産業医を選任しようとしたものの候補医師が見つからない。選任後の日程調整や面談管理が人事担当者へ集中している。複数拠点で産業保健業務の進め方が統一できない。こうした課題を抱える企業では、クラウド型産業医サービスを活用する方法があります。
ただし、「クラウド型=オンラインで産業医面談を行うサービス」ではありません。
産業医の候補者選定、訪問・面談調整、必要な勤務情報の共有、産業医からの医学的意見の受領、企業による就業措置、必要な再評価までを、一連の産業保健業務として管理しやすくすることが大きな特徴です。
さらに、職場巡視、衛生委員会、健康診断後の事後措置、ストレスチェック、休職・復職支援、産業保健師によるフォロー等と連携できれば、産業医を選任するだけでなく、従業員の健康確保に必要な産業保健活動を継続して運用する基盤として活用できます。
本記事では、クラウド型産業医サービスの仕組み、類似サービスとの違い、メリット・デメリット、向いている企業、選び方、導入手順、導入後の運用方法まで解説します。
目次
- クラウド型産業医サービスとは
- クラウド型産業医サービスは選任後の運用まで効率化する仕組み
- クラウド型産業医サービスを構成する3つの要素
- クラウド型産業医サービスと似た用語の違い
- クラウド型産業医サービスの主な3タイプ
- クラウド型産業医サービスが解決する企業の課題
- クラウド型産業医サービスの主な提供内容
- クラウド型産業医サービスを導入するメリット
- クラウド型産業医サービスのデメリット
- クラウド型産業医サービスが向いている企業
- クラウド型産業医サービスの選び方
- クラウド型産業医サービスを導入する6つの手順
- クラウド型産業医サービスの導入を成功させる運用プログラム
- クラウド型産業医サービスの想定事例
- 産業医クラウドで産業医の選定から運用まで一元支援
- クラウド型産業医サービスに関するよくあるFAQ
- まとめ|クラウド型産業医サービスは医師の品質と運用支援で選ぶ
クラウド型産業医サービスとは
クラウド型産業医サービスとは、企業に合った産業医の選定・紹介、訪問や面談の日程調整、オンライン面談、産業保健業務の管理などを、専門スタッフやデジタルツールを組み合わせて支援する民間サービスの総称として使われています。
「クラウド型産業医」という法令上の資格や制度が存在するわけではありません。
そのため、同じ名称でも、産業医紹介を中心とするサービス、オンライン面談を中心とするサービス、選任後の実務支援まで行うサービス、産業保健師やストレスチェックまで組み合わせられるサービスなど、提供範囲は異なります。
サービス名ではなく、産業医が担当する業務と、企業側の運用をどこまで支援してもらえるのかを確認することが重要です。
クラウド型産業医サービスは選任後の運用まで効率化する仕組み
クラウド型産業医サービスの価値は、オンラインで面談できることだけではありません。
候補産業医の選定、契約・選任支援、訪問日程、面談調整、健診後の医師等への意見聴取、産業医からの就業上の意見、必要な再評価などを一連の業務として管理し、対応漏れを防ぎやすくする点にあります。
一方、サービスを契約しただけで法令上の産業医選任義務を満たすわけではありません。選任対象となる事業場では、法令上の要件を満たす医師を正式に産業医として選任し、必要な届出・安全衛生活動を行う必要があります。
また、外部サービスへ実務を委託しても、労働者の健康確保に必要な措置を検討・実施する事業者の責任まで外部へ移るわけではありません。
クラウド型産業医サービスを構成する3つの要素
クラウド型産業医サービスは、主に「産業医による専門的支援」「運用支援」「システム・オンライン機能」の3つから構成されます。
どの要素をどの程度提供するかはサービスによって異なるため、自社の不足している機能と照らして比較することが重要です。
1.産業医の選定と役務提供
所在地、従業員数、業種、勤務形態、希望する訪問日、抱えている健康課題などを整理し、条件に合う産業医候補を選定します。
選任後は、契約内容や法令上の役割に応じて、職場巡視、健康相談、長時間労働者等への面接指導、衛生委員会への参画、健診結果を踏まえた医学的意見などを担当します。
確認すべきなのは、単に法令上の産業医要件を満たしているかだけではありません。自社と近い業種での経験、メンタルヘルスや休復職への対応、人事担当者との連携、就業上の意見を分かりやすく示せるかなども重要です。
「産業医がいるか」ではなく、「自社の産業保健課題に対応できる産業医か」を確認します。
2.専門スタッフによる運用支援
産業医を選任した後には、訪問日程の調整、面談予約、産業医へ渡す勤務情報の整理、書類の受領、再評価予定の管理など、継続的な事務業務が発生します。
こうした定型業務をすべて人事担当者だけで行うと、産業保健以外の人事労務業務を圧迫する可能性があります。
専門スタッフが調整窓口になるサービスでは、契約範囲に応じて、日程調整や進捗管理などを外部へ委託できます。
さらに、衛生委員会の運営方法や休職・復職フロー、産業保健業務のマニュアル等まで整備できれば、担当者の経験だけに依存しにくい運用体制を構築できます。
3.クラウドシステムやオンライン機能
クラウドシステムを利用すると、面談依頼、実施状況、必要な対応、再評価予定などを、権限管理された環境で進捗管理できる場合があります。
例えば、産業医面談を実施した後、必要な就業措置の検討が止まっているケースを把握できれば、対応漏れを防ぎやすくなります。
ただし、システムを導入するだけでは改善しません。誰が情報を登録するのか、誰が未対応案件を確認するのか、誰まで健康情報を閲覧できるのかを事前に定める必要があります。
システムは産業保健業務を自動的に適正化するものではなく、適切な運用を継続しやすくするための道具と考えましょう。
クラウド型産業医サービスと似た用語の違い
クラウド型産業医サービスは、オンライン産業医、健康管理システム、産業医紹介サービス、産業医との直接契約などと混同されることがあります。
それぞれの役割を整理すると、自社が外部サービスへ求める範囲が明確になります。
オンライン産業医との違いとは?
