産業医面談を依頼するとき、多くの企業が最初に確認するのが「1回いくらかかるのか」という料金です。
しかし、産業医面談の費用は面談単価だけで比較すると、実際の企業負担を正しく把握できないことがあります。面談料のほか、日程調整、勤務情報の準備、医師意見の確認、追加相談、再面談、交通費などが別途必要になる場合があるためです。
一方、面談単価が高くても、予約調整から必要な情報提供、医師面談、企業への医学的意見、フォローまで効率的に運用できれば、人事担当者の工数を含めた総コストを抑えられる場合があります。
そのため、「30分いくらか」だけではなく、「必要な医学的評価と企業対応まで含めて年間でいくらかかるか」という視点で比較することが重要です。
産業医等が関わる面談には、長時間労働者や高ストレス者への法定面接指導のほか、メンタルヘルス不調者への相談、休職・復職面談、任意の健康相談などがあり、必要な時間や対応内容も異なります。
本記事では、2026年9月時点で確認できる公開料金例をもとに、産業医面談の費用相場、追加料金、年間予算の考え方、契約形態の選び方、費用を適正化する方法まで解説します。
産業医面談の費用相場を契約形態別に比較
産業医面談を外部へ依頼する方法は、大きく、必要なときだけ1件単位で利用するスポット契約と、産業医業務全体を継続的に依頼する月額契約に分けられます。
2026年9月に確認できる公開料金例では、オンラインのスポット面談は1回5,500円~3万5,000円程度、訪問型では60分3万2,000円程度から、嘱託産業医の月額契約では3万~6万円程度からの料金例があります。
ただし、産業医面談には公定価格がありません。同じ料金でも、面談時間、医師意見、日程調整、交通費、再面談等が含まれる範囲はサービスによって異なります。
この差は、単純に「医師の品質の差」とは限りません。
たとえば、
- 日程調整
- 意見書
- 人事からの質問
- 再面談
- 面談後のフォロー
が料金に含まれるかどうかでも変わります。
そのため、30分いくらかではなく、1件を最後まで処理するのに総額いくらかで比較することが重要です。
年間の面談件数と、面談以外に必要な産業保健業務、人事側に残る作業まで含めて比較しましょう。
オンラインのスポット面談は1回5,500円から3万5,000円程度
2026年9月時点で確認できる公開料金例では、オンライン面談は1回5,500円から、30分1万5,000円、30分3万5,000円など、サービスによって料金に幅があります。
ただし、この差がそのまま医師の経験や面談品質の差を意味するわけではありません。
料金へ日程調整、面談前の情報確認、面談後の報告、医師意見への追加確認等がどこまで含まれているかによっても総額は変わります。
そのため、面談時間当たりの料金ではなく、一つの案件を企業対応まで進めるために必要な総額を比較することが重要です。
訪問によるスポット面談は60分3万2,000円程度から
訪問型のスポットサービスでは、公開料金例として60分3万2,000円程度から設定されているサービスがあります。
訪問の場合は、基本料金だけでなく、地域による料金差、交通費、延長料金、出張に関する追加費用等も確認しましょう。
同日に複数人の面談をまとめることで、医師の移動にかかる費用や調整工数を抑えられる場合があります。
ただし、費用削減を優先して一人当たりの面談時間を必要以上に短くすると、健康状態や仕事内容を十分に評価できない可能性があります。
移動コストの効率化と、医学的評価に必要な面談時間の確保を分けて考えることが重要です。
嘱託産業医の基本プランは月額3万円から5万円台程度
嘱託産業医サービスの公開料金には、月額3万円台から5万円台のプランが多く見られます。
月額契約では、従業員面談だけでなく、職場巡視、衛生委員会、健康診断後の医師意見、長時間労働者への対応などを契約時間内で行う場合があります。
ただし、月額契約だから面談回数が無制限というわけではありません。
月の契約時間、面談件数、追加訪問、延長、医師意見の作成等の扱いを契約前に確認しましょう。
専属産業医は面談単価ではなく年間報酬で考える
専属産業医は、1件ごとの面談費用ではなく、勤務日数や業務範囲を踏まえた年間報酬・年俸で考える必要があります。
