専属産業医が義務となる基準、産業医の必要性とは??|健康経営をコンサルティングする産業医集団Avenir産業医

健康経営をコンサルティングする産業医集団

Avenir産業医

受付時間 9:30~18:00(土日祝を除く)

03-6277-8590

専属産業医が義務となる基準、産業医の必要性とは??

2019.04.12産業医

0.導入

企業におけるメンタルヘルス対策は、年々その重要性を増しています。

平成29年の厚労省の調査によると、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は58.4%となっています。

平成23年が43.6%であったのに比べると約15%増えており、メンタルヘルス対策を実践している企業が増えていることがわかります。

参照:

https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/h29-46-50_kekka-gaiyo01.pdf

日本では、メンタルヘルス不調による休業や退職、精神疾患の罹患や自殺、といった問題が深刻な課題です。

そんな状況下で、活躍が期待されるのが「産業医」です。

ここでは、産業医について、近年注目されつつある「専属産業医」や、産業医の必要性(設置のメリット)についてご紹介します。

 

1.産業医の設置は義務付けられている?

1.1産業医とは何か

「産業医」という存在は知っているもの、業務内容やその必要性について具体的に説明できない人は少ないのではないでしょうか。

産業医とは、「医学的な立場から労働者のメンタルヘルスに関する問題を解決するために指導・助言する医師」のことです。

一般的な医師との違いは、企業で働く労働者のメンタルヘルスマネジメントに特化した専門的な知識・スキルを持っている点です。

産業保健に関する理念や労働衛生に関する専門的知識によって、事業場における労働者の健康障害を予防し、企業の利益を守ります。

 

具体的な業務としては、主に8つがあります。

○衛生委員会への参加議題の提案

○健康診断対応

○ストレスチェック対応

○過重労働者の面談

○希望者の面談対応

○休職者対応

○職場巡視

○健康・衛生教育

 

このように、産業医には労働者の心身の健康について、予防から発生後の対応までを支援する役割があります。

 

1.2産業医が義務となる条件

医療先進国でもあるドイツやフランスでは、事業場の規模に関わらず、産業医を設置する義務が制度として設けられています。

一方、日本では事業場の規模によって設置義務の有無が異なります。

また、常時使用する労働者の数によって設置するべき産業医の選任形態や人数が異なります。

 

【産業医の選任義務の別】

1~49人 50~999人 1000~3000人 3001人以上
産業医の選任義務 選任義務なし

(医師等による健康管理等の努力義務)

産業医 (嘱託可) 産業医 (専属) 2人以上の産業医

 (専属)

参照:

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12602000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Roudouseisakutantou/0000164723.pdf

 

このように常時使用する労働者が50人未満の事業場でない限り、産業医の選任は義務となっています。

50〜999人の事業場では、非常勤の産業医である「嘱託産業医」でも可となっています。

勤務医や開業医として働いている医師が、月に1回数時間の訪問をする形で、労働者の健康管理を実施するのが嘱託産業医です。

そして、1000人以上の事業場になると、専属産業医の選任が義務となります。

専属産業医の詳細は、後述する「専属産業医とは」でご説明します。

どちらの産業医も産業医として行うべき業務に変わりはなく、それぞれの事業場に合った形でメンタルヘルス管理にあたります。

 

2.産業医が必要な理由

法律により一部義務化されている産業医の選任ですが、具体的にどのような必要性があるのでしょうか。

産業医が企業・事業場にもたらすメリットも含めて見ていきます。

 

2.1社員の生産性を上げる

近年では、「健康経営」、「ウェルビーイング」という言葉もビジネス界に浸透していますが、社員の健康と企業の利益には密接な関係があります。

プレゼンティズムという概念がありますが、これは、「出勤はしているものの健康上の問題で労働に支障をきたしベストな業務ができない状態のこと」を指します。

誰にでも経験があることだと思いますが、風邪気味で体がしんどい時やプライベートで嫌な出来事があり精神的に落ち込んでいる時などは、仕事に身が入らないことがあります。

こうした状態が続くと、当然、効率・能率が落ち、生産性も低下することにつながります。

メンタルヘルスをサポートする産業医がいることで、こうした生産性低下のリスク発生を防げるだけでなく、安心して働ける職場づくりを実現することができます。

社員の健康管理にかかる費用を、「コスト」ではなく「投資」として捉える企業が増えているのは、こうした考え方が浸透してきたからでしょう。

 

