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ロジハラとは
ロジハラ(ロジカルハラスメント)とは、表面上は正しい指摘・合理的な説明に見えても、相手の状況や感情への配慮を欠いたまま理屈で追い詰め、精神的な苦痛や萎縮を招く言動です。
テレワークやテキスト中心のやり取り、多様な価値観の共存などで言葉だけが強くなり、意図せず発生しやすい点が実務上の特徴です。
企業視点では、ロジハラ対策の目的は「優しさの推奨」ではなく、心理的安全性の確保→報連相の質向上→メンタル不調の予防→離職・トラブルの抑制です。だからこそ、個人の性格論にせず、研修・相談・面談・運用ルールをセットで整えるのが成功の近道になります。

ロジハラの意味
ロジハラの本質は「論理があること」ではなく、論理の使い方が相手の尊厳を削る方向に向くことです。
たとえば、①相手の説明を遮って矛盾探しから入る、②「なぜ?」を連続して逃げ道を塞ぐ、③結論は正しくても口調やタイミングが攻撃的
――こうした要素が重なると、受け手は改善ではなく否定として受け取りやすくなります。
人事として押さえたい注意点は、「言った側の意図」よりも「受け手が萎縮し、報告・相談が減る」という結果が組織リスクになることです。
ロジハラは見えにくい分、ストレス反応や欠勤・休職などの形で顕在化しやすいため、早期の気づきと介入が重要です。
ロジハラと正論の主な違い
正論は「相手の利益や成長、業務改善」を目的とした建設的な指摘です。
一方ロジハラは、正論を装いつつ、相手を否定し精神的に追い詰める方向に働きます。
違いは『目的(改善か、論破か)』『手段(対話か、詰問か)』『態度(尊重か、見下しか)』の3点です。
実務での線引きチェック(迷ったらこの3つ)
- その指摘は「次に何をすれば良いか(支援・選択肢)」まで示しているか
- 相手の状況(業務量・権限・体調・期限)を確認してから話しているか
- 相手が話せる余白があり、合意形成になっているか(沈黙を作っていないか) ここが欠けると、内容が正しくてもロジハラ化しやすくなります。
ロジハラが発生しやすい場面例
ロジハラは「結論を急ぐ」「評価が絡む」「緊張が高い」場面で起きやすいです。具体的には、指導・フィードバック、ミスやトラブル対応、会議での意見交換、報連相、取引先対応などが代表例として整理されています。
成功のポイントは、各場面で言い方を気をつけるに留めず、コミュニケーションの型(手順)を標準化することです。標準化すると、現場のばらつきが減り、ストレスチェック(集団分析)やサーベイ結果とも接続しやすくなります。

指導・フィードバック
指導がロジハラ化する典型は、「正しさの説明」が長くなり、相手が理解する前に詰問へ移るパターンです。
対策として、次の型を社内の共通言語にすると再現性が出ます。
| 事実(観察) | 「◯◯が未入力だった」 |
|---|---|
| 影響 | 「請求処理が止まり、他部署にも影響が出た」 |
| 期待 | 「次回は締切の前日までに入力を完了してほしい」 |
| 支援 | 「締切管理の方法を一緒に見直そう。最初はチェックリストを渡す」 |
最後に「不明点はある?」「詰まっている所はどこ?」と聴く工程を必ず入れると、論破ではなく改善に戻せます。
ミスやトラブル対応
トラブル時は、目的が「再発防止」から「犯人探し」にすり替わりやすく、ロジハラが出やすい場面です。まずは、当日中に決めること(止血)と後日検証すること(原因分析)を分けましょう。
注意点は、その場で完璧な説明や反省を引き出そうとしないこと。
相手が萎縮して思考停止すると、必要情報が出ず、結局再発防止に失敗します。
『時間を区切る』『第三者同席』『議事メモの共有』など、追い込みを防ぐ手順を決めておくと運用が安定します。
会議での意見交換
会議では「矛盾の指摘=優秀」という誤解が起こると、論破文化になりやすいです。
対策は、反対意見を禁止するのではなく、反対の出し方を規格化することです。 先に合意:「目的は◯◯で合っていますか」
