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産業医に関連する法律を徹底解説!労働安全衛生法とは?

2021.11.22法律改正

産業医に関連する法律を徹底解説!労働安全衛生法とは?

今や企業にとって欠かせない存在になっている産業医ですが、産業医が設置されるようになった背景には様々な社会問題がありました。問題をこれ以上悪化させないために、法律は何度も改正されていき、今日に至ります。

では、産業医に関連する法律には、どういったものがあるのでしょうか。「法律」というと堅苦しく聞こえてしまうかもしれませんが、これから産業医に関連する法律について、簡潔に述べていきたいと思います。

■産業医に関連する法律

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まずは産業医に関連する法律について、触れてみましょう。

・労働安全衛生法

産業医に関連する法律として、「労働安全衛生法」があります。労働安全衛生法は、「職場における労働者の安全と健康を確保」すると同時に、「快適な職場環境を形成する」ために制定された法律です。

*労働安全衛生法の背景

労働安全衛生法の規定は、昭和22年の新憲法制定に合わせて設備された法令の中で、「労働基準法」第五章の中に14条分が盛り込まれました。

その後、昭和35年10月には「(旧)有機溶剤中毒予防規定」などの関連規則が整備されました。

高度経済成長期を迎えた日本では、労働環境の変化などにより毎年6,000人を超える労働災害死亡者が発生してしまいました。そこで昭和44年に労働安全衛生法 令の整備に取り組み、昭和46年に通常国会に提出され、昭和47年に可決・成立した法案が現在の「労働安全衛生法」です。

・労働安全衛生法の改正について

労働者が健康で安全に働くためには、労働安全衛生法を見直し、改正していくことも必要になります。時代の流れと共に労働環境も変化しているため、発生する問題もその都度異なってくるからです。

現在の代表的な労働環境問題の事例を述べると、長時間労働といった過重労働、それによって引き起こされる健康被害があります。特に過労死や過労自殺などのあってはならない事態を防ぐために、労働安全衛生法の改正を進めていくことが必要です。

■労働安全衛生法が改正された理由

労働安全衛生法改正の最大の理由は、過労死や過労自殺の防止です。過労死や過労自殺は、絶対にあってはなりません。

仕事が原因で命を落としてしまうことは、職場の大きな過失になると同時に労働者の家族や周りの人たちに耐えがたい悲しみを与えます。

過労死や過労自殺は、労働者の深刻な状況を見落としたり、軽視したりした結果引き起こされてしまう最悪の事態であって、本来は十分に予防ができるものです。

過労死や過労自殺以外にも、過重労働が原因で健康被害が生じるケースは珍しくありません。

そこから病気や事故が発生してしまうケースも多数あります。

仕事を原因とする健康被害を予防すべく、労働安全衛生法が改正されてきました。ここで法律改正の代表的な事例を見てみましょう。

2006年:過重労働者への面接指導開始
2015年:ストレスチェックの義務付け
2019年:産業医の権限の強化

このように、企業は労働者の安全と健康管理のために対策をとることが求められています。過重労働者と面接を行って話を聞くことで労働者のストレスを軽減させ、負担を減らすために職場環境を改善することが大切です。

■労働安全衛生法に則って企業が対処を義務付けられていることとは

・産業医の選任

事業所の労働者数が50~999人以下の場合、1人以上の産業医選任が必要です。労働安全衛生規則第13条では、事業所の労働者の数が50人に到達した日から14日以内に選任することが定められているため、早めの対策が必要になります。

加えて産業医を選任した後、所轄労働基準監督署長に産業医の選任報告書を提出が必要です。また、労働安全衛生規則第2条第2項と第13条第2項では、現在選任している産業医から新しい産業医に交代する場合にも同様の提出が定められています。

*産業医の選任を怠った場合

事業所の労働者の数が50人に達していて、産業医を選任する義務があるにもかかわらず、それを怠っていた場合は、労働安全衛生法において法律違反となるため、注意が必要です。法律違反となった場合には、罰則が定められています。

産業医の選任は、労働安全衛生法第13条第1項で「医師のうちから産業医を選任し、労働者の健康管理等を行わせなければならない」と定められています。加えて、労働安全衛生法第120条には、上記の法に違反した場合には50万円以下の罰金が科せられます。

