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「健康経営導入」が経営者的観点から合理的な理由

2021.06.20働き方改革

年々高まる従業員のパフォーマンス管理。近年、ストレスチェック 、働き方改革、テレワーク、そして、新型コロナウイルス対策。働き方そのものが変化していく最中で、注目されているものが「健康経営」。働き方改革では「長時間労働」ばかりが、注目され、非常事態宣言、新型コロナウイルス対策によるテレワークの実施により、2021年2月現在では、勤務時間は短くなっている企業が多くあります。

このような環境下で、従業員のパフォーマンスが上がっている企業と、変わらない企業、そして下がっていると感じている企業に分類されています。

紐解いていくと、従業員の体調不良、メンタルヘルス不全が増えている傾向が強くなっています。通勤があれば、通勤自体がカロリーを消費し、多少の運動になっていたのですが、運動不足が体調不良を起こし、そして、自律神経の乱れからメンタルヘルス不全を起こす。
このようなループに陥っているのですが、未経験ゾーンに入っている環境下で、経営陣もどのような施策を打つべきか、迷っている企業も少なくありません。

うまく「従業員のパフォーマンスが上がっている企業」を観察していくと、ステークホルダーとして従業員をしっかり扱っている企業と、そうではない企業に分類されます。
対外内的にも発信しているメッセージとして「健康経営」が注目されています。

今回は、「健康経営」をうまく活用し、従業員のパフォーマンス(体調/メンタルヘルス)を落とさない企業は何をしているのか?を重点的に解説していきます。

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日本における健康経営の成り立ち

そもそも健康経営を推進していこうと日本政府が考えている背景には、すべて「少子高齢化」にあります。女性の社会進出は進み、労働力の確保という観点では維持できましたが、それ以上に少子高齢化のスピードが早く、また、世界の中でも長寿国家のため、年金や医療保険等の社会保険料で財政が逼迫していることが挙げられます。

2020年度の日本の国家予算は、当初予算102兆6580億円のうち社会保険料は40.5兆円と約4割を占めるまでになってきています((新型コロナウイルス対策として補正予算後では160.3億円)。

国・一般会計 歳出の推移

https://www.jmari.med.or.jp/download/RE087.pdf

高齢化は世界でもっとも進んでおり、日本は「超高齢化社会」に突入しています。

出典:未来医療研究機構代表理事長 長谷川敏彦氏資料を一部改変

2060年度には、65歳以上の高齢者が約4割を占める社会に突入することが予想されています。世界的な経営学舎、P.Fドラッカー曰く「人口推計はすでに決まった未来」と評され、人口推移は国の経済力に深く影響を与えます。

出典:未来医療研究機構代表理事長 長谷川敏彦氏資料を一部改変

「既に決まった未来」への対策として始まったものが健康経営であり、その目的は、「年金受給年齢を遅延させること」が背景にあります。そのためには、「長く健康に働ける環境」を創らない限り、実現しないため、国の主要な施策として位置付けられています。この「長く健康に働ける環境」を達成するために「予防・健康管理への重点化」を推進しています。

https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/180710kenkoukeiei-gaiyou.pdf

健康経営の基礎知識

そもそも、健康経営とは、経済産業省が推し進めている施策です。正式には「健康経営優良法人認定制度」といい、「地域の健康課題に即した取組や日本健康会議が進める健康増進の取組をもとに、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を顕彰する制度」です。

経済産業省は「健康経営に取り組む優良な法人を「見える化」することで、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」として社会的に評価を受けることができる環境を整備することを目標としています。」といっております。

基本的には「落とす」制度ではなく、広く企業が採用することを目的としており、毎年の認定される制度になります。健康経営は「取得したら終わり」ではなく、毎年、更新し続けるためには、改善していくことが求められています。健康経営認定の取得後、経済産業省のホームページで公開され、国が認める「従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」となります。加えて、その年度のロゴマークが利用できるようになります。

