産業医面談を実施した後、「何を記録すべきか」「何年間保存するのか」「誰まで閲覧してよいのか」と迷う人事担当者は少なくありません。
産業医面談には、長時間労働者や高ストレス者への法定面接指導のほか、一般健康相談、休職・復職面談などがあります。すべてを同じフォルダへ保存するのではなく、面談の目的、法定保存期間、利用範囲に応じて分類することが重要です。
産業医面談記録を保管する3つの目的
産業医面談記録は、単に面談を実施した証拠として残すものではありません。産業医の意見をもとに、残業制限、業務軽減、配置上の配慮などを実施し、その後の状態を継続して確認するために利用します。
さらに、担当者や産業医が交代した場合にも、過去の判断と対応経緯を確認できる状態が必要です。利用目的を明確にし、目的を超えた閲覧や人事評価への転用を防ぎましょう。
就業上の措置を適切に実施する
産業医面談後には、時間外労働の制限、夜勤の免除、業務量の軽減、配置上の配慮、再面談などが必要になる場合があります。
面談結果報告書と医師意見書を保管しておけば、企業がどのような意見を受け、どの措置を選択したのかを確認できます。産業医の提案どおりに対応しなかった場合も、判断理由と代替措置を記録し、健康確保に必要な対応を追跡できる状態にしましょう。
再面談や措置の見直しに活用する
産業医面談は、1回実施して終了するとは限りません。長時間労働やメンタルヘルス不調、休職・復職支援では、一定期間後に再面談を行い、措置の継続、変更、解除を判断します。
前回の面談日、産業医意見、企業が実施した措置、再評価日を記録しておけば、フォロー漏れを防げます。ただし、過去の診断名や相談内容だけで判断せず、現在の勤務状況と心身の状態を改めて評価することが重要です。
企業の対応経緯を確認できるようにする
対象者への案内、本人からの申出、面談実施、医師意見の受領、就業措置、本人への説明までを記録すると、企業の対応状況を客観的に確認できます。
複数の事業場や担当部署が関わる場合は、詳細な健康情報とは別に、面談実施日、対応担当者、措置内容、再面談予定などを管理する台帳を作成しましょう。面談後の実務を可視化することで、連絡や措置の漏れを防止できます。
産業医面談の種類別に見る保存期間
産業医面談記録の保存期間は、面談の種類によって異なります。長時間労働者と高ストレス者への法定面接指導結果は、事業者が5年間保存しなければなりません。
一方、一般健康相談や企業独自の休職・復職面談には、一律の法定保存期間が定められていません。利用目的と必要性を踏まえ、健康情報取扱規程や文書管理規程で保存期間を定めます。
| 面談・記録の種類 | 保存期間 | 保存主体の考え方 |
|---|---|---|
| 長時間労働者への面接指導結果 | 5年間 | 事業者 |
| 高ストレス者への面接指導結果 | 5年間 | 事業者 |
| ストレスチェック個人結果 | 5年間 | 本人同意の有無で異なる |
| 一般健康相談 | 社内規程で設定 | 目的と必要性に応じて決定 |
| 休職・復職面談 | 社内規程で設定 | 就業措置や再評価に必要な期間 |
長時間労働者への面接指導結果は5年間保存する
長時間労働者へ医師による面接指導を実施した場合、事業者は面接指導結果の記録を作成し、5年間保存する必要があります。
記録には、実施年月日、対象者と医師の氏名、勤務状況、疲労の蓄積状況、心身の状態、就業上の措置に関する医師の意見などを含めます。必要事項が記載された面接指導結果報告書・意見書を医師から受領し、法定記録として保存する方法が実務的です。
高ストレス者への面接指導結果も5年間保存する
ストレスチェック後、高ストレス者本人から申出を受けて医師が面接指導を実施した場合も、事業者は結果を5年間保存します。
記録には、面接指導の実施日、本人と医師の氏名、勤務状況、心理的負担、心身の状態、医師意見などが必要です。ストレスチェックの点数だけでなく、面接指導を通じて医師が確認した情報と、就業上の措置に関する意見を保存します。
ストレスチェック結果とは分けて管理する
ストレスチェックの個人結果と、高ストレス者への面接指導結果は別の記録です。