「オンライン産業医」は法令上の資格名ではなく、一般には情報通信機器を利用して健康相談や一定の面接指導などを行う産業医や、その運用方法を指して使われます。
一方、クラウド型産業医サービスには、産業医の選定、契約・調整、面談管理、産業保健業務の運用支援など、オンライン面談以外の機能を含む場合があります。
なお、産業医業務のすべてをオンラインで代替できるわけではありません。法令上の定期職場巡視は、産業医が実地で行う必要があります。
オンラインは産業医業務を実施する手段の一つであり、クラウド型サービスはより広い運用支援を指す場合があると整理すると分かりやすいでしょう。
健康管理システムとの違いとは?
健康管理システムは、健康診断、ストレスチェック、面談記録、就業措置等の情報を管理するITツールです。
データの整理・可視化には有用ですが、システム自体が医学的判断を行ったり、法令上の産業医として職務を担ったりするわけではありません。
クラウド型産業医サービスでは、システムに加えて産業医や産業保健師、運用支援スタッフ等の人的支援を組み合わせている場合があります。
「健康情報を管理する仕組み」なのか、「専門職による支援まで含むサービス」なのかを分けて確認します。
産業医紹介サービスとの違いとは?
産業医紹介サービスは、企業の条件に合う産業医候補を探し、企業へ紹介することを中心とするサービスです。
サービスによっては、紹介後の日程調整や従業員面談、衛生委員会、書類・案件管理等を企業側が行う場合があります。
一方、クラウド型サービスの中には、産業医の紹介だけでなく選任後の運用支援まで提供するものがあります。
比較するときは、紹介時点までのサービスなのか、選任後の産業保健活動まで支援対象なのかを確認しましょう。
産業医との直接契約との違いとは?
産業医との直接契約では、候補医師の探索、契約、日程調整、各種書類や活動状況の管理などを企業自身で行います。
すでに信頼できる産業医がおり、社内に産業保健業務を管理できる体制がある企業では、直接契約が適している場合があります。
一方、候補医師探し、複数拠点の日程調整、担当医交代時の候補確保などにも外部支援が必要な場合には、運用支援を含むサービスが選択肢になります。
料金だけでなく、人事担当者が継続的に負担する実務まで含めて比較することが重要です。
クラウド型産業医サービスの主な3タイプ
クラウド型産業医サービスは、提供範囲から大きく3つのタイプに整理できます。
一律に優劣を付けるのではなく、自社に不足している産業保健機能や社内体制に合わせて選びます。
医師紹介型
企業の条件に合った産業医候補の紹介を中心とするタイプです。
社内に産業保健実務を担当できる人材がおり、医師の確保だけを外部へ依頼したい企業には適しています。
一方、訪問日程、面談調整、各種書類、健康情報の管理等は企業側に残ることがあるため、紹介後の支援範囲を契約前に確認しましょう。
運用支援型
産業医の紹介に加え、訪問調整、従業員面談の調整、産業保健業務の進捗管理、衛生委員会運営支援などを提供するタイプです。
初めて産業医を選任する企業や、人事・労務担当者が少なく産業保健の専任者を配置しにくい企業に適している場合があります。
医師を紹介することだけでなく、選任後の業務を継続して回しやすくすることが主な価値です。
総合プラットフォーム型
産業医に加えて、産業保健師、ストレスチェック、健康相談、メンタルヘルス支援、休職・復職支援、健康教育等を組み合わせられるタイプです。
複数のサービスを一つの窓口へまとめられるため、企業全体の産業保健体制を標準化したい場合に適しています。
一方で、自社に不要な機能まで契約すれば費用が増える可能性があります。
必要なサービスから導入し、企業の課題や規模の変化に合わせて追加する方法も検討するとよいでしょう。
クラウド型産業医サービスが解決する企業の課題
クラウド型産業医サービスを比較するときは、「クラウドで便利そう」という理由ではなく、自社の産業保健業務のどこに課題があるのかを明確にします。
候補医師不足、人事担当者への業務集中、複数拠点の運用差、面談までの待機時間、健診後の対応漏れなど、具体的な課題から必要機能を逆算しましょう。
自社に合う産業医を探せない
産業医は、地域の医師会、医療機関、健診機関、紹介サービス等を通じて探す方法があります。
しかし、所在地だけでなく、業種特有の健康リスク、メンタルヘルス、休職・復職支援、人事とのコミュニケーション等まで考慮して複数候補を比較するには、一定の手間がかかります。
候補者の資格要件や実務経験を確認したうえで提案してくれるサービスを利用すれば、企業側の探索・選考業務を効率化しやすくなります。
産業医選任後の実務が人事へ集中する
産業医を選任した後も、面談調整、勤務情報の準備、産業医との連絡、必要書類の管理、現場との調整、再評価予定の確認など、多くの実務が残ります。
これらをすべて人事担当者が担うと、「産業医を導入したのに業務負荷が減らない」という状態になることがあります。
日程調整や進捗管理等の定型業務を外部へ委託し、人事は、事業者として行うべき就業上の措置、人員配置、職場との調整などに集中する方法があります。
