ストレスチェックで高ストレス者が判定されても、「面談の申出が少ない」「面談後の業務調整まで進められない」「メンタルヘルス不調の予防にどう活かせばよいか分からない」と悩む企業は少なくありません。
高ストレス者面談は、単に法定対応を終えるためのものではなく、従業員の心身の変化を早期に把握し、受診勧奨や就業上の措置、職場環境改善へつなげる重要な機会です。
本記事では、高ストレス者面談の目的や確認内容、不調予防へつなげる具体的な進め方、成功のポイント、企業が注意すべき点を分かりやすく解説します。
目次
- 高ストレス者面談を早期支援と職場改善につなげる
- 高ストレス者面談の目的とメンタルヘルス不調予防における役割
- 高ストレス者面談が不調予防につながらない5つの課題
- 高ストレス者面談で医師が確認する内容
- 高ストレス者面談を不調予防へつなげる7つの方法
- メンタルヘルス不調を予防する高ストレス者面談プログラム
- 高ストレス者面談を不調予防につなげる成功ポイント
- 高ストレス者面談を不調予防へつなげた想定事例
- 高ストレス者面談を運用する際の注意点
- 産業医クラウドで高ストレス者面談と不調予防の体制を構築
- 高ストレス者面談とメンタルヘルス不調予防に関するよくある質問
- まとめ|高ストレス者面談を法定対応で終わらせず不調予防へ活かす
高ストレス者面談を早期支援と職場改善につなげる
高ストレス者面談は、ストレスチェック後の法定手続きを終えるためだけの制度ではありません。医師が従業員の心身の状態や勤務状況を確認し、受診勧奨、労働時間の短縮、業務負担の軽減などへつなげることで、メンタルヘルス不調の重症化を防ぐ役割があります。
ただし、面談を実施するだけでは十分な予防効果を得られません。面談前の勤務情報の準備、具体的な医師意見、就業上の措置、継続的なフォロー、職場環境改善までを一つのプログラムとして整備することが重要です。
高ストレス者面談の目的とメンタルヘルス不調予防における役割
高ストレス者面談とは、ストレスチェックで高ストレス者と判定され、実施者が医師による面接指導を必要と認めた従業員から申出があった場合に行う面接指導です。高ストレスという結果だけで、精神疾患や休職の必要性が決まるわけではありません。
医師は、心身の症状、睡眠、疲労、勤務時間、業務負荷、職場の支援状況などを総合的に確認します。そのうえで、本人への助言や受診勧奨を行い、必要に応じて企業へ就業上の措置に関する意見を示します。
ストレスチェックは一次予防を主な目的とする
ストレスチェック制度の主な目的は、従業員が自身のストレス状態へ気づいてセルフケアに取り組むことと、集団分析を通じて職場環境を改善することです。精神疾患のある従業員を見つけるための検査ではありません。
企業は受検率や高ストレス者数だけで制度を評価せず、結果通知後のセルフケア情報、相談窓口、集団分析、職場改善まで整えましょう。業務量や裁量、上司・同僚の支援などを部署単位で確認し、具体的な改善策へ落とし込むことが重要です。
高ストレス者面談は早期発見・早期対応を支える
高ストレス者面談では、睡眠不足、疲労、気分の落ち込み、集中力の低下、欠勤の増加など、メンタルヘルス不調の兆候を医師が確認します。本人が不調を自覚していなくても、勤務状況や生活への影響から支援の必要性が明らかになる場合があります。
早期に面談できれば、セルフケアの助言、医療機関への受診、残業制限、業務量の調整などを、症状が深刻化する前に検討できます。休職や離職を防ぐには、申出から面談までの期間を短縮する体制が必要です。
不調が確認された場合は治療や休復職支援へつなげる
面談で治療の必要性や就業継続の困難さが確認された場合は、医療機関への受診や休職支援へつなげます。ただし、高ストレス者面談だけで病名や休職を決定するものではありません。
