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産業医を選任するには?選任届の作成と手続き方法を解説

2019.06.03産業医

今回は、「そろそろ産業医の選任が必要」という企業に向けた話題です。
所属する人数が一定以上のとなった事業所は、速やかに産業医を設置しなければならないという制度があります。

急にその時が来て焦っている、という方も多いのではないでしょうか。
産業医を設置するには、選任届の作成や手続きについて十分に把握しておく必要があります。

産業医選任の際に慌てないためにも、今回は「産業医の選任届の作成」と産業医の選任手続き」の方法について解説したいと思います。

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そもそも産業医ってどんな医者?

そもそも産業医とは、どのような医者のことを指すのでしょうか。
また、医師免許所有者であれば、誰でも産業医になれるのでしょうか。
まずは、産業医について詳しく知っておきましょう。

産業医とは

産業医とは、企業で労働者向けに指導や助言をする医師のことをいいます。

労働者が安心安全かつ健康に働くために、産業医は専門的立場から適切な指導をすることが求められます。
そして産業医は、以下のいずれかの要件を満たした医師だけが、その資格を有することができます。

  1. ・厚生労働大臣が定めた産業医研修を修了した医師
  2. ・労働衛生コンサルタント試験(試験区分は保健衛生)に合格した医師
  3. ・大学で労働衛生を担当する教授や准教授、常勤講師の職にある医師、もしくはあった医師
  4. 産業医の養成課程を設置している産業医科大学かその他の大学で、厚生労働大臣が指定する当該過程を修めて卒業し、その大学が行う実習を修了した医師

つまり、医師免許をもつだけでは産業医になることはできず、特定の要件を満たす必要があるのです。
また産業医には、専属産業医と嘱託産業医が存在します。

それぞれの特徴についてまとめました。

・専属産業医

会社専属の産業医として役割を果たす産業医のことを指します。
基本的に週に3~5日間、ほぼフルタイムで勤務するので、会社の従業員とほぼ同じように企業に所属する形になります。そのため、事業所の様子についてしっかりと把握できるという強みがあります。

・専属産業医の設置要件

1,000人以上の労働者を抱える事業所には、専属産業医を設置する必要があります
3,001人以上の大きな事業所になると、2名以上の専属産業医の選任が必要になります。
また、有害業務に500人以上の労働者が常時携わる事業所も、専属産業医の選任が義務付けられています。

・嘱託産業医

専属産業医と異なり、定められた日に事業所を訪問する産業医のことを嘱託産業医といいます。
嘱託産業医は、月に1回~数回事業所を訪問し、巡回や面談などをしていきます。
なお、訪問回数は特定の要件を満たしていれば、2か月に1回~数回にすることも可能です。
専属産業医と比べて訪問日数が少ないため、かかる費用が抑えられるという特徴があります。

・嘱託産業医の設置要件

50人以上999人以下の労働者を抱える事業所は、嘱託産業医を設置する必要があります
なお、500人以上が有害業務に就く事業所は、先に述べたように専属産業医の選任が必要になるので注意が必要です。
また、50人未満の事業所は産業医の選任は必要ありませんが、助成金制度を利用して選任することが可能です。
近年、労働者の健康問題が大きく問題視されているため、受けられる制度を上手に活用し、産業医の選任に向けていち早く考えておいたほうが良いでしょう。

産業医が果たす大きな役割とは

さきほどもお伝えしたように、50人以上の企業は産業医を選任する必要があります。また、50人未満の事業所でも、助成金制度を受けて産業医を選任することができます。

このことからは、産業医の存在が重要視されていることがわかるかと思います。
では、産業医が果たす役割とは、どういったものがあるのでしょうか。詳しく見てみましょう。

・労働者の健康管理

労働者向けに、健康診断の実施や結果のチェック、ストレスチェックやその後の措置を行います。さらに、必要に応じて健康指導も行います。
事業所の環境や労働者たちの状況を把握し、適切な指導やアドバイスを行うことは、産業医の重要な役割です。

・労働者との面談

担当する企業の従業員と面談し、様々な相談に乗ったり、健康に向けたアドバイスを行ったりすることも、産業医の役割の一つです。
特に、長時間労働をしている人や、高ストレス状態にある人に対しては、健康状態の悪化が懸念されます。そのため、面談によって産業医が適切なアドバイスを行うことが重要です。

誰が面談対象となるかは、企業のルールによっても異なります。全員が面談必須の企業もあれば、希望者のみの場合もあります。また、休職者や復職希望者も面談の対象とする場合もあります。
大きな悩みを抱えている従業員もいるかもしれません。面談の際に医学的な視点からアドバイスをすることは、非常に重要です。
産業医は一人ひとりの状態をしっかり確認した上で、適切な指示を行うという大切な役割があります。

・職場環境の把握

産業医は定期的に職場の巡視を行い、何か問題があれば指摘し、改善に向けた助言を行います。
特に有害業務や危険作業などが伴う事業所の場合は、職場巡視がより重要な業務となります。

・衛生委員会の参加

産業医は衛生委員会に参加し、意見を述べる必要があります。
産業医の衛生委員会への参加は絶対ではありませんが、産業医が出席して専門的な観点から助言を行うことは重要です。

もし産業医が出席できない場合でも、衛生委員会の議事録に目を通し、その後の助言に活かします。

・衛生講話

会社側から希望があれば、産業医が衛生講話を行う場合があります。
衛生講話は、衛生委員会や研修会などの場で開催されます。

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産業医の設置には”選任届”が必要!