常時1,000人以上の労働者を使用する事業場や、一定の有害業務に常時500人以上を従事させる事業場では、法令上、専属産業医の選任が必要です。
民間サービス会社が公表する調査例では、専属産業医について週3日勤務で年1,200万円程度から、週4日で1,400万円程度から、週5日で1,600万円程度からとする例もあります。ただし、地域、医師の経験、勤務条件等によって変動するため、公定相場ではありません。
採用・紹介にかかる費用や雇用条件も含め、事業場に必要な産業保健機能を年間で確保する費用として検討します。
公開料金から見る産業医面談サービスの料金例
産業医面談には公定価格がなく、料金体系はサービス会社によって異なります。
2026年9月時点で各社公式サイトから確認できる主な公開料金例は以下のとおりです。料金改定や地域・契約条件による変更もあるため、導入時には必ず最新の見積もりを確認してください。
| サービス | 公開料金例 | 主な条件・特徴 |
|---|---|---|
| 産業医クラウド | 初期費用無料、月額3.3万円(税込)~ | 産業医は月額3万円~。産業保健師等との組み合わせが可能 |
| Carely産業医紹介 | 隔月対応3万円/月、毎月対応5万円/月 | スポット対応3.5万円/30分 |
| 産業医エクスプレス | オンライン1万5,000円/30分 | 訪問60分3万2,000円~。地域等により料金が異なる |
| 医療法人こうゆう | 面談5,500円(税込)~/回 | 1~50人の委託基本料金は月額3万3,000円(税込) |
| ドクタートラスト | 月額6万円(税抜)+交通費実費等 | 月1回2時間の基本例。契約時に産業医選任手数料10万円(税抜) |
ここでも重要なのは、
一番安い会社を探すことではありません。
同じ条件で、
- 面談3件
- 意見書3件
- 再面談1件
- 人事相談
- 日程調整
まで含めて見積もり、年間総額で比較するべきです。
産業医面談の種類によって費用が変わる理由
一般に「産業医面談」と呼ばれるものには複数の種類があり、必要な情報、医学的評価、面談後に必要となる企業対応が異なります。
そのため見積もりを依頼する際には、「産業医面談を1件」とだけ伝えるのではなく、面談の種類、予定時間、医師意見の要否、継続フォローの可能性等を伝えると料金を比較しやすくなります。
高ストレス者面談はストレスチェック結果と勤務状況を確認する
ストレスチェック制度に基づく法定の医師面接指導では、高ストレス者として選定され、実施者が面接指導を必要と認めた労働者から申出があった場合に、事業者が医師による面接指導を実施します。
面接指導では、ストレスチェック結果に加え、勤務状況、疲労、心身の状態等を確認します。面接指導後は、事業者が医師から就業上の措置について意見を聴き、必要な措置を検討します。
そのためストレスチェックサービスを比較するときは、検査料金だけでなく、法定面接指導、日程調整、医師意見等が料金へ含まれるかを確認しましょう。
長時間労働者面談は労働時間と疲労蓄積度を評価する
一般の労働者に対する長時間労働者の法定面接指導では、時間外・休日労働時間、疲労の蓄積、睡眠、心身の状態等を医師が確認します。
毎月一定数の対象者が発生する企業では、1件ずつスポットで依頼する場合と、継続契約の中で対応する場合について年間費用を比較するとよいでしょう。
年間件数だけではなく、繁忙期など特定の月に面談が集中するかも確認すると、必要な面談枠や契約時間を設計しやすくなります。
メンタルヘルス不調者面談は緊急性の評価が必要になる
メンタルヘルス上の不調が疑われる従業員への相談では、睡眠、気分、不安、疲労、集中力、仕事内容等を確認し、受診や休養、就業上の配慮が必要かを評価します。
料金と同時に確認したいのが、相談から面談までの期間です。
健康状態によっては次回の定期訪問を待たず、早めの医学的評価や医療機関への接続が必要な場合があります。また、自傷・他害のおそれなど緊急性が高い場合は、通常の産業医面談ではなく、救急医療等による安全確保を優先します。
料金だけを理由に必要な健康対応を先送りしない体制を契約時から決めておきましょう。
休職・復職面談は複数回のフォロー費用を見込む
休職・復職支援では、休職前、復職申出時、職場復帰前、復職後など、状況に応じて複数回の面談や確認が必要になる場合があります。