休職が必要な場合は、主治医の診断、産業医の意見、本人の状態、就業規則、職場の受入体制を踏まえて企業が判断します。復職時には、短時間勤務、残業禁止、業務量の軽減などを段階的に行い、再発防止のための面談日も設定しましょう。
高ストレス者面談が不調予防につながらない5つの課題
高ストレス者面談の制度があっても、対象者から申出がない、医師へ必要な情報が届かない、面談後の措置が進まないといった課題があると、早期支援にはつながりません。まずは、申出前・面談時・面談後のどこで対応が止まっているかを確認する必要があります。
企業は、面接指導対象者数、申出者数、面談完了者数、申出から面談までの日数、医師意見に基づく措置の実施状況を整理しましょう。個人を特定しない範囲で数値化することで、優先して改善すべき工程が明確になります。
面談の目的や情報の取扱いが伝わっていない
従業員が高ストレス者面談を「精神疾患を判定する面談」「休職者を選ぶための面談」と誤解していると、申出をためらいやすくなります。相談内容が人事評価や配置判断に使用されるのではないかという不安も、利用を妨げる原因です。
企業は、面談の目的、医師の守秘義務、会社へ共有される情報の範囲、不利益な取扱いを行わないことを事前に説明しましょう。結果通知には、申出方法だけでなく、相談できる内容や面談後の流れまで記載することが重要です。
申出窓口や面談日程が利用しにくい
所属長への申請や紙の申出書が必要な運用では、周囲に知られることを不安に感じる従業員が利用を避ける可能性があります。産業医の訪問日が月1回しかない場合も、本人の勤務日と合わず、面談が先延ばしになりやすくなります。
申出先は、実施者、産業保健スタッフ、専用フォームなど、上司を経由しない窓口に設定しましょう。対面とオンラインの面談枠を用意し、申出受付後何営業日以内に候補日を案内するかも決めておくと、早期支援につなげやすくなります。
医師へ勤務状況が十分に共有されていない
医師がストレスチェック結果と本人の話だけをもとに面談すると、職場の実態に即した就業意見を示しにくくなります。同じ高ストレス状態でも、長時間労働、夜勤、役割変更、人間関係など、必要な対応は従業員ごとに異なります。
企業は面談前に、直近1〜3か月の勤怠記録、担当業務、夜勤・休日勤務、出張、異動、役割変更、欠勤状況などを整理して医師へ提供しましょう。上司の人物評価ではなく、勤務表や業務分担表などの客観的な情報を使用します。
医師意見が具体的な業務調整へ反映されない
面談後の意見書に「業務負荷へ配慮する」とだけ記載されていると、所属長は具体的な対応を判断できません。意見書の受領者や措置の決定者が曖昧なため、対応が人事部門で止まってしまうケースもあります。
医師には、残業時間の上限、夜勤・出張の可否、担当業務、措置期間、再評価時期まで具体的に示してもらいましょう。企業は本人の意向も確認し、実行する措置、責任者、開始日、再面談日を明確にします。
面談後のフォローや職場改善を行っていない
面談時に就業上の措置を決めても、実際に業務負担が軽減されたかを確認しなければ、予防効果を判断できません。個人へセルフケアを求めるだけでは、人員不足や業務量の偏りといった組織側の要因も残ります。
面談後は、産業医や保健師が本人の状態を再確認し、措置の継続・変更・解除を検討しましょう。集団分析や勤怠状況から部署共通の課題も把握し、衛生委員会で職場環境改善の担当者と期限を決めます。
高ストレス者面談で医師が確認する内容
医師は、ストレスチェックの点数だけでメンタルヘルス不調や就業上の措置を判断するわけではありません。症状の有無、勤務状況、職場での支援、日常生活への影響、受診状況などを組み合わせて評価します。
企業は事前問診票と勤務情報提供書を準備し、面談担当医が必要な情報を漏れなく確認できるようにしましょう。複数の医師が面談を担当する場合は、確認項目や意見書の様式を統一すると、対応のばらつきを抑えられます。
睡眠・疲労・気分などの心身の状態
