高ストレス者面談で人事担当者が注意すべきこと|情報管理と面談後の対応を解説

高ストレス者面談を適切に運用するには、産業医へ面談を依頼するだけでなく、従業員への案内、申出の受付、勤務情報の準備、面談後の措置まで一貫して管理する必要があります。

特に注意したいのが、ストレスチェック結果や面談内容の取扱いです。情報共有の範囲を誤ると、「面談を申し出ると評価に影響する」と従業員に受け取られ、必要な支援につながらなくなる可能性があります。

本記事では、人事担当者が押さえるべき実務上の注意点を解説します。

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目次

高ストレス者面談における人事担当者の役割

人事担当者の役割は、高ストレス者を独自に特定し、面談を強制することではありません。ストレスチェックの実施者や産業医と連携し、本人が安心して面接指導を申し出られる環境を整えることが重要です。

申出後は、面談日程の調整、医師への勤務情報の提供、面接指導結果の受領、就業上の措置の検討などを進めます。制度全体の進行管理を担当しつつ、個人の健康情報には必要以上に立ち入らないという役割分担が求められます。

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人事担当者が混同しやすい3種類の情報

高ストレス者対応では、ストレスチェックの個人結果、医師による面接指導結果、産業医の詳細な面談記録を区別する必要があります。それぞれ保存する者や、会社へ共有される情報の範囲が異なるためです。

すべての情報を同じ人事フォルダで管理すると、閲覧権限のない担当者が健康情報へアクセスするおそれがあります。情報ごとに利用する目的、保存場所、管理責任者、閲覧できる担当者を設定しましょう。

ストレスチェックの個人結果

ストレスチェックの個人結果は実施者から本人へ直接通知され、本人の同意がなければ会社へ提供できません。人事担当者が高ストレス者の一覧を受け取り、対象者を独自に確認する運用は避ける必要があります。

本人が法令に基づく面接指導を申し出た場合は、必要なストレスチェック結果を会社へ提供することに同意したものとみなされます。ただし、申出によって人事担当者が回答内容のすべてを自由に閲覧できるわけではありません。

医師による面接指導結果

面接指導後、会社は医師から、就業上の措置が必要か、どのような措置を講じるべきかについて意見を聴きます。人事担当者は、通常勤務の可否、残業や夜勤の制限、業務調整、受診勧奨、再面談の必要性などを確認します。

会社が必要とするのは、安全に働くための判断材料です。診断名や具体的な相談内容ではなく、「何を、どの程度、いつまで制限するか」を把握し、実行可能な措置へ落とし込むことが重要です。

産業医が保有する詳細な面談記録

産業医の面談記録には、症状、治療状況、服薬内容、家庭事情、本人が話した悩みなど、詳細な健康情報が含まれることがあります。これらを人事担当者がすべて取得する必要はありません。

人事担当者が産業医へ確認するのは、勤務継続の可否や必要な就業上の配慮です。「面談で何を話したのか」「病名は何か」と詳細を求めるのではなく、会社が実施すべき対応に関する意見を受け取りましょう。

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高ストレス者面談で人事担当者が注意すべき9つのこと

高ストレス者面談では、通常の人事面談とは異なり、従業員の心身の状態に関する機微性の高い情報を扱います。担当者が制度を正しく理解していなければ、個人結果の不適切な閲覧や面談の強制、上司への過剰な情報共有が起こりかねません。

面談前の案内から面談後の措置まで、どの段階で誰が何を担当するかを明確にしましょう。ここでは、人事担当者が特に注意すべき項目を解説します。

1.本人の同意なく個人結果を確認しない

ストレスチェックの個人結果は、本人の同意を得ずに会社へ提供することが禁止されています。人事担当者が実施機関から高ストレス者の一覧を受け取り、本人へ直接連絡する運用は避けましょう。

面接指導の対象者への案内や申出勧奨は、個人結果を扱える実施者または実施事務従事者から行う体制を整えます。人事担当者は、案内文、受付窓口、面談を実施する医師など、制度を運用するための環境整備を担当します。

2.直接的な人事権を持つ者を実施事務から外す

対象となる従業員の解雇、昇進、異動などについて直接的な権限を持つ者は、個人結果を取り扱うストレスチェックの実施事務に従事できません。結果が人事判断へ流用されることを防ぐためです。

人事部門に所属していても、直接的な人事権を持たない担当者であれば、一定の実施事務に従事できる場合があります。役職名だけで判断せず、実際に持つ権限と担当する事務を確認し、社内規程へ役割を明記しましょう。

