本社のほかに支店、工場、営業所、店舗などを持つ企業では、「会社全体で産業医を1人選任すればよいのか」「同じ産業医が複数拠点を担当できるのか」と迷うことがあります。
産業医の選任義務は、原則として法人全体ではなく事業場単位で判断します。
複数拠点企業では、各拠点の人数や業務実態を確認したうえで選任し、本社が契約や実施状況を一元管理することが重要です。
目次
- 結論|常時50人以上の事業場ごとに産業医を選任する
- 産業医の選任単位となる「事業場」とは
- 事業場ごとの労働者数を数える方法
- 複数拠点企業における4つの産業医選任パターン
- 専属産業医が必要となる大規模拠点の確認
- 複数拠点企業で起こりやすい産業医選任の課題
- 複数拠点企業が産業医を選任する6つの手順
- 複数拠点の産業医体制を成功させる5つのポイント
- 複数拠点向けの年間産業保健プログラム
- 複数拠点企業が産業医を選任する際の注意点
- 複数拠点企業における産業医選任の想定事例
- 産業医クラウドで複数拠点の選任と運用を一元化
- 複数拠点企業の産業医選任に関するよくあるFAQ
- まとめ|事業場ごとの法定選任と全社一元管理を両立する
結論|常時50人以上の事業場ごとに産業医を選任する
常時50人以上の労働者を使用する事業場では、原則として産業医の選任が必要です。本社が100人、支店が各30人の場合は、本社が選任対象となり、各支店には一律の選任義務はありません。
一方、本社と2つの工場がそれぞれ50人以上であれば、3事業場すべてで選任が必要です。同じ医師が担当する場合も、各事業場で個別に選任し、所轄の労働基準監督署へ報告します。
産業医の選任単位となる「事業場」とは
事業場とは、工場、事務所、支店、店舗など、一定の場所で関連する組織のもとに継続して業務が行われる単位です。会社が設定した組織名や管理コードだけで決まるものではありません。
基本的には、同じ場所にある組織は一つの事業場、場所が離れている拠点は別事業場として判断します。ただし、組織や業務の独立性によって例外があるため、実態を確認する必要があります。
離れた場所にある支店や工場は原則として別事業場
所在地が異なる本社、支店、営業所、工場、店舗などは、原則としてそれぞれ別の事業場として扱います。そのため、法人全体の人数を合計するだけではなく、各拠点で常時使用する労働者数を確認します。
例えば、本社45人、工場60人、営業所20人の場合、原則として工場が産業医の選任対象です。選任要否だけでなく、衛生管理者や衛生委員会の必要性も拠点ごとに確認しましょう。
小規模な出張所は上位拠点へ含める場合がある
所在地が異なっていても、規模が著しく小さく、独立した管理機能を持たない出張所や作業所は、直近上位の支店や事業場へ含めて扱う場合があります。
拠点名や住所だけでは判断できません。責任者の権限、勤怠管理、採用・配置、業務指示、予算管理などを確認します。判断が難しい場合は、組織図や勤務実態を整理して所轄の労働基準監督署へ相談しましょう。
同じ場所でも業務が大きく異なれば別事業場となる場合がある
同じ敷地や建物内にあっても、労働の態様が著しく異なり、別々に管理することが法令の運用上適切な部門は、別事業場として扱われる場合があります。
例えば、工場内に独立した診療所がある場合や、販売部門に整備工場が併設されている場合などです。同じ住所だから必ず一事業場と判断せず、業務内容と管理体制の独立性を確認する必要があります。
グループ会社は法人と労務管理の実態を確認する
複数のグループ会社が同じオフィスを利用していても、雇用主、指揮命令、給与計算、人事評価などが分かれていれば、別々の事業場として扱われる可能性があります。
反対に、法人は異なっていても、実態として管理が一体化している場合は慎重な確認が必要です。単に同じ建物へ入居しているかではなく、誰が労働者を雇用し、指揮しているかを整理しましょう。
リモート勤務者は所属する事業場を明確にする
在宅勤務者やフルリモート勤務者も、事業場の人数を確認する際に一律に除外できるわけではありません。所属部署、業務上の指示を受ける拠点、勤怠管理、人事評価などを踏まえ、所属する事業場を整理します。