外部へ委託できる実務と、企業自身が判断・実行すべき業務を分けることが重要です。
複数拠点の運用を統一できない
拠点ごとに異なる産業医、書式、契約、調整方法を採用していると、本社から各事業場の産業保健活動を把握しにくくなることがあります。
全国対応のサービスを活用し、面談依頼時の情報項目、報告書式、進捗管理方法などを共通化すれば、企業側の運用を標準化しやすくなります。
ただし、各産業医の医学的判断そのものを一律化するわけではありません。
医学的判断は個別性を確保しながら、企業側の情報提供・手続き・管理方法を統一することがポイントです。
リモート勤務者が相談しにくい
月1回の産業医訪問日しか面談機会がない場合、地方勤務者やテレワーク中心の従業員が相談まで待つケースがあります。
面談内容や法令上の要件を踏まえてオンライン面談を併用すれば、移動や日程による制約を減らし、必要な専門的評価までの待機時間を短縮できる場合があります。
ただし、オンラインだけでは十分な評価が難しい場合には、対面面談や医療機関受診へ切り替えられる体制も必要です。
健康診断後の対応状況を管理できない
健康診断後には、異常所見者について医師等から就業上の措置に関する意見を聴くことや、必要に応じた受診勧奨・保健指導など、複数の対応が発生します。
紙や担当者個人のメールだけで管理していると、対象者や対応期限を把握しにくくなる場合があります。
システム等で対象者、担当者、対応状況を整理すれば、未対応案件を確認しやすくなります。
ただし、登録する健康情報は必要な範囲に限定し、閲覧権限と管理責任者を明確にする必要があります。
クラウド型産業医サービスの主な提供内容
クラウド型産業医サービスの提供範囲は各社で異なります。
機能数の多さだけで判断せず、自社の法定業務や産業保健課題に必要な支援が含まれているかを確認します。
産業医候補の選定と選任支援
企業の業種、所在地、規模、勤務形態、健康課題等を踏まえて産業医候補を提案し、契約や選任に必要な実務を支援します。
初めて産業医を選任する企業では、候補医師の紹介だけでなく、職場巡視、衛生委員会、面談等の年間運用まで整理できるサービスであれば、選任後の活動を開始しやすくなります。
ただし、サービス会社が手続きを支援しても、法令上の選任主体は事業者です。
職場巡視と衛生委員会への対応
産業医の定期職場巡視では、作業環境や作業方法等を実地で確認し、健康障害のおそれがある場合には必要な措置について事業者へ助言等を行います。
また、衛生委員会への参画等を通じて、健康診断、長時間労働、メンタルヘルス、職場環境などについて専門的な意見を示すことがあります。
オンラインで実施可能な産業医業務もありますが、法令上の定期職場巡視そのものは実地で行う必要があります。
健康診断後の意見と保健指導
健康診断で異常所見があると診断された労働者について、事業者は医師または歯科医師から就業上の措置に関する意見を聴く必要があります。
企業では、この意見を勘案し、必要に応じて就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮等を検討します。
産業保健師がいる体制では、受診勧奨、生活習慣に関する保健指導、継続フォロー等を分担できます。
ただし、法令上医師等の医学的意見が求められる判断を、保健師だけで代替することはできません。
長時間労働者への面接指導
長時間労働者への医師による面接指導について、対象者の把握、制度案内、申出受付、面談調整、必要な勤務情報の準備等を支援するサービスがあります。
法定面接指導の要件は労働者の区分によって異なるため、自社に適用される基準に沿って運用する必要があります。
面接指導後は、医師の意見を聴取し、事業者が必要な就業上の措置を検討します。
面談件数だけではなく、必要な健康確保措置まで適切に行われているかを確認することが重要です。
ストレスチェックと高ストレス者対応
サービスによっては、ストレスチェックの実施支援、本人への結果通知、集団分析、高ストレス者への医師面接指導の運用支援などを提供しています。
ただし、ストレスチェックの個人結果は、本人の同意なく事業者へ提供できません。
また、高ストレス者全員が自動的に企業による医師面接の対象になるわけではなく、実施者が面接指導を必要と認め、本人から申出があった場合に法定面接指導へつながります。
結果のプライバシーを確保したうえで、面接指導や任意相談へ適切につなげる仕組みが重要です。
メンタルヘルス相談と休復職支援
メンタルヘルス不調が疑われる従業員への健康相談、休職前後の面談、復職時の産業医意見、復職後のフォローなどを支援するサービスがあります。
休職・復職は、一度の面談だけで完結するものではありません。
主治医の医学的情報、産業医による職場情報を踏まえた意見、本人の状況、就業規則や職場の受入体制等を踏まえて、事業者が最終的な対応を判断します。
必要に応じて産業医、産業保健師、人事、主治医等が役割を分けて連携できる体制が重要です。
産業保健師による継続フォロー