3.面接指導を受けるよう強制しない

高ストレス者への医師による面接指導は、本人の申出を受けて実施します。会社は面談制度を案内し、利用を勧めることはできますが、申出を強制したり、受けない理由を上司から繰り返し尋ねたりしてはいけません。

「評価には使用しない」「面談内容のすべてが会社へ伝わるわけではない」と説明し、本人が自ら判断できる環境を整えます。申出をしない従業員には、産業保健相談や外部相談窓口など、別の支援先も案内しましょう。

4.申出後の面談実施を遅らせない

本人から面接指導の申出があった場合は、速やかに医師へ依頼し、面談日時を調整します。産業医の定例訪問日まで長期間待たせると、その間に心身の状態が悪化する可能性があります。

あらかじめ申出の受付方法、面談担当医、日程調整の手順、オンライン面談の可否を決めておきましょう。状態の悪化や安全上の懸念が疑われる場合に、定例日を待たず医師へ相談できる緊急連絡経路も必要です。

5.面談に必要な勤務情報を客観的に整理する

医師が就業上の意見を示すには、本人への聞き取りだけでなく、会社から提供される勤務情報が必要です。労働時間、休日勤務、深夜業、欠勤・遅刻、担当業務、異動、役割変更などを整理しましょう。

「最近元気がない」といった上司の印象だけでなく、勤怠記録や業務分担表など、客観的な資料を用意します。運転、機械操作、高所作業など、集中力の低下が事故につながる業務についても具体的に伝えることが重要です。

6.面談内容の詳細を産業医へ求めない

人事担当者が把握すべきなのは、従業員が面談で話した内容ではなく、会社が講じるべき措置です。診断名、治療内容、家庭事情などを一律に報告するよう産業医へ求めることは避けましょう。

産業医からは、勤務を続けられるか、残業や夜勤の制限が必要か、業務量をどの程度調整するか、医療機関への受診が必要かといった意見を受け取ります。健康情報の収集は、措置を実施するために必要な範囲へ限定してください。

7.抽象的な医師意見をそのままにしない

意見書に「業務上の配慮を要する」とだけ記載されていても、上司は具体的な対応を判断できません。人事担当者は、制限する業務、残業時間の上限、措置期間、再面談の時期を産業医へ確認しましょう。

例えば、「1か月間は残業禁止」「夜勤を停止し、2週間後に再面談」と具体化します。会社で実施できない措置が示された場合は、独自に変更するのではなく、職場の事情を産業医へ説明して代替案を検討します。

8.面談の申出を不利益な取扱いにつなげない

面接指導を申し出たことや、ストレスチェック結果の提供に同意しなかったことを理由に、解雇、雇止め、退職勧奨、不当な配置転換などを行ってはいけません。

健康確保のために担当業務を変更する場合も、必要性、期間、元の業務へ戻す条件を本人へ説明します。面談を受けた事実や残業制限そのものを、能力不足や勤務態度の問題として人事評価へ反映しないよう、評価担当者や管理職にも周知しましょう。

9.上司へ共有する情報を必要最小限にする

面談後の措置を実施するため、直属の上司へ一定の情報を伝える必要があります。ただし、面接指導結果報告書や医師の意見書を、そのまま上司へ渡す運用は避けましょう。

上司には、「残業を禁止する」「夜勤から外す」「担当件数を減らす」など、現場で実行する内容だけを伝えます。誰に、いつ、何を共有したかも記録し、本人の診断名や具体的な相談内容が職場へ広がらないよう管理します。

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高ストレス者面談を適切に進める7つの手順

高ストレス者面談を円滑に進めるには、対象者が出てから対応を考えるのではなく、ストレスチェックの実施前に役割と手順を定めておく必要があります。

衛生委員会等で実施方法を審議し、申出の受付から面談後の再評価までを文書化しましょう。担当者が交代しても同じ対応を継続できるよう、次の7つの手順を社内の運用フローへ組み込みます。

1.実施体制と社内ルールを決める

ストレスチェックの実施者、実施事務従事者、制度を管理する人事担当者、面接指導を行う医師を決めます。高ストレス者の選定基準、結果の保存方法、申出窓口、面談後の措置についても衛生委員会等で審議しましょう。

決定事項は社内規程や実施計画として文書化します。担当者名を記載しにくい場合は、職名や部署名で特定できる形にし、誰が個人情報を取り扱うのかを従業員へ周知してください。