面談では、睡眠時間、中途覚醒、食欲、疲労感、意欲、集中力、気分の落ち込み、不安、動悸、頭痛などを確認します。飲酒量の増加、遅刻・欠勤、仕事上のミスといった行動面の変化も重要な確認事項です。
医師は、症状がいつから続いているか、日常生活や仕事へどの程度影響しているかを確認し、セルフケアで経過を見られる状態か、医療機関への受診が必要かを判断します。自傷のおそれなど、緊急性の評価も欠かせません。
労働時間・業務量・仕事の裁量
勤務状況では、時間外・休日労働、夜勤、連続勤務、出張、休憩や休日の取得状況を確認します。労働時間が極端に長くなくても、突発業務が多い、担当者が一人しかいない、納期を調整できないなど、仕事の裁量が乏しい場合は負担が高まります。
企業は、勤怠記録だけでなく、担当業務、繁忙期、要員配置、異動や役割変更も医師へ共有しましょう。業務負荷の原因を具体化することで、実行可能な就業上の措置を検討しやすくなります。
職場の人間関係と周囲からの支援
業務量が多くなくても、上司へ相談できない、同僚との関係が悪化している、役割が不明確であるなど、職場環境が強いストレス要因になる場合があります。医師は、相談相手の有無や上司・同僚からの支援状況も確認します。
ただし、人間関係や家庭事情など、医師へ相談した内容をそのまま会社へ共有することは避けなければなりません。企業には、業務分担の見直しや相談担当者の設定など、健康確保に必要な就業上の意見へ整理して伝えます。
受診・服薬状況と医療機関への接続の必要性
すでに医療機関へ通院している場合は、受診先、治療状況、服薬の有無、主治医からの指示などを確認します。未受診の場合も、症状の程度や継続期間から、精神科、心療内科、内科などへの受診が必要かを判断します。
企業は特定の医療機関への受診を強制するのではなく、本人が相談できる医療機関や地域の相談窓口を案内しましょう。緊急性が高い場合に備え、医療機関、家族、社内担当者への連絡手順も事前に定めておく必要があります。
高ストレス者面談を不調予防へつなげる7つの方法
高ストレス者面談の予防効果を高めるには、面談を実施する医師だけでなく、実施者、保健師、人事担当者、所属長が役割を理解し、連携する必要があります。申出受付から面談後のフォローまでを標準化しましょう。
特に重要なのは、従業員が安心して申し出られる環境と、医師意見を実際の業務調整へ反映する仕組みです。次の7項目を確認し、自社で不足している取組から優先的に整備します。
面談の目的と守秘義務を実施前に説明する
ストレスチェックの結果通知後に初めて制度を説明すると、従業員は限られた期間で申出を判断しなければなりません。実施前の社内案内に、面談の目的、対象条件、確認内容、申出方法、面談後の流れを盛り込みましょう。
「面談だけで休職が決まるわけではない」「相談内容がすべて上司へ共有されるわけではない」と明記します。産業医が説明会や動画を通じて、守秘義務や情報共有の範囲を直接説明する方法も有効です。
上司を経由しない申出窓口を整える
上司との関係や業務負担がストレスの原因になっている場合、所属長の承認を必要とする申出方法は利用の障壁になります。実施者、産業保健スタッフ、外部委託先、専用フォームなどへ直接申し込める窓口を用意しましょう。
フォームの入力項目は、氏名、連絡先、希望日時など、面談調整に必要な範囲へ絞ります。閲覧できる担当者も限定し、申出受付後の連絡方法や会社へ共有される情報の範囲を自動返信などで案内します。
対面とオンラインの面談枠を確保する
対面面談だけでは、地方拠点やテレワーク勤務者が利用しにくくなります。一方、自宅で個室を確保できない、通信機器の操作が苦手など、オンラインに適さない従業員もいます。
企業は対面とオンラインの両方を用意し、本人の希望や医師の判断に応じて選択できるようにしましょう。ストレスチェック実施前に予備の面談枠を確保し、申出が想定より多い場合に追加対応できる医師も決めておくと、早期面談につながります。
客観的な勤務情報を医師へ提供する