複数拠点でリモート勤務者を管理している企業は、雇用契約書や組織図に所属先を明記し、人数集計や健康管理の対象から漏れないようにしましょう。
事業場ごとの労働者数を数える方法
産業医の選任基準となる「常時使用する労働者」には、正社員だけでなく、契約社員、パート、アルバイト、日雇労働者なども含め、通常の状態で使用する人数を算定します。
毎日の出勤人数ではなく、事業場の通常の人員体制で判断することが基本です。採用や派遣労働者の受け入れによって50人へ近づいている拠点は、到達前から選任準備を始めましょう。
パート・アルバイトも人数へ含める
勤務時間が短いパートや週数日勤務のアルバイトであっても、常態として事業場で使用している場合は、原則として人数へ含めます。社会保険の加入状況だけで判断するものではありません。
店舗や物流拠点では、正社員だけを集計すると実際の人数と大きく異なることがあります。雇用形態別ではなく、事業場で継続的に使用している労働者を把握しましょう。
派遣労働者は派遣先でも人数へ含める
派遣労働者は、事業場規模を算定する際、原則として派遣元と派遣先の双方で人数へ含めます。直接雇用する従業員が40人でも、派遣労働者を15人受け入れていれば、選任義務が生じる可能性があります。
本社人事が直接雇用者だけを管理している場合は、拠点ごとの派遣受け入れ人数も定期的に収集する仕組みが必要です。
一時的な増員ではなく通常の状態で判断する
休暇や出張によって出勤者が50人未満の日があっても、通常の人員体制が50人以上であれば選任対象です。一方、催事や季節的な繁忙期だけ短期間増員した場合は、必ずしも常時50人以上とは限りません。
契約期間、採用目的、増員が継続する見込みなどを確認し、一時点の人数ではなく常態としての人員規模を判断しましょう。
複数拠点企業における4つの産業医選任パターン
複数拠点企業の産業医体制には、拠点ごとに異なる産業医を選任する方法、同一医師を複数拠点で選任する方法、本社の総括産業医と地域産業医を組み合わせる方法などがあります。
費用だけで決めず、拠点数、移動距離、業種、面談件数、地域での医師確保状況を比較し、自社に合う方法を選びましょう。
パターン1.50人以上の拠点だけで産業医を選任する
本社80人、営業所20人、店舗10人という企業では、原則として本社に産業医を選任します。50人未満の営業所や店舗には、一律の選任義務はありません。
ただし、小規模拠点でも長時間労働やメンタルヘルス不調は発生します。本社産業医によるオンライン相談、産業保健師の支援、外部医師による面談などを活用し、支援の空白を作らないことが重要です。
パターン2.各拠点で別々の産業医を選任する
本社、工場、物流センターがそれぞれ50人以上の場合、各事業場で地域や業務に適した産業医を選任する方法があります。
本社ではメンタルヘルスや長時間労働対応、工場では化学物質や作業環境管理、物流センターでは夜勤や身体負荷への理解が求められます。拠点ごとの健康リスクに合う医師を選びやすい点がメリットです。
パターン3.同一の嘱託産業医を複数拠点で選任する
近隣に複数の事業場がある場合は、同じ医師を各事業場の産業医として選任する方法があります。ただし、法人単位で一括して選任するのではなく、それぞれの事業場で選任・報告を行います。
各拠点の訪問、職場巡視、衛生委員会、面談へ対応できる時間を確保できるかが重要です。担当拠点が多すぎると対応が形式化するため、業務量を確認しましょう。
パターン4.本社の総括産業医と地域産業医を組み合わせる
全国に多くの拠点を持つ企業では、本社に全社方針を調整する総括産業医を置き、各地域の法定産業医と連携する方法が有効です。
総括産業医が面談基準や休復職プログラムを統一し、地域産業医が職場巡視や従業員面談を担当します。ただし、総括産業医を置いても、各50人以上事業場の法定選任を省略できるわけではありません。
専属産業医が必要となる大規模拠点の確認
常時1,000人以上の労働者を使用する事業場や、一定の有害業務に常時500人以上を従事させる事業場では、専属産業医の選任が必要です。常時3,000人を超える事業場では、2人以上の産業医を選任します。
