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働き方改革法で大きく変わる、産業医と企業のコミュニケーション

産業医・産業保健機能の強化の鍵は“産業医・企業間のコミュニケーション変革”

刀禰 2019年4月1日より2018年に可決された働き方改革法案が施行されますが、今回の施行でどういった部分が変わると思いますか。

 

三宅 今回の法案を見てみると残業時間、有給休暇の義務化対する罰則強化といった労働時間の制限をかける一方で、

高度プロフェッショナル制度の導入、フレックス制の延長といった個人の裁量の幅の広がっていますよね。

ここで働き方が自由になるから過労死が増えるといったことは本末転倒になってしまうので、罰則強化であれ、

裁量労働的な働き方であれ組織が求められるのは「管理体制の強化」なのではないかなと思います。

特に僕は産業医なのでその目線から行くと法案の中でも「産業医・産業保健機能の強化」という部分に注目したいなと思っています。

 

刀禰 法案の中で産業医の機能強化を高めるという部分は僕も注目していました。

僕としても大切な施策のひとつではないかなと。

確かに、「管理体制の強化」という目線で考えると第三者目線である産業医機能の強化は

あたりまえに必要なことですよね。

 

三宅 そうですね。ここでこれから必要なのは産業医と企業の関係性の変革ではないかと思います。

今まで企業側はどちらかというと産業医に対して、産業医の先生に来てもらっている=組織外の人である

という意識で応対している印象があります。

僕も企業の方に応対していただく時に「先生、きていただいてありがとうございます」

といった言葉をいただくのですが、どちらかというと「おかりなさい」的な立ち位置で接してもらった方がありがたいです(笑)

 

刀禰 「おかえりなさい」ですか笑。もう組織に外から帰ってきた感じですね。

 

三宅 そうですね。常駐の産業医を選任されている企業の方も最近増えてきていますが、

やはりまだまだ月に1回、2回といった企業の方も多いですよね。

そういう時にやはり壁ができてしまうんですよね。さらに企業側が産業医を組織外の人であると考えるとなおさらですね。

今回の法案では、産業医に対して、長時間労働や労働者の健康管理を行うために必要な情報を提示する義務や、

産業医からの報告や勧告の内容を事業所の労使や産業医で構成する衛生委員会に報告する義務が生じます。

産業医と企業のタッグがますます必要となるわけです。

 

この取り組みが始まる中で、お客様気分でいる産業医はもちろん淘汰されていくでしょうし、

企業側も産業医に何か言っても仕方がないと言う姿勢では全く意味をなしません。

産業医側は企業の情報をより集める努力をし、企業側は産業医に何を提示すればよりよいアドバイスを受けられるか、

という目線でコミュニケーションをとっていく必要があります。

 

この衛生委員会に報告する必要がでてくるくだりでも産業医からなにも報告や勧告がないといった状態では

今回の法案に対して適切な対応ができているとは言えないわけです。

法案の実施に必要なのは「管理体制の強化」ですから、産業医と企業のコミュニケーションの変革は必須なわけですね。

 

刀禰 なるほど。産業医がより組織に歩み寄って、よりよい組織にするためにはどうすればよいかを組織の人間として親身に、

ただし、第三者の目線で客観的に見ることがますます求められるということですね。

産業医の質の強化に関してはAvenirでもますます力を入れて取り組みたいと思います。