産業医面談を実施したものの、「意見書を受け取った後に何をすればよいのか分からない」「本人や上司へどこまで伝えるべきか迷う」と悩む人事担当者は少なくありません。
産業医面談は、面談を行うこと自体が目的ではなく、医師の意見をもとに必要な就業上の措置を決定し、従業員の健康状態を継続的に確認することが重要です。
本記事では、産業医面談後に人事担当者が行うべき対応を、意見書の確認、本人・所属長への説明、業務調整、再面談、情報管理の流れに沿って解説します。
産業医面談後は意見書の受領から再評価まで一貫して対応する
産業医面談を実施しても、「意見書を受け取った後の対応が分からない」「上司へ何を共有すべきか迷う」「業務制限を決めたまま見直せていない」という企業は少なくありません。
産業医面談の目的は、従業員と医師が話すことではなく、健康状態と勤務状況に応じた支援へつなげることです。人事担当者は、産業医意見の確認、本人との協議、就業上の措置、所属長への共有、再面談までを一つのプログラムとして管理する必要があります。
産業医面談後に人事担当者が果たす役割
産業医は、心身の状態と勤務状況を評価し、就業上の配慮について医学的な意見を示します。一方、産業医の意見を踏まえて、実施する措置を最終的に決定するのは企業です。
人事担当者は、産業医意見を実際の業務調整へ落とし込み、本人と所属長の間を調整します。また、健康情報の共有範囲を限定し、措置の実施状況と再評価の時期を管理する役割も担います。産業医へすべての判断を任せないことが重要です。
産業医は医学的評価と就業上の意見を示す
産業医は、従業員の症状、睡眠、疲労、受診状況などに加え、労働時間、業務量、勤務形態、職場の支援状況を確認します。そのうえで、通常勤務の可否や必要な就業上の措置について企業へ意見を示します。
産業医の役割は、配置転換や休職を最終決定することではありません。医学的な観点から、どのような働き方であれば健康を守れるかを助言する立場です。
人事担当者は意見を実行可能な措置へ落とし込む
人事担当者は、産業医意見、本人の意向、業務内容、職場の受入体制、就業規則を確認し、企業として実施する措置を検討します。
例えば、「業務負担へ配慮する」という意見を、残業禁止、夜勤免除、担当案件の削減、期限の見直しなどへ具体化します。判断に必要な情報が不足している場合は、人事担当者が推測せず、産業医へ追加確認することが重要です。
所属長は現場で就業上の措置を実行する
所属長は、人事部門が決定した残業制限、業務変更、出張免除などを現場で実施します。措置を伝えるだけではなく、担当業務、納期、人員配置、引継ぎ方法まで具体的に見直す必要があります。
所属長へは、病名や面談内容ではなく、業務管理に必要な配慮事項だけを共有します。措置が実行できない場合は、所属長だけで判断せず、人事担当者へ速やかに相談する運用を整えましょう。
主治医は診断と治療を担当する
主治医は、病気の診断、治療、服薬、療養について判断します。一方、産業医は主治医の診断書や勤務情報を踏まえ、現在の職場でどのような働き方が可能かを評価します。
人事担当者は、主治医の「復職可能」という診断だけで通常勤務へ戻すのではなく、産業医意見と職場の受入体制も確認します。主治医へ追加情報を求める場合は、本人へ目的を説明し、同意を得たうえで進めましょう。
産業医面談後に最初に確認すべき3つの事項
産業医面談後は、すぐに業務変更を決めるのではなく、面談区分、緊急度、産業医意見の具体性を確認します。特に、緊急性が高いケースでは、通常の社内調整よりも本人の安全確保を優先しなければなりません。
法定面接か任意面談かによって、必要な手続きや保存する記録も異なります。人事担当者が確認する項目をチェックリスト化し、担当者による対応差を防ぎましょう。
法定面接か任意の産業医面談かを確認する
高ストレス者や長時間労働者に対する一定の面接指導は、労働安全衛生法に基づく法定対応です。企業は面接指導後、医師の意見を聴き、必要な就業上の措置を検討します。
一方、通常の健康相談、メンタルヘルス相談、休職・復職面談などは、法定面接とは異なる目的で実施される場合があります。面談の区分を記録し、必要な書類、対応期限、保存方法を整理しましょう。
緊急対応が必要な状態かを確認する