複数拠点企業では、法人全体の人数ではなく、各事業場がこの基準に該当するかを確認します。工場や大規模物流拠点は、有害業務の内容も含めて確認しましょう。
専属産業医による他拠点の兼務には条件がある
専属産業医が、所属する事業場とは別の事業場で非専属産業医を兼務する場合は、産業医業務に支障がないことなど、一定の条件を満たす必要があります。
事業場間の移動時間、労働衛生管理の関連性、業務内容の類似性などを確認します。通常の交通手段でおおむね1時間以内という考え方も示されているため、安易な広域兼務は避けましょう。
複数拠点企業で起こりやすい産業医選任の課題
50人へ到達した拠点を本社が把握できない
拠点ごとに採用や派遣社員の受け入れを行っている企業では、本社が最新人数を把握できず、選任義務の発生を見落とすことがあります。
拠点別の在籍人数、派遣労働者数、入社予定者を毎月集計し、45人など一定人数へ達した時点で本社へ通知する仕組みを作りましょう。拠点任せにせず、本社でも確認する二重管理が有効です。
地方拠点で条件に合う産業医が見つからない
都市部では複数候補を比較できても、地方では希望する曜日や業務内容に対応できる産業医が限られる場合があります。50人到達後に探し始めると、選任期限へ間に合わない可能性があります。
新拠点の開設や採用拡大が決まった段階から候補者を探し、オンライン面談や代替医師の手配に対応できるサービスも比較しましょう。
拠点ごとに面談や就業措置の基準が異なる
各拠点が独自に産業医と契約すると、面談依頼の基準、意見書の書式、休復職対応などにばらつきが生じます。同じ健康状態でも、拠点によって対応が異なる可能性があります。
本社が共通の依頼書、意見書、休復職フローを用意し、地域産業医へ共有しましょう。医学的判断は尊重しつつ、企業側の手続きと判断基準を統一します。
本社人事の契約・日程管理が複雑になる
産業医が増えるほど、契約更新、請求書、訪問日程、面談予約、選任報告などの管理業務も増えます。拠点ごとに契約先や書式が異なると、担当者の異動時に引継ぎが難しくなります。
契約台帳と年間スケジュールを本社で一元管理し、各拠点の担当者が確認できる仕組みを整えましょう。
50人未満の拠点が健康支援から取り残される
法定の産業医がいる本社では相談できても、小規模な営業所や店舗では相談先がないという状態が生じることがあります。
選任義務の有無だけで支援対象を分けず、全従業員が利用できる相談窓口を設けましょう。本社産業医、オンライン面談、産業保健師などを組み合わせると、全国共通の支援体制を構築できます。
複数拠点企業が産業医を選任する6つの手順
手順1.すべての拠点と所属者を一覧化する
本社、支店、工場、店舗、営業所、物流センターなどを一覧化し、所在地、業種、直接雇用者数、派遣労働者数を整理します。リモート勤務者の所属先も確認しましょう。
新拠点や一時的な作業所が一覧から漏れないよう、登記情報だけでなく人事・総務・事業部門から情報を収集することが重要です。
手順2.事業場の単位と選任要否を判定する
場所、組織、指揮命令、勤怠管理などを確認し、それぞれが独立した事業場に該当するかを整理します。そのうえで、常時50人以上の事業場を抽出します。
1,000人以上の大規模事業場や、有害業務を扱う事業場では、専属産業医が必要かも確認します。判断に迷う場合は、所轄の労働基準監督署へ相談しましょう。
手順3.全社の産業医配置方針を決める
拠点ごとに別の産業医を置くのか、同一医師を複数拠点で選任するのか、総括産業医を設けるのかを検討します。
拠点数、地域、従業員数、業務内容、面談件数、移動時間を比較しましょう。法定要件を満たすだけでなく、全拠点で必要な健康支援を継続できる配置にすることが目的です。
手順4.産業医候補と契約内容を比較する
候補者には、担当可能地域、訪問頻度、オンライン対応、メンタルヘルス、休復職支援などを確認します。工場や物流拠点では、業務特有の健康リスクに関する経験も重要です。
複数拠点を依頼する場合は、拠点ごとの訪問時間、面談枠、交通費、追加料金を明確にし、実行可能な契約内容へ落とし込みます。
手順5.各事業場で選任して報告する