個人結果は、本人が企業への提供に同意した場合には事業者が保存し、同意がない場合には実施者または実施事務従事者が保存します。一方、本人の申出により実施した面接指導結果は、事業者が5年間保存します。保存主体とアクセス権を混同しないよう、フォルダや管理台帳を分けましょう。
一般健康相談・休職・復職面談は社内規程で定める
任意の健康相談や、企業独自に行う休職・復職面談については、すべての記録に一律5年間の法定保存義務があるわけではありません。
就業配慮の継続期間、再面談の予定、休職制度、紛争対応の必要性などを踏まえ、合理的な保存期間を設定します。「念のため」という理由で無期限に保存せず、情報の利用目的、保存期間、廃棄条件を健康情報取扱規程へ明記しましょう。
異動・休職・退職後も法定期間中は保存する
従業員が異動、休職、退職した場合でも、長時間労働者や高ストレス者への法定面接指導結果を、保存期間の途中で廃棄することはできません。
所属部署別のフォルダだけで管理すると、異動時に記録を紛失する可能性があります。面談区分、実施年月日、保存期限、在籍状況を管理台帳へ登録し、退職者についても法定期間が満了するまでアクセス権を限定して保存しましょう。
産業医面談の記録を3種類に分けて管理する
産業医面談の情報を安全に扱うには、すべてを一つの記録へまとめないことが重要です。
企業が保管する法定記録、企業の措置・フォロー履歴、産業医が面談のために作成する詳細メモに分けましょう。企業が必要以上の医学情報を取得せず、現場へは就業措置に必要な内容だけを共有できる運用になります。
企業が保存する面接指導結果報告書・医師意見書
企業が保存する中心的な記録は、面接指導結果報告書と就業上の措置に関する医師意見書です。
企業が判断できるよう、勤務継続の可否、残業・夜勤の制限、業務軽減、配置上の配慮、受診勧奨、再面談時期などを記載します。本人が面談で話した内容を逐語的に残す必要はありません。医学的な情報は、就業上の措置を決めるために必要な範囲へ整理します。
企業が作成する対応・フォロー管理記録
産業医意見を受領した後は、企業が決定した措置、実施日、本人への説明日、共有した相手、再評価日を記録します。
産業医の意見と、企業としての最終判断を分けて残すことが重要です。例えば、産業医が「残業制限を検討」とした場合、企業が実際に決定した制限時間、実施期間、現場責任者への指示内容を対応台帳へ登録します。フォロー期限には通知を設定しましょう。
産業医が管理する詳細な面談メモ
産業医が面談時に作成するメモには、症状、受診歴、服薬、家庭事情、本人の発言などが含まれる場合があります。
詳細メモを企業向け報告書と同じように人事担当者へ共有する必要はありません。産業医や産業保健職が管理し、企業には健康確保措置に必要な情報へ加工して伝える運用が基本です。保存主体や引継ぎ方法は、産業医との契約と健康情報取扱規程で明確にします。
産業医面談記録で起こりやすい管理上の課題
面談記録には、心身の状態や治療に関する機微性の高い情報が含まれます。一般の人事書類と同じ場所へ保存すると、人事評価担当者や現場管理者が必要のない情報まで閲覧する可能性があります。
記録漏れだけでなく、情報を集めすぎること、閲覧者を広げすぎることも問題です。利用目的と担当者の役割に応じて、保管範囲とアクセス権を限定しましょう。
面談内容をすべて会社へ報告している
従業員が産業医へ相談した内容のすべてを、企業が把握・保存する必要はありません。
企業に必要なのは、勤務を継続できるか、どのような就業配慮が必要か、再面談や医療機関への受診が必要かといった情報です。具体的な家庭事情、相談時の発言、業務と関係のない病歴などは、共有する必要性を慎重に判断します。情報量ではなく、利用目的に合う範囲で記録しましょう。
一般の人事ファイルや共有フォルダへ保存している
面談記録を給与、勤怠、人事評価などの一般書類と同じ場所へ保存すると、閲覧権限が必要以上に広がります。
紙媒体では健康情報専用の施錠保管庫、電子データではアクセス権を限定した専用領域を使用しましょう。「人事部であれば全員閲覧可能」という設定は避け、健康情報管理責任者や担当者を個人単位で指定します。ファイル名にも診断名を記載しない配慮が必要です。
上司へ報告書の原本をそのまま渡している