産業医から、自傷のおそれ、強い抑うつ状態、意識状態の異常、勤務継続が危険であるなどの連絡を受けた場合は、通常の人事面談を待たず、安全確保を優先します。
本人を一人にしない、家族や緊急連絡先へ連絡する、医療機関や救急機関へつなぐなど、産業医の指示に沿って対応しましょう。緊急時に誰が何を行うかを、事前にフロー化しておくことが重要です。
産業医意見が具体的に記載されているか確認する
意見書では、通常勤務、就業制限、休業などの区分に加え、残業、夜勤、出張、担当業務、受診、措置期間、再評価時期を確認します。
「無理をさせない」「業務量に配慮する」だけでは、企業は具体的な対応を決められません。残業時間の上限や避けるべき業務など、現場が行動できる粒度まで産業医へ確認しましょう。
産業医面談後に企業が抱えやすい6つの課題
産業医面談後の対応では、意見書が抽象的、最終決定者が不明、本人への説明が不足しているなどの問題が生じます。面談を実施しただけで法令対応や健康管理が完了したと考えてはいけません。
人事担当者は、意見書受領から再評価までのどの段階で対応が止まっているかを確認しましょう。担当者、期限、記録方法を決めることで、属人的な運用を防げます。
意見書を受け取ったまま対応が止まる
産業医から意見書を受領しても、誰が内容を確認し、誰が措置を決定するかが決まっていなければ、対応は進みません。メールや共有フォルダに保存したまま、本人への支援が遅れる場合もあります。
意見書の受領者、確認期限、措置の決定者を明確にしましょう。受領日と対応状況を管理台帳へ登録し、一定期間動きがない案件を自動的に確認できる仕組みも有効です。
産業医意見をそのまま最終決定として扱う
産業医が就業制限や休業を提案しても、その意見だけで配置転換や休職を機械的に決定することは適切ではありません。産業医は医学的意見を示す立場であり、最終的な人事判断は企業が行います。
本人の希望、業務遂行状況、主治医の診断、職場の受入体制、就業規則を確認しましょう。提案どおりの措置が難しい場合は、代替案を産業医へ相談します。
本人へ十分に説明せず措置を決定する
本人への説明がないまま残業禁止や業務変更を行うと、従業員が人事評価の低下や処分と受け取る可能性があります。不信感が生じれば、産業医面談や会社の支援を拒否することにもつながります。
措置の目的、内容、期間、給与や勤怠への影響、再評価方法を具体的に説明しましょう。本人の希望を確認し、実行可能な方法を話し合うことが重要です。
所属長へ健康情報を共有し過ぎる
所属長が業務を調整するために、診断名、服薬内容、家庭事情、面談での具体的な発言を知る必要は通常ありません。過度な情報共有は、職場での詮索や偏見につながるおそれがあります。
所属長には、残業禁止、夜勤免除、担当変更など、実施すべき措置だけを伝えます。共有する内容と閲覧者を必要最小限に限定しましょう。
措置を決めても実際の業務量が変わらない
残業を禁止しても、担当案件や納期が変わらなければ、本人が持ち帰り作業をしたり、短時間で同じ仕事を終えようとして負担が増えたりする可能性があります。
措置を実施する際は、業務量、担当者、期限、会議、顧客対応まで見直しましょう。人事担当者は勤怠だけでなく、実際の業務分担が変更されているかを確認する必要があります。
措置の解除時期や再面談日を決めていない
終了時期を決めずに勤務制限を続けると、必要以上に措置が長期化する可能性があります。一方、繁忙を理由として、産業医の確認なく早期に解除することも適切ではありません。
措置を決定する際に、開始日、終了予定日、再評価日を設定しましょう。産業医による再面談を行い、状態に応じて継続・変更・解除を判断します。
産業医面談後に人事担当者が行う7つの対応手順
産業医面談後の対応は、意見書の受領、緊急度の確認、本人への説明、措置の決定、所属長への共有、実施状況の確認、再評価という順序で進めます。
各工程には担当者と期限を設定し、対応履歴を管理しましょう。面談の種類にかかわらず、同じ基本フローを使用し、法定面接では必要な記録と保存期間を追加する方法が有効です。
手順1.報告書・意見書を受領して台帳へ登録する
産業医面談後は、報告書や意見書を受領し、面談日、面談区分、産業医名、意見書受領日、対応の緊急度を管理台帳へ登録します。
法定の面接指導では、医師からの意見聴取を遅滞なく行う必要があります。提出予定日を過ぎても意見書が届かない場合は、産業医や委託先へ確認し、対応が止まらないようにしましょう。