医師が企業の勤務実態を理解していなければ、本人の健康状態に合った具体的な就業意見を示しにくくなります。直近の勤怠記録、担当業務、夜勤、休日勤務、異動、役割変更などを整理して提供しましょう。
勤務情報提供書の共通様式を作成し、誰が準備しても同じ項目を提出できるようにします。所属長の主観的な人物評価や、面談判断に必要のない個人的な情報は記載せず、客観的な事実に限定することが重要です。
就業上の措置を段階的かつ具体的に行う
メンタルヘルス不調を防ぐための措置は、休職だけではありません。症状や勤務状況に応じて、残業制限、夜勤・出張の免除、担当業務の縮小、納期の調整、相談担当者の設定などを段階的に検討します。
措置を決定する際は、医師意見、本人の希望、職場の受入体制を確認します。「1か月間は残業を禁止し、4週間後に再面談する」など、措置内容、期間、責任者、再評価日を具体的に定めましょう。
面談後のフォロー日をあらかじめ設定する
面談後に業務を調整しても、本人の状態が改善したかを確認しなければ、措置が適切だったか判断できません。意見書を受領した段階で、産業医による再面談や保健師のフォロー日を設定しましょう。
面談日、措置開始日、所属長への連絡日、本人への確認日、再評価日を管理台帳へ記録します。状態が改善しない場合は、措置内容の変更、医療機関への受診、休職などを速やかに検討できる流れを整えます。
個別対応と職場環境改善を並行して進める
個人面談だけでは、業務量の偏り、人員不足、役割の不明確さ、相談しにくい職場風土など、組織側のストレス要因を解消できません。個人情報を含む面談内容と、集団分析による職場改善は明確に分けて扱います。
集団分析、時間外労働、欠勤などから部署共通の課題を確認し、衛生委員会で改善策を検討しましょう。業務分担の変更、管理職研修、定期面談など、担当者と期限を設定できる施策へ具体化します。
メンタルヘルス不調を予防する高ストレス者面談プログラム
高ストレス者面談を一時的な対応で終わらせないためには、申出受付からフォローまでを一つのプログラムとして管理します。各工程の担当者、対応期限、使用する書類、記録の保存場所をあらかじめ決めましょう。
法定の高ストレス者面接、通常の産業医相談、長時間労働者面談、休復職支援を区別しながら、必要に応じて相互につなげることが重要です。運用状況は毎年度評価し、衛生委員会で改善します。
手順1.担当者と情報共有の範囲を決める
まず、対象者への通知、申出受付、日程調整、勤務情報の準備、医師意見書の管理、就業上の措置、フォローを担当する人を決めます。担当者が不在の場合の代行者も設定しましょう。
あわせて、実施者、人事、産業医、保健師、所属長が閲覧できる情報を区分します。所属長へは診断名や相談内容ではなく、残業制限や業務調整など、実施すべき措置に必要な情報だけを共有します。
手順2.申出から面談までの期限を設定する
対象者への案内には、申出期限、申出方法、面談形式、所要時間、費用負担を記載します。申出を受け付けた後は、何営業日以内に本人へ連絡し、いつまでに候補日を示すかを社内ルールとして定めましょう。
産業医の通常訪問日だけに依存すると面談が遅れる可能性があります。対面とオンラインの予備枠を確保し、担当医が対応できない場合に代替となる医師や外部サービスも決めておくことが重要です。
手順3.面談前に勤務情報と問診内容を整理する
人事担当者は、勤怠、担当業務、夜勤、休日勤務、異動、役割変更などを勤務情報提供書へまとめます。従業員には、睡眠、疲労、心身の症状、受診・服薬状況などを記載する事前問診票を案内します。
書類はアクセス権を限定した方法で医師へ共有しましょう。通常のメールへ個人情報を直接記載するのではなく、社内の安全なシステムやパスワードを設定したファイルなど、社内規程に沿った方法を使用します。
手順4.医師意見を具体的な措置へ変換する