健康相談、保健指導、健診後の受診勧奨、休職・復職時の連絡支援など、産業保健師が担える業務もあります。
産業保健師が日常的な健康相談や情報整理を担い、医学的判断や医師による面接指導等が必要なケースを産業医へつなぐことで、専門職間の適切な役割分担につながります。
産業医にしかできない医学的判断と、他の産業保健職が担える継続支援を分けることが、限られた専門職リソースを有効に活用するポイントです。
クラウド型産業医サービスを導入するメリット
クラウド型産業医サービスのメリットは、オンライン面談が利用できることだけではありません。
候補医師の探索、産業保健業務の標準化、人事担当者の調整業務軽減、複数拠点への展開など、自社の課題に合えば産業保健体制を運用しやすくなる可能性があります。
産業医選任までの時間を短縮しやすい
産業医候補の探索、法令上の要件確認、訪問条件の確認などをサービス会社が支援することで、企業が一から候補者を探す場合と比べて選考業務を効率化できる場合があります。
新しい事業場で選任が必要になった場合や担当産業医が退任する場合にも、候補者を提案できる体制があれば後任探しを進めやすくなります。
ただし、実際に選任できるまでの期間は地域や条件、求める経験等によって異なります。
人事担当者の運用負担を軽減できる
訪問日程、面談予約、必要書類の準備・管理、産業医との連絡等の定型業務を契約範囲に応じて外部へ委託できる場合があります。
一方、就業上の措置、配置、人員調整、職場改善等は企業が判断・実行すべき業務です。
外部へ任せられる調整業務と、事業者自身が担う意思決定を切り分けることで、人事担当者が重要な判断へ時間を使いやすくなります。
オンライン面談で迅速に対応できる
オンライン面談を適切に利用できれば、産業医の次回訪問日を待たずに相談・面接指導を行える場合があります。
特に遠隔地やテレワーク勤務者では、移動や訪問日程による制約を減らせることがあります。
ただし、オンライン化しただけで健康リスクが低下するわけではありません。
必要な医学的評価までの待機時間を短縮し、その後の受診や就業措置へ速やかにつなげられるかまで確認することが重要です。
全国の事業場を一元管理しやすい
複数事業場の産業医契約、訪問予定、面談調整、活動実績等を共通の窓口やシステムで管理できれば、本社から全体状況を把握しやすくなります。
また、面談依頼時の情報項目や社内フローを共通化することで、拠点ごとの運用差を小さくできます。
ただし、拠点ごとの業務内容や健康リスクは異なるため、管理方法を標準化しながら、医学的評価は各従業員・事業場の状況に応じて行うことが重要です。
企業の成長に応じてサービスを追加できる
産業医選任から開始し、企業の規模や健康課題に応じて、産業保健師、ストレスチェック、メンタルヘルス支援、休職・復職支援等を追加できるサービスもあります。
初めからすべての機能を契約するのではなく、自社で必要性の高い業務から開始し、実際の利用状況を確認しながら拡張する方法もあります。
過剰な機能を抱えず、必要な産業保健体制を段階的に整備できます。
クラウド型産業医サービスのデメリット
クラウド型産業医サービスを契約すれば、すべての産業保健課題が解決するわけではありません。
オンラインと対面の役割分担、サービス範囲、担当産業医との適合性、料金、健康情報管理等を十分に確認する必要があります。
すべての業務をオンラインで完結できない
産業医の業務には、情報通信機器を利用できるものと、実地確認が必要なものがあります。
例えば一定の面接指導や衛生委員会への参加等は条件を整えてオンラインで行える場合がありますが、法令上の産業医の定期職場巡視は実地で行う必要があります。
また、産業医が現場確認を必要と判断した場合には、遠隔対応だけで完結させず実地確認できる体制が必要です。
オンラインと対面を業務目的に応じて使い分けることが基本です。
サービスによって支援範囲が大きく異なる
同じ「クラウド型」という名称でも、産業医紹介のみ、面談調整まで、産業保健全般の運用支援までなど、サービス内容は異なります。
契約前に、産業医、サービス会社、企業それぞれが担当する業務を整理します。
特に、面談後の社内措置、健康情報管理、緊急時対応、担当医交代等について、どこまで支援されるかを確認しましょう。
担当産業医と相性が合わない可能性がある
サービス会社から紹介された産業医であっても、自社の業種・健康課題や、従業員・人事とのコミュニケーションに必ず適合するとは限りません。
候補者との面談が可能か、担当開始後に連携方法を見直せるか、必要な場合に担当医を変更できるかを確認します。
ただし、会社が希望する医学的結論を出すかどうかではなく、産業医としての独立性を保ちながら、適切な評価・説明・助言ができるかを判断基準にします。
利用しない機能にも費用が発生する場合がある
総合型サービスでは、多くの機能がセットになっている場合があります。
自社でほとんど利用しない相談窓口やコンテンツ等にも料金が含まれていれば、費用対効果は低くなる可能性があります。
反対に、基本料金が安くても、従業員面談、報告書作成、追加訪問等がすべて従量課金であれば、年間費用が想定より増えることがあります。