そのため、初回面談の料金だけでなく、再面談、主治医からの情報取得に関する対応、企業との調整等が契約に含まれるかを確認しましょう。
同じ産業医が継続して関与すると、これまでの健康状態と仕事内容を踏まえて評価しやすくなる場合があります。一方、医学的判断の質や必要な対応を確保できるのであれば、必ず同じ医師でなければならないわけではありません。
任意の健康相談は産業医と保健師を使い分ける
健康相談のすべてに医師による医学的判断が必要とは限りません。
産業保健師は、日常的な健康相談、保健指導、受診勧奨、面談後のフォロー等を担うことができます。その中で医師による評価が必要なケースを産業医へつなぐ体制を整える方法もあります。
ただし、法令によって医師による面接指導や医師の意見が求められている業務を保健師だけで代替することはできません。
専門職ごとの役割を適切に分けることで、費用と対応速度の双方を改善しやすくなります。
産業医面談の料金を左右する7つの要素
産業医面談の料金は、面談時間だけで決まりません。
契約形態、面談方法、対象人数、地域、医師に求める条件、医師意見の作成、緊急対応、キャンセル等によっても費用が変わります。
見積書では基本料金だけでなく、どの条件で追加料金が発生するのかを確認しましょう。
スポット契約か月額契約か
産業医の選任義務がない事業場で年間数件だけ健康相談が必要な場合は、スポット契約が適する場合があります。
一方、産業医選任義務がある事業場では、従業員面談だけでなく、職場巡視、健康診断後の措置、健康相談等の産業医業務を継続的に行う必要があります。
過去の面談件数だけでなく、年間を通じて必要になる産業医業務全体を整理し、スポットと月額の総額を比較することが重要です。
面談時間と対象者数
公開サービスでは30分や60分などを基本枠として設定しているケースがあります。
しかし、医学的評価に必要な時間は面談目的や本人の状態によって異なります。
費用を抑えるため一律に面談時間を短縮すると、健康状態や仕事内容を十分に確認できない可能性があります。料金設定に面談を合わせるのではなく、必要な評価を行える運用を選ぶことが重要です。
対面面談かオンライン面談か
オンライン面談は、医師の移動時間や交通費を抑えやすく、地方事業場や在宅勤務者にも面談機会を提供しやすい方法です。
一方、サービスによってはオンラインシステムの利用料等が発生する場合があります。
また、法定面接指導をオンラインで行う場合には、映像・音声、情報セキュリティ等の要件を満たす必要があります。
料金だけでなく、必要な場合に対面や医療機関へ切り替えられるかも確認しましょう。
医師の専門性や指定条件
精神科・心療内科の経験、女性医師、外国語対応等、希望条件によって料金や候補医師数が変わるサービスがあります。
ただし、診療科だけで産業医としての実務能力を判断することはできません。
メンタルヘルス対応を重視する場合も、精神科等の臨床経験だけでなく、企業での面談、休職・復職支援、就業上の医学的意見、人事担当者との連携経験等を確認します。
必要性の低い指定条件を増やし過ぎると、費用上昇や候補者減少につながることがあります。
報告書・意見書の作成
面談後の報告や医師意見が基本料金に含まれるサービスと、別料金となるサービスがあります。
また、追加説明、書類の修正、企業との打合せ等に費用が発生する場合もあります。
法定面接指導では事業者が医師から就業上の措置について意見を聴く必要がありますが、任意の健康相談を含むすべての面談で一律に正式な意見書が必要なわけではありません。
企業対応が必要な場合には、医学的に必要な措置が実務へ反映できる程度に明確かという観点で確認しましょう。
緊急対応や時間延長
早期の日程調整、夜間・休日対応、面談時間の延長等には追加料金が設定されている場合があります。
追加費用の条件は契約前に確認し、どの担当者が追加対応を承認するかを決めておくと運用しやすくなります。
ただし、自傷のおそれ、著しい混乱、意識障害等がある場合には、産業医サービスの追加料金を検討するよりも、救急医療等による安全確保を優先します。
日程変更・キャンセル・医師交代
従業員の体調や業務予定によって、面談の日程変更が発生することがあります。
