ストレスチェックで高ストレスと判定されたら?企業が取るべき実務対応と防止策

ストレスチェックを実施すると、一定割合で「高ストレス者」が判定されます。

その結果を受けて、
「何点からが高ストレスなのか」
「判定された従業員に、何をどこまで対応すべきなのか」
と戸惑う企業は少なくありません。

とくに、産業医が十分に関与していないケースや、初年度運用では、
対応フローが曖昧なまま“形式的対応”に終わってしまうこともあります。

しかし、高ストレス者対応は単なる義務対応ではありません。
職場の歪みを是正し、再発を防ぐための経営判断の入口です。

本記事では、高ストレス者の判定基準から、面談・就業配慮・職場改善まで、
実務で迷わないための考え方と進め方を解説します。

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何点以上で高ストレス者?評価のしくみと判定基準

厚労省マニュアルに基づく「2軸評価」


高ストレス者の判定は、
厚生労働省が示す「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」に基づき、
次の2軸で評価されます。

① 心身のストレス反応合計点が基準値(例:76点)を超えた場合
② ストレス要因+支援不足仕事のストレスが強く、上司・同僚の支援が乏しい場合


いずれかに該当すれば「高ストレス者」と判定され、
本人が希望すれば産業医による面接指導の対象となります。
重要なのは、この点数が
診断でも評価でもなく、改善に向けた“警告ランプ”であるという点です。

高ストレス者が出たときの対応フロー

面談案内から就業配慮までの実務ステップ


高ストレス者への対応は、
スピードよりも「正しい順序」と「信頼性」が重要です。
基本的な実務フローは以下の通りです。

  • ① 本人へ面談の案内を通知(※希望制であることを明確に)
  • ② 希望者には産業医との面談機会を確保
  • ③ 面談結果を踏まえ、産業医が就業上の意見を整理
  • ④ 必要に応じて人事・管理職と対応方針を検討


このプロセスで最も重要なのは、
強制しないこと・急がせないこと・評価と切り離すことです。
「受けないと不利になるのでは」という不安があると、
制度そのものが機能しなくなります。

面談を効果的に機能させるためのポイント

産業医の活用でリスク対応と改善が両立する


産業医は、高ストレス者対応において
企業と従業員の間に立つ“翻訳者”の役割を担います。
面談では、単に体調を聞くだけでなく、次のような点が整理されます。

  • 睡眠・疲労・体調に対する本人の自覚
  • 業務量・裁量・役割不明確さなどの構造的負荷
  • 人間関係・心理的安全性の状態
  • 本人が望む今後の働き方


これらを踏まえ、産業医は
「就業継続は可能か」
「一時的な業務軽減が必要か」
「配置や関わり方を変える余地はあるか」
といった実行可能な意見を提示します。
人事はそれを起点に、
法令・現場・経営判断のバランスを取る役割を担います。

実務上の注意点とありがちな失敗例

プライバシー対応と現場の理解がカギ


高ストレス者対応で、現場がつまずきやすいポイントは明確です。

  • 本人の同意なく人事が結果を把握してしまう
  • 上司に安易に共有し、信頼関係を壊す
  • 面談だけ行い、職場改善が行われない


高ストレス者は「問題のある個人」ではなく、
職場構造の歪みを最初に可視化した存在です。
この認識を、
衛生委員会・管理職研修・経営層で共有できるかどうかが、
制度が“守り”で終わるか、“攻め”に転じるかの分かれ目です。

改善につながる成功事例:数値→行動→定着へ

職場単位の対応で離職率を大幅改善

あるIT企業では、高ストレス者が特定部署に集中していることを受け、
次のような対応を実行しました。

  • 高ストレス項目を分解(上司支援・役割不明確さなど)
  • 管理職向け1on1研修とマネジメント改善
  • 産業医と連携した月1回のフォロー面談
  • 翌年、高ストレス者割合:22%→11%、離職率:15%→7%


ポイントは、
個人対応で終わらせず、職場単位で再設計したことです。
数値を“見て終わり”にせず、
行動に変え、定着させたことが成果につながりました。

まとめ:高ストレス者対応を“職場の健全性指標”として活かす

高ストレス者が判定されることは、
従業員個人の問題ではなく、組織からの重要なシグナルです。

産業医と連携し、

  • 本人対応
  • 就業配慮
  • 職場改善


の3方向で取り組むことで、
ストレスチェックは守りの制度から、改善を生む仕組みへと進化します。

数字の裏にある声を読み取り、
実行し、改善し、再現する。
その積み重ねこそが、
健康経営を“成果が出る経営施策”に変えていきます。

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