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中小企業でも産業医の選任が義務化される??

2019.04.15産業医

0.導入 

中小企業にも産業医の設置義務があるのか?

経営者、人事・労務、メンタルヘルス・衛生関係の担当をしている方であれば、一度は疑問を持った経験があるはずです。

結論からいうと、「中小企業だから」というだけで義務の有無を判断することはできません。

中小企業といっても会社の規模は千差万別だからです。

産業医の設置が義務となる要件は、労働安全衛生法により定められています。

その要件は、主に「労働者の数」が基準です。

ここでは産業医の設置要件について詳しく見ていくとともに、中小企業が産業医を置くメリット(利益)などもご紹介します。

 

1.産業医の設置要件とは

産業医の設置要件

1.1そもそも産業医とは

産業医とは、企業・事業場において、労働者のメンタルヘルス(心身の健康)を管理し快適に仕事ができるよう、専門的な立場から指導・助言する医師のことです。

産業医の役割は、メンタルヘルスに関する病態のアセスメントと業務遂行能力に関するアセスメントを適切に行うことです。

労働者の健康管理に関して、予防からケアまでの業務を担っています。

具体的な業務内容としては、

 

・衛生委員会への参加議題の提案

・健康診断対応

・ストレスチェック対応

・過重労働者の面談

・希望者の面談対応

・休職者対応

・職場巡視

・健康・衛生教育

 

といったものがあります。

所属する事業場の、管理監督者(上司など)、人事・労務、衛生管理担当者、といった関係者らと連携しながら、これらの業務を適切に行うことが産業医の役割です。

メンタルヘルス不調者が増加している日本では、企業・事業場における産業医の活躍が一層期待されています。

 

1.2専属産業医と嘱託産業医とは

産業医には、大きく分けて専属産業医と嘱託産業医があります。

先述した「産業医の義務となる条件」にもあった通り、原則、事業場の労働者数によって専属か嘱託かのどちらが義務となるかが異なります。

 

専属産業医は、産業医としてその事業場における「産業医の業務」に従事する医師のことです。

つまり、その企業・事業場には常勤として勤務することになります。

常時1000人以上の労働者を使用する事業所は、専属産業医を必ず1名以上設置しなければなりません。3001人以上の事業場には2名以上の選任義務があります。

嘱託産業医は、普段は病院の勤務医や開業医として働いている医師が、月に1〜数回・数時間、会社を訪問する形で産業医の業務を行うものです。

50〜999人の労働者がいる中小規模の事業場に設置が義務となっています。

このように、企業・事業場の規模によって設置義務の要件が分かれていることになります。

 

1.3中小企業の産業医設置要件

冒頭で、「中小企業という条件だけで産業医の設置義務の有無は判断できない」といいましたが、その理由は先ほどの説明でご理解いただけたかと思います。

企業・事業ばの規模により義務の有無が異なりますが、詳しくまとめたものが以下です。

 

【産業医の設置義務の別】

1~49人 50~999人 1000~3000人 3001人以上
産業医の設置義務 設置義務なし (医師等による健康管理等の努力義務) 産業医 (嘱託可) 産業医 (専属) 2人以上の産業医

 (専属)

参照:

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12602000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Roudouseisakutantou/0000164723.pdf

 

常時使用する労働者が50人未満の事業場でない限り、産業医の設置は義務です。

ここで注目しておきたいのが、1〜49人の事業場では設置義務はないが「努力義務」はある、という点です。

「ウチは労働者30人だから産業医もいらないし、メンタルヘルス対策は何もしなくていい」ということではありません。

ストレスチェックや医師等による健康管理の実施は、50人未満の事業場でも実施するべき努力義務であることが、法律により定められています。

 

現時点では50人を超えていない小規模の事業場でも、努力義務を果たす目的も兼ねて、早めに産業医の設置を検討してみましょう。

 