手順2.意見内容と不足項目を確認する
意見書に記載された就業区分、残業、夜勤、出張、業務内容、受診の必要性、措置期間、再評価時期を確認します。
不足する項目がある場合は、産業医へ追加質問を行います。人事担当者が医学的な意味を推測したり、所属長へ判断を委ねたりしてはいけません。必要に応じて、産業医・人事間の短時間の打合せを設定しましょう。
手順3.本人へ産業医意見と検討内容を説明する
本人との面談では、産業医へ何を話したかを問い詰めるのではなく、会社が把握した就業上の意見と、検討している措置を説明します。
措置の目的、期間、勤務時間、担当業務、給与・評価への影響、相談窓口を伝えましょう。本人が希望する支援や懸念点を確認し、産業医意見と大きく異なる場合は再度産業医へ相談します。
手順4.企業として就業上の措置を決定する
産業医意見、本人の意向、職場の受入体制、就業規則を踏まえて、企業が実施する措置を決定します。
措置には、残業制限、夜勤免除、出張制限、業務軽減、配置変更、在宅勤務、受診勧奨、休職などがあります。決定内容には、開始日、終了予定日、対象業務、再評価日を設定し、書面で整理しましょう。
手順5.所属長へ必要な措置だけを共有する
所属長には、本人の病名や相談内容ではなく、業務管理に必要な配慮事項を伝えます。「1か月間は残業禁止」「顧客からの緊急連絡へ対応させない」など、具体的な内容へ落とし込みましょう。
あわせて、措置の期間、本人への接し方、業務上確認すべき変化、人事部門への報告時期を説明します。周囲へ説明する場合の表現も決めておきます。
手順6.措置が実施されているか確認する
措置開始後は、勤怠、担当業務、業務量、休暇取得状況を確認します。残業制限を行った場合は、終業後のメール対応や持ち帰り作業が発生していないかも確認しましょう。
本人と所属長の双方から状況を聴き、措置が実行できていない場合は原因を整理します。人員不足や納期が原因であれば、部署全体の業務調整が必要です。
手順7.産業医の再面談で措置を見直す
再評価日には、産業医が本人の症状、勤務状況、措置の効果を確認します。改善していれば段階的な解除、改善が不十分であれば措置の継続・変更や医療機関への受診を検討します。
通常勤務へ戻す際も、人事担当者だけで判断しないことが重要です。変更内容、決定理由、次回確認日を記録し、本人と所属長へ共有しましょう。
産業医意見に応じて検討する主な就業上の措置
就業上の措置は、従業員を仕事から外すことが目的ではありません。心身の状態が悪化しない範囲で、安全に就業を継続できる環境を整えることが目的です。
必要以上に強い制限を行うのではなく、健康状態に応じた措置を選び、一定期間後に見直しましょう。複数の措置を組み合わせる場合も、本人へ目的と優先順位を説明します。
労働時間・夜勤・出張を制限する
長時間労働や睡眠不足が健康状態へ影響している場合は、時間外労働の禁止・上限設定、深夜勤務の免除、連続勤務の回避、出張の制限などを検討します。
「残業を減らす」という曖昧な指示ではなく、1日・1週・1か月単位の上限を設定しましょう。勤務時間外のメールや電話対応についても、所属長とルールを共有します。
業務量・責任範囲・納期を調整する
業務負荷が不調へ影響している場合は、担当案件の削減、納期変更、顧客対応の免除、責任範囲の縮小などを検討します。
単に仕事を取り上げると、本人が評価低下やキャリアへの影響を不安に感じる可能性があります。措置の目的、実施期間、再評価後の戻し方を説明し、本人と相談しながら進めましょう。
勤務場所や配置を変更する
通勤負担や職場環境が健康状態へ影響している場合は、在宅勤務、勤務場所の変更、配置転換などを検討します。
配置転換は本人への影響が大きいため、産業医意見だけで機械的に決めてはいけません。変更後の業務内容、本人の経験、受入部署の環境を確認し、異動後にも面談とフォローを行います。
医療機関への受診を勧める
産業医面談で治療が必要と判断された場合は、精神科、心療内科、内科などへの受診を勧めます。産業医面談は、通常、病気の診断や治療を行う場ではありません。
本人へ受診を命令するだけでなく、受診が必要な理由、利用できる休暇制度、診断書の提出方法を説明しましょう。受診結果のすべてを会社へ報告させる運用は避けます。