面談後は、医師から就業上の措置の必要性について意見を聴きます。意見書には、通常勤務の可否、残業・夜勤・出張の制限、業務負担の軽減、受診の必要性、再面談時期などを具体的に記載してもらいます。
人事担当者は本人の意向を確認し、所属長と実行可能な対応を決定します。措置が抽象的な場合は、産業医へ確認し、誰が何をいつまで行うかが分かる内容に整理しましょう。
手順5.フォローと職場改善を継続する
措置の開始後は、本人の健康状態、勤怠、業務負荷を確認し、再面談で継続・変更・解除を判断します。面談記録や医師意見書は、法令や社内規程に従い、閲覧権限を限定して管理します。
個人対応とは別に、匿名化された集団分析を衛生委員会で確認し、部署全体の改善へつなげましょう。毎年度、申出率や面談後の対応状況を検証し、翌年度のプログラムへ反映します。
高ストレス者面談を不調予防につなげる成功ポイント
高ストレス者面談を成功させる目的は、面談件数を増やすことではありません。必要な従業員が安心して医師へ相談でき、早期に受診や業務調整へつながる状態をつくることが重要です。
申出率、面談完了率、申出から面談までの日数、医師意見への対応率、フォロー面談の完了率を確認しましょう。数値と実際の支援内容を組み合わせて評価することで、制度上の問題を特定しやすくなります。
面談実施率100%だけを目標にしない
高ストレス者への法定面接は、実施者が必要と認めた対象者本人の申出を前提とします。企業が面談を強制したり、申出をしない理由の提出を求めたりして、実施率100%を目指すことは適切ではありません。
企業が目指すべきなのは、面談の目的と情報共有の範囲を明示し、必要な人が安心して申し出られる状態です。法定面接を希望しない従業員には、通常の産業医相談、保健師面談、外部相談窓口なども案内しましょう。
面談件数ではなく支援につながったかを評価する
面談を実施しても、医師意見が業務調整へ反映されず、本人の状態が悪化しているのであれば、制度が機能しているとはいえません。面談後の対応まで含めて評価することが必要です。
申出から面談までの日数、意見書の受領日、措置開始日、再面談日を管理しましょう。措置後に勤怠や症状がどう変化したかも、本人のプライバシーを保護した範囲で確認し、次回の対応へ活かします。
産業医・保健師・人事・所属長の役割を分ける
産業医だけに面談前後の対応を任せると、日程調整や継続フォローが遅れる可能性があります。産業医は医学的評価と就業意見、保健師は事前相談やフォロー、人事は情報管理と措置の調整、所属長は具体的な業務変更を担当します。
役割分担表を作成し、各工程の期限と連絡先を記載しましょう。担当者の異動や退職時にも対応が止まらないよう、代行者と引継ぎ方法も決めておくことが重要です。
高ストレス者面談を不調予防へつなげた想定事例
高ストレス者面談の改善事例を参考にする際は、施策そのものではなく、どの課題を解決したかを確認することが重要です。企業規模や勤務形態が異なれば、同じ取組でも効果は変わります。
ここでは、企業が抱えやすい課題をもとにした想定事例を紹介します。自社で導入する場合は、対象者数、拠点、産業医の契約内容、社内の健康管理体制に合わせて調整してください。
多拠点の小売業でオンライン面談を導入した事例
全国に店舗を持つ小売業では、本社での対面面談に限定していたため、地方勤務者の申出が少なく、面談まで時間がかかっていました。そこで、各店舗の個室から参加できるオンライン面談を導入しました。
申出受付と日程管理を本社へ集約し、勤務情報提供書と医師意見書も統一しました。面談後の残業制限やシフト変更を共通手順で行い、店舗による対応差を抑えています。申出から面談までの日数も毎年度確認しています。
IT企業で産業医による事前説明を導入した事例
テレワーク中心のIT企業では、相談内容が会社へ伝わることへの不安から、面談の申出が少ないことが課題でした。そこで、産業医が守秘義務や情報共有の範囲を説明する動画を配信しました。