・衛生委員会・安全衛生委員会の設置

事業所で勤務するうえでの健康や安全についての意見を、労働者から事業者側に伝えるために必要なのが「衛生委員会・安全衛生委員会の設置」です。これは労働安全衛生法第18条・19条によって設置が定められています。衛生委員会のメンバーのうち、半数は労働組合または労働者の過半数の推薦によって選任された者で構成する必要があります。ただし、人数については、特に定められていません。

もちろん産業医も、メンバーのうちの重要な1人です。衛生委員会は毎月1回以上開かれるのが基本で、そこでの議事録は3年間保存しておく必要があります。

・衛生管理者の選任

衛生管理者とは、事業所の労働環境の改善や健康管理など、衛生面全般の管理を任されるポジションです。労働安全衛生法第12条では、産業医と同様に50人以上の労働者がいる事業所の場合に、1人以上の衛生管理者を選任することが定められています。また、選任される者は衛生管理者としての国家資格を有した者でなければなりません。

・健康診断・ストレスチェックの報告

50人以上の労働者がいる事業所の場合、健康診断やストレスチェックを行なった際には、労働基準監督署へ結果を報告する義務があります。

■産業医の役割がより重要に!

労働者の負担を軽減させる上で重要な役割を担うのが、「産業医」です。今では多くの企業が産業医を設置しています。小規模の事業所へも産業医の設置が推進されていることからも、産業医がいかに重要な存在かが分かるでしょう。

・労働者の健康維持には欠かせない

産業医は労働者の健康維持のために欠かせない存在ですが、どのような形で健康管理をしているのでしょうか。

*労働者との面談

産業医は直接労働者と面談をすることで、それぞれの労働者の現状を確認しています。面談を通じて労働者の現状や悩みを聞き、適切な指導や助言をします。

*ストレスチェックの実施

2015年12月からストレスチェックの実施が義務付けられています。産業医はストレスチェックの計画や実施に携わり、ストレスチェックの結果で「高ストレス者」と判断された労働者と面談をするなどの事後措置も担当です。

産業医は高ストレス者を見落とすことなく、丁寧に指導や助言をしていくことが大切になります。

*健康診断結果のチェック

健康診断で「所見有り」の結果になった労働者に対し、産業医は就業制限や休職が必要かどうかを判断します。所見が無くても、気になる点があった労働者に対し、面談という形で健康指導をするパターンもあります。

*健康指導・栄養指導の実施

産業医は、下記のような健康指導や栄養指導が必要な労働者に対して、1人1人の状態を把握した上で、適切な指導や助言を行います。

・アルコールやニコチン摂取量
・栄養不足
・運動不足 など

*衛生講話の実施

企業から希望があれば、産業医は「衛生講話」を実施します。当然、労働者の健康維持に関するテーマが希望されるケースが多いでしょう。

衛生講話は衛生委員会や社員研修の場で開催されますが、産業医は労働者に興味を持ってもらえるように、分かりやすい内容を工夫することが大切です。

・面談を通じて離職率・休職率の低下を実現

産業医の存在は、労働者の離職率や休職率の低下にも繋がります。離職の原因の中には、「新たな目標」や「夢に向かう」というポジティブな理由や、職場環境や仕事内容に対する不満といったネガティブな理由まであります。

ネガティブな理由での場合はメンタルが原因の場合がるため、産業医による面談などで適切に対処することで、不調が改善できて離職者や休職者を減らすことができるでしょう。

会社で勤務している方の中には、現状に不満があっても事業所側に相談することが困難な方も多いのではないでしょうか。産業医は、労働者から直接相談を受けて、必要な情報があれば事業所に伝えることで、職場環境の改善を促すことができます。

その際、産業医が事業所に不必要な情報や思い込みなどによる誤った情報、労働者のプライバシーに関わる情報を伝えてしまうと、労働者がその後職場に居づらくなってしまう可能性があります。必要な情報を、ピンポイントで事業所側に伝えることで、そういったリスクは少なくできるでしょう。

産業医が労働者と事業所のパイプ役として適切な情報を伝えることで、事業所側も労働者が働きやすい環境を整えるための対策を立てやすくなるでしょう。

■産業医を選任するには?

