Avenir産業医は健康経営をコンサルティングする産業医集団

健康経営をコンサルティングする産業医集団

Avenir産業医

受付時間 9:30~18:00(土日祝を除く)

03-6277-8590

【第6回】グローバル採用化で見える弊害

2018.02.09

海外赴任による弊害

私が以前担当した中国国籍の男性のお話をしたいと思います。ストレスチェックの得点が高かったので、面接をすることになりました。

職場の上司からパワハラされたとか、仕事がうまくこなせないとかいうことはなく、年俸も相場より高く、専門的な仕事への働き甲斐も感じているように思いました。仕事面ではほとんど取り上げるべき問題はないように思われたのですが、強いて取り上げてみれば、お酒など一緒に飲んで仕事上の憂さ晴らしするような友人がほとんどいない点が、ストレスに起因しているように感じられました。

この中国人は頭脳も明晰で、日本という外国に住んでも、経済的にはうまく適応できる能力の持主でした。しかし実は友達付き合いをする余裕がなかったことがストレスになっていたように思われます。

人間はネズミと同じように、本来的には集簇的(gregarious)動物と言われています。つまり群れ集う性質をもっています。彼には相談できる伴侶もなく、本来人間が持つ欲求を満たすことができなかったのでしょう。特に気晴らしをする為、映画、音楽、美術鑑賞といった趣味もなく、土日にはテレビ鑑賞くらいしかやることがなかったため、上手な息抜きができなかったようです。

同郷にも知人が少なかった彼は相談相手もおらず、高ストレス状態に。こういったグローバル化の傷跡として、人間同士の絆が切れてしまう状況が、とくに中国ではかなり鮮明に起こっていると言われています。

配偶者との関係が起因となるケース

次にある診療所で診た中国国籍女性のケースを紹介します。日本のある有名私大のマスターコースを卒業した26歳の女性で、商社に就職し、給料は月額40万円近く、経済面での適応は良いと考えられます。しかし現在付き合っている同郷の男性とうまくゆかず、うつ状態となっていると相談を受けました。最近彼氏とはいつもいがみ合いで、分かれるかどうかが毎日の話題なのだそうです。cryingといううつ病特有の症状もあって、とりあえず薬を飲ませて状態をよくすることは必要だが、根本的には彼との間柄をどうするかが問題だと感じられました。

なかなか利発な女性で、まだ若い為、中国人や日本人との交際範囲から、かなり自由に配偶者を選べる可能性があると思うのだが、異国社会に入り込む決心はつかないらしいとのこと。またせっかく日本に来たことを利用して、京都や奈良を訪れ、神社仏閣術の鑑賞を趣味にしてもとは思うものの、そういった気持もないらしい。勉強ばかりでそんな余裕はないと言っておりました。もう少し日本の滞在を延ばしていれば、経済的にも文化的にも恵まれるだろうと思うのだが、むしろ家に帰りたい気持ちが大きく、なかなか日本での文化に打ち解けられないように見えました。