2.中小企業が産業医を設置するメリット・デメリット

中小企業が産業医を設置するメリット・デメリット

2.1産業医を設置するメリット 

従業員数名程度の小規模な事業場、新興のベンチャーやスタートアップといった、設置義務のない企業であっても、産業医を設置している会社があります。

産業医を設置することに、いくつかのメリットがあるからです。

 

○社員に安心・安全な職場を提供できる

産業医がいることで職場のメンタルヘルス対策の質が高まります。

ストレスチェックや職場巡視といった産業医の業務によって、社員が安心して仕事ができることにつながります。

会社や仕事に対する不安感払拭、自身の健康に対する管理能力向上、といったことは、ひいては生産性のアップにもつながり得ます。

近年、あらゆる業種の企業で健康管理が重要視されているのは、この生産性アップの観点も考慮されているためです。

 

○休業者・離職者を減らせる

人材不足が深刻化している中小企業にとって、一人の休業者・離職者が出ただけでも、かなりの痛手となります。

かといって、過重労働者との面談、主治医との情報共有、休職者への対応、メンタルヘルスに関する事業場外資源(保健所など)の活用、といった役割は、メンタルヘルスに関する高度で専門的な知識が必要です。

こうした役割を適切に果たすこと、また、労働者がメンタルヘルス不調やうつ病などの精神疾患になるリスクを少しでも避けるためには、産業医による専門的な立場からの指導・助言が不可欠です。

 

2.2産業医を設置するデメリット

一方、産業医を設置することには、デメリットも少なからずあります。

 

○コストがかかる

産業医を設置するには当然、産業医に対する報酬が必要となります。

嘱託産業医の場合は月1回の訪問で、6〜15万円が相場です。

概ね、労働者の数が報酬の基準となりますが、50〜100名ほどの中小企業であれば6〜8万円になるでしょう。

月に6〜8万円という費用は、中小企業にとっては決して軽い負担ではありません。

この点はデメリットといえます。

ただし、国は企業のメンタルヘルス対策の必要性を重視していることから、中小企業向けの助成金制度を設けています。

例えば、以下の3つが主な助成金です。

 

・心の健康づくり計画助成金

メンタル対策促進員(産業保健総合支援センターの専門スタッフ)の助言・指導を受けて、「心の健康づくり計画」を作成・実施した場合、一律10万円の助成金が受けられる。

 

・ストレスチェック助成金 

小規模事業場が医師と契約してストレスチェックを実施した場合、1人につき500円、面接指導等1回につき最大21,500円の助成金が受けられる。

 

・職場環境改善計画助成金

ストレスチェックの集団分析の結果を活用して、「職場環境改善計画」を作成・実施した場合、最大10万円の助成金が受けられます。

参照:

https://www.johas.go.jp/Portals/0/data0/sanpo/sanpojoseikin/pdf/H30/H30mentalhelth.pdf

 

さらに、産業医の設置が義務ではない、労働者50人未満の小規模事業場に対象となる助成金もあります。

それが、小規模事業場産業医助成金です。

産業医と契約をして産業医活動を実施した場合、助成金が受けられます。

流れとしては、以下のようになります。

 

1.産業医との契約締結

2.6ヶ月間、契約に基づいた産業医の活動実施(1回目)

(期間分の助成金を申請、10万円を上限に実費支給)

3.6ヶ月間、契約に基づいた産業医の活動実施(2回目)

(期間分の助成金を申請、10万円を上限に実費支給)

参照:

https://www.johas.go.jp/Portals/0/data0/sanpo/sanpojoseikin/pdf/H30/H30sangyouinew3.pdf

 

この中小企業向け・小規模事業場向けの助成金については、全国47都道府県に置かれている「産業保健総合支援センター」、その地域版である「地域産業保健センター」などで詳しい説明を聞くことができます。

 

○業務の負担が大きくなる

設立が浅い企業や人材不足で人手にゆとりがない企業は、そもそもメンタルヘルス対策に手が回らない状況でしょう。

そんな中で産業医の設置や衛生管理のノウハウについて学び、体制を整えなければならないことは、簡単なことではありません。

また、規模の小さい企業・事業場ほど、メンタルヘルス対策担当者への業務負担が大きくなりがちです。

産業医と連携する担当者の役割には、産業医への就業上の配慮の助言、健康配慮義務の履行に関する記録・報告、メンタルヘルス教育・研修のサポート、などがあります。

必要に応じて、事業場外の関係機関やメンタルヘルス不調者の家族らとの連携も求められるため、「どのように業務・役割を分担するか」については、あらかじめ決めておく必要があります。

 

3.中小企業が良い産業医を選ぶには?