休職を含む療養を検討する
就業を継続することで健康状態が悪化するおそれがある場合は、休職を含む療養を検討します。ただし、産業医面談の結果だけで直ちに休職を決定するものではありません。
主治医の診断書、産業医意見、本人の状態、業務遂行状況、就業規則を確認します。
休職を決定する場合は、期間、給与・社会保険、連絡方法、復職手続きを本人へ説明しましょう。
産業医面談後の情報共有と記録管理
産業医面談後の健康情報は、就業上の措置を実施するために必要な範囲で利用します。関係者を増やせば安全になるわけではなく、過度な共有は従業員のプライバシーを侵害するおそれがあります。
人事担当者は、情報の利用目的、閲覧者、保存場所、保存期間、廃棄方法を決めましょう。個人の健康情報と、所属長が必要とする業務上の情報を分けることが重要です。
健康情報を就業配慮へ必要な内容に置き換える
所属長へ「うつ病である」「服薬している」と伝えるのではなく、「4週間は時間外労働と緊急顧客対応を避ける」など、必要な業務配慮へ置き換えて共有します。
産業医から受け取った情報についても、全内容をそのまま転送してはいけません。誰がどの情報を必要とするかを確認し、業務調整に不要な情報を削除しましょう。
面談記録と意見書の閲覧者を限定する
面談記録や意見書を、一般の人事ファイルや閲覧制限のない共有フォルダへ保存することは避けます。健康情報管理責任者を決め、権限を持つ担当者だけが閲覧できる環境へ保管しましょう。
法定の面接指導では、結果の記録を5年間保存する必要があります。任意面談についても、利用目的に応じた保存期間と廃棄方法を社内規程へ定めます。
所属長や同僚への説明方法を決める
所属長には、実施する措置、期間、人事へ報告する事項を説明します。同僚へ業務変更を説明する場合は、「業務分担を見直す」などの業務上の説明にとどめましょう。
本人の同意なく、病名、産業医面談の利用、休職理由などを周囲へ伝えてはいけません。本人から説明を希望する範囲がある場合も、人事担当者が内容を確認します。
産業医面談後の対応を成功させる5つのポイント
面談後の対応を成功させるには、意見書の受領数ではなく、必要な措置が実際に行われ、従業員の状態が改善したかを確認する必要があります。
産業医、人事担当者、所属長の役割を明確にし、本人へ措置の目的を説明しましょう。また、再評価日を必ず設定し、対応結果を数値で振り返ることが重要です。
措置内容を具体的な行動へ落とし込む
「配慮する」「負担を減らす」といった表現だけでは、所属長は対応できません。残業時間、担当案件、出張、夜勤、期限など、実際に変更する事項を明確にしましょう。
措置内容は書面へ整理し、本人、人事担当者、所属長の認識をそろえます。実施が難しい項目がある場合は、開始前に産業医へ代替案を相談します。
措置の目的と期間を本人へ説明する
勤務制限は、能力不足への処分ではなく、健康を守り安全に働くための対応であることを説明します。目的が伝わらなければ、本人が不利益な取扱いと感じる可能性があります。
開始日、終了予定日、再評価日、相談窓口を明示しましょう。給与や勤務制度に影響する場合は、就業規則に基づいて具体的に説明します。
所属長の業務調整を人事部門が支援する
所属長へ措置を伝えるだけでは、担当業務を誰へ移すか、納期をどう変えるか判断できない場合があります。管理職自身が過重な負担を抱えているケースもあります。
人事担当者は、人員配置、応援要員、業務の優先順位を所属長と調整しましょう。必要に応じて、産業医から措置の医学的な目的を説明してもらいます。
再評価日を措置開始時に決める
就業制限を開始してから再面談日を考えるのではなく、措置決定時に再評価の時期を設定します。期限を決めることで、必要以上の長期化や早過ぎる解除を防げます。
本人の状態に応じて、2週間後、1か月後などに人事面談や産業医面談を設定しましょう。緊急度が高い場合は、より短い間隔で確認します。
対応結果を数値で振り返る
面談後の運用は、意見書受領までの日数、措置決定までの日数、措置実施率、再面談完了率などで評価できます。
加えて、措置後の残業時間、欠勤、本人の負担感なども確認しましょう。半年または1年ごとに振り返り、産業医との契約内容、意見書の様式、社内フローを改善します。
産業医面談後の対応に関する想定事例
