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産業医がいない企業の罰則規定は?名義貸し産業医にもついても解説!

2022.02.03産業医

長時間労働や過重労働、人間関係のストレスは、従業員にとって大きなストレスの原因となるでしょう。ストレスの軽減や問題解決や軽減、健康維持や回復のために産業医の存在は重要になってきますが、産業医を選任しないと罰則規定があることはご存知でしょうか。実際に罰則規定について、あまり把握していらっしゃらない方も多いかもしれません。

今回は、産業医を選任しないと発生する罰則規定や、罰則内容について見ていきたいと思います。

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産業医選任に関する罰則規定とは?

企業は、産業医を設置する要件を満たした時点で、14日以内に産業医を選任・設置することが義務付けられています。
仮に選任しなかった場合は、罰則に該当してしまいます。

また産業医を設置していたにも関わらず、適切な産業医を設置していなかった場合も罰則に該当します。

参考:【医師監修】産業医とは?医師との違い、仕事内容をわかりやすく解説

産業医選任は義務化されている

産業医選任は、「労働安全衛生法第13条」と「労働安全衛生法施行令5条」によって特定の要件を満たした時点で義務化され、要件を満たした14日以内に選任する必要があります。

複数の支店や事業所がある企業は企業全体に属する人数ではなく、事業所ごとに人数に合わせて選任する義務がある点に注意が必要です。
この従業員の中には正規雇用だけでなく、一定条件を満たしたパートやアルバイト、派遣社員など非正規雇用の従業員も含まれています。

産業医選任要件

産業医は専属産業医と嘱託産業医が存在します。選任要件について簡単に見ていきましょう。

事業所で常時雇用する人数 産業医の人数 必要な産業医の種類
49人以下 0人 なし
50~499人 1人 嘱託産業医、または専属産業医
500~999人 1人 嘱託産業医、または専属産業医
※ただし有害業務に携わる場合は専属産業医が必須
1,000~3,000人 1人 専属産業医
3,001人以上 2人 専属産業医

産業医選任要件

①専属産業医 専属産業医は、企業専属勤務の産業医のことです。週に3日以上・1日3時間企業内で勤務するため、普段企業で働く従業員と似た勤務状態となるでしょう。常勤が基本ではありますが、一般的には週3~4日勤務のケースがほとんどです。
<設置要件>
専属産業医は、以下に該当する企業におき、1名以上選任する義務があります。

・ 従業員数1,000人以上3,000人以下の企業
・ 有害業務(深夜業務含む)に携わる従業員数が500人以上の企業

なお、3,001人以上の従業員が勤務する企業の場合は、2名以上の専属産業医の選任が必要です。

②嘱託産業医 嘱託産業医は、月に1~数回企業訪問をする産業医のことで、普段は病院などで医師として勤務しています。嘱託産業医は、他の企業の産業医を兼任していることもあります。

報酬は専属産業医に比べると少ないです。49人以下の事業所で嘱託産業医を選任する場合は助成金制度を利用できるため、費用を押さえたい場合は調べてみてください。なお、業務内容は専属産業医と嘱託産業医に違いはありません。どちらも従業員の健康を保持・増進することが求められます。

<設置要件>
嘱託産業医の設置要件について見ていきましょう。

従業員数50人以上999人以下の企業

ただし500人以上が有害業務に携わる企業の場合は、専属産業医の選任が必要となるため、注意しましょう。

ここまで見てわかる通り、各事業所の従業員数が50人を超えた時点で、産業医を選任する義務が発生します。産業医だけでなく、衛生委員会の設置も従業員数が50人以上の場合は義務となり、産業医や衛生管理者が構成員として必要です。

産業医選任に違反した場合の罰則規定内容

産業医選任は労働安全衛生法によって義務付けられているため、要件を満たしているにもかかわらず14日以内に選任しなかった場合は罰則が発生します。
罰則については、労働安全衛生規則第13条において、以下のように定められています。

労働安全衛生規則第13条第1項 産業医を選任すべき事由が発生した日から、14日以内に選任すること。
労働安全衛生規則第120条 労働安全衛生規則第13条第1項目に違反した場合は、50万円以下の罰金に処する。

なお、産業医の選任後は所轄の労働基準監督署に選任報告書を提出する必要があります。忘れずに提出しましょう。
産業医選任報告書は「産業医選任届出書」という書類で、労働基準監督署の窓口で受け取る、または厚生労働省のホームページからダウンロードできます。書類の提出以外には電子政府の総合窓口である「e-Gov」というホームページからオンラインで申請する方法もありますので、確認してみてください。

厳しい罰則内容に感じられるかもしれませんが、近年は働き方改革によって産業医の強化項目が追加されており、社会問題でもある過労死やメンタルヘルスの不調を改善するように重要視されています。実際に産業医の選任を怠った企業が多くの従業員に業務にかかわる健康被害を出したこともあります。問題が発覚した場合、罰則があるだけでなく従業員の生命や企業の立場に悪影響を与えかねません。

2019年の働き方改革によって産業医の発言力はより強いものになり、適切な対処が行えなかった場合、企業にも大きな社会的責任が問われるでしょう。事業所の必要に応じて、必要最低人数よりも多くの産業医と契約を結ぶことも考えるとよいかもしれません。