上司を経由しない専用フォームとオンライン面談枠も設け、面談後は保健師が本人をフォローする仕組みへ変更。必要に応じて残業制限や納期調整へつなげ、面談を受けやすい環境と、面談後の継続支援を同時に整備しました。
製造業で夜勤回数と担当工程を面談へ反映した事例
交替勤務のある製造業では、ストレスチェック結果だけを医師へ共有していたため、面談後の意見が抽象的になっていました。そこで、直近の残業時間、夜勤回数、連続勤務、担当工程をまとめた勤務情報提供書を導入しました。
医師意見には、夜勤制限、時間外労働の上限、担当工程の変更、措置期間を具体的に記載してもらう運用へ変更。所属長が実行すべき内容が明確になり、再面談で措置の効果を確認できる体制を整えました。
高ストレス者面談を運用する際の注意点
高ストレス者面談を不調予防へ活用する場合でも、個人結果や申出の取扱いを誤ってはいけません。制度への不信感が生じると、必要な従業員が面談や相談窓口を利用しにくくなります。
面談の強制、個人結果の無断取得、相談内容の過剰な共有、人事評価への利用を避けましょう。情報を閲覧できる担当者と、所属長へ共有する内容を事前に定めることが重要です。
個人結果を本人の同意なく取得しない
ストレスチェックの個人結果は、実施者から本人へ直接通知されます。企業が本人の同意なく結果を取得し、高ストレス者を特定して直接面談を勧める運用はできません。
制度の運用状況を確認する場合は、実施者から対象者数、申出者数、面談完了者数などの集計情報を受け取ります。少人数の部署では個人を推測される可能性があるため、十分な人数の集団で集計し、利用目的と閲覧者を限定しましょう。
面談の申出を強制しない
高ストレス者への法定面接指導は、本人からの申出に基づいて実施します。企業は利用を勧められますが、本人の意思に反して面談を強制したり、申出をしないことを理由に不利益な取扱いをしたりしてはいけません。
面談を希望しない場合も、高ストレス状態を放置しないため、通常の産業医相談、保健師面談、外部相談窓口などを案内しましょう。長時間労働や欠勤など、別の健康リスクがある場合は通常の健康管理ルートで対応します。
相談内容を必要以上に上司へ共有しない
医師へ相談した内容のすべてを上司へ共有する必要はありません。所属長へは、時間外労働の制限、夜勤の免除、担当業務の変更など、本人の健康を守るために実施すべき事項を中心に伝えます。
診断名、家庭事情、職場の人間関係など、業務調整に必要のない情報は共有しないようにしましょう。医師意見書の閲覧者、所属長へ伝える項目、記録の保存場所を社内規程へ明記します。
面談だけで診断や休職を決定しない
高ストレス者面談は、精神疾患の診断や休職者の選定を目的とする制度ではありません。医師が受診の必要性を認めた場合は医療機関へつなぎ、治療や診断は主治医が行います。
休職を検討する際は、主治医の診断書、産業医の意見、本人の状態、業務遂行能力、就業規則などを踏まえ、企業が総合的に判断します。面談を受けたことだけを理由に、一方的な休職や配置転換を行わないよう注意しましょう。
産業医クラウドで高ストレス者面談と不調予防の体制を構築
高ストレス者面談をメンタルヘルス不調予防へつなげるには、企業の業務を理解し、具体的な就業意見を示せる産業医が必要です。さらに、面談前の情報提供、保健師によるフォロー、職場環境改善、休復職支援まで連携できる体制が求められます。
産業医クラウドでは、企業の規模、業種、拠点数、勤務形態に合った産業医の選任支援に加え、産業保健師、ストレスチェック、高ストレス者面談、復職支援、衛生委員会などを一体的に支援しています。
面談後の業務調整が進まない、メンタルヘルス対応に詳しい産業医が見つからない、複数拠点の運用を統一したい場合は、お問い合わせフォームからご相談ください。支援内容や導入方法を確認したい場合は、資料請求もご活用いただけます。
高ストレス者面談とメンタルヘルス不調予防に関するよくある質問
高ストレス者面談を受ければ不調を防げますか?
