医師2400人に聞いた「勤務医の時間外労働」に関する調査


医師2400人に聞いた時間外労働に関する調査

2024年4月から適用される「医師の働き方改革」の報道を受け、医師2,400名を対象に「勤務医の残業上限年960時間」についてどう思うか調査をしました。月の残業の上限を80時間に定めるとしたこの働き方改革について、現場医師達のアンケートの結果はいかに。

結果は賛成が56%

結果は賛成が56%と反対が44%。わずかではありますが賛成が若干上回った結果でした。しかしながら80時間の上限に対し、賛成を唱える医師を含むほとんどの医師が「上限に達したからといって患者を放り出すわけにはいかない」「目の前に患者さんがいるのに断れない」などの「本当にできるのかな?」という懸念や心配が大前提として横たわっているということがわかりました。その上であげられた賛成反対それぞれの声は以下のようなものです。

<賛成と答えた医師の意見>
・医師も労働者だから当然
・過労によるミスを防げる
・女性医師が働きやすくなる
・家族と過ごす時間が作れる
・病院の自助努力では改善されないから
・当直すると32時間勤務で大変だから
・医師だって健康第一
・勤務医を守ってほしい

<反対と答えた医師の意見>
・医師だけ過労死認定ラインなんておかしい
・サービス残業が増えそう
・(時間が少なすぎて)若い医師のためにならない
・業務に支障が出そう
・緊急の処置ができなくなる

「地方に特例、残業の上限を年2,000時間」についてはどうか

もう一つ、医師の働き方改革で目玉となる施策として、先ほどよりもはるかに多い上限を定める「地方に特例、残業の上限を年2,000時間」についても合わせて聞いてみました。結果は7割以上が「反対」と答える結果となりました。上限自体がかなりの長時間となることを見ると、これまで無制限で残業をしてきた地方の医師達の状況がいかに過酷であったかがわかる内容になっています。

<はい(支持する)と答えた医師の意見>
・今までの(長時間悪習慣は医者を疲弊させる)
・ヒューマンエラーを減らすため
・まだ不十分ですが、これまでなかった制限を加えることができたのはよいこと
・過労死を是認するような上限であり、将来的には若者が医師を選ばなくなり、地域医療を守るはずが、さらに状況は悪化するだろう。
・それ以上だと病院に住み込みみたいになってしまいます。
・1200時間程度にしたいが、今まで無制限の残業時間に上限ついたことは、評価できる。

<いいえ(支持しない)と答えた医師の意見>
・人間の限界を越えているとしか言えない。あまりにも無策すぎる。
・過労死が出て当然のレベルである。医師が過労で倒れていては、何のための医療か分からない。
・土日も含め平均5時間残業、家庭か体か心が壊れます。
・医療事故が起こる可能性が大だから/過労死を是認するような上限であり、将来的には若者が医師を選ばなくなり、地域医療を守るはずが、さらに状況は悪化するだろう。
・地域の医師不足につながるから

働き方改革が施行されても・・。

ひとえに働き方改革といって残業時間の上限を国が定めたところで、医療現場が抱える問題は場所や病院ごと様々で、本当に改善するのかという不安があるようです。2024年という遠いようですぐやってくる未来に向けて、医療現場は様々な取り組みを先行して進めていかざるを得ない状況となっています。しかしながら、日々目の前の患者と相対することに神経を注ぐ医療従事者たちにとっては、残業上限に対して賛成反対どちらであろうと、どこか「現実味のない話」として感じているような印象を受けました。国の取り決めを機に今一度医療従事者の働き方を考えた時、賛成反対どちらの意見にも、日本の医療現場の抱える長時間労働の課題を感じることができると思います。

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