2.面談の目的と情報の流れを周知する

従業員には、高ストレス者面談が人事評価や不調者の選別を目的としたものではなく、健康状態の悪化を防ぐための制度であることを説明します。

面談を申し出た場合に会社が把握する情報、産業医から会社へ提供される内容、上司へ共有する範囲も案内しましょう。申出の有無を理由に不利益な取扱いをしないことを明示すれば、従業員が制度を利用する際の心理的な負担を軽減できます。

3.申出の受付から面談までの流れを整える

申出先、受付方法、必要書類、担当医、面談場所を事前に決めます。申出内容を上司経由で受け付けると、本人が利用をためらう可能性があるため、人事・産業保健部門へ直接連絡できる窓口を用意しましょう。

申出を受けたら、本人へ日程や面談方法を案内し、産業医へ必要な情報を送ります。日程調整の進捗も管理し、申出が担当者のメールボックスで止まらない仕組みを整えてください。

4.面談前に勤務情報を産業医へ提供する

面談前には、労働時間、休日・深夜勤務、欠勤状況、担当業務、作業負荷、職場環境などを産業医へ提供します。異動や昇進、繁忙期など、ストレス状態の変化に関係する出来事も整理しましょう。

提供する資料には、人事評価とは切り分けた客観的な情報を使用します。産業医が業務の実態を理解できれば、単に「配慮が必要」とするのではなく、制限すべき作業や期間まで具体的な意見を示しやすくなります。

5.医師の意見を具体的な措置へ落とし込む

面談後は、医師から就業上の措置の必要性と具体的な内容について意見を聴きます。通常勤務、残業制限、業務軽減、配置上の配慮、受診勧奨、休業など、どの対応が必要かを確認しましょう。

意見が抽象的な場合は、対象業務、措置期間、再評価日を産業医へ確認します。人事担当者が医学的な内容を推測して補わず、現場で実行できる内容になるまで産業医とすり合わせることが重要です。

6.本人の意見を聴いて会社が措置を決める

会社が就業上の措置を決める際は、あらかじめ本人の意見を聴き、措置の理由、実施内容、期間、上司へ共有する情報を説明します。

本人が反対する場合は、収入、人事評価、周囲への説明など、何を不安に感じているかを確認しましょう。必要に応じて産業医にも説明を依頼し、制限を行わない場合の健康上・安全上のリスクや、代替できる措置を検討します。

7.再面談と職場環境の改善まで継続する

就業上の措置を実施したら、再面談日を設定し、本人の状態、勤怠、業務遂行状況を確認します。改善している場合も、制限を一度に解除せず、労働時間や業務量を段階的に戻す方法を検討しましょう。

高ストレス者が同じ部署で複数発生している場合は、個人だけの問題として終わらせず、集団分析、業務配分、長時間労働、管理職の支援体制なども見直します。

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人事担当者が用意しておきたい実務チェック項目

高ストレス者面談の対応を属人化させないため、実施前・面談前・面談後の確認項目を一覧化しておきましょう。少なくとも、申出窓口、面談担当医、勤務情報の様式、意見書の受領方法、措置の決裁者、上司への共有方法、再面談日の管理が必要です。

あわせて、緊急時の連絡先、担当者不在時の代行者、記録の保存場所も決めます。年に一度、衛生委員会等で運用上の問題を確認し、案内文や手順書を更新することが重要です。

高ストレス者面談から職場改善につなげた運用例

例えば、面談を申し出ると上司へ相談内容が伝わると思われ、申出者が少なかった企業では、案内文と受付方法の見直しが必要です。

面談の目的、不利益な取扱いをしないこと、会社へ伝わる情報の範囲を案内文へ明記し、申出先を上司経由から産業保健担当者へ変更します。さらに、面談後の措置と再評価日を台帳で管理することで、従業員の安心感と人事担当者の対応精度を高められます。

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高ストレス者面談の運用課題は産業医クラウドへご相談ください

高ストレス者面談を適切に運用するには、メンタルヘルスに関する知識だけでなく、企業の業務内容を理解し、具体的な就業上の措置を提案できる産業医との連携が欠かせません。

産業医クラウドでは、企業の課題に合った産業医の選任に加え、従業員面談、ストレスチェック、衛生委員会の運営、休職・復職対応、各種マニュアルの整備などを支援しています。

面談後の対応が人事担当者任せになっている、産業医から具体的な意見を得られないといった場合は産業医クラウドお問い合わせフォームから相談できます。自社に必要な支援内容や導入方法を比較したい企業は、資料請求もご活用ください。

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高ストレス者面談と人事担当者の対応に関するよくある質問

高ストレス者面談では、誰が対象者を把握できるのか、面談を希望しない従業員へどこまで働きかけられるのかなど、人事担当者が判断に迷う場面があります。

情報を保護するだけで必要な支援を止めるのではなく、担当者が扱える範囲を理解したうえで、実施者や産業医と連携することが重要です。ここでは、実務で生じやすい疑問を解説します。

人事担当者は誰が高ストレス者か確認できますか?