面談後の対応は、従業員の状態や業務によって異なります。他社の事例をそのまま当てはめるのではなく、産業医意見をどのように具体化し、本人・所属長と調整したかを参考にしましょう。
ここでは、長時間労働者、高ストレス者、復職者を想定し、人事担当者が行う対応を紹介します。
長時間労働者の残業と顧客対応を制限した事例
長時間労働が続き、睡眠不足と強い疲労を訴えた従業員へ産業医面談を実施しました。産業医からは、1か月間の残業禁止と、夜間の顧客対応を外す意見が示されました。
人事担当者は本人へ目的を説明し、所属長と案件を再配分しました。2週間後に勤怠を確認し、1か月後の再面談で改善を確認したうえで、残業上限を段階的に緩和しました。
高ストレス者の業務量と相談機会を見直した事例
高ストレス者面談で、複数案件の同時進行と、上司へ相談できない状態が確認されました。産業医からは、担当案件の削減と定期的な進捗確認が提案されました。
人事担当者は面談での発言内容を所属長へ伝えず、業務量を見直す必要性だけを共有しました。案件数を減らし、週1回の短時間面談を設定した結果、再面談時には睡眠と負担感の改善が確認されました。
復職者の勤務時間を段階的に戻した事例
メンタルヘルス不調から復職する従業員について、産業医から短時間勤務、残業禁止、対外折衝の制限が提案されました。
人事担当者は復職支援プログラムを作成し、本人と所属長へ勤務条件を説明しました。2週間ごとの人事面談と1か月後の産業医面談を設定し、状態を確認しながら勤務時間と担当業務を段階的に通常へ戻しました。
産業医面談後の対応で注意すべき4つのこと
産業医面談後の対応では、従業員の健康確保を目的とし、面談を受けたことを理由とした不利益な取扱いや、必要以上の情報共有を避けなければなりません。
産業医の意見と人事判断を分け、本人の状態に応じて必要な支援を行いましょう。健康配慮を名目として、懲戒や退職勧奨を進めることは適切ではありません。
面談結果だけで休職や配置転換を決めない
産業医から就業制限の意見が示されても、直ちに休職や配置転換を行うとは限りません。本人の希望、主治医の診断、業務遂行状況、職場の受入体制を確認します。
複数の措置が考えられる場合は、健康を守れる範囲で本人への影響が小さい方法から検討しましょう。判断に迷う場合は、産業医へ段階的な措置を相談します。
面談を理由とした不利益な取扱いを行わない
高ストレス者が面接指導を申し出たことや、産業医面談を受けたことを理由として、解雇、退職勧奨、不当な降格などを行ってはいけません。
健康確保のための就業措置と、人事評価や懲戒は分けて判断します。勤務内容を変更する場合は、産業医意見との関係や措置の必要性を記録へ残しましょう。
産業医へ人事判断を委ね過ぎない
産業医は、医学的に必要な就業配慮を示す立場です。異動先の指定、降格の必要性、雇用継続の可否など、人事上の最終判断を産業医へ求めることは適切ではありません。
企業は医学的意見を踏まえ、就業規則、業務内容、本人の意向を確認して決定します。役割を分けることで、産業医の中立性も保ちやすくなります。
本人の同意なく主治医へ連絡しない
休職・復職支援では、主治医から勤務上の配慮に関する情報を得る必要が生じる場合があります。ただし、人事担当者や産業医が本人の同意なく、安易に主治医へ連絡することは避けましょう。
本人へ情報提供の目的と確認項目を説明し、同意を得たうえで進めます。診療情報全般ではなく、就業継続や復職判断に必要な項目へ限定して照会しましょう。
産業医クラウドで面談後の人事対応まで一体的に支援
産業医面談後は、医学的な意見を具体的な就業上の措置へ変換し、本人や所属長と調整する必要があります。面談だけを依頼しても、人事担当者が意見書を読み解けず、その後の対応が止まるケースがあります。
産業医クラウドでは、企業の課題に合った産業医の紹介に加え、従業員面談、ストレスチェック、産業保健師によるフォロー、休職・復職支援、衛生委員会の運営などを一体的に相談できます。
「産業医の意見を業務調整へ落とし込めない」「休復職支援が担当者ごとに異なる」「面談後の再評価まで管理したい」という企業は、産業医クラウドへお問い合わせください。支援内容や導入方法を確認したい場合は、資料請求もご活用いただけます。
産業医面談後の対応に関するよくある質問
産業医面談の内容は人事担当者へすべて共有されますか?