現場の上司が就業措置を実施するために情報を必要とする場合でも、面接指導結果報告書や医師意見書の原本をそのまま共有することは避けましょう。
上司には、「1か月間は残業を禁止する」「夜勤から外す」「重量物作業を避ける」など、現場で実施すべき内容と期間だけを伝えます。診断名、服薬、家庭事情などは共有せず、誰へ何を伝えたかを対応履歴へ記録します。
外部産業医へ記録管理を任せきりにしている
外部産業医や産業保健サービスが記録を保存していても、企業が保存場所や管理方法を把握していなければ、契約終了時に記録を確認できなくなる可能性があります。
契約時に、保存主体、保管場所、閲覧権限、バックアップ、事故時の報告方法を確認しましょう。契約終了時には、企業へのデータ移管、受領確認、委託先に残る複製の削除まで定め、必要な記録が途切れない体制を整えます。
紙と電子データによる安全な保管方法
産業医面談記録は、保存期間中に内容を確認でき、漏えい、紛失、改ざんを防止できれば、紙媒体でも電子データでも保管できます。
媒体を選ぶだけではなく、アクセス権、閲覧履歴、バックアップ、廃棄方法まで決める必要があります。紙と電子データを併用する場合は、どちらを原本とするかを定め、不要な複製を増やさないことも重要です。
紙媒体は健康情報専用の施錠保管庫へ保存する
紙の面談記録は、一般の人事書類と分離し、健康情報専用の施錠できるキャビネットへ保管します。
鍵を管理する担当者を限定し、書類を閲覧・持ち出した人、日時、目的を記録できるようにしましょう。面談後の書類を机上や複合機に放置しないことも重要です。複写が必要な場合は目的を確認し、不要になった写しは原本と同じ基準で安全に廃棄します。
電子データは専用領域と個人別IDで管理する
電子記録は、一般の共有フォルダや担当者個人のパソコンではなく、健康情報専用のフォルダや管理システムへ保存します。
共有IDや共通パスワードを避け、利用者ごとに閲覧・編集・出力の権限を設定しましょう。アクセスログ、更新履歴、保存時・通信時の暗号化、定期的なバックアップも確認します。USBメモリや私物端末への保存は原則として避ける運用が適切です。
人事評価情報とアクセス権を分離する
同じ人事システム内で面談記録を保存する場合でも、人事評価や給与情報とは閲覧権限を分ける必要があります。
健康情報を扱う人事責任者、産業医、保健師などが閲覧できる範囲を役割別に設定しましょう。評価担当者や直属の上司には、具体的な就業配慮だけを表示します。システム上で権限を分離できない場合は、健康情報専用の別環境を利用することも検討します。
バックアップと復旧・削除方法を決める
電子データは、システム障害や誤操作に備えてバックアップを作成します。ただし、バックアップにも原本と同等のアクセス制限が必要です。
外部クラウドを利用する場合は、障害時の復旧方法、データの保存場所、委託終了時の返却・削除条件を確認しましょう。保存期間が満了した際は、通常領域だけでなく、複製、メール添付、バックアップに残るデータも対象として廃棄手順を整えます。
産業医面談記録を管理する7段階の保管プログラム
記録管理を担当者個人の判断へ任せると、保存期間の誤り、過剰な情報共有、異動時の引継ぎ漏れが起こりやすくなります。
面談区分の判定から、記録受領、保存、共有、フォロー、引継ぎ、廃棄までを標準プログラムとして整備しましょう。健康情報取扱規程、権限表、管理台帳、廃棄台帳の様式を統一すると、複数事業場でも同じ基準で運用できます。
手順1.面談の種類と保存義務を判定する
記録を受領した時点で、長時間労働者面接指導、高ストレス者面接指導、一般健康相談、休職・復職面談などに分類します。
面談区分によって、保存期間、必要な記載項目、保存主体が異なります。「産業医面談」という一つの区分でまとめず、管理台帳へ面談区分を登録しましょう。複数の目的を兼ねる面談については、法定面接指導部分と任意相談部分を分けて記録します。
手順2.必要事項が記載されているか確認する
法定面接指導の報告書を受領したら、実施年月日、本人と医師の氏名、勤務状況、心身の状態、医師意見など、必要事項が記載されているか確認します。
空欄や抽象的な表現があり、企業が措置を判断できない場合は、産業医へ確認しましょう。ただし、面談内容の全文や診療情報まで追加提出を求めるのではなく、就業上の措置に必要な範囲で補足を依頼します。
