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産業医の職場巡視とは?流れや注意するポイントを解説

2022.02.09未分類

職場巡視は産業医の大切な役割の1つです。産業医は直接事業所の巡視をすることで現状を把握し、従業員の健康管理に関する問題がある場合は改善に向けて指導やアドバイスをします。

今回は産業医の職場巡視規定について解説します。

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産業医の職場巡視とは?

産業医の職場巡視は、労働安全衛生規則第15条によって義務付けられています。
職場巡視を行わない場合には罰則の対象となるため、注意が必要です。

産業医の職場巡視の目的や頻度、流れについて解説します。

産業医の職場巡視の目的

職場巡視では、従業員が働く環境を実際に見ることで、安全衛生上において問題がないかを確認しています。もし問題があれば、改善するように指導が入ります。そのため、事業者は産業医に職場巡視の機会だけでなく、労働環境に関する情報の提供が必要です。

産業医の職場巡視は「2ヵ月に1回」

産業医の職場巡視は月1回行うことが義務付けられていましたが、2017年の法改正に伴い、「2ヵ月に1回」でも可能となりました(労働安全衛生規則第15条)。
ただし、産業医が職場巡視の頻度を「2ヵ月に1回」とするためには、下記にあげる2つの条件を満たす必要があります。

・事業者の同意を得ること
・事業者から産業医へ毎月「所定の情報」を提供すること

それぞれ詳しく解説します。

事業者の同意を得ること

職場巡視の頻度を減らす場合、事業者の同意を得ることが必ず必要であり、産業医が単独の判断で決められません。
同様に、事業者単独の判断でも決められません。

具体的には、衛生委員会などにおいて産業医の意見を調査・審議したうえで事業者の同意を得るという手順を踏む必要があります。

また、職場巡視の頻度が「2ヵ月に1回」と決まったら、本当にその頻度で問題がないかを確認することも必要不可欠です。
職場巡視の頻度をいつまで「2ヵ月に1回」とするのかを決め、決められた期間が終了したら、改めて頻度についての調査・審議が必要です。

事業者から産業医へ毎月「所定の情報」を提供すること

職場巡視を「2ヵ月に1回」とするためには、事業者が産業医に対し、毎月「所定の情報」を提供することも必要です。
「所定の情報」とは、以下の3項目です。

①衛生管理者による巡視(少なくとも週に1度)の結果
・巡視を行った衛生管理者の氏名・巡視日時・巡視場所
・衛生管理者が「設備、作業方法または衛生状態に有害のおそれがある」と判断した場合の有害事項や措置内容

②衛生委員会の調査・審議で事業者から産業医へ提供すると決められた情報

③長時間労働者の情報
・1週間の労働時間が40時間以上(休憩時間を除く)、累計時間が1カ月で100時間以上の従業員の氏名と超過時間の内容

産業医の職場巡視の流れ

職場巡視の一般的な流れは以下の通りです。

1. 年間計画の策定

職場巡視を行うメンバー(衛生管理者や安全衛生担当者、産業医など)で年間巡視計画を作成し、共有します。

日程はなるべく衛生管理者や現場の責任者が同行できるよう調整しましょう。
あわせて、特に確認すべき事項をまとめた「チェックリスト」を作成しておくと、スムーズに巡視を行えます。

2. 巡視の実施

巡視当日、職場巡視を行うメンバー(衛生管理者や安全衛生担当者、産業医など)は現場の状況を確認しながらチェックリストに記入していきます。

現場の担当者にはできるだけ立ち会ってもらい、その場で課題や改善策について検討しましょう。

3. 巡視結果の報告

巡視結果は、職場巡視報告書において改善が必要な箇所や良好な事例がまとめられ、企業側へ報告されます。

すぐに改善できる課題については、現場に直接フィードバックし、対処するよう促します。
その際、誰が、いつまでに、どのような改善方法を実施するか(実施したか)を職場巡視報告書に明記しておくようにしましょう。

4. 安全衛生委員会でのリスクアセスメント

職場巡視報告書をもとに安全衛生委員会へ結果が報告され、リスクアセスメントが行われます。
すぐに改善が見込めない課題については応急的な対処を行い、抜本的な解決策を模索していくことが重要です。

産業医の職場巡視は必ず必要?

