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産業医と産業保健師は何が違う?仕事内容や資格などの観点で解説

2022.08.12産業保健師

産業医と産業保健師は共に、企業の従業員の健康管理など健康に関する業務に従事します。重複する業務を担当することもあり、違いが分かりにくいと感じる場合もあるでしょう。

そこで、今回は産業医と産業保健師の違いをさまざまな角度から比較していきます。

産業医や産業保健師の設置などをお考えの場合は、ぜひご覧ください。

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産業医と産業保健師の違い

産業医と産業保健師の違い

産業医産業保健師の違いを、「必要な資格」「仕事内容」「所持資格による対応範囲の違い」「勤務体制」「設置義務」の5つの視点で比較していきます。

必要な資格

産業保健師、産業医のいずれも有資格者のみが業務に従事できます。

■産業保健師

産業保健師として働くには、「保健師免許」と「看護師免許」の国家資格を取得する必要があります。2つの国家資格を取得する必要があるため、最低でも4年間は教育施設で勉強することになります。

4年生大学で保健師と看護師の資格取得に向けたカリキュラムを勉強してダブル受験する方法、短大や専門学校で看護師資格を取得後に保健師養成学校へ編入し、保健師資格を取得する方法などが主な選択肢です。

なお、保健師と看護師のダブル受験の際は、看護師試験で不合格になると、保健師試験に合格しても保健師の資格が取得できません。
保健師と看護師の資格を取得した後は、勤務を希望する企業の求人に応募して採用されると、産業保健師として働くことができます。

■産業医

産業医として働くには、前提として「医師免許」が必要です。医師免許を取得(受験)するには、医学部で6年間勉強をして卒業見込みであることが最低条件です。

ただし、医師免許だけでは産業医として働くことができません。産業医として働くには、医師免許に加えて、厚生労働省令で定める要件を満たす必要があります。
その要件は「労働安全衛生規則第14条第2項」に記されています。いくつかの要件が定めてありますが、そのひとつに産業医研修の受講が記載されています。産業医科大学か日本医師会の研修を修了して、産業医資格を取得することが一般的です。

産業医科大の講習は2ヶ月程度にわたって開催される研修、もしくは夏季に開催される集中講座の受講が必要です。
日本医師会の研修では50単位以上修了、もしくはそれと同等の研修を終了すると認定されます。ただし、有効期間が5年となっています。更新する際はその都度、研修を受ける必要があります。

仕事内容

産業医と産業保健師の仕事内容は非常に似通っていますので、違いが分かるようにご紹介します。

仕事内容の違い

■産業保健師

産業保健師は企業で働く従業員が健康・安全に働けるような職場づくりを仕事としています。身体の不調や怪我などを予防する専門家として、従業員の健康とそれに関する企業活動を支えます。

具体的な仕事内容としては、健康診断のデータ整理、従業員の怪我や病気の治療、保健指導業務などです。また、従業員と面談をして健康に関する相談に乗ることも仕事です。
ときには健康に関するセミナーや研修を担当することもあるでしょう。産業保健師は常勤の場合が多く、従業員としても健康の不安や不調を相談しやすい人物といえます。

■産業医

産業医は医学の専門的な知識を活用して、専門家としての立場から従業員の健康管理を行います。従業員の健康を守る観点でいうと産業保健師と変わりません。ただし、産業医の職務は法令によって明記されています。

「労働安全衛生規則第14条」では産業医の職務として、9つの内容が定めてあります。「健康診断の実施及び結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること」や「衛生教育に関すること」などと明記されています。

引用:労働安全衛生規則第14条

また、毎月必ず1回は職場を巡回して職場環境の改善・維持についてのアドバイスを行う(労働安全衛生規則第15条)など、産業医は法令で仕事内容が定めてあります。
ストレスチェック制度、長時間労働者への対応など、産業医の職務範囲は多岐にわたります。

所持資格による対応範囲の違い

産業医と産業保健師は必要な資格が異なり、さらに所持資格によって対応範囲が異なります。まずは以下の表をご覧ください。

業務内容 産業保健師 産業医
衛生委員会 参加可能 必須
巡視 補助 必須
健診 サポート 必須
就労判定 補助 必須
健康相談 可能 必須
ストレスチェック サポート 必須
高ストレス面談 不可 必須
長時間労働者面談 不可 必須