中小企業が良い産業医を選ぶには?

3.1産業医紹介サービスを利用する

ここまで主に産業医の役割が、いかに中小企業にとって重要であるかを見てきました。

しかし、実際に産業医を探すノウハウがある企業・事業場は多くないのが実情でしょう。

そこで活用したいのが産業医紹介サービスです。

産業医紹介サービスには、以下のようなメリットがあります。

 

○産業医を探す手間が省ける

忙しい業務の隙間時間をぬって、行政の産業医紹介の専門機関に連絡を取ったり直接足を運んだり、という手間は大変なものです。

また、産業医は病院から紹介してもらうこともできますが、コネクションがない場合は当然断られる可能性もあります。

その点、産業医紹介サービスであれば、その企業・事業場の希望や環境にマッチした産業医を紹介してくれるため、手間を省けるメリットがあります。

 

○産業医の能力を見極めてくれる(質の担保)

これまで産業医を設置した経験がない中小企業の人事や労務には、産業医の質を見極める能力がないケースがほとんどでしょう。

産業医の中には、知識不足から、「業務を適切に遂行しない質の低い産業医」、「その企業・事業場に合ったメンタルヘルス対策を遂行できない産業医」、「そもそもメンタルヘルス対策に意欲的でない産業医」が少なからずいます。

スクリーニングとマッチングを代行してくれる産業医紹介サービスを利用することによって、こうした産業医を設置してしまうリスクを防ぐことができます

 

○サポートチームが産業医との関係性をフォロー

小さな規模の企業ほど、産業医との連携が業務の負担増になることをデメリットで説明しましたが、産業医紹介サービスを利用することで、この負担を軽減できます。

例えば、医師訪問日の日程調整を代行してくれることで、連携がスムーズに図れるようになります。

専門スタッフによるこうした業務支援は、直接産業医と契約することにはない魅力です。

 

○制度づくりをサポート

その他にも、衛生委員会立ち上げ、復職プログラム運用、人事むけ無料セミナーといった業務支援も紹介サービスならではのメリットです。

「メンタルヘルス対策に力を入れたいけど業務・手間はできるだけ増やしたくない」と考えている中小企業にとって、産業医紹介サービスの利用は、まさに一石二鳥といっても過言ではないでしょう。

 

3.2産業医の契約・届出方法

産業医との契約後の流れは、一般的な労働者と契約した場合と少し異なります。

「産業医選任報告」と呼ばれる届け出を、所轄の労働基準監督署に提出しなければなりません。

様式は厚生労働省が発行しており、以下の厚労省ホームページからダウンロードできます。

【厚労省・産業医選任報告様式】

https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei36/dl/20_01.pdf

 

選任報告とともに以下の2つの書類も必要です。

・医師免許証のコピー

・産業医認定証のコピー

 

産業医認定証とは、所定のカリキュラムに基づく日本医師会などの研修を修了した医師に交付される、認定証のことです。

 

4.まとめ

中小企業の産業医設置は、労働者の人数によって義務の有無が異なることが、お分かりいただけたでしょう。

また、産業医は、単なる健康に関するアドバイザーとしてではなく、労働者の心身の健康と企業の利益を守る役割を持っていることもご紹介しました。

これまで事業場のメンタルヘルス対策をおざなりにしてしまっていた企業は、産業医設置のメリットを参考にしつつ、ぜひ積極的に検討してみてください。

「産業医とのミスマッチングは避けたい」

「産業医を探す時間と労力がない」

という方は産業医紹介サービスの利用がおすすめです。