月額料金ではなく、自社の想定利用量に基づく年間総額で比較することが重要です。
クラウド上の健康情報管理にリスクがある
健康診断結果や面談情報など、労働者の心身の状態に関する情報の多くは要配慮個人情報に該当する機微な情報です。
クラウドサービスを利用する場合には、利用目的、取扱者、閲覧権限、アクセス管理、操作記録、安全管理措置、保存期間、契約終了後のデータ処理等を確認します。
外部サービスへ情報を預けても、企業が健康情報を適正に取り扱う責任までなくなるわけではありません。
クラウド型産業医サービスが向いている企業
クラウド型産業医サービスは、すべての企業に必要なサービスではありません。
一方、産業保健業務を自社だけで安定して運用することが難しい企業や、複数事業場で手続きを標準化したい企業では、有力な選択肢になります。
初めて産業医を選任する企業
初めて産業医を選任する企業では、医師を見つけるだけでなく、職場巡視、衛生委員会、健診後の対応、各種面談等をどのように運用するのかを設計する必要があります。
候補医師の紹介に加えて、年間スケジュールや社内フローまで支援できるサービスであれば、選任後の産業保健活動を開始しやすくなります。
人事・労務担当者が少ない企業
産業保健の専任担当者を配置していない企業では、訪問日程、面談調整、書類管理等が通常の人事労務担当者へ集中しやすくなります。
日程・進捗管理等の定型業務を外部支援へ切り分けられれば、人事担当者は事業者として必要な就業措置や現場調整等に集中しやすくなります。
複数拠点を持つ企業
複数の事業場で産業医を選任している企業では、契約、訪問予定、面談依頼、活動記録等の管理が複雑になります。
窓口や企業側の書式・運用フローを共通化できるサービスを利用すれば、本社で全体状況を把握しやすくなります。
拠点数が増える企業ほど、産業医個人へ運用を依存せず、企業側の管理プロセスを標準化することが重要です。
リモートワーク中心の企業
テレワーク中心の企業では、一定の健康相談や面接指導についてオンラインを利用することで、場所による相談機会の差を小さくできる場合があります。
一方、産業医の定期職場巡視など実地確認が必要な職務もあります。
オンラインのみで完結させるのではなく、必要な場合に対面・実地対応へ切り替えられるサービスを選びます。
メンタルヘルスや休復職対応を強化したい企業
メンタルヘルス不調や休職・復職対応では、産業医面談だけでなく、本人への継続的なフォロー、主治医との必要な情報連携、職場復帰後の再評価等が必要になる場合があります。
産業医に加えて産業保健師、相談窓口、リワーク等と連携できるサービスであれば、状況に応じて支援を組み合わせやすくなります。
不調が生じた時点だけではなく、休養から復職後の安定就労までどのように支援できるかを確認しましょう。
クラウド型産業医サービスの選び方
サービス選びでは、機能数や登録産業医数だけを比較しないことが重要です。
自社の課題を整理し、その課題を解決するために必要な産業医、運用支援、システム、他職種との連携がそろっているかを確認します。
産業医の選考・研修体制を確認する
登録医師数だけでは、実際に紹介される産業医の対応力までは分かりません。
法令上の産業医要件をどのように確認しているか、企業での産業保健経験、メンタルヘルス対応、面談・説明力、人事との連携等をどのように確認しているかを質問します。
また、サービス開始後にも研修や情報提供など、産業医の継続的な支援体制があるか確認するとよいでしょう。
自社の業種と健康課題への対応経験を確認する
製造、IT、物流、小売、医療等では、主な職場リスクや産業保健上の課題が異なります。
候補産業医について、自社と近い業種・規模でどのような業務を経験してきたかを確認します。
診療科名だけで判断せず、長時間労働、メンタルヘルス、交替勤務、化学物質等、自社で重要な課題への実務経験を確認することがポイントです。
候補となる産業医と事前に面談する
可能であれば、契約前に実際の産業医候補と面談します。
高ストレス者や長時間労働者への対応、休職・復職支援、職場巡視、就業上の医学的意見をどのように示すかなど、自社で起こり得るケースをもとに質問すると実務対応を確認しやすくなります。
また、候補医師から自社の業務内容や勤務制度について質問があるかも重要な確認点です。
対面・オンラインの対応範囲を確認する
「オンライン対応可能」という説明だけではなく、具体的にどの職務を遠隔で行い、どの職務を実地で行うのかを確認します。
定期職場巡視は実地で行う必要があります。また、遠隔で実施できる職務でも、産業医が必要と判断した場合には対面・実地確認へ切り替えられる体制が必要です。
緊急時の医療機関連携等についても確認しましょう。
選任後の運用支援を確認する
クラウド型サービスの価値を判断するうえで重要なのが、産業医選任後の支援範囲です。
訪問日程、従業員面談の調整、必要資料の準備、進捗管理、再評価予定等について、企業とサービス会社のどちらが何を行うのかを明確にします。
紹介後の実務がほぼすべて企業側に残るサービスであれば、自社が求める「運用負担の軽減」が得られない可能性があります。