手順3.保存期限と再面談予定を登録する
管理台帳には、面談日、記録受領日、面談区分、保存期限、再面談日、就業措置終了予定日を登録します。
法定記録は5年間を下回らないよう管理し、一般相談や休復職面談には社内規程の期間を適用します。保存期限だけでなく、再評価が必要な時期にも通知を設定しましょう。記録保管と面談後のフォローを同じ台帳で連動させることで、対応漏れを防げます。
手順4.管理責任者と閲覧権限を設定する
健康情報の管理責任者、実務担当者、代行者を決め、誰がどの情報を閲覧・更新できるかを権限表へ記載します。
人事部長や経営者であっても、業務上必要のない面談内容を自由に閲覧できる状態は避けます。産業医、保健師、人事担当者、現場上司の役割ごとに情報範囲を設定しましょう。異動・退職時には、速やかにアクセス権を削除・変更します。
手順5.社内共有用の配慮情報へ加工する
面談結果を現場へ共有する際は、報告書原本ではなく、業務上必要な配慮内容だけを抽出します。
「残業は月○時間まで」「夜勤を○月末まで免除」「顧客対応を一時的に減らす」など、実施内容と期間を具体化しましょう。診断名や面談中の発言を記載する必要はありません。共有相手、共有日時、共有項目を記録し、目的外利用を防止します。
手順6.産業医・委託先変更時に引き継ぐ
産業医の交代や委託契約の終了時には、法定保存中の記録、継続中の就業措置、再面談予定を後任へ確実に引き継ぎます。
移管する記録、データ形式、移管期限、送付方法、受領確認を事前に決めましょう。産業医の詳細メモを引き継ぐ場合は、健康管理上の必要性と取扱方法を確認します。旧委託先に残る複製データの削除完了も確認することが重要です。
手順7.保存期限後に安全に廃棄する
保存期間が満了した記録は、社内規程に基づいて廃棄します。紙は復元できないよう裁断または溶解し、電子データは複製やバックアップも含めて消去します。
廃棄対象、廃棄日、実施者、確認者を廃棄台帳へ残しましょう。ただし、労災申請、訴訟、社内調査などが継続している場合は、機械的に廃棄せず、法務担当者や専門家と保存継続の必要性を確認します。
面談記録の適切な保管を判断する評価指標
面談記録の管理が適切かは、「漏えい事故が起きていない」という結果だけでは判断できません。
面談区分の登録率、保存期限の設定状況、閲覧権限の点検、再面談の実施率などを定期的に確認しましょう。半年または1年ごとに監査を行い、取扱規程と実際の運用にずれがないかを確認することが、記録管理の成功につながります。
面談区分・保存期限の登録率
受領した面談記録のうち、面談区分と保存期限が管理台帳へ正しく登録されている割合を確認します。
未分類の記録があると、法定保存期間を下回って廃棄したり、不要な記録を長期間保存したりする可能性があります。一般相談と法定面接指導が混在していないか、退職者の記録にも期限が設定されているかを定期的に点検しましょう。
アクセス権限の定期確認率
権限表に登録された閲覧者が、現在の担当者と一致しているかを確認します。
担当者の異動や退職後も権限が残っていないか、共有IDが使われていないか、上司が報告書原本を閲覧できる設定になっていないかを点検しましょう。少なくとも年に一度、または組織変更のたびに権限を見直し、確認日と実施者を監査記録へ残します。
就業措置・再面談の期限内実施率
記録管理は、書類を保存するだけでなく、産業医意見を実際の健康管理へ活用することが目的です。
残業制限、業務軽減、本人への説明、再面談などが設定期限までに実施された割合を確認しましょう。未実施の場合は、担当者、本人への連絡、現場調整のどこで止まっているかを分析します。記録管理とフォロー管理を一体化することが重要です。
産業医面談記録の保管を見直した想定事例
以下は、面談記録の管理で起こりやすい課題をもとに再構成した想定事例であり、特定企業の実績を示すものではありません。
事例を参考にする際は、特定のシステムを導入した点ではなく、面談区分、保存期限、閲覧権限、情報共有、引継ぎという管理方法をどのように見直したかに注目しましょう。
人事共有フォルダから健康情報専用領域へ移した事例
ある企業では、産業医面談記録が一般の人事共有フォルダへ保存され、人事部の担当者であれば誰でも閲覧できる状態でした。
