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健康経営はアメリカでどのように広がったのか?

2020.04.03産業医

健康経営は今まさに日本で推奨されている取り組みですが、健康経営の発祥の地はアメリカだったことはご存知でしたか?

アメリカは時代の最先端を駆けており、自由な文化や広い視野を持つ印象がありますが、健康経営の先駆けとして舵を取ったのが、まさにアメリカといえるでしょう。

今浸透している健康経営は、アメリカでどのように広がったのでしょうか、そして健康経営が広がった背景としまして、どういった課題が挙げられるのでしょうか?

今回は、健康経営がアメリカで広がった背景に注目してみたいと思います。

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ローゼン博士が提唱した「健康経営」とは?

現在推奨されている健康経営ですが、健康経営の誕生その背景について、これから見ていきましょう。

健康経営とは?

健康経営とは、「企業が従業員の健康に配慮することで利益が期待できる」といった概念の基、企業側が従業員の健康増進を実践する取り組みのことを意味します。

健康増進も多種多様ですが、メンタル(精神)面とフィジカル(身体)面の双方の増進を目的として実践されることが近年では多く、特にメンタル問題が深刻化している現代、メンタル面の増進はこれまで以上に重要視されていることが特徴的かもしれません。

健康経営の始まり

健康経営の始まりは1990年代といわれておりますが、健康経営はロバート・ローゼン博士が提唱したことが背景にあります。

ロバート・ローゼン博士は、1992年にアメリカで出版された「The Healthy Company」の著者であり、臨床心理学者であり、経営心理学者でもあります。

ローゼン博士が、「健康な従業員こそが収益性の高い会社をつくる」という思想を提唱したことが、現在の健康経営の始まりでした。

「健康な従業員こそが、収益性の高い会社を作る」というローゼン博士の考えは、2009年頃から日本国内の企業でも浸透していき、それが現代の健康経営につながっているといえます。

7つの危険因子

ローゼン博士は、従業員の健康被害を及ぼす危険因子としまして、以下の7つの項目を挙げております。

それは、「ストレスの多い労働条件」と「統制あるいは参画の欠如」、「職場における緊張した人間関係」と「キャリア開発の道が閉ざされていること」、「不明瞭な業務上の役割」と「変化に対して後手に回る管理」、そして「家族と余暇に時間がさけないことに対する葛藤」となります。

これら7項目は、我々にとっても心身ともに過大なストレスとなり、特に複数の項目が当てはまればそれだけ大きなストレス要因となるでしょう。

ストレスは放置しておけばそれだけ深刻化しますが、ストレスにおけるメンタルヘルス問題も我々にとって身近な課題となっております。

中にはメンタルヘルスの問題を抱えたことのある方も多いでしょうし、今まさにメンタルヘルス問題と向き合っている方も多いのではないでしょうか。

アメリカで健康経営が広がった背景

米国ジョンソン・エンド・ジョンソングループは、世界250社の約11万4000万人に対し、健康教育プログラムを提供し、投資に対する利益を換算しました。

その結果、生産性の向上や医療コストの削減、モチベーションの向上やリクルート効果などがあったことが明らかにされ、金額に換算したところ、投資1ドルに対し、3ドルの利益が得られました。

健康経営の投資効果は3倍というデータも明確にされ、健康経営の与える投資効果はアメリカで注目されております。

このような結果があってこそ、健康経営が広がったといえますが、そもそもアメリカで健康経営が広がった背景は、1960年代に労働災害の件数が大きく増加したためとされております。

労働災害は日本におきましても深刻な問題となっておりますが、アメリカではこの労働災害が特に問題視されたことが、健康経営が広がった代表的な背景として挙げられます。

労働災害件数の増加に伴い、企業におきまして、従業員の業務上の怪我や疾病・死亡の予防、職場環境の安全性の向上を目的とした安全性向上プログラムが実施されるようになりました。

安全性向上プログラムは、現在アメリカの企業で実施されております、健康増進・疾病予防の取り組みの源流の1つといわれております。

安全性向上プログラムが実施されたのと同時期に、一部の大手企業におきまして従業員の生産性向上を目的とした、フィットネス中心の健康増進・疾病予防プログラムを実施するようになりました。

安全性向上プログラムも、健康増進・疾病予防プログラムも、まさに今でいう健康経営であり、健康経営の土台となった事例といえるのではないでしょうか?

1980 年代には、より多くの企業が従業員の健康増進や疾病予防に取り組むようになり、提供するメニューも多様化していきました。
健康増進・疾病予防の取り組みは1980年に入り、医療費増加の抑制対策ということが強く意識されるようになり、1990年代後半には、慢性疾患患者の重症化を予防する取り組みであるプログラムが誕生し、発展しました。

米国の企業における健康増進・疾病予防に関する取り組みの動向:http://www.sompo-ri.co.jp/issue/quarterly/data/qt57-2.pdf/

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日本とアメリカでは健康経営の広がった背景が異なる

日本では今、健康経営は大いに浸透しておりますが、実は日本とアメリカでは健康経営の広がった背景が異なることが特徴です。
日本とアメリカの文化の違いはよく挙げられますが、健康経営の広がった背景はどのように異なるのでしょうか?

