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働き方改革ベンチャー mercariのヘルスマネジメントに迫る

働き方改革ベンチャー メルカリのヘルスマネジメントに迫る

ヘルスマネジメントへの取り組みに注目が集まる昨今、ベンチャー企業でありながら革新的な人事制度「merci box」を制定したメルカリ。メルカリが目指すヘルスマネジメントについて語っていただきました。

ライフイベントのリスクに備えた人事制度 merci box

―merci boxはどういった経緯で始まった制度なのでしょうか。
メルカリはベンチャーとはいえ、元々効率的に働こうという文化の会社ではあったのですが、会社の成長にあわせて社員数が大幅に増加したこと、特に仙台のカスタマーサポートは平均年齢が20代半ばで半数以上が女性で、結婚、出産というライフイベントを今後迎えるメンバーが多いこともあり、それ対応できるよう産休育休の制度をしっかり整えたいというところから、人事制度の導入が決まりました。

ちなみにネーミングにもこだわっています。制度の内容の検討は1週間もかからずに決まったのですが、名前がなかなか決まらなくて(笑)

「merci(メルシー)」はフランス語で「ありがとう」という意味ですが、「mercari」と字面が近いこと、また会社から社員への感謝と社員から会社への感謝という意味も込められています。

「box」はメルカリのロゴマークでもあり、また一度発表して終わりではなくこれからも制度をどんどん追加していく、という意味合いから使用しています。

―merci boxの制度にはどういった思いが込められていますか?
「Go Boldにおもいっきり働ける環境をより充実させていくため」の仕組みや制度をまとめたものがmerci boxです。

私が考えるに、働いていく中で「なんとなく不安」ということって誰にでもあると思います。特になにか起こったわけではないけれど不安という気持ちです。子どもが産まれたらどうしようとか病気になってしまったらどうしようといった経験していないことへの不安ですね。その不安を制度で取り除いていきたいと考えています。同時に、制度だけでなく、実際に利用した人が実体験を社内で共有することなどで、当たり前に制度を利用するという文化を作っていきたいと考えています。

不安を抱えながら仕事をするということは、おもいっきり働くということに対してブレーキがかかっているということです。メルカリには「Go Bold – 大胆にやろう」「All for One – 全ては成功のために」「Be Professional – プロフェッショナルであれ」の3つバリューがあり、社員は常に意識して働いていますが、「ブレーキをかけながら働く」ということはメルカリが大切にしているバリューと反してしまいます。バリューに共感して入社してくれた人に対して会社としても最大限サポートしたいと考え、制度の内容を決めています。

―merci boxの制度にはどういったものがありますか?
ライフイベントのリスクに備えるということから病気・死亡の保険加入、環境の支援面から育児・介護休暇、ライフイベントのサポートという面から結婚・出産のお祝い金など幅広く制度を設けています。また、一つ一つの制度も可能な限り手厚くしているため 有事のリスクへの対応は現在のところ社員にも満足してもらっていると考えています。

(詳しくはメルカリ、新人事制度「merci box(メルシーボックス)」導入のお知らせ -産休・育休あわせて約8ヶ月分の給与を100%保障-

家族も大切にするメルカリの取り組み

-御社の取り組みの中で特徴的な取り組みはありますか?
男性の育休取得率がほぼ100%ということでしょうか。昨年は執行役員の男性も2名育休を取得するなど、経営陣が主体的に育児に参加していることが会社全体によい影響を与えているのではないかと考えています。

経営陣が育休をとり育児に参加しているということもあり、子どもの行事や病気などのタイミングでお休みをとりづらいということもありません。入社して、子どもの入学式などに出られるようになったという声も聞いています。

ひとりで抱え込ませない「オープン」な環境

―制度の面以外で行っているヘルスマネジメントはありますか?
コミュニケーションが盛んな会社ですね。経営陣もよくオフィス内を歩き回っていて、社員の様子を気にかけたり、積極的に声掛けをしたり。ですので、自然と話しかけやすいですよね。また、オープンな環境をつくるために経営陣がお菓子やコーヒーを用意して「なんでも聞きに来てください」という時間をつくる「オープンドア―「メルカリ情報サイト mercan」」を行ったり、日頃からまめにコミュニケーションをとることを意識しています。

また、オフィスのレイアウトや座席も非常にフラットです。エンジニアもデザイナーも関係なく隣との距離を近く保てるようにしており、いつでも相談できる環境です。

仕切りのないオフィス
[仕切りのないオフィス(画像引用:mercan)]

開放的なコミュニケーションスペース
[開放的なコミュニケーションスペース]

―長時間労働などへの取り組みで行っていることは何かありますか?
労務としては、残業時間は注視しています。一般的に産業医の面談は法律でも定められていますが、弊社では長時間労働している社員がいた場合、定められた残業時間以下でも上長に共有をし、産業医面談をお願いするようにしています。

労務と上長が時間を把握しており、月の半ば程で残業時間が 規定を超えそうな場合に上長にアラートを上げ、上長が該当社員の残業を把握できているのかを確認します。残業時間や生産性を把握するということもマネジメントとして大切なことだと考えています。

また、産業医の方とも労働環境について、より社員が働きやすい環境になる為にはどうすればよいかなどを相談しています。

他にも、弊社ではSlack(社内チャットツール)に勤怠連絡をするチャンネルがあるのですが、そこでのやりとりを確認するようにしています。遅刻や休みが増えた社員がいないかどうかなど日常と違う動きを気にかけるようにしていまし、インフルエンザなどの長期休みの後には積極的に声をかけるようにしています。

―新入社員は入社後のギャップによるメンタル疾患を生みやすいと言われていますが何か対策をしていますか?
入社1.5か月後に人事面談をしていて、その時に何か困ったことがないかなど聞いています。ただ、メルカリでは入社後に想像と違った、という声はあまり聞かないですね。採用時から会社のカルチャーに合うかを重視していたり、mercan(メルカン)というメディアで会社のことを細かく発信していることも寄与しています。バリューに共感できるかを第一にしているので、ギャップも生まれづらいと思います。

入社した月毎の社員の写真

入社した月毎の社員の写真
[入社した月毎の社員の写真]

―今後の取り組みとして考えているヘルスマネジメントはありますか?
世間的に労務や産業医にはなんとなく相談しづらいという声があると聞きます。メルカリは非常にオープンな環境ではありますが、その中でもやはり相談しづらいという方は一定数いるのではないかと考えています。そういった人たちが気軽に相談できる窓口は作っていきたいと思いますね。

また、社員の健康に関する自主的な活動のサポートをしていきたいです。メルカリは社員の自主性を大切にしています。現在もマインドフルネス部や筋トレ部など社員が自主的に立ち上げた活動があります。そういった活動をおもいっきりできる環境を用意していきたいです。押し付けても人は動かないですからね。

―最後にメルカリへの入社を検討している方にメッセージを
僕自身の想いでもあるのですが、「メルカリに入ったら健康になりました」という会社にしたいと考えています。過去採用した社員から、「メルカリに入ってから、子どもの入学式や参観日に出席できるようになりました」という声も聞いたことがあります。何かを犠牲にする働き方ではなく、なんの不安もなくおもいっきり働ける環境を今後も作っていきたいと考えています。

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