キャンセル料が発生する期限、日程変更回数、担当医が対応できなくなった場合の代替体制、医師交代時の費用等を確認しましょう。
平常時の料金だけでなく、予定変更や担当医交代が起きた場合に業務が止まらないかという視点も重要です。
産業医面談の費用で企業が抱えやすい5つの課題
面談1回の表示料金だけで比較してしまう
面談料金が安くても、医師意見、追加相談、再面談、日程調整、交通費等が別料金であれば、年間総額が高くなることがあります。
比較するときは「30分の面談料金」だけでなく、自社で想定される同一ケースを複数サービスへ提示し、どこまで基本料金に含まれるのかを確認しましょう。
価格ではなく同じサービス範囲で比較することが重要です。
月額料金に含まれる業務を把握できていない
月額契約では、職場巡視、健康相談、衛生委員会への対応、従業員面談等が同じ契約時間内で行われる場合があります。
「月1回契約だから必要な面談も対応してもらえる」と思い込まず、契約時間、業務の優先順位、超過時の費用を確認します。
面談件数が増えた月に法定業務が実施できなくなることがないよう、必要な時間を現実的に設定しましょう。
年度による面談件数の変動を予算へ反映できない
産業医面談の件数は毎年一定とは限りません。組織改編、事業拡大、長時間労働者の増減、ストレスチェック実施後の申出状況等によって変動します。
そのため、過去実績だけで単一の予算を設定するより、通常時と件数が増加した場合の複数シナリオを作ると追加費用を見込みやすくなります。
低価格サービスを選んだ結果、社内工数が増える
外部へ支払う面談費用が安くても、人事担当者が予約調整、勤務情報の準備、書類確認、本人説明、管理職との調整等をすべて担えば、社内工数は増加します。
そのため比較時には、外部委託費だけではなく、どの作業が社内に残り、人事担当者がどれだけ時間を使うかも整理します。
外部化できる業務と、企業自身が判断すべき就業措置等を分けて考えることが重要です。
費用を抑えるために必要な面談を先送りしてしまう
追加料金を避けるために、健康上の懸念がある従業員を次回の定期訪問まで一律に待たせる運用は適切ではありません。
状態によっては早期に医師へ相談し、勤務負荷の調整や医療機関への受診につなぐ必要があります。
面談によって必ず休職を防げるわけではありませんが、必要な医学的評価を適切な時期に受けられる体制を整えることは、健康障害の悪化防止に重要です。
産業医面談の年間予算を決める5ステップ
手順1.面談件数を種類別に集計する
まず過去の実績から、長時間労働者への面接指導、高ストレス者への面接指導、メンタルヘルス相談、休職・復職面談、任意健康相談、再評価等の件数を分類します。
単に総面談数を見るだけでなく、どの種類の面談が増えているのかを確認すると、必要な産業保健体制を検討しやすくなります。
手順2.面談1件に必要な業務を整理する
面談1件には、日程調整、企業からの職務情報提供、医師面談、必要に応じた医学的意見、企業による措置検討、再評価等の工程があります。
どこまでサービス会社が担当し、どこから企業側が対応するのかを整理します。
特に就業上の措置や配置等の最終判断は企業自身が行うため、外部委託できる範囲と企業に残る業務を分けて考えます。
手順3.スポット契約の年間費用を試算する
スポット契約では、基本的に面談単価×年間件数へ、必要に応じて追加費用を加えて試算します。
例えば30分1万5,000円のオンライン面談を年3回利用する場合、基本料金は4万5,000円です。
ただし、延長、訪問への切替、追加相談等が生じる可能性があるため、基本料金だけではなく予備費も含めて年間予算を設定するとよいでしょう。
手順4.月額契約の年間費用を試算する
月額契約では、基本的に月額料金×12か月に、契約時間を超えた場合の追加費用等を加えて試算します。
例えば月額3万3,000円なら、基本料金は年間39万6,000円です。
ただし、月額契約には面談だけでなく、職場巡視、健康診断後の対応等が含まれる場合があります。面談料金だけへ分解せず、年間で提供される産業保健機能全体を確認します。
手順5.通常ケースと増加ケースを比較する
通常の面談件数に基づくケースに加え、面談が増加した場合のケースも試算します。
面談件数が一定水準を超えた場合にはスポット契約から月額契約へ移行するなど、契約変更の判断基準を設ける方法もあります。