そこで、法定記録と就業措置の履歴を健康情報専用領域へ移し、健康情報管理責任者と代行者だけに権限を限定しました。直属の上司には配慮指示だけを共有する運用へ変更し、診断名や面談内容が人事評価担当者へ伝わらない体制を整えました。
面談区分と保存期限を台帳で管理した事例
法定面接指導、一般健康相談、復職面談の記録が同じフォルダへ保存され、どの記録をいつまで残すのか判断できない企業がありました。
記録受領時に、面談区分、実施日、保存期限、再面談日を台帳へ登録する運用へ変更しました。法定面接指導は5年間、その他の面談は社内規程に基づいて管理し、期限到来時には管理責任者が廃棄の可否を確認する仕組みを整えました。
産業医交代時の記録移管を標準化した事例
外部産業医が交代した際、過去の意見書や再面談予定がメールや個人フォルダへ分散し、後任医師が対応経緯を確認できないことが課題でした。
企業は、法定保存中の記録、継続中の就業措置、再面談対象者を一覧化し、安全な方法で後任へ移管しました。受領確認と旧委託先のデータ削除までを手順化したことで、産業医が変わっても健康管理を継続できるようになりました。
産業医面談記録を保管する際の注意点
産業医面談記録は、従業員の健康確保を目的として利用する情報です。人事評価、昇進判断、懲戒など、当初の目的と異なる用途へ安易に利用してはいけません。
また、漏えいを恐れて必要な担当者にも情報を共有しないと、就業措置を実施できません。必要な人へ必要な情報だけを伝えるという考え方で、機密性と実務上の利用を両立させましょう。
面談を受けたことを理由に不利益な取扱いをしない
高ストレス者が面接指導を申し出たことや、その結果だけを理由に、解雇、退職勧奨、不当な配置転換などを行うことは認められません。
面談記録は従業員の健康を守るために利用し、評価を下げる資料として使用しないようにします。健康情報へ人事評価担当者がアクセスできる場合は、権限を分離しましょう。面談制度の利用目的と不利益取扱いを行わないことも従業員へ周知します。
本人の同意があっても共有範囲を広げすぎない
本人が情報共有へ同意している場合でも、面談記録を関係者全員へ配布してよいわけではありません。
共有相手、目的、情報項目を限定し、就業措置に必要な範囲へとどめましょう。直属の上司には勤務上の配慮を伝えれば足りる場合が多く、診断名や治療内容まで共有する必要性は慎重に判断します。同意を包括的な情報開示の根拠として扱わないことが重要です。
保存期間を必要以上に長く設定しない
将来必要になるかもしれないという理由だけで、すべての健康情報を無期限に保存すると、漏えいや目的外利用のリスクが高まります。
法定記録は定められた期間を守り、それ以外の記録は利用目的に応じた合理的な保存期間を設定しましょう。保存期間を延長する場合は、対象記録、理由、承認者を残します。保存の必要性がなくなった情報は、安全な方法で廃棄することも適正管理の一部です。
産業医クラウドで面談記録を含む運用体制を整備
産業医面談を適切に運用するには、医師を確保するだけでなく、対象者への案内、日程調整、報告書・意見書の受領、就業措置、再面談までの流れを整える必要があります。
産業医クラウドでは、企業の規模や課題に合った産業医の紹介に加え、面談対応、日程調整、書類対応、選任後の運用支援などを行っています。既存の産業医や産業保健スタッフと連携した体制づくりについても相談できます。
「面談記録の様式や保存方法が統一されていない」「産業医交代時の引継ぎに不安がある」「意見書を受領した後の対応が属人化している」という企業は、産業医クラウドへお問い合わせください。具体的な支援内容を確認する際は、資料請求もご活用いただけます。
産業医面談記録の保管方法に関するよくある質問
産業医面談記録はすべて5年間保存しますか?
すべての産業医面談記録に、一律5年間の法定保存義務があるわけではありません。
長時間労働者と高ストレス者への法定面接指導結果は、事業者が5年間保存します。一方、一般健康相談や企業独自の休職・復職面談については、利用目的、就業措置の期間、再面談の必要性などを踏まえ、健康情報取扱規程や文書管理規程で保存期間を定めます。
面談記録は会社と産業医のどちらが保管しますか?