健康経営は東京証券取引所への上場の有無、規模によって、認定されるコースに相違があります。
東京証券取引所への上場が前提となる「健康経営銘柄」、「健康経営優良法人(大規模法人部門)*ホワイト500を含む」、「健康経営優良法人(大規模法人部門)*ブライト500を含む」の種類があり、それぞれ下記のロゴマークになります。もっともハードルが高いものは「健康経営銘柄」の認定になるでしょう。

健康経営優良法人
健康経営銘柄の選定フロー

健康経営銘柄2020は30業種40社が選定されています。応募総数2328法人から選定されており、認定率は1.7%とハードルはとても高く設定されています。

健康経営銘柄2020

健康経営優良法人は大規模法人1,476法人(うち500社がホワイト500)、中小規模法人部門は4,815法人が認定され、合計6,291法人が認定されるまで、多くの企業が認定されています。

*令和2年9月1日時点

健康経営優良法人

健康経営取得のための具体的な方法(大規模法人)

健康経営は、そもそも長期的な視点が求められます。それゆえ、基本的な考え方としては、「まずはコンプライアンスが守れているか?」が焦点になります。何のコンプライアンスかというと、「労働安全衛生法の遵守」になります。

したがって、産業医が深く関与し、今まで以上に産業保健スタッフが会社経営陣に、従業員と企業にとって適切なあり方を進言していかないと、有効な健康経営の実現には至りません。なお、健康経営優良法人2021(大規模法人)では以下の項目を実施し、評価していることが取得要件になります。

健康経営銘柄2021選定基準及び健康経営優良法人2021(大規模法人部門)認定要件

健康経営2021より新型コロナウイルス対策が盛り込まれる

2020年より世界的に広まった新型コロナウイルス。健康経営の認定項目にもいち早く取り込まれました。

企業が行うべき感染症予防対策は、業界や業種を勘案した社内ガイドラインの運用です。
*感染症予防ガイドラインサンプルはこちら

加えて、重症化の可能性が低くない基礎疾患を持つ社員の把握です。基礎疾患、特に高血圧や糖尿病の社員は重症化リスクがあるためです。
日本産業衛生学会および日本渡航医学学会によると、2021年1月末現在、重症化リスクの高い可能性のある項目は下記の通りになります。

(引用)日本産業衛生学会及び日本渡航学会発行の「職域のための 新型コロナウイルス感染症対策ガイド」

(引用)日本産業衛生学会及び日本渡航学会発行の「職域のための 新型コロナウイルス感染症対策ガイド」

健康診断から従業員の就労判定を行い、基礎疾患に対するリスク評価を行い、運用していくことが、直近のトレンドとなっています。

健康経営導入の効果

PLにインパクトがある

日本経済新聞グループの平成30年6月に公開した「働き方改革と生産性、両立の条件」という調査レポートによると、健康経営を実施している企業は、ROA(総資産経常利益率)と ROS(売上高営業利益率)に利益率上昇のインパクトがあると考えられています。

出所:日経Smart Workプロジェクト「スマートワーク経営研究会」中間報告「働き方改革と生産性、両立の条件」(2018年6月)

株価へのインパクトがある

①健康経営度調査に回答した企業全体の総合得点加重ポートフォリオ、②健康経営度調査上位20%企業の総合得点加重ポートフォリオを、2014年3月末から保有した場合、 TOPIX指数と比較すると5年間で30%程度の超過リターンとなり、長期的な観点からは、株価に対し、良好な結果が得られています。