毎年同じ契約を自動更新するのではなく、実績と翌年度の人員計画を踏まえて見直しましょう。
産業医面談の費用を適正化する6つの方法
産業医面談の費用適正化は、単価を最も安くすることではありません。
必要な医学的評価の質を保ちながら、重複作業、移動、日程調整等の不要なコストを減らすことが重要です。
面談件数に応じて契約形態を選ぶ
法定の産業医選任義務がなく、面談が年間数件程度であれば、スポットサービスが適する場合があります。
一方、面談やその他の産業医業務が継続して発生する事業場では、月額契約の方が運用しやすい場合があります。
契約形態を固定せず、年間の実績と翌年度の必要業務から定期的に見直しましょう。
産業医と保健師の役割を分ける
医師による医学的評価や法定面接指導が必要な業務は医師へ、日常的な健康相談、保健指導、受診勧奨、継続フォロー等は産業保健師へ分担する方法があります。
専門職の役割を適切に分けることで、産業医の限られた時間を医学的判断が必要な業務へ集中させやすくなります。
ただし、法令上医師が実施すべき業務を他職種へ置き換えないよう注意が必要です。
オンライン面談を活用する
オンライン面談を利用すると、医師の移動時間や交通費を抑え、地方事業場や在宅勤務者についても日程を調整しやすくなる場合があります。
一方、オンラインで十分な評価ができないケースもあります。
費用削減そのものを目的にせず、面談の目的と本人の状態に応じて対面とオンラインを使い分けることが重要です。
複数の面談を同じ日にまとめる
訪問型の産業医面談では、複数の対象者を同日に設定することで、医師の移動にかかる費用や調整工数を効率化できる場合があります。
ただし、面談人数を優先するあまり、必要な面談時間を短縮したり、従業員同士に面談内容が推測されるような運用になったりしないよう、プライバシーにも配慮しましょう。
勤務情報と問診票を事前に準備する
企業が把握している労働時間、勤務形態、仕事内容等を面談前に整理して産業医へ提供すると、面談時間を医学的評価や本人への聞き取りへ使いやすくなります。
ただし、健康情報や人事情報を必要以上に提供すべきではありません。
面談目的に必要な職務情報を標準フォーマットで提供することで、効率と情報管理の両方を改善できます。
費用と面談後の成果を定期的に評価する
費用評価では面談単価だけでなく、相談・申出から面談までの期間、企業対応が必要なケースの処理状況、再評価が必要なケースの実施状況、人事担当者の工数等も確認します。
これらは法定KPIではありませんが、自社の産業保健運用を改善するための指標として利用できます。
安価でも対応が遅い、必要な医学的意見が得にくい、社内調整工数が大きい場合には、契約内容を見直す余地があります。
企業の状況別に見る産業医面談の費用事例
小規模企業が年間数件の面談をスポットで依頼する事例
法定の産業医選任義務がない小規模事業場で、外部医師への相談が年間2~3件程度であれば、スポット型サービスを利用する方法があります。
例えばオンライン面談1回1万5,000円を年3回利用すれば、基本料金は4万5,000円です。
ただし、延長、追加面談、訪問への変更等も想定し、基本料金に一定の予備費を加えて年間予算を設定すると管理しやすくなります。
50人規模の事業場が嘱託産業医と月額契約する事例
常時50人以上の労働者を使用する事業場では、法令上の要件を満たす産業医の選任が必要です。
例えば月額3万3,000円の契約なら年間基本料金は39万6,000円です。
ただし、その契約で職場巡視、健康相談、健診後対応、各種面談等のどこまでを行えるかはサービスごとに異なります。
この場合、1件当たりの面談単価ではなく、必要な産業医機能を年間いくらで確保できるかという視点で評価する方が適しています。
休職・復職面談が多い企業が継続契約する事例
休職・復職に関する相談が継続して発生する企業では、一人の従業員について複数回の面談や再評価が必要になる場合があります。
スポット料金を毎回支払う方法と、継続契約内で対応する方法について年間費用を比較します。
費用だけでなく、これまでの経過や実際の職務情報を継続的に把握できる体制、主治医情報の取扱い、人事との連携方法なども契約選定の判断材料にしましょう。