高ストレス者面談を一度受けるだけで、すべてのメンタルヘルス不調を防げるわけではありません。ただし、本人が気づいていない症状や業務負荷を医師が確認し、早期に受診や業務調整へつなげることで、重症化を防げる可能性があります。
予防効果を高めるには、面談後の措置とフォローが必要です。医師意見を受け取るだけで終わらせず、残業や業務量を調整し、一定期間後に本人の状態を再確認しましょう。
高ストレス者は全員面談を受ける必要がありますか?
高ストレス者と判定された全員が、医師による面接指導を受けなければならないわけではありません。実施者が面接指導を必要と認め、本人から申出があった場合に、企業が医師による面接指導を実施します。
企業は面談の目的や利用方法を説明して申出を勧められますが、強制はできません。法定面接を希望しない場合には、通常の産業医相談、保健師面談、外部相談窓口など、別の支援先を案内しましょう。
面談を受けると必ず休職になりますか?
面談を受けたことだけで、休職が決まるわけではありません。医師は、症状、勤務状況、生活への影響などを確認し、通常勤務の継続、就業上の配慮、医療機関への受診などについて意見を示します。
症状や業務負荷に応じて、残業制限、夜勤免除、業務量の軽減などを行いながら勤務を続ける場合もあります。休職は、主治医の診断や産業医意見などを踏まえ、企業が総合的に判断します。
企業は高ストレス者を確認できますか?
ストレスチェックの個人結果は本人へ直接通知され、企業が結果を取得するには原則として本人の同意が必要です。企業が本人の同意なく高ストレス者を特定し、直接面談を勧めることはできません。
本人が法定面接を申し出た場合は、企業が面談を実施するために必要な情報を把握します。制度全体を評価する場合は、対象者数や申出者数など、個人を特定できない集計情報を利用しましょう。
面談を希望しない従業員にはどう対応しますか?
法定の面接指導を希望しない従業員に対して、企業が面談を強制することはできません。面談の目的、守秘義務、会社へ共有される情報を説明し、本人が判断できるようにします。
面接指導を申し出ない場合でも、高ストレス状態を放置しないことが重要です。通常の産業医相談、保健師面談、外部相談窓口、医療機関などを案内し、本人が利用しやすい支援方法を選べるようにしましょう。
面談後に状態が改善しない場合はどうしますか?
就業上の措置を行っても状態が改善しない場合は、産業医による再面談を行い、症状や勤務状況、措置の実施状況を確認します。業務負荷が十分に軽減されていないなど、新たな課題が見つかる場合もあります。
必要に応じて、残業制限の強化、担当業務の変更、医療機関への受診、休職などを検討します。自傷のおそれなど緊急性の高い状態では、通常の面談日を待たず、速やかに医療へつなげる必要があります。
まとめ|高ストレス者面談を法定対応で終わらせず不調予防へ活かす
高ストレス者面談は、従業員の心身の変化を早期に把握し、受診や就業上の措置へつなげる重要な機会です。ただし、面談だけでメンタルヘルス不調を防げるわけではありません。事前説明、申出窓口、勤務情報の提供、具体的な業務調整、継続フォローまでを一体的に整える必要があります。
さらに、個人への支援と集団分析による職場環境改善を並行して進めることで、既に不調の兆候がある従業員だけでなく、職場全体の予防にもつながります。
産業医クラウドでは、高ストレス者面談に対応できる産業医の選任支援から、ストレスチェック、産業保健師、面談後のフォロー、休復職支援まで幅広く提供しています。
自社のメンタルヘルス対策を見直したい場合は、お問い合わせフォームまたは資料請求をご検討ください。
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