株価へのインパクト

長期的な営業利益率向上にインパクトがある

健康経営を実施前5年と実施後5年間を比較すると、どの業種でも売上高営業利益率が確認されています。

健康経営開始前後の5年以内の売上高営業利益率の業種相対スコア

離職率の低下に効果がある

健康経営を実施は、従業員の定着率が上昇し、離職率低下に効果的であるという結果もでています。

下記図が示すように、健康経営優良法人取得した企業と取得していない企業を比較すると、離職率について、2倍の結果の違いがでています。

1000人クラスの企業では、従業員のリテンションと不必要な採用コストがかからないだけで、億円単位の利益インパクトがあることとなります。

なぜ、離職率低下に効果的かというと、これは従業員からすると、所属企業の働く環境への満足度の向上という側面と、所属企業の働く環境の不信、不満、不安を取り除く効果があると考えらます。

健康経営銘柄、健康経営優良法人における離職率

採用にインパクトがある

〜新型コロナウイルスにより健康重視の姿勢が評価に
平成28年の調査によると、新卒の就活生とその親へのアンケート調査から、「従業員の健康や働き方に配慮している」を一番重視する傾向があることがわかっており、そのシグナリングとして「健康経営取得」を目的とする企業も増えています。経営的な目線でも「採用力強化」は、経営陣がわかりやすいのでしょう。

採用にインパクト

また、新型コロナウイルスをきっかけに7割以上の回答者が「健康意識が変化した」と回答しており、今後、ますます、企業が従業員の健康に配慮することが、採用力向上や離職率低下に影響することが予想できます。

新型コロナをきっかけに健康意識は変化したか

リスクヘッジになる

大企業は2019年、中小企業は2020年に、いわゆる「働き方改革」と呼ばれる労働法の改正が行われました。勤怠管理に伴う残業管理や同一職同一賃金ばかりフォーカスされましたが、労働安全衛生法も改正されています。健康経営を取得には、基本的には労働安全衛生法含む、労働法遵守が基本的な項目となるため

もちろん従業員の健康度合いも上昇する

〜健康度合いの上昇は収入アップよりも幸福度上昇6,000%以上効果的
心身ともに健康な状態であることは、仕事をしていくうえでの必須条件です。

健康レベルが「普通」から「ちょっと体調がいい」に改善したときの幸福度の上昇率は、収入アップから得られる幸福より、6,531%も大きい(年収が平均値から上位1%に上昇した場合との比較)という調査結果もあり、「健康である」と感じている環境づくりが、如何に「働きやすい環境作り」に重要であるか、理解できるでしょう。

*Richard J Ball & Kateryna Chernova(2005)「Absolute income, relative income, and Happiness」

反対に、不調を抱えていると、「作業速度が落ちる」「集中できない」など、生産性が落ちます。

東京大学の調査によると、健康経営3年間、実施した企業のうち、高スコア群と低スコア群を比較したところ、高スコア群が全ての項目で低スコア群の企業より、健康であることが数値的な結果として得られています。特に、年間医療費平均(企業健保の永続性に重要)、メタボ該当率、喫煙リスク者率、空腹時血糖値リスク者率、脂質異常症リスク者率、血圧リスク者率において、効果的であり、従業員の健康度合いが上昇しています。

従業員の健康度合いも上昇

プレゼンティーズム、アブセンティーズムについても触れておきましょう。

健康日本21フォーラムが発表した「疾患・症状が仕事の生産性などに与える影響に関する調査」によれば、健康な状態での業務遂行能力を100としたとき、糖尿病や頭痛だと7割、メンタルだと5割程度になるというアンケート結果があります。

これは男女2400人へのアンケート結果による自己申告ですので、人は自分を課題評価する傾向があるので、実際のパフォーマンス低下はもっと大きいとみることが妥当です。

健康時と比べた不調時の業務遂行能力の自己採点

ちなみに、40代に突入すると、糖尿病と糖尿病予備軍は増えていく傾向があります。40代男性の15.9%、女性の15.2%が糖尿病患者か予備軍になります(2009年国民健康・栄養調査報告)。40代の6人に1人に相当しますので、パフォーマンスの低下の影響はすべての企業が考えていくべき事項ではないでしょうか。