セキュリティと健康情報管理を確認する
健康情報をクラウド上で取り扱う場合には、情報セキュリティと健康情報の取扱方法を確認します。
誰がどの情報へアクセスできるのか、アクセス管理・記録があるか、不正アクセスや情報漏えいへの対策、バックアップ、保存期間、契約終了後の返却・削除等を確認します。
技術面だけでなく、企業・産業医・サービス会社のそれぞれの取扱権限を明確にすることが重要です。
料金を年間総額で比較する
基本月額だけでなく、訪問、オンライン面談、追加面談、書類作成、交通費、延長、キャンセル、担当医交代等に追加料金がかかるかを確認します。
自社で想定する年間利用件数を各サービスへ同じ条件で提示し、総額を比較すると判断しやすくなります。
さらに、社内で必要となる日程調整・管理等の人事工数も含めて考えると、実際の運用コストを比較しやすくなります。
担当医の交代・代替体制を確認する
担当産業医の退任、休業、企業とのミスマッチ等によって、医師交代が必要になる場合があります。
契約前に、代替医師をどのように確保するのか、後任候補の提案方法、費用、引継ぎ方法を確認します。
特定の医師一人に依存するのではなく、担当医が変わっても必要な産業保健活動を継続できる体制を確認することが重要です。
クラウド型産業医サービスを導入する6つの手順
導入時は、最初にサービス会社を比較するのではなく、自社が解決したい課題を整理することから始めます。
必要な業務・件数・事業場数を明確にしたうえで、同じ条件で複数サービスを比較すると、自社に合う支援範囲を判断しやすくなります。
手順1.導入目的と現在の課題を整理する
産業医候補が見つからない、面談調整に時間がかかる、複数拠点の状況を把握できない、人事担当者の工数が大きいなど、現在の課題を具体化します。
可能であれば、年間の面談件数、休職・復職対応件数、事業場数、対応までの日数、人事担当者が産業保健業務へ使っている時間等も確認します。
導入後に改善したかを比較できる基準をつくっておきます。
手順2.必要な業務内容を決める
職場巡視、衛生委員会、健診後の医師等への意見聴取、長時間労働者への面接指導、ストレスチェック、高ストレス者対応、休職・復職支援等を一覧化します。
それぞれについて、法定業務なのか任意支援なのか、年間の想定件数や頻度はどの程度かを整理します。
必要な業務を明確にすることで、サービスの機能数ではなく自社との適合性を比較できます。
手順3.複数サービスを比較する
複数サービスへ見積りを依頼するときは、対象事業場、訪問頻度、面談想定件数、必要な追加サービス等の条件をそろえます。
各社で前提条件が異なると、料金だけを比較しても判断できません。
医師の選考方法、運用支援、オンライン・対面の対応範囲、健康情報管理、担当医交代まで同じ項目で比較します。
手順4.産業医候補と面談する
候補産業医へ、自社の事業内容、勤務形態、主な健康課題、現在困っていることを説明します。
そのうえで、面接指導、休職・復職、職場巡視、就業上の意見、人事との連携等について対応方針を確認します。
書類上の経歴だけでなく、実際に企業とどのようにコミュニケーションを取る医師なのかを確認しましょう。
手順5.契約と産業医の選任手続きを行う
対象事業場、訪問頻度、契約時間、業務範囲、追加料金、健康情報の取扱い等を契約内容として確認します。
そのうえで、産業医選任義務のある事業場では、法令上必要な選任・報告手続きを行います。
サービス会社との契約締結日と、産業医の法定選任日を同じものと考えず、個別に管理することが重要です。
手順6.従業員へ周知して運用を開始する
選任後は、担当産業医、相談できる内容、面談の申込方法、オンライン面談の利用方法、健康情報の取扱い等を従業員へ周知します。
社内担当者についても、誰が面談調整を行い、誰が産業医へ勤務情報を提供し、誰が必要な就業措置を管理するのかを決めます。
運用開始後は、一定期間経過後に、予定どおり業務が動いているかを確認します。評価時期は企業の状況に応じて設定します。
クラウド型産業医サービスの導入を成功させる運用プログラム
クラウド型産業医サービスは、契約した時点で成果が確定するものではありません。
企業の従業員数、健康課題、面談件数等は変化するため、導入後も運用状況を確認し、契約時間や業務フローを見直す必要があります。
毎月|対象者と未対応案件を確認する
企業が適法に把握できる範囲で、長時間労働者への対応、健康相談、休職・復職、健診後の事後措置等について未対応案件がないか確認します。
面談を実施したケースでも、その後に医学的意見への対応や再評価が必要な場合があります。
なお、ストレスチェックの個人結果など、事業者が本人の同意なく取得できない情報まで人事側で一覧管理しないよう注意します。
毎月|オンラインと対面の業務を振り分ける
継続的な健康相談や一定の面接指導等ではオンラインを活用できる場合があります。一方、法令上の定期職場巡視は実地で行います。
また、遠隔で実施可能な業務でも、産業医が必要と判断した場合には対面・実地対応へ切り替えます。