産業医の設置には”選任届”が必要!

産業医の設置は、企業と医師との間で勝手に決められるものではなく、決められた機関に対して「選任届」を提出する必要があります。
では、産業医の設置に必要な書類について詳しく見ていきましょう。

届け出の際に必要な書類

産業医を選任したら、所轄の労働基準監督署長に必要な書類を提出する必要があります。
では、産業医の選任届け出の際に必要な書類とは、どういったものなのでしょうか。

産業医選任報告書

②選任した産業医の医師免許証のコピー

③選任した産業医産業医認定証のコピー

この3点は必要な提出書類になるので、忘れないようにしましょう。

産業医認定証がない場合には?

では産業医認定証がない医師の場合は、どうなるのでしょうか。
医師のすべてが産業医の資格を持っているわけではありません。前述の通り、産業医認定証は特定の要件を満たした医師のみに交付されるものです。

そのため、産業医として勤務するには、産業医認定証が必要となります。
ただし、「労働衛生コンサルタント登録証」を所有する医師であれば、産業医の資格を持っているとみなされます。

・労働衛生コンサルタント登録証が有効

労働衛生コンサルタント試験(試験区分:保健衛生)に合格した医師は、産業医として認定されます。

労働衛生コンサルタント登録証を所有している医師であれば、産業医認定証の代わりに、この登録証を提出することで、選任を届け出ることが出来ます。

・認定証の有効期限を確認

日本医師会の認定産業医は、5年ごとに更新申請をする必要があります
その際、更新申請をしなければ、有効期限が切れて認定証は無効になります。産業医を選任する際には、有効な産業医認定証を所有している医師を選任する必要があるので注意しましょう。

いずれにしても、期限が有効な産業医認定証か労働衛生コンサルタント登録書の写しが必要となります。
選任の届け出に際して書類を提出するときには、このいずれかのコピーを忘れないようにしましょう。

産業医の選任届作成手順【選任報告書】

企業は、人数の条件に当てはまり、産業医を設置する必要が出た場合、14日以内に選任する必要があります

そのため、選任届を速やかに準備して提出する必要があります。
初めて産業医を選任する場合は、やることが多くて大変になるでしょう。そのため事前に、選任届の作成手順をある程度把握しておくことが大切です。
では、届出書類のひとつである「選任報告書」には、どのような情報を記入する必要があるのでしょうか。

①労働保険番号

事業所の労働保険番号を記入します。この番号は、厚生労働省のサイトから検索できます。

②事業の種類

事業所の業種を記入します。もし業種が不明な場合は、業種区分一覧表の「中分類」を参考にしてみましょう。

③労働者数

健康への影響が大きい特定業務に携わる労働者がいれば、その労働者数を記入します。なお特定業務従事者がいない事業所の場合は、記入する必要はありません。

産業医情報

選任する産業医の氏名、生年月日、選任時期を記入します。記入上の注意ですが、指名については濁点や半濁点も1マスに1文字の記入になります。

⑤選任種別

報告対象は産業医になるため、「5」と記入をします。

⑥医籍・産業医登録番号

ここには、選任した産業医の医師免許証の登録番号を記入します。

⑦辞任・解任について

産業医を交代する場合は、前任産業医についての情報を記入する必要があります。
初めて産業医を選任する場合は、この欄は空白のまま提出します。

⑧参考事項

初めて産業医を選任する場合は、「新規選任」と記入します。同時に産業医の専門科名も記入する必要があります。開業医の場合はその旨を記載します。

産業医の選任は産業医紹介サービスがおすすめ!

産業医の選任をすることも、書類作成をすることもなかなか大変な作業です。
そこで、産業医の選任をする際には、産業医紹介サービスに依頼をすることがお薦めです。

産業医紹介サービスとは?

産業医紹介サービス」とは、事業所に代わって産業医の選任を代行するサービスです。産業医の選任が必要な企業は、産業医紹介サービスを上手に活用するのがおすすめです。
そのメリットについて、以下にまとめました。

・時間の有効活用ができる

普段忙しく働く中、限られた時間内に産業医を選任することは至難の業といえるでしょう。しかし、産業医紹介サービスなら、企業に代わって迅速に産業医の選任をしてくれます。
産業医紹介サービスに依頼をすれば、産業医を探す手間が省けるため、時間の有効活用ができるでしょう。

・優秀な産業医を選んでもらえる

確かな知識や経験があり、労働者に寄り添った対応をしてくれる産業医こそ、優秀な産業医といえます。産業医を選任するのなら、優秀な産業医を設置したいと考えるのはどこの企業でも共通するポイントでしょう。

より優秀な産業医を探したい場合は、産業医紹介サービスを活用し、専門的な観点から優秀な医師を選んでもらうのがベストでし。

まとめ

産業医は重要なポジションに就くため、高い専門性が求められます。
特にメンタルの問題が重要視されている近年では、それらの問題にも適切に対処できるよう、優秀な産業医を選任することが大切になってくるでしょう。
また、産業医を選任する際には、様々な手続きが必要となります。

限られた時間内で産業医を選任し、必要な書類作成や提出をするのは非常に大変です。
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監修

栗原 雅直医師
くりはら まさなお

東京生まれ。東京大学医学部医学科卒業、東大病院精神神経科に入局。1960年東大大学院生物系研究科博士課程修了。医学博士。2年間のパリ大学留学後、東大病院医局長、1966年虎の門病院勤務。初代精神科部長。川端康成の主治医を務めた。1990年大蔵省診療所長。財務省診療所カウンセラー