質問で懸念を出す:「前提Aの場合、Bのリスクはどう扱いますか」
代案を添える:「選択肢はXとY。工数的にはYが現実的」
この型にすると、主張のぶつけ合いが減り、心理的安全性と意思決定の質を両立しやすくなります。
報告・連絡・情報共有
報連相でのロジハラは「結論から言え」「それは論理が弱い」と強く迫ることで起きます。結果として、報告が遅れ、重大な問題の芽が隠れます。
対策は、報告の型(結論→事実→影響→提案→依頼)を教えると同時に、受け手側も「要点でOK」「一緒に整理しよう」と言えるようにすること。情報の質を上げたい時ほど、詰めるより整える姿勢が成功に直結します。
取引先や社外対応
社外対応では、納期・コスト・品質をめぐって相手の事情を無視した要求になっていないかが重要な注意点です。トラブル時に必要以上に責め立てると、関係悪化だけでなく自社側の判断も歪みます。
また、社外での緊張が高いほど、社内に戻ってから「なんでこうなった?」と詰問が強まりがちです。社外対応は情報が不完全が前提なので、社内は犯人探しより「次の一手(誰が・いつ・何を)」を決める運用に寄せる方が、結果的に成功します。
ロジハラのよくある具体例
ロジハラは「禁止ワード」より、追い込み構造で起きます。
典型は以下の3点です。
- 相手の説明を許さず矛盾を突く
- その場で白黒をつけさせる
- 人格評価に接続する
社内周知では、NG例だけで終わらせず、必ず「望ましい言い換え」「適切な手順」までセットにすると、現場の行動が変わりやすいです。

ミスを過度に責め続ける
例:「前も言ったよね?なんでできないの?」を繰り返す、過去の失敗を蒸し返す、その場で反省を強要する
言い換え:「影響はこう。次はこの手順で防げる。必要なら一緒に整えよう」
→再発防止に焦点を戻すのがポイントです。
共感や配慮に欠けた発言をする
例:「感情論は要らない」「気にしすぎ」
言い換え:「そう感じたのですね。状況を整理して、次の打ち手を決めよう」
→共感は同意ではなく、対話を成立させる入口です。
他者の意見を受け入れない
例:「それは論理的に無理」「矛盾してる」で打ち切る
言い換え:「前提は何?制約は?データは?」
→前提合わせの質問に変えると、論破ではなく合意形成に寄せられます。
きついロジハラをする人の特徴
ロジハラは悪意よりも、「正しさの優先」「結論を急ぐ癖」「相手の感情を想像する工程の不足」から生じやすいと整理されています。
企業の注意点は、人格の問題にせず、マネジメント技能として矯正できる設計にすること。コーチングや研修で、質問の仕方・指導の型・会議の進め方を習得させると改善が進みます。
立場や知識で優位に立とうとする人
「正しい側が勝つ」という姿勢が強いと、対話より論破に寄ります。評価者研修で「成果だけでなく、育成行動(聴く・支援する)」を評価項目に入れると、行動が変わりやすいです。
自分の正しさを強く主張する人
「正しいのだから従うべき」という前提があると、相手の事情確認が抜け落ちます。目標が厳しい局面ほど、この癖が出やすい点はマネジメント上の注意点です。
先入観にとらわれている人
ラベリング(「いつもできない」等)があると、説明を聞く前に結論が決まります。観察事実と解釈を分けるトレーニングを入れると、ロジハラの芽を摘みやすいです。
相手の感情を想像する視点が弱い人
共感が弱いと、正しさが圧として出やすくなります。「相手の理解度・負荷・体調・期限」を確認してから指摘に入るルール化が有効です。
ロジハラの主な影響・リスク
ロジハラの最大リスクは、職場の心理的安全性が下がり、報告・相談・提案が減ることです。結果として、品質不良や事故の芽が隠れ、生産性が落ち、離職が増えやすくなります。
さらに、ストレス反応が続くとメンタル不調のリスクも高まります。人事としては「起きてから」ではなく、ストレスチェックやサーベイ結果を使い、部署単位で改善に繋げる一次予防が重要です。
心理的安全性が損なわれる
否定される経験が続くと黙るのが合理的になり、学習が止まります。ここを放置すると、ミスの隠蔽や報告遅延が起きやすくなります。