オンライン利用率を高めることを目的にせず、それぞれの職務に適した方法を選択することが重要です。
四半期ごと|利用状況と成果を評価する
一定期間ごとに、相談・面談までに要する日数、未対応案件、健診後の対応状況、人事担当者の業務負荷などを確認します。
必要な対応が遅れている場合には、産業医の契約時間、予約方法、社内の承認フロー、サービス会社との役割分担等を見直します。
ただし、面談件数が多いほどよいと単純評価するのではなく、必要な支援が適切な時期に行われているかを確認します。
年度ごと|契約内容と機能を見直す
年度や契約更新のタイミングでは、利用したサービス、ほとんど使用しなかった機能、面談件数、事業場数、追加料金等を振り返ります。
不要な機能を見直す一方、健診フォローや休復職支援が増えている場合には産業保健師等の支援追加を検討します。
企業の規模と健康課題に合わせて契約内容を更新することで、過不足の少ない産業保健体制を維持しやすくなります。
クラウド型産業医サービスの想定事例
想定事例1.初めての産業医選任を支援したケース
常時使用する労働者数が50人に到達し、産業医選任が必要になったものの、候補医師の探し方や衛生委員会等の運用方法が分からない企業を想定します。
産業医候補の選定に加えて、契約・選任手続き、職場巡視、衛生委員会、年間の産業保健スケジュールまで整理しました。
医師を選任したことだけでなく、選任後に必要な産業保健活動を開始できる状態まで整備した想定事例です。
想定事例2.複数拠点の産業医管理を統一したケース
各事業場が個別に産業医と契約し、本社が訪問予定や面談対応の状況を把握できていない企業を想定します。
そこでサービス窓口を共通化し、企業側の面談依頼項目、勤務情報の提供方法、活動状況の管理方法を統一しました。
各事業場の産業医は地域や事業内容に合わせて配置しながら、本社側の運用を一元管理することで、拠点ごとの個別管理から全社的な産業保健管理へ切り替えたケースです。
想定事例3.リモート勤務者の面談を迅速化したケース
テレワーク中心の従業員が健康相談を希望しても、次回の産業医訪問日まで一定期間待っていた企業を想定します。
オンライン面談の利用条件、予約方法、必要な勤務情報の提供、対面へ切り替える場合のルールを整備しました。
評価するのはオンライン面談の件数ではなく、必要な従業員が適切な医学的評価へつながるまでの時間や、その後の支援が改善したかという点です。
想定事例4.産業保健師との連携で健診後対応を改善したケース
限られた産業医訪問時間の多くを、健康診断後の定型的な確認作業へ使っていた企業を想定します。
産業保健師が受診勧奨や保健指導、継続フォロー等を担当し、医師による医学的意見が必要な対象者を産業医へつなぐ役割分担へ変更しました。
その結果、産業医は法令上・医学上医師による対応が必要な業務へ時間を配分しやすくなりました。
医師と保健師の職務を適切に分担した想定事例です。
産業医クラウドで産業医の選定から運用まで一元支援
クラウド型産業医サービスを比較するときは、「オンライン面談が利用できるか」だけで判断するのではなく、産業医の選考方法、企業での実務経験、対面対応、選任後の運用支援、産業保健師、ストレスチェック、休職・復職支援等まで確認することが重要です。
Avenirの「産業医クラウド」では、公式サイト上、産業医の選任支援、従業員面談、職場巡視、産業保健業務の事務・運営効率化、衛生委員会運営支援、産業保健師、ストレスチェック、メンタルヘルス支援、復職・就労支援等を提供しています。
また、紹介する産業医については事前に面談を行い、法令に基づく基本業務の習熟度、応用業務の理解・実行力、人事との協調姿勢等を確認し、継続的な研修も行っているとしています。
公式サイトでは、導入社数3,500社以上、対応事業場数22,000事業場以上、稼働産業医560名と掲載されています。
重要なのは、登録産業医数や紹介数だけではありません。
自社に合う産業医を選定し、選任後に必要な産業保健活動を運用し、必要に応じて産業保健師やストレスチェック、休復職支援等を組み合わせられるかという視点でサービスを活用することが重要です。
クラウド型産業医サービスに関するよくあるFAQ
クラウド型産業医サービスは法令上の制度ですか?
法令上の制度名や資格名ではありません。
一般に、産業医の選定・紹介、オンライン機能、産業保健業務の管理・運用支援等を組み合わせた民間サービスを指して使われています。
そのため、サービスへ加入することと、法令上の産業医を正式に選任することは別です。選任義務がある事業場では、要件を満たす産業医を正式に選任し、必要な手続きを行います。
クラウド型なら産業医の訪問は不要ですか?
不要にはなりません。
産業医の職務の一部は情報通信機器を利用して遠隔実施できますが、法令上の定期職場巡視は、産業医が事業場で実地に行う必要があります。
また、遠隔実施できる業務についても、産業医が必要と判断した場合には実地で確認できる体制を整える必要があります。
オンラインで効率化できる業務と、現地で行う必要がある業務を分けて運用します。
産業医面談はオンラインで実施できますか?