職場巡視は、義務かどうかについてご説明します。

産業医の職場巡視は義務

産業医の職場巡視は、労働安全衛生規則第15条によって義務付けられています。

そのため、職場巡視を行わない場合には罰則の対象です。

罰則の内容は、50万円以下の罰金以外に、実際に労災が発生した場合は企業側に責任が問われます。労働基準監督署の査察などが必要になるため、職場巡視を怠らないように規則を守りましょう。

産業医の職場巡視の目的

職場巡視では、従業員が働く環境を実際に見ることで、安全衛生上において問題がないかを確認しています。

もし問題があれば、改善するように指導が入ります。

そのため、事業者は産業医に職場巡視の機会だけでなく、労働環境に関する情報の提供が必要です。

産業医が行う職場巡視のポイント

職場巡視は産業医が定期的に行います。産業医が企業に訪問した際に、職場の環境が労働に適しているか、健康に悪影響を与えないかを調べることを目的としています。

職場巡視の頻度

2017年に労働安全衛生規則が改正されたことで、これまで毎月1度以上だった職場巡視は、条件を満たせば2か月に1度と回数が緩和されました。しかし、現状では条件に該当していない企業が多く、実際には月1度以上の巡視回数を必要としたままであることがほとんどです。

また、産業医のみの判断で巡視回数を2か月に1回に減らすことはできません。巡視回数を2か月に1回にするには事業者の同意が必要なうえに、同意は衛生委員会で調査審議する必要があります。巡視回数を減らすことで、リスクが生じる可能性も高くなるため、事業者側は事業所内部の必要事項をしっかり産業医に報告を行いましょう。

職場巡視の回数が減ったからといって、巡視の内容が緩和されるわけではありません。反対に、回数が減ったことで1度の職場巡視の重要性が増したと言えます。職場巡視では巡視回数ではなく、産業医が行う巡視の内容と対応を重視しましょう。

職場巡視のポイント

職場巡視では、特に「その現場で起きうる労働災害」についてよく考えることが大切です。たとえば肉体労働が主な現場と、デスクワークが主な職場では起こりうる労働災害が異なります。そのため、職場に応じた対策を考えるためにも、労働災害について具体的に考えておきましょう。

職場巡視後は巡視だけで終わらせず、きちんと対策を考え、具体的な改善事項の計画や報告をしなければ改善につながりません。特に予算を必要とする場合はランニングコストとして継続する必要があるのかも考えます。また、次の職場巡視時には改善案がどのように作用しているかも確認し、常に改善していくことを心がけることが重要です。

職場巡視の後は適切な対応を

職場巡視後には、フィードバックの内容を踏まえて改善措置が必要です。もし十分に対応ができない場合は、産業保健総合支援センターなど、専門家の力を頼ることも検討してみましょう。企業全体で労働環境を改善することで、従業員に安心して働ける環境を提供できます。また、改善措置をとる際は現場の従業員から意見を聞くなど、一方的な押し付けにならないようにすることも大切です。

まとめ

産業医の職場巡視規定の変更に伴い、巡視回数を減らすことが可能になったため、コスト面の負担を減らせるようになりました。ただし、社員の健康管理のためには多少のコストをかけてでもより優秀な産業医を選任することが大切です。産業医として優秀な能力が備わった産業医を選任するには、ぜひ産業医クラウドにお問い合わせください。

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監修

栗原 雅直医師
くりはら まさなお

東京生まれ。東京大学医学部医学科卒業、東大病院精神神経科に入局。1960年東大大学院生物系研究科博士課程修了。医学博士。2年間のパリ大学留学後、東大病院医局長、1966年虎の門病院勤務。初代精神科部長。川端康成の主治医を務めた。1990年大蔵省診療所長。財務省診療所カウンセラー