同じ医師を複数拠点で選任する場合も、事業場ごとに正式な選任が必要です。選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任し、各事業場を管轄する労働基準監督署へ報告します。
産業医選任報告は原則として電子申請で行います。本社が申請を代行する場合も、事業場名、所在地、選任日を個別に管理しましょう。
手順6.選任後の全社運用を開始する
面談申込、勤務情報の提供、意見書の受領、就業措置、再面談までの流れを統一します。産業医の氏名、担当業務、相談方法も各事業場で従業員へ周知しましょう。
本社は全体方針と進捗管理、各拠点は対象者の案内や現場対応を担当するなど、役割分担を明確にします。
複数拠点の産業医体制を成功させる5つのポイント
本社と各拠点の役割を明確にする
本社は、契約、全社方針、共通書式、選任状況、健康情報の管理基準を担当します。各拠点は、勤務情報の準備、面談案内、職場巡視への同行、就業措置の実施状況を管理します。
役割を一覧化し、主担当者と副担当者を決めましょう。担当者が異動・退職しても運用が止まらない体制が必要です。
産業医業務の書式と対応フローを統一する
面談依頼書、勤務情報、意見書、職場巡視報告書などを統一すれば、複数の産業医が担当していても、本社が内容を確認しやすくなります。
ただし、医師の医学的判断まで統一するものではありません。企業が必要とする情報項目や社内手続きを共通化し、各産業医が専門性を発揮できる運用にしましょう。
対面訪問とオンライン面談を使い分ける
健康相談、長時間労働者面談、休復職者のフォローなどでは、オンライン対応を活用することで、地方拠点でも早期に面談を設定しやすくなります。
一方、職場巡視では作業環境を実際に確認する必要があります。すべてをオンライン化せず、職務の目的に応じて対面訪問と組み合わせることが重要です。
本社が実施状況を数値で管理する
産業医の選任状況、訪問日、職場巡視、衛生委員会、面談件数、健康診断後の措置を拠点別に管理します。
さらに、面談依頼から実施までの日数、意見書受領後の対応完了率、未処理案件数も確認しましょう。遅延が多い拠点では、契約時間や社内担当者を見直します。
産業医同士が情報共有できる場を設ける
複数の産業医を選任している企業では、個人を特定しない形で、長時間労働、休職、健康診断、職場巡視などの傾向を共有する機会を設けます。
総括産業医や産業保健師が調整役となり、全社的な課題と地域固有の課題を整理すると、各産業医の独立性を保ちながら産業保健プログラムを統一できます。
複数拠点向けの年間産業保健プログラム
複数拠点企業では、法定業務を拠点ごとに実施するだけでなく、全社共通の年間プログラムとして管理することが重要です。
健康診断、ストレスチェック、長時間労働者面談、職場巡視、管理職研修などの実施時期を一覧化し、本社と各拠点の担当業務を明確にします。未実施拠点が自動的に分かる管理表を作成すると効果的です。
毎月確認する項目
毎月、拠点別の労働者数、長時間労働者、面談希望者、休復職者、産業医訪問、職場巡視、衛生委員会の実施状況を確認します。
45人以上など選任基準へ近づいた拠点については、採用予定や派遣労働者数も確認し、選任準備へ移行します。未対応案件には期限と担当者を設定しましょう。
四半期ごとに確認する項目
四半期ごとに、面談までの日数、健康診断後の対応率、休復職者のフォロー率、追加費用などを振り返ります。
拠点ごとの数値を比較し、対応が遅れている原因を確認します。産業医の契約時間が不足しているのか、拠点担当者の案内が遅いのかを分けて改善しましょう。
年度ごとに確認する項目
年度末や契約更新時には、翌年度の採用、新拠点、閉鎖・統合予定を確認します。拠点数や面談件数が変化する場合は、産業医の配置と契約時間を見直しましょう。
産業医の評価では、資格や訪問回数だけでなく、意見の具体性、人事との連携、従業員への対応、報告期限なども確認します。
複数拠点企業が産業医を選任する際の注意点
法人全体の人数だけで判断しない
産業医の選任義務は原則として事業場ごとに判断します。法人全体で数百人いても各事業場が50人未満の場合と、一拠点に50人以上が集中している場合では対応が異なります。
本社の従業員名簿だけで判断せず、拠点単位の人数を定期的に確認しましょう。
総括産業医だけで法定選任を済ませない