長時間労働者や高ストレス者への法定面接指導結果は、事業者が記録を作成し、5年間保存します。
一方、産業医が面談時に作成する詳細なメモは、会社向けの報告書とは目的が異なります。産業医や産業保健職が管理し、企業には就業上の措置に必要な情報だけを提供する運用が考えられます。保存主体、保管場所、引継ぎ方法を契約と取扱規程で定めましょう。
産業医の面談メモまで企業が保管する必要がありますか?
産業医が記載した詳細な面談メモを、企業がすべて取得・保管する必要はありません。
企業が必要とするのは、勤務継続の可否、就業制限、業務上の配慮、受診勧奨、再面談時期などです。本人の発言、家庭事情、詳細な症状などは、就業上の措置に必要な範囲へ整理して報告してもらいましょう。詳細メモの取扱いは、産業医との契約で明確にします。
面談記録を電子データで保存できますか?
保存期間中に必要な記録を確認でき、漏えい、紛失、改ざんを防止できる環境であれば、電子データで保存できます。
一般の共有フォルダや担当者個人のパソコンではなく、アクセス権を限定できる専用領域を使用しましょう。個人別ID、操作ログ、バックアップ、暗号化、権限変更、保存期限後の削除方法も必要です。電子化する場合も、紙の原本を残すかどうかを決めます。
直属の上司へ面談記録を見せてもよいですか?
上司が就業上の措置を実施するために情報を必要とする場合でも、面談結果報告書や医師意見書の原本をそのまま見せることは避けましょう。
「残業を禁止する」「夜勤を免除する」「業務量を軽減する」など、現場で必要な配慮内容と期間だけを共有します。診断名、服薬、家庭事情、面談での発言などは、共有する必要性を慎重に判断してください。
面談を拒否した従業員についても記録を残しますか?
医師による面接指導を実施していない場合、面接指導結果の法定記録は作成されません。
ただし、企業が対象者へ案内した日時、方法、申出期限、再案内、相談窓口の紹介などを、対応履歴として残すことは有効です。本人が面談を申し出なかった理由を推測して記載せず、企業が実際に行った対応を客観的に記録しましょう。強制的な面談や不利益な取扱いは避けます。
従業員が退職したら記録を廃棄できますか?
法定保存期間が残っている面接指導記録は、従業員が退職しても直ちに廃棄できません。5年間の保存期間が満了するまで管理します。
一般健康相談や休職・復職面談の記録については、社内規程で定めた保存期間を適用します。退職者の記録を現職者と区分し、閲覧権限を限定したうえで、保存期限と廃棄予定日を管理台帳で追跡しましょう。
産業医が交代した場合は記録を引き継げますか?
継続中の就業措置や再面談に必要な情報は、健康管理を中断しないため、後任産業医へ適切に引き継ぐ必要があります。
企業が保管する報告書・意見書、現在の措置、再評価日を整理し、安全な方法で移管しましょう。詳細な面談メモについては、引継ぎの目的、必要性、保存主体を確認します。移管後は受領確認と、旧産業医・委託先に残る複製の取扱いも確認します。
保存期限後はどのように廃棄しますか?
紙媒体は裁断や溶解など復元できない方法で処分し、電子データは通常領域だけでなく、複製、メール添付、バックアップも含めて削除します。
廃棄対象、実施日、実施者、確認者を廃棄台帳へ記録しましょう。外部業者やクラウドサービスを利用する場合は、廃棄・削除完了を確認します。労災申請や紛争が継続している場合は、廃棄前に法務担当者や専門家へ相談が必要です。
まとめ|面談区分・保存主体・閲覧範囲を明確にする
産業医面談記録を適切に保管するには、長時間労働、高ストレス、一般健康相談、休職・復職などの面談区分を明確にすることが第一歩です。長時間労働者と高ストレス者への法定面接指導結果は、事業者が5年間保存します。
企業が保存する報告書・意見書、企業の対応履歴、産業医の詳細メモを分け、閲覧できる人を必要最小限に限定しましょう。保存だけでなく、社内共有、再面談、産業医交代時の引継ぎ、期限後の廃棄までを管理プログラムとして整備することが重要です。
産業医クラウドでは、企業に合った産業医の紹介から、従業員面談、書類対応、選任後の運用支援まで一体的にサポートしています。産業医面談の記録管理やフォロー体制に課題がある場合は、お問い合わせフォームからの相談、または資料請求をご検討ください。
産業医紹介サービスを検討している企業様必見!