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名義貸し産業医は罰則規定に抵触

名義貸し産業医による怠慢業務が問題視されておりますが、名義貸し産業医を設置していた場合も罰則規定に抵触します。

名義貸し産業医とは

名義貸し産業医とは、産業医業務を十分に行わない「名前だけの産業医」のことを意味します。面談が必要な従業員と面談をすることもなければ職場巡視もせず、健康診断結果報告書にサイン捺印をするだけのなどの産業医のことです。
産業医は報酬をもらっている以上、産業医業務に携わる必要があるため、産業医業務を実施しない産業医は「名義貸し産業医」に該当します。

名義貸し産業医による罰則規定

名義貸し産業医による罰則規定について見てみましょう。

【労働安全衛生法第15条】
産業医は、少なくとも毎月1回以上(特定の情報提供を産業医に提供をしている場合は、2ヶ月に1回)職場巡視をし、作業方法や衛生状態に有害の恐れがあれば、ただちに従業員の健康障害防止のために必要な措置を講じなければならない。
産業医は職場巡視をすることが法律により定められているため、名義貸し産業医は罰則規定に触れます。
その場合は、産業医を選任しなかったことと同様の罰則に触れるため、50万円以下の罰金または6ヶ月以下の懲役が発生します。

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法律改正を受けて罰則規定にも変更あり

働き方改革関連法案成立により、2019年度より産業医の発言権と責任が重くなりました。新労働安全衛生法において、「産業医は従業員の健康管理を行うため、必要な医学に関する知識に基づいて、誠実に職務を行わなければならない」と明記されています。
そのため、産業医業務が以前よりも必須化され、当然ですが産業医業務を実施しなかった場合は罰則の対象となります。

また、産業医設置要件があるにも関わらず、期限内に産業医の選任や設置をしなかった場合は、50万円以下の罰金が発生します。その場合、企業の信頼性を損ねるだけでなく、ハローワークの雇用関係助成金が利用できなくなるというリスクも発生します。

仮に従業員側が労働基準監督署に内部告発した場合は、産業医の調査以外にも、長時間労働や残業代について隅々まで調査されるケースもあります。社会的信頼性を失わないためにも、従業員の健康管理のためにも、産業医設置要件が発生した時点で産業医を選任するようにしていきましょう。

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企業側が産業医について把握しておくべきこと

企業側が産業医について把握しておくべきこと
従業員の健康管理のためには、企業側と産業医側で適切な対応をすることが大切ですが、そのためには企業側が、産業医選任の時点で名義貸し産業医を選任しない必要があります。産業医選任は限られた期間内に実施する必要があるため、慌てて選任してしまうパターンも多いかもしれません。

直前に慌てないためにも、事前に把握しておくべきことをご紹介します。

産業医設置要件の把握

産業医設置要件を把握していなかったため、産業医選任をしておらず罰則に触れることは珍しくありません。事前に産業医設置要件を把握しておくことが大切であり、従業員数が50人を超えそうな企業は、早めに産業医の選任を検討しておく必要があります。

従業員数によって、嘱託産業医から専属産業医に代わる場合や、2名以上の産業医選任が必要となる場合もありますので、注意しておきましょう。

従業員数50人未満の事業所の場合は、産業医の選任義務は発生しませんが、助成金制度を活用した産業医の選任や、スポット産業医の選任が可能です。産業保健支援センターの地域窓口で、職場訪問指導や面談指導などを実施しておりますので、そちらも併せてご検討してみてはいかがでしょうか。

産業医の役割の把握

産業医の役割をある程度把握しておかなければ、名義貸し産業医に気が付かないパターンも多いでしょう。産業医が企業訪問することが「産業医の役割を果たしている」と思ってしまうケースもあるかもしれません。産業医としての役割を果たし、中身の伴った業務をしているかが大きなポイントになってきます。

産業医に適した人柄

従業員目線の面談ができる産業医かも把握しておきましょう。

質の高い産業医の大きな特徴として、従業員目線の面談ができる産業医が挙げられます。従業員に寄り添った対応をすることで安心感を与え、それに伴い従業員も相談しやすい環境となるでしょう。従業員に対して適切な指導や助言をすることが大切なため、偏った思考を持つのではなく、視野を広く持つためにも常に産業医に必要な課題を学ぶことも大切です。

知識は当然ですが、現代の社会問題は企業の経営理念、従業員と面談をすることで従業員のことを理解することなど、産業医が学ぶ分野は幅広くあります。

産業医としての役割を果たすためにも、産業医としてのスキルアップのためにも、従業員に適切な助言をするためにも、従業員目線の面談は大切です。

まとめ

産業医を選任しなかった場合や、名義貸し産業医が産業医の役割を果たしていなかった場合は罰則が発生しますが、それだけ産業医が重要なポジションを握っているともいえるでしょう。

名義貸し産業医の選任を回避するためにも、質の高い産業医を選任するためにも、産業医紹介サービスを活用することがより有効的かもしれません。従業員の健康管理や定着率アップのためにも、質の高い産業医選任を産業医クラウドでご検討してみてはいかがでしょうか。

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監修

栗原 雅直医師
くりはら まさなお

東京生まれ。東京大学医学部医学科卒業、東大病院精神神経科に入局。1960年東大大学院生物系研究科博士課程修了。医学博士。2年間のパリ大学留学後、東大病院医局長、1966年虎の門病院勤務。初代精神科部長。川端康成の主治医を務めた。1990年大蔵省診療所長。財務省診療所カウンセラー