糖尿病有病者と予備軍の割合(性・年齢階級別)

健康経営の考え方

〜労働生産性の向上の考え方と組織づくりの考え方

健康経営がPLへの効果(利益率向上への効果)がある理由は3つ考えられます。ひとつは、労働生産性の向上、採用力の向上、そして離職率の低下です。採用力の向上および離職率の低下は、経営者目線ですと、「1人あたり採用コストの削減」にダイレクトに利いてくることが容易に想像できるため、ここでは「労働生産性の向上の考え方」について、解説していきます。

生産性向上は下記のように考えると整理がつきます。

2009年国民健康・栄養調査報告(厚生労働省)

生産性向上に直接的に効く手法は、①オペレーションの最適化、②社員の教育、③ITを活用した合理化の3つしかありません。そして、これらを実施すると、基本的に利益率へのインパクトがあります。

これら生産性向上の手法は、すべて「人」が関与するところがあり、「働きやすい職場」との掛け算になります。

さらに働きやすい職場を分解していくと下記の通りです。

①オペレーションの最適化、②社員の教育、③ITを活用した合理化の3つ

経営者はこれら項目を意識した組織づくりを実行しないと、どこかのタイミングで歪みがでてきます。企業が高成長中のときには気づかない経営者が多いですが、ずっと成長しかない企業は存在しません。どこかで踊り場がきます。踊り場のタイミングで受け身がとれるよう、歪みが大きくなる前に対策を実行していくべきでしょう。

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健康経営導入がワークしていない企業のケース

目的が採用ブランディングだけで「形だけ」のケース

先述の通り、「従業員の健康に配慮する」企業は、就活生に対し「よい企業であること」のシグナリングとして効果的であります。

しかし、シグナリング効果である「採用」のみが目的となると、形だけとなり、形骸化しやすい側面があります。

健康経営は、労働安全衛生法に遵守、あとはフィジカルやメンタルヘルスに関する研修等の実施が主な評価項目であるが、一部の主導する部署のみが頑張り、全社的な動きができていないケースでは、従業員が効果を感じることができず、却って白けて、場合によっては、実施していることを知らないケースもある。この場合、効果は薄い。

経営者が真剣ではないケース

上記「形だけ」の主要因の一つになるが、経営者が本気で従業員の働く環境整備に本腰を入れていない場合です。社内外に明確なメッセージが伝わっていないケースも含まれます。

健康経営では、コーポレートサイトに「経営者のメッセージ」が必須ですが、定期的な見直し、また、「働く環境の改善」等を定期的に経営者が社内外へと発信していかないと、従業員は察知していきます。

評価基準を定めていないケース

プロジェクト単位で進めることの多い健康経営ですが、結局、目的やKGI/KPIを定めず実施すると失敗するケースが多いです。

経営として、何を目的とするのか。労働生産性、採用力、離職率低下、メンタルヘルス対策等の対策として実施し、その運用と効果の検証を定期的に行う体制が必要です。

健康経営導入がワークしている企業のケース

〜健康経営成功7つのポイント

「採用目的の形だけ」では、健康経営の認定を取ることが目的となり、本質的ではないことから、効果的ではありません。

筆者が推奨する考え方は、あくまで経営者的な目線では、人的アセットへの「投資」という観点から「組織の安定と発展」を目的とすると、先述したPLのインパクトや離職率の低下という効用が数字として得られるでしょう。

ここでは「組織の安定と発展」という観点から健康経営導入を成功に導く7つの観点で解説していきます。

7つの観点の解説の前に、そもそも「組織の安定と発展」は、健康経営のみをやればよいというものではありません。

詳細は記載しませんが、「組織の安定と発展」という観点で経営者は、以下の9つの観点を実行することが効果的であり、健康経営とは⑺の「メンタルヘルス対策&健康課題への対応」の対策として実行するという位置付けがよいでしょう。