人間関係や信頼関係が悪化する
論破が続くと相互不信が強まり、チームワークが低下します。信頼低下は、ハラスメント相談や労務トラブルの増加にもつながり得ます。
鬱病などの従業員の不調を招く恐れがある
強い緊張が続くと、睡眠の乱れや集中低下などが起きやすくなります。早期に産業医面談・外部相談へ接続できる導線があるかが、企業の安全配慮として重要です。
モチベーションが低下する
自己効力感が下がり、挑戦や提案が減ります。結果として、改善が回らず成果が落ちる悪循環になります。
生産性が低下する
報連相の質低下、手戻り増、意思決定の質低下が積み重なります。ロジハラ対策は情緒ではなく、経営上の損失回避です。
人材の定着率が低下する
「正しいけど怖い職場」は人が残りにくいです。採用・育成コストを考えると、予防投資の効果が出やすい領域です。
企業がすべきロジハラ対策
企業対策は、次の4点をプログラム(運用手順)として実装するのが成功の型です。
- 定義とNG例・言い換え例の整備(判断基準の共通化)
- 管理職研修(ケース演習中心)+コーチング(行動変容まで)
- 相談窓口と初動フロー(記録→事実確認→安全配慮→是正)
- 定期モニタリング(ストレスチェック・サーベイ)→部署改善へ接続
「研修だけ」「規程だけ」で止めないことが最重要の注意点です。
ハラスメントに関する研修・コーチングを行う
研修は知識付与より、場面別のロールプレイが効果的です(評価面談/ミス対応/会議/報連相)。
指導の型と言い換えを練習し、現場で再現できる状態にします。
加えて、強めの口調が癖になっている管理職には、短期のコーチングで「詰問に入る前の一呼吸」「質問の順番」を矯正すると成功しやすいです。
相談窓口を整備する
窓口は「設置」より「初動」が命です。
相談窓口として以下を明文化しておきましょう。
- 守秘の範囲
- 受付後の手順
- 報復防止
- 緊急時の安全確保(配置配慮・同席・面談方法変更)
ストレスチェック後の高ストレス者対応や、産業医面談にスムーズに繋げられるよう、社内窓口・外部相談・産業医の役割分担を決めておくと運用が安定します。
組織の方針を明確にし周知する
「正論でも、相手を追い詰める伝え方はNG」という方針を、行動規範と評価運用に落とし込みます。
管理職会議での反復、1on1の観察ポイント化など、周知の仕組み化が成功の鍵です。
定期的な社内調査を行う
ストレスチェックや簡易サーベイで、心理的安全性・相談しやすさ・上司の関わり方を定点観測し、部署単位の改善計画に繋げます。
改善は「点検」ではなく「良いアイデアを見つけ、できることから始める」姿勢が定着しやすいです。
ロジハラ対策の相談なら産業医クラウド
ロジハラ対策で成果を出すには、社内の相談・面談・改善の導線を運用として回す必要があります。
特に、人事が困りやすいのは「相談は来たが、どこまで踏み込み、どう再発防止に繋げるか」の設計です。
そこで、産業医クラウドのように、産業医の選任・面談運用と、ストレスチェック等の施策を組み合わせて支援できる体制を持つサービスは、一次予防から再発防止まで一気通貫で設計しやすいのが利点です。
進め方としては、以下のような順番で進めることが成功しやすいです。
- 起きている場面(会議・ミス対応・報連相等)を特定
- 目的(早期発見/再発防止/管理職育成)を明確化
- 必要な施策(研修・面談・窓口フロー)を組み合わせる
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ロジハラをしていないかのチェックリスト
ロジハラは無自覚で起こりやすいため、月次などで自己点検できる仕組みが有効です。以下は、管理職・リーダーが追い込み構造に入っていないかを見つける観点として活用できます。
きつい言い方・伝え方になっていないか
- 相手の説明を遮って、矛盾の指摘から入っている
- 「なぜ?」を連続して、相手の思考が止まるまで詰めている
- 口調が強くなった自覚があっても、そのまま続けている
- その場で結論や反省を出させようとしている
