メンタル疾患から復職する際、業務負荷を軽減するために「残業のない部署」へ配置転換を検討するケースは少なくありません。
しかし、その際に懸念となるのが給与体系の変更です。本人の同意なく基本給を下げることは可能なのか、法的なリスクを回避しつつスムーズな復職支援を行うためのポイントを解説します。
こうした復職時のデリケートな判断には、医学的見地と労務知識の両方を兼ね備えた専門家のアドバイスが不可欠です。
産業医クラウドでは、単に書類に判を押すだけではない、企業の経営リスクや現場の運用まで踏み込んだ「攻めの産業医」をご紹介しています。復職プログラムの策定や、給与改定に伴う本人への説明の進め方など、人事担当者様が頭を悩ませる課題を経験豊富な産業医がバックアップします。
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ポイント 職務給制度でない場合は当然に、職務給制度が採用されている場合でも所定内賃金である基本給を一方的に引き下げることはできません。
1復職後の配置について
使用者は、多くの場合、就業規則において「業務上の必要がある場合には、異動を命じることがある」と定めており、従業員に対し、職種変更や転勤について命令権を有しています。そして、業務上の必要性が存しない場合や、業務上の必要性が存する場合であっても不当な動機・目的をもってなされたものであるときもしくは労働者に対し、通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものでない限り、配転命令は有効であると解されています。
休職者の復職については、原職に復帰させるのが原則ですが、長期間休職していた者に復職直後から長時間残業させると病気が再発する可能性が高まります。
そこで、復職者の体調を配慮して、復職後しばらくの間残業をさせない部署や業務に配置させることがあり、これについては業務上の必要性は認められると考えます。
よって、職種や勤務地が特定されているものではなく、また、当該復職者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるような事情がない限り、本人が拒否したとしても、使用者の命令により配置させることは可能です。
2基本給の引き下げについて
残業がない業務や部署に配置させた場合に、その業務に見合った基本給に引き下げることができるかという問題があります。
この点、業務の内容に応じて基本給が設定されている職務給制度を採用している会社の場合には、配置後の業務内容に応じた職務給に変更することも考えられますが、復職前の部署であっても一定期間について残業をさせない配慮をすることもできるはずであり、その場合には所定内賃金である基本給は引き下げられないことを考えると、基本給が下がるような配転命令に業務上必要性が認められない可能性があると考えます。
また、職務給制度を採用していない場合には、職務内容にかかわらず、賃金額が労働契約の内容になっており、賃金を従業員にとって重要な権利であることから、基本的には一方的に引き下げることはできません。仮に復職前の業務をさせられないという特段の事情があり、残業のない業務に見合った基本給に変更したいという場合には、復職時に復職者との間で、復職後の業務について一定期間配慮することおよびその場合の賃金額についても同意しておくことが必要と考えます。
(弁護士・鳶近幸恵)
引用:Q&Aで納得!労働問題解決のために読む本
残業のない職場への配置の有効性
メンタル疾患のリスクのひとつとして長時間労働が大きな要因として挙げられています。復職後どういった職務配置がよいのか、どれくらいの時間の稼働が可能なのかは産業医のアドバイスを受けながら慎重に検討することが必要です。
産業医クラウドでは復職プログラムに力をいれて対応しております。メンタル疾患の社員が復職する際に決めなければならないことは何か、どういった職務が本人にあっているのかなどお困りのことがございましたらぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
企業は一方的に復職者の基本給を下げることができません。
一方で、復職後の職務配置については、復職してしばらくの間、残業のない部署や業務に配置することが認められています。
企業は復職者の体調を十分に考慮しながら、復職後の職務配置を検討する必要があります。
産業医のアドバイスを受けながら、復職後の職務配置や稼働時間について慎重に決めていくことが大切です。
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