産業医面談の費用を比較する際の注意点
法定面接と任意の相談サービスを混同しない
産業医・医師による面談、産業保健師への相談、心理職によるカウンセリングは、それぞれ役割が異なります。
長時間労働者やストレスチェック後の高ストレス者について、法令上の要件に該当する面接指導は医師が行う必要があります。
料金の安い他職種の相談サービスを利用していても、法令上医師による面接指導が必要な場合の代替にはなりません。
法定面接の費用は企業が負担する
労働安全衛生法に基づき事業者に実施義務が課されている長時間労働者への面接指導や、ストレスチェック後の高ストレス者への面接指導について、その実施費用は事業者が負担します。
従業員本人へ法定面接指導の料金を負担させる制度ではありません。
一方、企業独自に設ける任意の健康相談については、契約・制度設計に応じて費用体系を確認します。
面談費用を支払うだけで対応を終わらせない
産業医や医師へ面談を依頼して費用を支払ったこと自体が、健康管理の成果ではありません。
法定面接指導等で医師から就業上の措置について意見を得た場合には、事業者がその意見を踏まえて必要な措置を検討します。
面談は企業の健康確保に必要な意思決定を行うための医学的評価の一工程と捉え、必要な企業対応まで進めることが重要です。
健康情報の共有範囲を限定する
産業医面談では、病歴、症状、治療等の機微性の高い健康情報を扱う場合があります。
事業者は、労働者の心身の状態に関する情報を健康確保に必要な範囲で取り扱うことが原則です。
例えば直属上司には、診断名や面談内容の詳細ではなく、時間外労働の制限、夜勤制限、業務量調整等、実際に就業上の措置を実施するために必要な情報へ整理して共有します。
オンライン面談の実施条件を確認する
法令に基づく一定の医師面接指導をオンラインで実施する場合には、医師と本人が映像・音声を通じて表情や話し方等を確認でき、安定してコミュニケーションできる環境が必要です。
情報セキュリティやプライバシーも確保します。
単にWeb会議システムが利用できるかだけではなく、医学的な評価を適切に行える環境と、必要時の対面・医療機関への切替体制まで確認しましょう。
産業医クラウドで費用と課題に合った産業医体制を構築
産業医面談の費用を適正化するには、最も安い医師やサービスを探すのではなく、自社に必要な産業保健業務を整理し、どの専門職へ何を依頼するかを設計することが重要です。
株式会社Avenirの提供する「産業医クラウド」は、初期費用無料、月額3.3万円(税込)から利用が可能です。(2026年9月時点)産業医は月額3万円から、産業保健師は月額1.5万円からとなっており、企業の課題に合わせてサービスを組み合わせる仕組みです。
例えば、日常的な健康相談やフォローを産業保健師、医学的評価が必要なケースを産業医へつなぐなど、専門性に応じて役割を分担する方法があります。
重要なのは、固定されたサービスを導入し続けることではありません。従業員数、事業場数、面談件数、休復職支援の必要性等が変われば、契約内容も見直します。
必要な健康支援の質を維持しながら、過剰な契約や人事担当者の不要な作業を減らすことが、中長期的な費用適正化につながります。
産業医面談の費用に関するよくある質問
産業医面談の費用は誰が負担しますか?
労働安全衛生法に基づき事業者へ実施義務が課されている長時間労働者への面接指導や、高ストレス者への法定面接指導の費用は、事業者が負担します。
企業が独自に設ける任意の健康相談についても、福利厚生や産業保健施策として企業負担で提供するケースが一般的ですが、具体的な費用体系は制度や契約によって異なります。
産業医面談中の時間は勤務時間として扱いますか?
一般労働者への長時間労働者面接指導や、ストレスチェック制度に基づく面接指導について、その時間の賃金を事業者が当然に支払う義務があるとは整理されておらず、労使で協議して定めることとされています。
ただし、厚生労働省は、労働者の健康確保という制度目的から、面接指導に要する時間について事業者が賃金を支払うことが望ましいとしています。
なお、月100時間を超えた研究開発業務従事者等、制度によっては面接指導時間を労働時間として扱うものもあるため、対象区分を確認する必要があります。
産業医面談だけをスポットで依頼できますか?