2.2衛生委員会の活性化

衛生委員会とは、常時50人以上の労働者を使用する事業場ごとに、衛生に関することを調査審議し、事業者に意見を述べるための場です。

労働安全衛生法により、毎月1回以上開催するようにしなければならないとされています。

衛生委員会での調査審議事項は以下です。

 

1.労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること

2.労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策に関すること

3.労働災害の原因及び再発防止対策で、衛生に関すること

参照:

https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/faq/10.html

 

産業医は、衛生委員会の構成員として出席します。

専門的立場から労働者の健康管理について意見を述べるため、企業・事業場の衛生委員会を活性化させる効果があります。

ひいては、その事業場で働く労働者全体の健康意識を高めることにもつながります

 

2.3健康障害によるリスク回避

産業医には職場巡視や健康診断チェック、健康相談、ストレスチェック実施、面談、など様々な業務があります。

こうした業務を通して労働者の健康状態をチェックすることで、メンタルヘルス不調者の早期発見・発生防止につながります。

労働者の健康が阻害されることで発生するリスクは、労働者個人にとどまるものだけではありません。

メンタルヘルス不調者が出ることには…

 

○休業による他社員の業務負担増

○職場の士気低下

○離職による人材コストの発生

○対外的な企業イメージの低下

 

といったリスクも潜んでいます。

産業医による適切な健康サポートが整っていれば、こうしたリスクの発生も最小限に抑えることが可能となります。

 

3.専属産業医とは

3.1 専属産業医は1000人以上の事業場に義務

産業医には、大きく分けて専属産業医と嘱託産業医があります。

前述した「産業医の義務となる条件」にもあった通り、原則、事業場の労働者数によって専属か嘱託かのどちらが義務となるかが異なります。

 

専属産業医は、産業医としてその事業場における「産業医の業務」に従事する医師のことです。

常時1000人以上の労働者を使用する事業所は、必ず1名以上設置しなければなりません。

3001人以上の事業場には2名以上の選任義務があります。

 

名称として“専属”という言葉がついているものの、専属産業医には非専属の産業医を兼務することが認められています。

ただし、専属産業医の所属する事業場と非専属の事業場とが、「地理的関係が密接であること」、「労働衛生管理が相互に密接し関連して行われること」、「一体として産業保健活動を行うことが効率的であること」、など一定の条件付きです。

参照:http://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-38/hor1-38-8-1-0.htm

 

3.2 1000人未満でも専属産業医が義務となる条件

労働者の人数によって選任の数や選任形態に違いがあるのは、労働者が多くなるほど、産業医の業務量が増えるためです。

メンタルヘルス不調者やそのリスクがある労働者を一人でも見過ごさないためには、事業場の規模に合わせた産業医の数と形態が必要なのです。

このことからも、「有害業務」に従事している労働者が常時500人以上の事業場においては、嘱託ではなく専属産業医の選任が義務となります。

労働安全衛生法規則第13条1項には、「専属産業医が必要な業務(特定業務)」として、以下の14の業務が明記されています。

 

1)多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務

2)多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務

3)ラジウム放射線、エツクス線その他の有害放射線にさらされる業務

4)土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務

5)異常気圧下における業務

6)さく岩機、鋲(びよう)打機等の使用によって、身体に著しい振動を与える業務

7)重量物の取扱い等重激な業務

8)ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務

9)坑内における業務

10)深夜業を含む業務

11)水銀、砒(ひ)素、黄りん、弗(ふつ)化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、か性アルカリ、石炭酸 その他これらに準ずる有害物を取り扱う業務