総括産業医は、全社の産業保健方針を調整する実務上の役割です。総括産業医を本社に置いても、常時50人以上の各事業場で必要な産業医の選任を代替できません。
全社統括と法定選任を分けて考え、それぞれの役割や報告経路を明確にしましょう。
同じ産業医でも一括選任・一括報告はできない
同一医師が複数拠点を担当する場合も、各事業場がその医師を個別に選任します。報告も、それぞれの所在地を管轄する労働基準監督署へ行います。
契約書には、対象事業場、訪問時間、業務内容、料金を拠点別に記載し、会社との契約関係と法定の選任関係を整理しましょう。
全拠点を一律の契約時間にしない
従業員数、業種、面談件数が異なるにもかかわらず、全拠点を同じ訪問時間にすると、必要な業務を完了できない拠点が生じます。
工場や物流拠点では職場巡視に時間がかかり、本社ではメンタルヘルス面談が多いこともあります。拠点ごとの業務量を基に契約時間を設定しましょう。
健康情報を本社へ無制限に集約しない
面談で得られた病名、治療内容、家庭事情などを、本社が一律に収集することは適切ではありません。本社へ共有する情報は、就業上の措置や安全配慮に必要な範囲へ限定します。
産業医、本社人事、拠点人事、上司が閲覧できる情報を区分し、利用目的と保管方法を健康情報取扱規程に定めましょう。
産業医の交代時に選任の空白を作らない
地方拠点の産業医が退任してから後任を探すと、選任の空白期間が生じる可能性があります。契約時に解約予告期間、代替医師の手配、引継ぎ方法を確認しましょう。
2026年8月1日以降は、選任だけでなく、辞任・解任・退任についても報告が必要です。本社が全拠点の交代状況を管理することが重要です。
複数拠点企業における産業医選任の想定事例
想定事例1.派遣労働者を含めた人数管理で選任漏れを防いだケース
本社だけで産業医を選任していた企業で、地方営業所の直接雇用者は45人でした。しかし、派遣労働者を含めると常時50人を超えていることが判明しました。
本社が拠点別の直接雇用者と派遣労働者を毎月集計する仕組みへ変更し、45人到達時にアラートを出すことで、選任準備の遅れを防げるようになりました。
想定事例2.地域産業医を維持しながら全社運用を統一したケース
各工場が地域の産業医と個別に契約していた企業では、面談依頼や意見書の様式が拠点ごとに異なり、本社が状況を把握できませんでした。
地域産業医との契約は維持しながら、面談依頼書、意見書、休復職フローを全社共通にしました。本社が進捗を一元管理することで、地域性と運用品質を両立できました。
想定事例3.オンライン面談で地方拠点の対応を早めたケース
地方拠点では産業医の訪問が月1回に限られ、メンタルヘルス相談から面談まで時間がかかっていました。
職場巡視は対面で行い、健康相談や休復職面談にはオンラインを活用する契約へ変更しました。申込窓口と勤務情報の書式も統一し、勤務地にかかわらず早期に面談できる体制を整えました。
想定事例4.総括産業医を配置して判断基準を統一したケース
全国の拠点で異なる産業医を選任している企業では、復職時の配慮や再面談の時期にばらつきがありました。
本社に総括産業医を配置し、全社共通の休復職プログラムと意見書の項目を整備しました。地域産業医が個別に医学的判断を行いながら、企業側の手続きと受け入れ基準を統一できました。
産業医クラウドで複数拠点の選任と運用を一元化
複数拠点企業の産業医選任では、地域ごとの候補者探し、契約、選任報告、日程調整、面談管理など、多くの実務が発生します。拠点数が増えるほど、本社人事の負担と運用品質の差も大きくなります。
産業医クラウドでは、全国の拠点に対応する産業医の選定に加え、職場巡視、従業員面談、衛生委員会、休復職支援、産業保健師との連携まで一貫して相談できます。
産業医クラウドは、2025年12月末時点で3,500社以上、22,000事業場以上の導入実績があります。
複数拠点の契約や運用を統一したい企業は、お問い合わせフォームからご相談ください。サービス内容や費用を比較したい場合は、無料の資料請求もご活用いただけます。
複数拠点企業の産業医選任に関するよくあるFAQ
会社全体で50人以上なら産業医を選任する必要がありますか?