つまり、健康経営とは、従業員の体調管理「メンタルヘルス対策と健康課題への対応」なのです。

*組織の安定と発展で経営者が実行すること*

  1. ミッション、ビジョン、コアバリューの設計
  2. 採用基準の設計&足切りの明確化
  3. 組織フェーズの理解
  4. マネージャー陣の育成(上位2割への教育強化)
    • ▶︎リーダーシップとマネジメント、コーチングと1on1、ハラスメント対策
  5. 就業規則の見直し&社内ルール設計の見直し
  6. 評価制度の設計と運用、賃金規定の見直し
    • ▶︎ぶらさがり社員が生き残れない仕組化
  7. メンタルヘルス対策&健康課題への対応
  8. 社内ルールの浸透
  9. 社員の底上げ教育の実行

1 経営陣に長期的な視点がある

経営陣に長期的な視点があるかは、健康経営の運用に最も重要な要素です。優秀な経営者であれば、短期的な視点、中期的な視点、長期的な視点をバランスよく、投資を行います。

しかし、四半期決算の開示が日本でも定着してから、「長期的な視点での投資」について、「わかってはいるけど、なかなか取り組めない」というような意思決定をする企業も少なくありません。

健康経営は「長期的な視点での人財投資」という観点のある会社は実行していかないと、従業員を惹きつけられないし、リテンションできないし、かつ変化の激しい現代社会において、先述したように糖尿病やメンタルヘルスで40代以降、健康を崩していきます。

2 トップが社内外にメッセージ

健康経営を始めるにあたり、もっとも重要なのは「経営者」が本気なることです。そのために経営者のメッセージが社内外に発信されることが重要であり、従業員の何の健康を重視し、何を改善していくのかということをコーポレートサイトで発信していくことが、健康経営取得においても必須事項となっています。

3 組織の設定〜健康管理室/プロジェクトチーム

健康経営は片手間にやっても効果は半減することは理解できたでしょう。従って、しっかり予算を用意し、目的となるKPIとKGI(採用発信力、離職率、休職者の減少、メンタルヘルス率の改善、従業員の健康度合い等)を設定し、健康管理室等のプロジェクトチームを組成が健康経営の成功には必須です。

プロジェクトチームのメンバーには産業医、保健師等の産業保健スタッフのほか、会社の経営数値目標がわかるメンバーも必要です、医療職の産業保健スタッフのみのメンバーになると、どうしても経営とのバランスが取りづらくなるため、経営、人事との通訳できるメンバーの参画は必須でしょう。

4 コンサル力のある産業医のアサイン

健康経営は毎年、取得必須事項が更新されること、健康経営認定の継続に内容のアップデートが求められています。

従って、初めて、健康経営取得を行おうとする場合、目標が高すぎると2年目以降が大変になるため、3カ年計画をたてて、順序立てて行っていくほうが、合理的です。

また、法令変更、感染症やテレワーク等の働く環境変化等、変化が大きくなっていく一方ですので、既存の枠組みにとらわれず、柔軟に「働く人のために」と「企業が永続するために」というバランス感覚を持ちつつ、企業人事と連携できるコンサルタントとしての産業医が求められています。

5 メンタルヘルス対策

2016年、いわゆる、ストレスチェックが制度化されてからも、従業員のメンタルヘルス問題は解決に至っていません。

むしろ、年々、日本における精神疾患者の数は増加しており、2018年現在で420万人、日本の人口の3.5%が該当します。毎年、10万人以上増加しており、止まるところが見えていません。

精神疾患を有する総患者数の推移

多くの会社において、従業員のメンタルヘルス問題は後回しの傾向がありますが、一部の業界、IT業界や一部先進的な企業ではメンタルヘルス対策、メンタルヘルス予防を実行し、実際に従業員の休職率やメンタルヘルスが改善している企業も多くあります。