産業医の健康相談や法令上の一定の医師面接指導については、厚生労働省が示す条件・留意事項を満たしたうえで情報通信機器を利用できます。
安定した映像・音声、プライバシーの確保、情報セキュリティ、必要な健康・勤務情報の提供体制等を整えます。
また、医師が対面による評価を必要と判断した場合には、直接対面へ切り替える必要があります。
クラウド型サービスを契約すれば選任報告は不要ですか?
不要にはなりません。
サービス契約と法令上の産業医選任・行政手続きは別です。
産業医の選任義務がある事業場では、法令上の要件を満たす医師を正式に選任し、必要な報告等を行います。
サービス会社が実務を支援する場合でも、事業者として必要な手続きが完了しているかを確認します。
健康情報をクラウドへ保存しても問題ありませんか?
クラウド上への保存が一律に禁止されているわけではありません。
ただし、健康診断結果や面談情報等の多くは要配慮個人情報に該当するため、利用目的、取扱者、閲覧権限、安全管理措置、保存期間、契約終了時のデータ処理等を明確にする必要があります。
システムのセキュリティだけでなく、企業内で誰がどの健康情報を扱う必要があるのかまで整理することが重要です。
クラウド型サービスの費用はどのように決まりますか?
料金体系はサービス会社によって異なります。
事業場数、訪問頻度、契約時間、従業員面談、オンライン対応、産業保健師、ストレスチェック等によって料金が変わる場合があります。
基本月額だけではなく、自社の想定する年間利用量で総額を試算し、必要に応じて社内の人事工数も含めて比較すると実態を把握しやすくなります。
直接契約とクラウド型サービスのどちらが適していますか?
すでに自社に合う産業医がおり、社内で日程調整や産業保健業務を適切に管理できる体制があれば、直接契約が適している場合があります。
一方、産業医候補の探索、複数事業場の管理、面談調整、担当医交代時の支援なども必要であれば、運用支援を含むサービスが適する可能性があります。
契約形態の優劣ではなく、自社に不足している機能から判断します。
担当産業医が合わない場合は変更できますか?
担当医を変更できるか、変更時の料金や候補者提案、引継ぎ方法はサービスによって異なるため、契約前に確認します。
また、「合わない」という印象だけで判断するのではなく、業種理解、従業員への説明、産業保健上の意見、連絡方法など、どこに課題があるのかを整理します。
改善可能な運用上の問題であれば調整し、それでも適合しない場合には、次の産業医選定条件へ反映するとよいでしょう。
50人未満の企業でも利用できますか?
民間の産業医・産業保健サービスは、50人未満の事業場でも任意に利用できます。
常時50人未満の事業場では原則として法定の産業医選任義務はありませんが、医師等に健康管理等を行わせることは努力義務とされています。
長時間労働、メンタルヘルス、休職・復職、健診後対応など、自社の健康課題に応じて必要な専門支援を検討するとよいでしょう。
まとめ|クラウド型産業医サービスは医師の品質と運用支援で選ぶ
クラウド型産業医サービスは、産業医の選定・紹介、オンライン機能、訪問・面談調整、産業保健業務の管理等を、専門スタッフやデジタルツールと組み合わせて支援するサービスです。
ただし、「クラウド型」という名称自体に法令上の統一された定義があるわけではありません。
そのため、サービスを比較するときは、産業医の選考・対応力、選任後の運用支援、システム、産業保健師等の専門職連携を確認します。
また、契約しただけで産業保健業務が適正に運用されるわけではありません。
面談まで時間がかかるのであれば予約方法や契約時間を見直す。未対応案件が残るのであれば担当者や管理方法を見直す。産業医へ必要な職務情報が届いていないのであれば情報提供方法を改善する。人事工数が大きいのであれば、外部へ委託する定型業務を見直す。
実際の運用状況を確認しながら、企業とサービス会社の役割分担を継続的に改善することが重要です。
さらに、面談依頼時の情報項目、勤務情報の提供方法、健康情報の取扱い、必要な就業措置の管理、再評価、衛生委員会等の運用を標準化すれば、事業場や担当者が増えても一定の手順で産業保健業務を進めやすくなります。
一方で、標準化すべきなのは企業側の運用であり、産業医の医学的判断そのものを一律化するものではありません。
産業医、産業保健師、運用スタッフ、システム、人事・経営がそれぞれの役割を担い、医学的判断が必要な業務は医師へ、継続支援は適切な専門職へ、最終的な就業上の措置は事業者へと役割を分けます。
クラウド型産業医サービスを単なる「オンラインで利用できる産業医サービス」ではなく、従業員の健康確保に必要な産業保健活動を安定して実施するための運用基盤として捉えることが重要です。
その視点で比較すれば、見るべきなのはシステムの機能数や登録医師数だけではありません。
必要な専門的支援を必要な時期に受けられ、企業がその医学的意見を適切な健康確保措置へつなげ、継続的に運用できるか。
そこが、クラウド型産業医サービスを選ぶうえで重要な判断基準です。
産業医紹介サービスを検討している企業様必見!