以上のように、産業保健師は一部の業務が担当できません。また、サポートや補助に回る業務が多いです。一方の産業医は全ての業務を担当します。産業医が業務全般について必須となっているのは、医学の専門知識を有する専門的な立場から、改善に向けての指導や助言が求められているからです。

産業保健師は、産業医の業務を産業医と分担しながら行うイメージを持ってください。企業内において産業医はお医者さん、産業保健師は看護師さんや保健室の先生とイメージすると分かりやすいでしょう。

とはいえ産業医や産業保健師として、勤務中に採血などの医療行為に関わることはできません。

勤務体制

産業医と産業保健師は勤務体制にも違いがあります。

勤務体制の違い

■産業保健師

産業保健師は多くの企業に設置されているわけではなく、1,000人以上の従業員が在籍する企業で保健師を雇用していることが多いです。また、常勤雇用として常時勤務する産業保健師がほとんどでしょう。

産業保健師は企業から雇用されるため、勤務先の就業規則に基づいて業務に従事します。多くの場合で9時から17時もしくは18時までという定時制であり、場合により時間外労働を行います。

産業保健師の仕事は基本的に、急を要する事態や休日出勤が発生しにくいため、勤務時間内で業務を組み立てます。休日は土日になるケースが多いです。産業保健師は女性が多いことから、育児休暇や産休、有給休暇などの休暇制度が整っているなど、勤務体系を総合的に考えるとワークライフバランスを重視できる働き方になります。

■産業医

産業医は「専属産業医」と「嘱託産業医」に分類されます。
専属産業医は企業内で週に3日間〜5日間程度勤務、嘱託産業医は月に1回など、予め定めた日に企業を訪問します。
専門産業医はその企業の専属の産業医として働くため、9時から17時などの定時制での勤務です。工場など、職場によっては早朝や深夜の勤務も考えられます。

一方の嘱託産業医は勤務医や開業医のケースがあり、中には数十社と契約を結ぶケースもあるようです。
嘱託専業医であっても産業医としての職務に変わりはなく、それぞれの企業にあった形で健康管理を行います。

設置義務

結論からいうと、産業医は設置基準がありますが、産業保健師には設置基準がありません。従業員50名以上(常時)の企業は産業医の専任要件を満たすため、設置する義務が生じます。設置する際の基準は以下をご覧ください。

労働者数50人以上3,000人以下の規模の事業場 1名以上選任
労働者数3,001人以上の事業場 2名以上選任

※常時1,000人以上の労働者を使用する事業場と、労働安全衛生規則第13条第1項第2号で掲げる業務に常時500人以上の労働者を従事させる事業場では、専任産業医を選任しなければならない。

参考:産業医について

産業医の設置基準についてはこちらもご参考にしてください。

上記を参考にすると、基本的に1,000人以上の従業員を抱える企業は、専任産業医を設置することが求められています。なお、産業医は専任要件を満たした14日以内に選任・設置する必要があります。

従業員数が50名未満の事業所は産業医の設置を義務付けられていませんが、助成金などを活用すると費用をおさえて設置することができます。
参考:小規模事業場産業医活動助成金

近年、従業員の健康やメンタルに関する問題が取り上げられているため、産業医の設置基準に満たない場合であっても前向きに検討する必要があるでしょう。

産業保健師に関しては、先述のとおり比較的大規模な企業が設置している傾向です。産業医のサポート役として産業保健師の設置を検討してみてください。

まとめ

産業医と産業保健師は、企業内で従業員の健康管理・指導などに従事します。担当する業務は非常に類似していますが、特に産業医の存在は不可欠といえます。設置義務がない小規模な事業所においても設置を検討しておきましょう。

加えて、産業医をサポートして従業員との架け橋になってくれる産業保健師を設置することで、従業員の健康指導がより円滑に実施できます。
産業医、産業保健師を設置して、従業員の健康管理を行いましょう。

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監修

栗原 雅直医師
くりはら まさなお

東京生まれ。東京大学医学部医学科卒業、東大病院精神神経科に入局。1960年東大大学院生物系研究科博士課程修了。医学博士。2年間のパリ大学留学後、東大病院医局長、1966年虎の門病院勤務。初代精神科部長。川端康成の主治医を務めた。1990年大蔵省診療所長。財務省診療所カウンセラー