公的医療保険制度の有無

日本は様々な面におきまして、自治体や国からの手厚い支援を受けることができることが特徴であり、これまで自治体や国からの金銭的な支援で助けられた方も多いでしょう。

そのため日本では医療機関にかかる際、公的医療保険を利用することができ、それにより医療費負担額の軽減をすることができます。

一方アメリカでは、公的医療保険制度がないため、医療機関にかかる際に料金が高値になりやすく、医療費の高騰は深刻な問題になってきます。

労働災害が発生すれば当然、医療機関の受診をする従業員は増加し、医療機関を受診すれば多額の医療費を支払うこととなり、時としてそれは給料では支払うことが困難となり赤字となるケースも多いでしょう。
アメリカではそういった問題を背景としまして、医療費削減を実現するために、健康経営が広がったといっても過言ではないかもしれません。

人手不足や過労死の問題

それに対し、日本で健康経営が広がった背景としまして、人手不足や過労死の問題が代表例として挙げられます。

日本人は世界規模で見ても真面目と揶揄されることが多く、実際に日本は働きすぎという印象を与えているのではないでしょうか。

日本はストレス大国という印象もぬぐい切れませんが、事実過労によるストレスや病気は休職・離職の原因ともなり、過労死や過労自殺は大きな社会問題として報道されております。

同時に日本は今後、団塊世代の引退に伴い、労働者の人手不足問題に直面することも問題視されておりますが、人手不足も長時間労働や過重労働、ストレスの要因となってきます。
人手不足や過労死、どれも深刻な課題となりますが、そういった課題を少しずつ改善していくためにも健康経営は有効的な取り組みとなってきます。

今いる従業員を酷使することではなく、労わることが企業として大切な課題であり、そのためにも健康経営を積極的に取り入れることが、企業の維持や発展の秘訣となってくるでしょう。

健康経営への始め方

健康経営は従業員の健康維持や回復のために重要であり、将来的な企業の発展にも欠かせない取り組みですが、健康経営の始め方をある程度把握した上で取り組んだ方が、当然有利でしょう。

これから健康経営の始め方を見ていきたいと思いますので、新たに健康経営導入をお考えでしたら、参考にされてみてはいかがでしょうか?

課題点を抽出しゴールを設定する

健康経営を始めるに当たり、自社が取り組む課題点を抽出することが重要になってきます。
そのためにも現在の労働環境や従業員の健康状況から、問題となっている点を明確化し、改善・対策としてどういった課題が有効か抽出していきます。

課題が明確化したら次はゴールを設定しますが、ゴール設定は曖昧なものではなく、数値化することで具体化するといわれております。

例えば「メタボ率20%以下」「検診受診率80%以上」など、数値化したゴール設定をすることで従業員にとっても分かりやすくなってくるでしょう。

担当者や担当チームを決める

健康経営は担当者や担当チームを決めることで、これまで健康経営についてあまり存じていなかった従業員も健康経営について知る良いきっかけとなるかもしれません。

担当者や担当チームを定めることで、より健康経営への取り組みが真剣になるかもしれませんし、社内に担当者が存在することで、従業員への健康経営参加の呼びかけにもつながるでしょう。

社内に周知する

健康経営は一部の従業員だけでなく、社内全体で取り組むことに意義がありますが、そのためにも社内周知は重要になってきます。

社内に周知することで、健康経営への理解が深まり、それに伴い参加者も増加し、参加者が多ければそれだけ成果も期待できるのではないでしょうか。
社内へ周知する方法は様々で、全体朝礼や社内会議、社内研修や社内報、ホームページなどがありますが、そういったツールを活用することで、社内全体に周知されることが重要です。

施策を実行し、結果を振り返る

健康経営のために様々な準備を凝らし、目標設定し施策の計画を立てることは当然重要ですが、施策を実行することも重要となり、実行して初めて気づくポイントも多いでしょう。

施策を実行することで見えてくるものも多く、それに伴い様々な改善点も発生しますが、今後のためにも施策の実行や、実行後の結果の振り返りも重要になってきます。

改善点が発生したら対策を練り、次へつながるヒントになりますし、成果が得られたのであれば、次の目標設定を立てることが可能になります。
いずれにしましても、持続的な健康経営実行のためには、施策の実行や結果の振り返りが重要な要素といえるでしょう。

健康経営には産業医を活用しよう

健康経営は社内の人間が協力して実行することができますが、専門家を活用することでよりその成果が出やすいことも特徴です。

特に企業の産業医は、健康経営をする上でより頼りになる存在となり、産業医を活用することで健康経営の成果も期待できるかもしれません。

産業医とは

従業員の健康管理をすることも、企業にとって大切な業務といえますが、そのために産業医の存在は必要不可欠となってきます。

産業医とは、企業の従業員の健康管理を実行する医師のことを指し、常時50人以上の従業員を抱える企業に選任・設置することが義務付けられております。

産業医は、医師であれば誰もができる業務ではなく、医師の中でも特定の要件を満たした者のみが携わることができます。

産業医業務は多岐に渡り、長時間労働者や過重労働者を始めとした従業員への面談や健康指導、ストレスチェックや検診結果チェック、衛生委員会参加や衛生講和、休職・復職希望者への面談指導や職場巡視などが挙げられます。

産業医の中にも、専属産業医と嘱託産業医が存在し、従業員数1,000人以上か有害業務従事者500人以上の企業は専属産業医を、従業員数50~999人の企業は嘱託産業医を設置する必要があります。

健康経営は従業員の健康維持や回復に向けた取り組みとなりますので、産業医を活用することが望ましいでしょう。
産業医は専門知識を有しているため、企業内の人間だけでは困難なことに助け舟を出してくれるかもしれませんし、担当者のみでは思いつかなかった発案を出してくれるかもしれません。

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監修

栗原 雅直医師
くりはら まさなお

東京生まれ。東京大学医学部医学科卒業、東大病院精神神経科に入局。1960年東大大学院生物系研究科博士課程修了。医学博士。2年間のパリ大学留学後、東大病院医局長、1966年虎の門病院勤務。初代精神科部長。川端康成の主治医を務めた。1990年大蔵省診療所長。財務省診療所カウンセラー