ストレスチェックの個人結果は、本人の同意がない限り会社へ提供されません。そのため、人事担当者が高ストレス者の一覧を受け取り、対象者を独自に確認することはできません。

本人が法令に基づく面接指導を申し出た場合は、会社が申出者を把握します。ただし、人事担当者が扱う情報は、面談の手配、勤務情報の提供、面談後の措置に必要な範囲へ限定し、質問票への回答などを必要なく閲覧しないようにしましょう。

人事担当者から面接指導を勧めてもよいですか?

高ストレス者へ面接指導の利用を勧めることは可能ですが、対象者の個人結果を扱える者から案内する必要があります。本人の同意なく対象者を知った人事担当者が、直接面談を勧める運用は避けましょう。

申出勧奨は、実施者または実施事務従事者から行う体制を整えます。人事担当者は案内文や申出窓口を準備し、面談を申し出なかったことを理由に評価や配置で不利益を与えないことが重要です。

面接指導を希望しない従業員にはどう対応しますか?

高ストレス者への医師による面接指導は、本人の申出に基づいて実施するため、会社が強制することはできません。面談を希望しない理由を上司から繰り返し聞く対応も避けましょう。

制度の目的、情報共有の範囲、不利益な取扱いをしないことを改めて説明し、産業保健スタッフへの相談や社外相談窓口など、別の支援先を案内します。客観的な勤務上の問題がある場合は、別の健康管理面談を検討します。

産業医から人事担当者へ何が共有されますか?

産業医から会社へ共有されるのは、健康を守るために必要な就業上の意見です。通常勤務の可否、残業・夜勤の制限、業務調整、医療機関への受診、再面談の必要性などが中心となります。

診断名、服薬内容、家庭事情、面談で話した悩みのすべてが共有されるわけではありません。人事担当者も詳細な面談内容を求めず、「どのような措置を、いつまで実施するか」を確認しましょう。

直属の上司へ面談結果を共有してもよいですか?

上司には、就業上の措置を実施するために必要な情報だけを共有します。面談結果報告書や産業医の意見書を、そのまま渡す必要はありません。

例えば、「1か月間は残業を禁止する」「夜勤から外す」「顧客対応件数を減らす」といった実施内容を伝えます。診断名や本人の相談内容は共有せず、措置の期間、勤怠の確認方法、状態変化があった場合の連絡先まで伝えましょう。

面談結果を人事評価に反映してもよいですか?

面接指導を申し出たことや、ストレスチェック結果の提供に同意しなかったことを、人事評価で不利に扱うことはできません。健康確保のために残業や担当業務を制限したこと自体も、能力不足と評価しないよう注意が必要です。

実際の勤務実績を評価する場合も、健康上の措置による制限と本人の能力・行動を区別します。評価者には必要以上の健康情報を伝えず、不利益な取扱いを防ぐルールを周知しましょう。

面接指導結果の記録は何年間保存しますか?

医師による面接指導結果は、会社が記録を作成し、5年間保存する必要があります。記録には、面接指導日、対象者と医師の氏名、勤務状況、心身の状況、医師の意見などを含めます。

一般の人事評価資料とは分け、閲覧できる担当者を限定して保存してください。対象者が異動・休職・退職した後も保存期間中は管理を続け、担当者の交代時には記録の所在と継続中の措置を引き継ぎます。

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まとめ|人事担当者は情報管理と面談後の措置を仕組み化する

高ストレス者面談で人事担当者が注意すべきことは、本人の同意なく個人結果を閲覧しないこと、面談を強制しないこと、健康情報を必要以上に共有しないことです。人事権を持つ者と、個人結果を取り扱う実施者・実施事務従事者の役割も明確に分けましょう。

面談後は、産業医の意見を保存するだけでなく、本人への説明、就業上の措置、上司への共有、再面談まで継続して管理する必要があります。

高ストレス者面談の実施体制や情報管理、面談後の対応に課題がある企業は、産業医クラウドお問い合わせフォームからご相談いただき、自社に必要な支援体制を確認しましょう。

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株式会社Avenir株式会社メンタルヘルステクノロジーズ(東証グロース9218)の100%子会社です。
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監修:刀禰真之介(株式会社メンタルヘルステクノロジーズ代表取締役社長、株式会社Avenir代表取締役社長)