産業医面談で従業員が話した内容のすべてが、人事担当者へ共有されるわけではありません。企業へ共有する情報は、従業員の健康確保や就業上の措置を検討するために必要な範囲へ限定します。
産業医は、面談内容を残業制限、業務変更、受診の必要性などへ整理して伝えます。人事担当者も、所属長へ共有する情報をさらに必要最小限へ絞りましょう。
産業医の意見には必ず従う必要がありますか?
産業医の意見を無条件にそのまま実施しなければならないという意味ではありません。しかし、医学的な意見を合理的な理由なく無視し、何も対応しないことも適切ではありません。
提案された措置が実施できない場合は、健康確保の目的を満たす代替措置を産業医へ相談しましょう。企業として検討した内容と決定理由を記録することも重要です。
産業医面談後は本人とも話し合う必要がありますか?
就業上の措置を検討する場合は、本人へ産業医意見の趣旨と企業が検討している対応を説明し、本人の意向を確認することが重要です。
説明なく残業制限や配置変更を行うと、処分や評価低下と受け取られる可能性があります。措置の目的、期間、給与・勤怠への影響、再評価方法を具体的に伝えましょう。
所属長にはどこまで情報を伝えればよいですか?
所属長には、残業禁止、夜勤免除、出張制限、担当業務の変更など、実際に行う措置を伝えます。診断名、服薬内容、家庭事情、面談での発言など、業務調整に不要な情報は共有しません。
あわせて、措置の期間、本人への接し方、人事部門へ報告する事項を説明しましょう。周囲の従業員への説明方法も決めておく必要があります。
産業医面談後はいつまでに対応すべきですか?
高ストレス者や長時間労働者への法定面接指導では、医師からの意見を遅滞なく聴き、必要な措置を検討します。緊急性が高い場合は、通常の期限を待たずに対応しなければなりません。
任意の産業医面談についても、意見書受領後の標準対応日数を社内で決めましょう。面談結果を放置しない管理体制が重要です。
産業医面談後の記録は何年間保存しますか?
法定の高ストレス者面接指導などでは、面談実施日、医師名、勤務状況、心身の状態、医師意見などを含む記録を5年間保存します。
任意の産業医面談については、利用目的や社内規程に応じて保存期間を設定します。法定・任意の記録を区別し、保存期限を過ぎた情報は適切に廃棄しましょう。
本人が就業上の措置を拒否した場合はどうしますか?
まず、本人が拒否する理由を確認します。給与への影響、キャリアへの不安、所属長への情報共有などが背景にある場合は、措置の目的と情報の取扱いを丁寧に説明しましょう。
必要な健康配慮を直ちに取りやめるのではなく、産業医へ再相談し、本人が受け入れやすい代替措置を検討します。説明と協議の経過は記録へ残します。
再面談はいつ行えばよいですか?
再面談の時期は、本人の状態と措置内容に応じて決めます。残業制限や業務軽減では、2週間後や1か月後など、措置の効果を確認できる時期を設定する方法があります。
再評価日を決めないまま措置を開始すると、必要以上の長期化や早過ぎる解除につながります。初回の産業医意見に、再評価時期も含めてもらいましょう。
まとめ|産業医面談後は措置の実施と再評価まで管理する
産業医面談後、人事担当者は、面談区分と緊急度を確認し、産業医から医学的な意見を受けたうえで、本人の意向や職場の状況を踏まえて就業上の措置を決定します。所属長へ共有する情報は、業務調整に必要な範囲へ限定しましょう。
措置を開始した後は、勤怠や業務量を確認し、産業医による再面談で継続・変更・解除を判断します。意見書を受け取って終わりにせず、面談後の対応全体を一つのプログラムとして管理することが重要です。
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