可能なサービスがあります。
産業医選任義務がない事業場などを対象に、長時間労働、健康診断後の確認、メンタルヘルス、休職・復職等について、必要な時だけスポット面談を依頼できるサービスが提供されています。
利用時には、面談料金だけでなく、面談後の医師意見、延長、再面談等が含まれるかを確認しましょう。
オンライン面談のほうが費用は安くなりますか?
医師の移動時間や交通費が不要になるため、訪問型より費用を抑えられる場合があります。
ただし、サービスによって基本料金やシステム利用料等が異なるため、必ずオンラインの方が安いとは限りません。
費用とともに、予約の取りやすさ、情報セキュリティ、必要な場合に対面へ切り替えられる体制も確認しましょう。
面談後の意見書は別料金ですか?
サービスによって異なります。
基本料金に含まれる場合もあれば、書類作成や追加説明がオプションとなっている場合もあります。
また、すべての任意健康相談で正式な意見書が必要なわけではありません。法定面接指導等で企業対応が必要な場合には、事業者が必要な医学的意見を得られる契約になっているかを確認しましょう。
月額契約とスポット契約はどちらが安いですか?
面談件数が少なく、産業医選任義務がなく、その他の継続的な産業医業務も必要ない場合には、スポット契約の方が総額を抑えられる可能性があります。
一方、常時50人以上の事業場で産業医を選任する必要がある場合や、面談、職場巡視、健康診断後の対応等が継続して発生する場合には、月額契約が適することがあります。
面談料金だけではなく、年間に必要な産業保健業務を同条件で比較しましょう。
産業医面談の費用は健康保険を利用できますか?
産業医面談や労働安全衛生法に基づく医師の面接指導は、企業の健康管理や就業上の措置を検討するために行うもので、通常の医療機関における保険診療とは目的が異なります。
法定面接指導の費用は事業者が負担します。
面談の結果、診断や治療が必要と判断された場合には、本人が医療機関を受診し、その診療について健康保険が適用される場合があります。
産業医面談の費用はどの勘定科目で処理しますか?
産業医への委託費用については、契約内容や企業の会計処理方針によって、福利厚生費や業務委託に関する費用等として処理される場合があります。
ただし、一律に特定の勘定科目へ分類できるものではありません。
契約形態、請求内容、自社の会計方針によって扱いが異なるため、具体的な仕訳については社内の経理担当者や税理士等へ確認してください。
まとめ|産業医面談の費用は年間総額と支援範囲で判断する
産業医面談の費用を比較するとき、「30分いくらか」だけを見ると、実際の企業負担を正確に判断できないことがあります。
面談料のほか、必要に応じて医師意見、延長、再面談、訪問・交通費等が発生します。また、日程調整、勤務情報の準備、面談後の企業対応など、人事担当者に残る業務もあります。
そのため、面談単価ではなく、必要な産業保健業務を年間で運用する総コストとして比較することが重要です。
面談件数が少ない企業ではスポット型、継続的に産業医業務が必要な企業では月額契約というように、自社の事業場規模や面談件数、必要な業務に合わせて契約を検討します。
また、日常的な健康相談やフォローを産業保健師、医学的な評価が必要なケースを産業医へつなぐなど、専門職ごとの役割を整理する方法もあります。
費用を評価する際には、相談から医学的評価までに要した期間、企業対応が必要な案件の処理状況、再評価の実施状況、人事担当者の工数なども確認しましょう。
これらは法定の共通KPIではありませんが、契約が自社の健康管理に適しているかを検証する材料になります。
最も安いサービスを選ぶことではなく、必要な医学的評価を適切な時期に受け、企業が必要な健康確保措置へつなげられる体制を、過不足のない費用で維持すること。
この視点でスポット契約、月額契約、オンライン面談、産業保健師等を組み合わせ、実績に応じて契約内容を見直すことが、継続可能な産業保健体制につながります。
産業医紹介サービスを検討している企業様必見!