従業員のメンタルヘルス予防として、厚生労働省は、メンタルヘルスケアの手法として、通称「4つのケア」の実現を推奨していますが、まだほとんどの企業で実行しきれていません。4つのケアとは、下記の図のように「セルフケア」、「ラインによるケア」、「産業保健スタッフによるケア」、「事業場外資源によるケア」に4つになります。加えて、職場環境整備が企業に求められています。

4つのケア

4つのケア

セルフケア

自分自身の「心の不調」に気づく技術。そして、自分自身に合ったケアの実行。最もコストパフォーマンスが高いが、ラインによるケアより後回しにされがちになっています。

ラインによるケア

中間管理職向け。部下の変化に、どう気づくか。また、部下のケアの手法。最近はハラスメント対策も含めたものが求められています。

事業場内 産業保健スタッフによるケア

企業が用意する専門家によるケア。産業保健師、心理士、産業医等。カウンセリング力の高い産業医や産業保健師の対応が求められています。

事業場外資源によるケア

一定数いる企業が用意した事業場内の産業医や保健師に相談したくない従業員に対するケア。プライバシー確保が運用のキーとなります。

職場環境整備

職場におけるメンタルヘルス体制整備は下記を確認し、企業に合った形を産業医と人事労務、または健康管理室が協調するとよいでしょう。

職場環境整備

6 体調管理

健康というと、イメージするのは「健康診断」ではないでようか。最近の健康経営の認定では「実質100%の健康診断の受信」が求められています。加えて、新型コロナウイルスは基礎疾患のある方について重症化リスクがあることから、就労判定をしっかりやろうという機運が2021年1月現在は広まっています。

というのも、多くの企業では健康診断は行なっているものの、その後の評価等を行い、今後の対策に生かす就労判定を行わず、検診センターから送られきた健康診断の結果を紙で従業員に渡すという形で運用している企業が多いためです。そもそも健康診断は「従業員が来年も再来年も正常稼働できるか?」という視点から行っているチェック機能ですから、当然企業が保有し、管理する情報なのですが、今までは重視されてきませんでした。

就労判定は通常、下記のように企業の働く環境毎にリスクを定義します。単純に産業医が「確認する」だけではなく、どのように事後措置をとるかが求められ始めています。

体調管理

新型コロナウイルスの影響により、安全配慮の義務の範囲が拡大しています。基礎疾患のある労働者にとって、命に関わる問題になることから、適切な把握及び対策を講じる必要性が企業に求められています。

7 コミュニケーション対策

2020年より始まった新型コロナウイルスは、テレワークを加速させました。加えて、パワーハラスメント相談窓口の設置の義務化も2020年より始まっており、「働くときのコミュニケーションのあり方」が大きく変化しています。

テレワークが始まり、「相談しづらくなった」、「雑談ができなくなり、同僚との信頼関係構築が難しくなった」、「ホウレンソウのタイミングがわからない」等の声は少なくありません。

また、上司と部下のすれ違いから、ハラスメントによるメンタルヘルス不調も絶えず、上司も「どのように部下とコミュニケーションをとるとよいのか」という問題を抱えている方も少なくありません。健康経営では、このようなコミュニケーションの円滑化も対策項目としてあります。

健康経営は維持する方が難しい

健康経営は認定制度であり、労働安全衛生法を遵守する、つまりコンプライアンスを守れば、認定の取得自体は難しくありません。難しいのは、健康経営の目標が毎年向上していくことが求められため、維持することです。

健康経営銘柄を獲得したにも関わらず、維持できなかった企業も少なくありません。従って、計画的にブラッシュアップしていく仕組化を念頭に対応していくことが求められます。

リーダーシップを取れる産業医がいると効果的

健康経営は、働き方改革法案、テレワーク、感染症予防等、エビデンスが必ずしもない状況での判断が求められます。「そこは会社さんで考えてください」という産業医ではリーダーになれません。産業医も人ですから完璧ではないものの、「企業と一緒に考えて、医学的見地と産業保健的見地から、合理的な判断を下す」ことができ、健康経営について、リーダーシップを取れる産業医の先生も数は多くないですが、確かに存在します。

