メンタルヘルス対策の中核として期待されるのが「面談」です。
一方で現場からは、
「制度はあるが形だけで終わっている」
「面談を嫌がられる」
「誰が・いつ・どう実施すればよいのかわからない」
といった声が後を絶ちません。
特に産業医との連携が十分に設計されていない企業では、
面談が“単発のイベント”にとどまり、改善につながらないケースが目立ちます。
本記事では、面談を“やること”から“成果を生む仕組み”へ変えるために、
設計思想・運用ポイント・成功事例を、実務と経営の両面から整理します。
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面談の目的を再確認する
“察する”から“支援する”へ変える起点
メンタルヘルス面談の本来の目的は、
不調の兆候に早期に気づき、適切な支援につなげることです。
ストレスチェックで高ストレスと判定された従業員への
産業医面接指導は重要ですが、それだけでは十分とは言えません。
日常的に実施される上司面談や人事面談こそが、
小さな変化を拾い上げる「一次予防」の要になります。
面談が「報告を受ける場」「評価の延長」になってしまうと、
従業員は本音を語らなくなり、制度は形骸化します。
面談の本質は、
相手の声を聴き、変化に寄り添い、選択肢を一緒に整理すること。
ここを外すと、どれだけ制度を整えても成果は出ません。
企業が整えるべき面談の内容と体制
タイミング・役割・情報管理を“設計”する
面談を実効性ある仕組みにするためには、
以下の3点を事前に設計しておく必要があります。
| 1. タイミング | 高ストレス判定時、休職前後、業務負荷・配置変更時など |
|---|---|
| 2. 面談の種類と実施者 | 人事面談(就業対応)、産業医面談(医学的助言)、上司面談(業務配慮) |
| 3. 情報共有ルール | 本人同意を前提に、必要最小限で共有 |
この整理がないまま運用すると、
「誰がやるのか分からない」「情報を持ちすぎてしまう」といった
属人的・場当たり的な対応に陥ります。
面談の設計を社内ガイドラインとして明文化し、
産業医とも共通認識を持つことで、
“誰が対応しても一定の質が担保される体制”が実現します。
面談の注意点と現場で起きやすい課題
信頼を失わない運営と、断られた場合の向き合い方
実務で最も多い課題が、「面談そのものを拒否される」ケースです。
背景には、
「話しても何も変わらないのでは」
「情報が上司や人事に筒抜けになるのでは」
といった不信感があります。
これは制度の問題ではなく、運用と説明の問題です。
信頼を損なわないために重要なのは以下の点です。
- 面談の目的と“本人にとってのメリット”を明確に伝える
- 同席者・記録・共有範囲を事前に説明する
- 産業医面談は「義務ではなく選択肢」であると明言する
それでも断られた場合は、
無理に踏み込まず、記録を残した上で定期的な声かけを継続します。
一度の拒否で終わらせない姿勢が、再接続のきっかけになります。
プログラム化で面談を“仕組み”にする
復職支援・職場改善と一体で回す
面談を「個人対応」で終わらせず、
組織改善につなげるためには、プログラム化が不可欠です。
代表的な取り組みとしては、以下が挙げられます。
- 高ストレス者への定期フォロー面談(1か月・3か月・6か月)
- 復職支援における段階復帰+面談のセット運用
- 面談内容を集約し、職場改善テーマとして整理
ここで産業医が関与することで、
「個人の問題」で終わらず、職場構造の課題として整理できます。
面談 → 分析 → 改善
この循環が回り始めたとき、
面談は初めて“経営に効く仕組み”になります。
成功事例:物流企業B社の「面談活用プログラム」
属人対応から再現可能な運用へ
物流企業B社では、面談が人事担当者の裁量に任され、
実施タイミングや内容にばらつきがありました。
そこで同社は、以下のように運用を再設計しました。
- 面談タイミングを「休職前・復職直前・復職後1か月・3か月」に固定
- 面談記録をフォーマット化し、産業医と月1回レビュー
- 直属上司向けに傾聴・初期対応研修を実施
結果、復職後1年の定着率は
72% → 89%へ改善。
面談を「人に依存する対応」から
再現性のあるプログラムに変えたことが成功要因でした。
まとめ
メンタルヘルス面談は、
不調の早期発見にとどまらず、復職支援・職場改善・定着率向上に直結します。
重要なのは、
- 目的を明確にする
- 実施内容とタイミングを標準化する
- 信頼を前提とした運用を徹底する
この3点です。
産業医・人事・上司が役割分担しながら連携することで、
面談は「形式的な制度」から
組織を変える実装装置へと進化します。
面談を“やっている”状態で止めず、
“変化が起きる”ところまで回せているか。
それが、メンタルヘルス施策の成否を分ける分岐点です。
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