生委員会まで幅広く支援しています。
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