- 反論や欠点探しが先で、改善の選択肢を出していない
- 終わった後、相手が黙り込む/目線を外すことが増えた
部下との関係性に変化はあるか
- 相談や質問が減り、報告が遅くなった
- 会議で発言が減り、無難な意見しか出なくなった
- ミスやトラブルの共有が後出しになりがち
- 「言っても無駄」という空気がある
- 体調不良や欠勤が増えている(兆候として把握できている)
ロジハラを受けた場合の対処法
被害側の対処の目的は「我慢」ではなく、安全確保と再発防止です。
ロジハラは正論に見えるため周囲が気づきにくく、長期化しがちです。まず、日時・場面・発言・自分の状態(眠れない、動悸など)をメモし、相談につながる形に整えます。
体調に影響が出ている場合は、早めに産業医面談や外部相談へつなげることが重要です(早期介入ほど成功しやすい)。
物理的・心理的な距離を取る
同席者を入れる、面談を短時間に区切る、記録が残る形式で要点確認するなど、接触の設計を変えます。
感情が高ぶる場面では「一旦整理して戻ります」と区切るだけでも、追い込みを止めやすくなります。
上司や相談窓口に相談する
相談は「相手を罰する」ためではなく「再発防止」のために行います。
伝える順番は、①事実(いつ・どこで・何を言われた)②影響(困りごと、体調)③望む対応(同席、面談方法変更など)です。これで人事が動きやすくなります。
相手にロジハラであると伝える
可能であれば、対立を避け「受け取り方」と「進め方」に焦点を当てます。
例:「内容は理解しましたが、詰問形式だと整理できません。次は改善案を一緒に整理する進め方にしていただけますか」。
一対一が難しければ、人事同席や産業医など第三者を入れて安全に行うのが注意点です。
ロジハラを防ぐためのポイント
ロジハラ予防は「論理を弱める」のではなく、「論理+配慮」を同時に鍛えることです。
論理的思考は重要ですが、相手の尊厳を守る運用がないと、組織の成果が落ちます。
相手の感情や立場を想像する
指摘の前に、相手の業務量・権限・体調・期限を確認します。
例えば「今5分で要点だけでいい?」の一言をかけるだけでも、追い込みを防ぐことができます。
気持ちそのものを否定しない
「気にしすぎ」「感情論」で切らず、「そう感じたのですね」と受け止めてから事実と打ち手へ進むと、対話が成立します。
共感を添えた伝え方を選ぶ
相手に伝える時に「ねぎらい→期待→支援」の順にすると、正しさが圧になりにくいです。
例:「ここまで大変だったと思う。ありがとう。その上で次はこの手順にしよう。最初は一緒に確認する」。
自分の言動を客観的に振り返る
指摘後に相手が黙る/相談が減るなら黄信号です。
1on1の最後に「今日の伝え方で辛かった点はある?」と聞ける仕組みがあると、早期是正につながります。
異なる意見がある前提で対話する
意見の違いは前提条件の違いで起こります。
「前提は?制約は?データは?」の質問で揃えると、論破ではなく合意形成になります。
ロジハラに関するよくある質問
ロジハラが起こる理由は何ですか?
- テキスト中心のコミュニケーション増加で、意図より強く伝わりやすい
- 結論を急ぐ文化(忙しさ・数値圧)で、聴く工程が抜けやすい
- 論理思考は鍛えても、対話・共感・面談スキルの訓練が不足しやすい
- 多様性が高まり、前提の違いを擦り合わせずに正しさを押し付けやすい
ロジハラとモラハラの違いは何ですか?
ロジハラは「正論・理屈」を用いて追い詰める点が特徴です。
モラハラは、精神的攻撃全般を指すことが多く、論理性が前提ではありません。実務では重なるケースもあるため、ラベルより「受け手の苦痛」「組織リスク」「再発防止策」に焦点を当てて対応するのが安全です。
ロジハラは部下から上司に対しても行われることはありますか?
あります。上下関係だけでなく、知識差・経験差・場の優位性(会議での多数派など)でも起こり得ます。
立場にかかわらず同じ基準で扱い、相談ルートと初動フローを整えておくことが注意点です。
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