12)鉛、水銀、クロム、砒(ひ)素、黄りん、弗(ふつ)化水素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベンゼン、アニリンその他これらに準ずる有害物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務

13)病原体によって汚染のおそれが著しい業務

14)その他厚生労働大臣が定める業務

参照:http://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/hor/hombun/hor1-2/hor1-2-1-1h2-0.htm

 

4.専属産業医のメリット・デメリット

専属産業医を設置することには、非常勤である嘱託産業医にはないメリットとデメリットがあります。

 

4.1専属産業医のメリット

○労働者を手厚くサポートできる

嘱託産業医は月に1回〜数回企業を訪問するのが一般的であるのに対して、専属産業医は、属している事業場に常勤として働くのが基本です。

日常的に労働者の様子を見守ることが可能なため、メンタルヘルス不調者の発見・支援や不適切な職場環境を改善するための提案といった業務をスムーズに実行することができます。

その事業場で働く労働者にとっては、大きな安心感につながるはずです。

また、相談・報告・提案などの一連のスキームを確立しやすくもなるため、

 

○経営視点を持ったサポートができる

日常的に企業に属する専属産業医であれば、単なる健康管理だけでなく、健康経営からの観点でメンタルヘルスケアを実行しやすいといえます。

「どのように取り組めば、健康管理によって労働者の生産性と企業の利益向上につなげられるか」という視点を持てるのです。

嘱託産業医の場合は、月1回など定期的な訪問に限られるため、経営的な視点からのアプローチは困難といえます。

 

4.2専属産業医のデメリット

人間性や産業医としての知識・スキルが不足していない限り、専属産業医を選任することそのものにデメリットはありません。

ただし、「自社にマッチした専属産業医を探す難しさ」はデメリットといえるかもしれません。

日本で産業医として活動している医師の多くは、本業の傍ら産業医を兼務する嘱託産業医です。

そのため、企業にほぼ常勤として属する専属産業医の数は、少ないのが実情です。

質が高く自社にマッチする専属産業医を選任するには、外部の紹介会社やコンサルティングサービスに依頼することがキーとなります。

 

5.専属産業医の選任なら「Avenir産業医」

Doctor in office working on patient file

専属産業医の重要性についてお分かりいただけたはずですが、「とにかく専属産業医を設置すれば安心できる」というわけではありません。

自社のメンタルヘルスに対する指針や労働環境、労働者との相性などを踏まえて、最大限マッチした産業医を選任することが大切なポイントです。

 

専属産業医を探す方法はいくつかあります。

「医師人材紹介サービスを利用する」、「労働衛生コンサルタントに依頼する」「医師会から紹介してもらう」、「健康診断を依頼している機関に相談する」といった方法が一般的です。

このいずれの方法で選ぶ場合でも重要なことは、産業医が「産業医としてのスキルを備えているかどうか」です。

たとえ医師としての実績は豊富でも、産業医としての専門的知識やスキルがなければ、企業のメンタルヘルス問題に適切に対処できない場合があります。

 

その点、Avenir産業医には、医学的知識はもちろん、労働安全・労働衛生に関して高い専門的知識を持つ産業医がいます。

産業医採用の面接において、厳しい評価基準を設けています。

合格率20%未満という狭い枠をくぐり抜けてきた優秀な産業医によって、企業の実態に合わせた、質の高いメンタルヘルス対策をご提案することが可能となります。

また、医師としての専門がどの分野であっても、産業医としてメンタルヘルス対策が可能なため、「産業医が産業医としての役割を果たしていない」といったミスマッチは起こり得ません。

 

6.まとめ

「産業医が必要な理由」の項目でもご説明した通り、質の高い専属産業医が所属している企業・事業場ほど、労働者に様々な利益がもたらされます。

反対に質が低く、自社に合わない産業医を選んでしまうと、「労働者と経営層の関係悪化」、「労働者の働く意欲や生産性の低下」といったリスクにつながりかねます。専属で所属する産業医の「産業医」としての質は、企業・事業場の経営を左右しかねない、非常に重要な要素になり得ることをぜひ押さえておいてください。