産業医の選任方法について特に決まりはないため、方法は様々です。

*自力で探す

知り合いに産業医がいたり、知人が産業医に心当たりがあったりする場合は、直接依頼をするといったストレートな方法があります。

*地域の医師会に依頼をする

地域の医師会に依頼して、斡旋してもらう方法もあります。

*健康診断実施機関に依頼をする

健康診断を実施している機関に相談を行い、紹介してもらう方法もあります。

*産業医紹介サービスに依頼をする

「産業医紹介サービス」に依頼をすることが、最もスムーズでしょう。産業医を紹介してくれるだけではなく、書類作成の代行なども対応している点も魅力的です。

■良い産業医の選び方

次に、良い産業医の選び方を見ていきましょう。

・良い産業医とは

まずは「良い産業医」とは、どういった産業医なのか簡潔に触れてみましょう。

*労働者視点になってくれる

産業医として大切なことは、労働者に寄り添った対応をすることです。

もちろん寄り添った「ふり」をするのではなく、労働者視点に立ちながら求められている対応をすることが大切です。労働者を受け入れ、労働者の気持ちを理解しようとすることが、状況改善に向けて適切な助言や指導をしていく上で重要なポイントになります。

*メンタルヘルス問題に強い

メンタルヘルス問題は、決して珍しいトラブルではありません。職場の様々な状況に応じて発生してしまいますが、ここで大切になってくるのが産業医による対応です。

産業医は、メンタルヘルスに関する専門知識を有し、労働者の抱える問題を理解した上で適切な指導や助言を行います。

*常に学びの姿勢を持っている

産業医は今の立場に甘んじることをせず、常に「学びの姿勢」を持つことが大切です。現代社会の変化に伴い、労働環境も変化する中、産業医は常に最新の社会問題を把握しておく必要があります。

労働者1人1人パターンが違うことはもちろん、その時々の対処法も異なってくるでしょう。

産業医は日々の職務を通して、その場その場での適切な判断と対応をしていくことが大切です。

・紹介サービスで良い産業医は探せます!

産業医のニーズが高まっている今日、「産業医紹介サービス」の必要性も拡大しており、良い産業医を探す上で欠かせないサービスとなっています。

産業医紹介サービスを使わずに産業医を探すことも可能ですが、良い産業医と巡り合いたいのであれば、産業医紹介サービスの利用が断然おすすめです。

産業医紹介サービスに依頼すれば、多数の産業医の中から企業にふさわしい産業医を選ぶことができます。事業所の状況はそれぞれですから、よりマッチする産業医を探したい場合は、産業医紹介サービスを利用することがベストでしょう。

また、産業医探しはなかなか手間がかかる作業です。普段、忙しく勤務する側にとって、産業医の選任や必要書類の準備のためには多くの時間を割くことは現実的でない場合が多いでしょう。

産業医紹介サービスに依頼すれば、産業医探しや書類作成の代行をしてくれるため、時間短縮の実現が可能です。

■まとめ

労働者の健康管理と安全確保のために、法律の立案や改正、産業医の設置は必要不可欠なものです。産業医の設置要件も、労働者の健康と安全を守るために定められた、大切な基準です。労働者の健康や安全を保障するためには、労働安全衛生法を考慮して優秀な産業医を選任することが重要です。

相談イメージ

悩む前に一度相談してみませんか?

「今の産業医に不満があるけど、これってどこも同じ?」
「ほかの会社の産業医って何やってるの?」
「こんな悩み有るけど、これって産業医を頼っていいの?」
など、小さなお悩みから他社の事例など、お気軽に相談ください。

産業医の新規契約をまだ検討していない方も、お気軽に悩みを 聞かせてください。産業医の紹介以外でも、お役に立てるかもしれません。

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監修

栗原 雅直医師
くりはら まさなお

東京生まれ。東京大学医学部医学科卒業、東大病院精神神経科に入局。1960年東大大学院生物系研究科博士課程修了。医学博士。2年間のパリ大学留学後、東大病院医局長、1966年虎の門病院勤務。初代精神科部長。川端康成の主治医を務めた。1990年大蔵省診療所長。財務省診療所カウンセラー