産業医の選任義務は、原則として法人全体ではなく事業場ごとに判断します。会社全体で50人以上でも、独立した各事業場が50人未満であれば、直ちに選任義務が生じるとは限りません。
ただし、小規模な出張所などは上位事業場へ含める場合があります。所在地だけで判断せず、管理や業務の実態を確認しましょう。
同じ産業医が複数の事業場を担当できますか?
同じ医師を複数の事業場で産業医として選任することは可能です。ただし、各事業場で個別に選任し、それぞれ必要な報告を行います。
複数拠点を担当することで、職場巡視や面談が遅れてはなりません。移動距離、契約時間、面談件数を確認し、各事業場で必要な職務を遂行できる体制を確保しましょう。
本社の産業医を支店の産業医としても選任できますか?
本社の産業医が嘱託産業医であり、支店の業務にも対応できる場合は、支店でも個別に選任する方法があります。ただし、支店が50人以上であれば、支店として正式な選任と報告が必要です。
本社の産業医が専属産業医の場合は、他事業場の非専属産業医を兼務するための条件を確認しなければなりません。
50人未満の拠点には何も対応しなくてよいですか?
50人未満の事業場には原則として産業医の選任義務はありませんが、必要な医学的知識を持つ医師などに健康管理を行わせるよう努めることが求められます。
本社産業医によるオンライン相談、外部医師による面談、産業保健師などを活用し、小規模拠点にも相談先を用意することが望まれます。
同じビルにあるグループ会社は人数を合算しますか?
同じビルに入居しているだけで、必ず人数を合算するわけではありません。法人、雇用主、指揮命令、人事管理などが独立していれば、別事業場として扱われる可能性があります。
一方、実態として組織や労務管理が一体化している場合は、異なる判断となる可能性があります。勤務実態を整理して所轄署へ確認しましょう。
本社から各拠点の選任報告をまとめて申請できますか?
本社担当者が各拠点の電子申請を一元的に進めることは可能ですが、報告自体は事業場ごとに行います。それぞれの事業場名、所在地、選任日、産業医情報を正確に入力します。
同じ産業医であっても、一つの本社分として複数拠点をまとめて報告するものではありません。
複数拠点の産業医面談をすべてオンラインで実施できますか?
健康相談、長時間労働者面談、休復職者のフォローなどでは、必要な環境を整えたうえでオンライン面談を活用できます。
ただし、産業医の職務には職場巡視など、現場を確認する必要がある業務もあります。オンラインだけで全業務を完結させず、対面訪問と組み合わせましょう。
拠点の人数が50人未満になった場合はどうなりますか?
事業場の通常の人員体制が50人未満となり、産業医の選任義務がなくなる場合は、今後の健康管理体制と産業医契約を見直します。一時的な退職や休職だけで直ちに判断せず、継続的な人員計画を確認しましょう。
産業医が退任する場合は、社内手続きと報告の要否を確認し、従業員の相談窓口がなくならないようにします。
全国の拠点を一つの産業医サービスで管理できますか?
全国対応の産業医サービスを利用すれば、候補者探し、契約、日程、請求、活動実績などを一つの窓口へまとめられる場合があります。
対応地域だけでなく、地方での代替医師、オンライン面談、担当医の交代、健康情報管理、選任後の運用支援まで確認して比較しましょう。
まとめ|事業場ごとの法定選任と全社一元管理を両立する
複数拠点企業では、法人全体ではなく、原則として事業場ごとに産業医の選任要否を判断します。常時50人以上の事業場が複数ある場合は、各事業場で産業医を選任し、必要な報告を行わなければなりません。
同じ産業医を複数拠点で選任する方法もありますが、各拠点で職場巡視、面談、健康診断後の措置などを確実に実施できることが前提です。本社は、人数、契約、選任状況、実施実績を一元管理し、地域や業種に合った体制を構築しましょう。
産業医クラウドでは、全国の産業医選定から契約、選任後の運用まで一貫して支援しています。複数拠点の産業医が見つからない場合や、地域ごとの運用を統一したい場合は、お問い合わせフォームまたは資料請求をご活用ください。
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