そのような産業医をリーダーに据え、健康経営を取り組めば、企業が得たいリターンも得られやすくなるでしょう。

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当社Avenirは、「組織の安定」のために、ネットで簡単に良質な産業医とストレスチェック等のクラウドサービスを一括で提供するサービスを展開しています。

一般的な産業医紹介会社と違い、「マッチング」に力点を置いておらず、あくまで、「企業の課題解決」に力点を置いています。企業の課題は、コストパフォーマンス(費用)、メンタルヘルス対策、感染症予防対策、健康問題からの生産性、健康経営対策等、多岐にわたっています。

1 産業医クラウドの3つの強み

  • スコアリング&教育された産業医を提供
    産業医クラウドからご紹介する産業医は、弊社の面接と定期的な監査(合格率20%未満)の厳しい枠を突破した産業医です。他社は単純なマッチングを行っていますが、初見で産業医の質を見抜くのは、ベテランの人事や産業医でも大変難しいです。当社は独自の基準により、産業医としての課題解決能力のほか、社会人マナー等、定期的な監査、企業へのヒアリングを行い、スコアリングされた産業医を提供しています。加えて、産業医紹介会社の中では、唯一、「産業医を教育」する体制がサービス開始以来5年以上にわたって運用されています。これにより、最新の産業保健、健康管理室への業務支援が実現可能となっています。
  • 全国4000事業所以上の選任と運用実績
    当社調べでは産業医の提供事業所数は業界No.1を誇る4000事業所以上(2020年12月末)あります。大手企業での一括導入が多く、豊富な事業所での実績により、よりよい組織づくりのためのナレッジを不断に積み上げている点も強みです。全社の統一基準をどのように作り、運用するのかが、一番のキーポイントになります。費用面も含め、ナレッジを基にした業務支援と質の高い産業医によって、企業ごとにカスタマイズされたご提案が可能です
  • クラウドサービス&専門スタッフによる支援
    ストレスチェックや外部相談窓口等のクラウドサービスを、産業医や産業保健師と一括での導入と運用、産業医クラウドの専門スタッフによる「業務支援」も強みです。企業と産業医の間に入り、情報共有や関係形成のサポートの役割を担うことで、「もれなく」、「すきまなく」の業務支援を提供します。産業医も完璧ではありません。当社の専門スタッフが間に入ることで、人事と産業医の違和感を緩和し、円滑な産業保健体制の運用を支援しています。また、当社より、定期的に、感染症予防のガイドライン、テレワーク運用ガイドライン、在宅規定のサンプル等、産業医と人事の間にあるようなドキュメントも提供させていただいております。

2 産業医クラウドの料金プラン

基本プランに沿った料金は以下です。

  • 1時間 50,000円〜(社員数目安:150名まで)
  • 2時間 80,000円〜(社員数目安:150〜300名まで)
  • 3時間 110,000円〜(社員数目安:300〜500名まで)

※ご契約時に産業医選任手数料として、別途10万円(税抜)がかかります。
社員数はあくまでも目安の人数で、企業の状況により必要時間には差があります。
また、「研修プラン」や「オリジナルカスタマイズプラン」など、企業の実態に沿ったプランのご提供も可能です。

参照:https://www.avenir-executive.co.jp/sangyoui/#section-price

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監修

栗原 雅直医師
くりはら まさなお

東京生まれ。東京大学医学部医学科卒業、東大病院精神神経科に入局。1960年東大大学院生物系研究科博士課程修了。医学博士。2年間のパリ大学留学後、東大病院医局長、1966年虎の門病院勤務。初代精神科部長。川端康成の主治医を務めた。1990年大蔵省診療所長。財務省診療所カウンセラー